2024年06月
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大前駅に停車中の211系、こうして見ると秘境駅だが川向こうには嬬恋村役場を中心とした人口集積が見られる
さて前回吾妻線について書いてきましたが改善案などを書いていなかったのもあるためもう少し書きたいと思います。
前回のまとめ
さて現状に関して上の様にまとめました。しかしこれではわかりづらいので利用者及び地域等を分類して整理したいと思います。まず利用者に関しては以下になります。
・通学客:現状の利用の8割を占める、ダイヤ上線内の通学はカバーされているものの、大前~渋川、嬬恋〜前橋・高崎の通学への対応が課題
・通勤客:ダイヤ上大前~前橋・高崎市内への通勤以外はカバーされている
沿線から高崎・前橋方面:日中7時間近い空白時間の生まれる大前、万座鹿沢口以東でも臨時特急のダイヤの関係もあり、間隔があき利用しづらい
・沿線から東京方面:高崎・前橋方面と同様
・高崎・前橋から沿線:特急が東京発着の関係で時間帯が偏り、長野原草津口以降の本数も少なく利用しづらい
・東京から沿線:2012年以降特急減便や区間短縮で利用が激減していると思われる、現状定期特急に接続する普通があるが、臨時特急に接続するものはない為、使える列車が減少するのも問題
また地域等に関しては以下の様に言えます。
・バス路線は軽井沢〜万座温泉・草津温泉の広域観光ルートを担っているが、その中核である万座・鹿沢口発着の路線は本数が少なく接続も良くない
・長野原草津口迄は東京島発着の高速バスも多いが以降の地域向けはない
・並行するバス、コミバスは影響は少ない
・特急の本数減、区間短縮以降嬬恋村の観光客は他の地域と比べて減少・停滞している
こうして見ると複雑に感じますが、所謂赤字路線の場合、ローカル線と言う言われ方と対照的に、沿線地域、県内レベルの広域、大都市との行き来など複合的な需要を集めて成り立っていると言う前提があると私は考えています。その上で、吾妻線長野原草津口〜大前について引き続き見てきましょう。
中立とはたんぱくではないか
しかし不思議な事に山本知事の会見には観光客も、前橋や高崎の人達の名前は出てきません。あくまで地元住民の為と言う路線と言う認識はたんぱくすぎる感じがします。
特急の減便・区間短縮が導いた観光客の減少・停滞
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吾妻郡関係町村のコロナ禍からの観光客回復状況(令和4年(2022年)観光入込客統計調査報告書@群馬県より作成)
実際沿線の観光入れ込み客数を見ると嬬恋村の客数は人口に比して大きく嬬恋村の主要産業であり、前記事で書いた様に2010年代減少・停滞していてかつ、周辺の町村に比べてコロナ禍からの回復状況も良くないです。
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群馬県5大温泉の入れ込み客数推移(群馬県魅力創造課より)
県レベルで見ても嬬恋村の代表的な温泉である万座温泉は県内第4位の入れ込み客の多い温泉であるものの2010年代以降入れ込み客数で振るわず、水上温泉と共に群馬県の温泉観光が全体的に伸び悩んでいる原因となっているのが見て取れます。ちなみに水上温泉も万座温泉同様2010年代に特急の乗り入れが無くなっていて、東京に乗り入れる鉄道の状況が左右している面が決して小さくないのが見て取れます。
水上 (列車)@Wikipedia
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令和4年(2022年)観光入込客統計調査報告書@群馬県より
そして温泉で多いと言える宿泊客の観光消費額単価は日帰り客の5〜10倍多く、言い方は良くないですがJRの言う通りに特急の廃止を受け入れた様に見え、結果的に水上・万座両温泉の入れ込み客減少を加速させたのは優れた観光資源に恵まれているのにもったいないと感じますし、またこの吾妻線の問題で観光客の存在を無視するのは疑問を感じます。
Maas、庄内空港、地域内だけでなく外からお客を呼び込む利用者誘致策を県も含めて考えられないか
さて利用促進策として6月から嬬恋村によって村民が吾妻線を利用した際の運賃補助が始まりました。実際前回の記事で書いた様に嬬恋村~前橋・高崎の利用は無視できないですし、悪い施策ではないと思います。
ただ逆に嬬恋村に来る観光客向けのキャンペーンもあっても良いのではないでしょうか?上は山形県の庄内空港の利用促進キャンペーンからの引用です。この様な形で例えば特急草津四万を利用して万座温泉をはじめとする嬬恋村の観光地に来る観光客向けのキャッシュバックのキャンペーン等は考えられると思います。これは単に吾妻線の利用促進と言うだけでなく、コロナ前から減少・停滞していた嬬恋村の観光の活性化と言う面もあります。
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GunMaaS(群馬版MaaS)より
また県が運営しているMaasであるGunMaasで嬬恋村向けのものを作る事で前橋・高崎など群馬県内及びその周辺部からの観光客の掘り起こしを行って見るというのも考えられます。現状草津・伊香保・四万の各温泉の宿泊客向けにアクセスバスの2日乗車券をスマホの電子チケットでお得に購入できるのですが、万座温泉・鬼押し出し・軽井沢方面の西武観光バス、草津温泉・北軽井沢・軽井沢方面の草軽交通を巻き込んで作って見るというのは手だと思います。
政令市広島・熊本・浜松に負けない活発な鉄道利用を誇る路線上越線
[画像:agatuma19]
高崎~渋川の輸送密度と対応する他社区間の本数比較(2022年度、JR東日本、JR西日本、JR九州、遠州鉄道@wikipedia参照)
続いてダイヤについて見ていきましょう。吾妻線のダイヤを書く前に、そのアプローチ区間である高崎~渋川について少し見ていきます。良く「群馬はクルマ社会」「鉄道は利用されない」と聞きますが高崎・前橋の鉄道の輸送密度を見ると札幌・仙台・新潟・岡山・広島・熊本と言った地方の政令指定都市のJR線輸送密度と比べて劣らないし、高崎〜新前橋の34825人と言う数字は多分名古屋・福岡の大手私鉄の主要路線と比較してもそん色ない数値です。昼間の本数を見るとそれだけの利用者のある路線としては十分な本数が確保できているとは言い難い状況です。
しかしこれまでの見てきたとおり新前橋以北の列車が新前橋で打ち切りになったり、特急が減便・区間短縮される等年々不便となり、本来のポテンシャルを発揮できていないというのが現状であるというのは押さえておきたいところです。
北陸新幹線が群馬と関西・名古屋を結ぶ日を控えて県内で五指に入り、多くの惚れ込むリピーターを抱える優良観光地万座温泉を抱えるこの地域の観光を再び盛り上げる為の投資を
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吾妻線の普通列車を担う211系、国鉄時代からの生き残りの大ベテランである
その前提で言えば、まず行うのは
・現状万座・鹿沢口あるいは新前橋止まりの列車をそれぞれ大前・高崎への延長
・高崎着8:00前後の大前始発普通列車の増発(高崎・前橋市内への通学の対応)
と言った普通列車ダイヤの整備となると思います。
[フレーム]211系の弟分213系、クロスシートなので群馬名物鳥飯系のお弁当を食べながら吾妻川を見つつ草津・万座へ
続いては速達列車の整備となります。こんな感じの列車はどうでしょうか?
・臨時も含め特急を長野原草津口から万座・鹿沢口へ延長、出来れば始発を上野から品川に変更
・臨時特急の走らない平日に臨時特急の走る時間帯に有料指定席を設定した快速列車を大前まで運行
・また土日・祝日も含め、特急が走らない大前発朝・夕方、高崎発夕方~夜間に大前〜高崎間に有料指定席を設定した快速を運行
・快速は上の動画の213系をJR東海あるいは西日本から購入して運行
・また羽根尾、万座・鹿沢口のバスも快速・特急に併せて接続の改善したり増発を行う
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吾妻線と寄り添う我妻川の光景@万座・鹿沢口
快速の目的は高崎乗換えで特急の補完する事と、高崎・前橋〜吾妻線沿線相互の流動へのフォローです。売りは我妻川の渓流を見ながら高崎駅でも購入できるだるま弁当や群馬県で人気のある登利平のお弁当を食べて吾妻線沿線の観光地地域や観光地へ向かう事です。小さいとは言え、観光客に向けてお弁当などが売れる事は嬬恋村など沿線の自治体だけでなく高崎市など他所とこの地域を繋ぐジャンクションである地域を潤す面を意識してほしいというのもあります。また時期がいつになるかは分かりませんが北陸新幹線開業後は関西・名古屋からのお客も意識できるのではと思います。213系は現在高崎地区で走る主力車両の兄弟分と言える車両ですので、メンテナンスなどがしやすいというのが大きいです。
大盤振る舞いとも言える投資ですが、現在停滞している県内4位の集客力を誇る万座温泉を中心とした嬬恋村、長野原町の観光地の再活性化も含めて考えると高いものではないのではと考えています。上は万座温泉の口コミを集めたサイトからの引用ですが驚くのは投稿者の大半が50代以上、高齢化が進んでいる事です。しかしその反面、流行りの温泉街は無くても良質な温泉、落ち着いた環境、夏涼しく、秋の紅葉、冬のスキーと高原の恵まれた自然を愛するリピーターが多い、一度訪れた人たちに2度・3度と訪れさせる魅力ある観光地であるのも間違いないです。「東京のターミナルに○しろまる○しろまる行きと言う列車がきて行き先案内されるのはそれだけでも広告効果がある」と言うのはよく聞く話ですが、特急水上を失った水上温泉、特急草津を失った万座温泉が2010年代に2割近い来訪者を失ったのを考えると説得力を感じます。特急・快速を中心とした大盤振る舞いは万座温泉を中心とした良質な観光地を再び東京の若い人や東京に世界中から集まるインバウンド客、また今後北陸新幹線開業で群馬に近くなる関西・名古屋の人達に万座温泉を中心とした良質な高原観光地であるこの地域をアピールし新たなリピーターを確保するための投資と言うのは決して高いものではないのではないでしょうか?
地域の為、群馬県の為政治家とブレインの意地を見せてほしい
今年3月京葉線のダイヤ変更で通勤快速廃止と言う話が出た時、千葉県知事や千葉市長を中心とする沿線・あるいは関係する自治体の首長たちは一斉に声を上げ反発しました。沿線外の人間からどう映るかは分かりませんが、沿線に住む住民たちにとっては「言うべきことを言ってくれた」と感じたのではないでしょうか?沿線に住む、特に一戸建てやマンションを買った人達から見たらこの通勤快速の廃止は東京への通勤利便性を低下させる「人生をかけた投資である家の価値を下げる許せない行為」であるわけで、もし首長たちが山本知事の様に「中立な第3者として調整する」と言ったらどうなったでしょうか?そしてこの吾妻線の事も県内で5指に入る有力な温泉である万座温泉を中心とした有力な観光地である嬬恋村・長野原町の観光に大きな影響を与えるのはこれまで特急草津や嬬恋村、万座温泉の話を見れば明らかで群馬県の大きな観光資産の価値を左右する話と言わざるを得ません。私はこのままいけば山本知事をはじめとする沿線の政治家は「地域の高校生の問題なので中立な調整者」と言うのは地域の主張としての責任を放棄していると言われてもおかしくないのではと感じます。
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左:芸備線備後落合駅の利用者数推移、右:万座・鹿沢口駅利用者数推移、どちらもWikipediaより
×ばつ人だと良く言われます。前に取り上げた芸備線の場合備後落合〜東城は20人、今回の吾妻線長野原草津口〜大前は263人と言われています。しかしwikipediaで2021年までの各駅利用者数が分かる芸備線はともかく2015年以降の各駅利用者数が全く分からない吾妻線の輸送密度は何を根拠にこの数字が出ているのか私にはさっぱり分かりません。簡単にでたらめと言う気はないですが誰かがこの数字はでたらめだと言ったら否定する根拠は全くないです。
芸備線各区間の経営状況@芸備線再構築協議会の協議体制について@中国運輸局2024年3月26日
ご説明資料@JR西日本2023年8月2日
芸備線と吾妻線2つの赤字旅客線の問題を調べて一番感じた違いは考える上での資料の豊富さの差、この差は地域の未来を考える政治家とブレインの思い、情熱、維持の差に見えて仕方ありませんでした。当然この手の話し合いを続けている時間の差が大きいのは言うまでもないですが、よそ者とは言え少なくない時間をかけて調べた人間のわがままな感想になりますが、群馬県、長野原町、嬬恋村に関わる政治家、そして彼らを支えるブレインの皆様、この沿線地域、そして群馬県の未来の為意地を見せてほしいそう思わずにはいられませんでした。
大前駅に停車中の211系、こうして見ると秘境駅だが川向こうには嬬恋村役場を中心とした人口集積が見られる
さて前回吾妻線について書いてきましたが改善案などを書いていなかったのもあるためもう少し書きたいと思います。
前回のまとめ
先人の築き上げた資産を安易に手放すのか〜吾妻線と万座温泉に思う〜より
現状の課題をまとめて見る
さてこれまで見てきた経緯と現状を纏めますと
・現状の長野原草津口〜大前の利用者の8割が通学客
・2012年の特急減便、2016年の特急区間短縮で長野原草津口〜大前の乗客減少傾向が明確となって来た。
・それに伴い沿線の嬬恋村の入れ込み観光客数は他が増加か、増減を繰り返すのに対し明確に停滞・減少傾向に入った。
・通勤・通学を見ると概ね線内の通学には対応していて、高崎・前橋市内への通勤もある程度対応されている、嬬恋村内から高崎・前橋方面への通学への対応が課題
・日中のダイヤは東京から草津温泉方面への特急は沿線の視点で見ると運行時間が偏ったり、臨時特急の影響で日中の本数が少ないなど、沿線〜高崎・前橋方面との双方の行き来が不便なダイヤと言う印象を受ける
・沿線のバスを見ると吾妻線に沿った区間は一部あるものの、基本的には軽井沢〜草津温泉・万座温泉の広域観光ルートの一端を担う路線が多い
・万座・鹿沢口発着のバス路線のダイヤを見ると本数が少なく接続も良くない
・自治体はコミバスと言うよりもスクールバスや福祉バス等公共交通と言うよりも特定の目的を最低限フォローする交通機関の手当てが精一杯と言った感じ
さて現状に関して上の様にまとめました。しかしこれではわかりづらいので利用者及び地域等を分類して整理したいと思います。まず利用者に関しては以下になります。
・通学客:現状の利用の8割を占める、ダイヤ上線内の通学はカバーされているものの、大前~渋川、嬬恋〜前橋・高崎の通学への対応が課題
・通勤客:ダイヤ上大前~前橋・高崎市内への通勤以外はカバーされている
沿線から高崎・前橋方面:日中7時間近い空白時間の生まれる大前、万座鹿沢口以東でも臨時特急のダイヤの関係もあり、間隔があき利用しづらい
・沿線から東京方面:高崎・前橋方面と同様
・高崎・前橋から沿線:特急が東京発着の関係で時間帯が偏り、長野原草津口以降の本数も少なく利用しづらい
・東京から沿線:2012年以降特急減便や区間短縮で利用が激減していると思われる、現状定期特急に接続する普通があるが、臨時特急に接続するものはない為、使える列車が減少するのも問題
また地域等に関しては以下の様に言えます。
・バス路線は軽井沢〜万座温泉・草津温泉の広域観光ルートを担っているが、その中核である万座・鹿沢口発着の路線は本数が少なく接続も良くない
・長野原草津口迄は東京島発着の高速バスも多いが以降の地域向けはない
・並行するバス、コミバスは影響は少ない
・特急の本数減、区間短縮以降嬬恋村の観光客は他の地域と比べて減少・停滞している
こうして見ると複雑に感じますが、所謂赤字路線の場合、ローカル線と言う言われ方と対照的に、沿線地域、県内レベルの広域、大都市との行き来など複合的な需要を集めて成り立っていると言う前提があると私は考えています。その上で、吾妻線長野原草津口〜大前について引き続き見てきましょう。
中立とはたんぱくではないか
[フレーム] "赤字は年間4億円超"JR吾妻線 長野原草津口〜大前の今後は 沿線自治体などが初の協議@NHK2024/5/23より
群馬県 山本知事
「地域にとって最適な交通サービスを選択するために関係者で議論を行うものだ。大事なことは、地域住民の移動に便利で快適なものにすることだと認識している。その認識のもとで県としては中立的な立場で調整に努めていきたい」
しかし不思議な事に山本知事の会見には観光客も、前橋や高崎の人達の名前は出てきません。あくまで地元住民の為と言う路線と言う認識はたんぱくすぎる感じがします。
特急の減便・区間短縮が導いた観光客の減少・停滞
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吾妻郡関係町村のコロナ禍からの観光客回復状況(令和4年(2022年)観光入込客統計調査報告書@群馬県より作成)
実際沿線の観光入れ込み客数を見ると嬬恋村の客数は人口に比して大きく嬬恋村の主要産業であり、前記事で書いた様に2010年代減少・停滞していてかつ、周辺の町村に比べてコロナ禍からの回復状況も良くないです。
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群馬県5大温泉の入れ込み客数推移(群馬県魅力創造課より)
県レベルで見ても嬬恋村の代表的な温泉である万座温泉は県内第4位の入れ込み客の多い温泉であるものの2010年代以降入れ込み客数で振るわず、水上温泉と共に群馬県の温泉観光が全体的に伸び悩んでいる原因となっているのが見て取れます。ちなみに水上温泉も万座温泉同様2010年代に特急の乗り入れが無くなっていて、東京に乗り入れる鉄道の状況が左右している面が決して小さくないのが見て取れます。
水上 (列車)@Wikipedia
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令和4年(2022年)観光入込客統計調査報告書@群馬県より
そして温泉で多いと言える宿泊客の観光消費額単価は日帰り客の5〜10倍多く、言い方は良くないですがJRの言う通りに特急の廃止を受け入れた様に見え、結果的に水上・万座両温泉の入れ込み客減少を加速させたのは優れた観光資源に恵まれているのにもったいないと感じますし、またこの吾妻線の問題で観光客の存在を無視するのは疑問を感じます。
Maas、庄内空港、地域内だけでなく外からお客を呼び込む利用者誘致策を県も含めて考えられないか
JR吾妻線(大前駅 〜 渋川駅間)を利用 した鉄道運賃(令和6年6月1日以降の利用分から)の補助が始まりました!!@嬬恋村より
「嬬恋村JR吾妻線利用乗車券購入補助金」のご案内
みんなの利用で未来に残そうJR吾妻線!
JR吾妻線(大前駅〜渋川駅間)を利用することで利用者数が増加し、鉄道路線維持を図ることを目的として、村民が利用した際のJR吾妻線区間の鉄道運賃を補助します。
助成対象者
嬬恋村に住所を有する方
補助対象経費
JR吾妻線において、大前駅、万座・鹿沢口駅、袋倉駅を出発駅・到着駅として、片道または往復利用した時の普通乗車券の鉄道運賃の全額を補助します。
※(注記)JRの運賃割引が適用される場合は、割引後の鉄道運賃を全額補助します。
※(注記)通学及び通勤は対象となりません。
対象利用期間
令和6年6月1日(土)からの鉄道利用運賃
さて利用促進策として6月から嬬恋村によって村民が吾妻線を利用した際の運賃補助が始まりました。実際前回の記事で書いた様に嬬恋村~前橋・高崎の利用は無視できないですし、悪い施策ではないと思います。
庄内空港利用拡大助成事業【一般の方向け】@山形県より
こばえちゃ割キャッシュバックキャンペーン
庄内空港発着便を利用した方に助成を行います。
移住、就活、婚活、農業就労、関係人口創出セミナー・イベントで庄内へ来る方を応援します。庄内訪問の際に、庄内空港発着の対象便を利用した方に助成を行います。
ただ逆に嬬恋村に来る観光客向けのキャンペーンもあっても良いのではないでしょうか?上は山形県の庄内空港の利用促進キャンペーンからの引用です。この様な形で例えば特急草津四万を利用して万座温泉をはじめとする嬬恋村の観光地に来る観光客向けのキャッシュバックのキャンペーン等は考えられると思います。これは単に吾妻線の利用促進と言うだけでなく、コロナ前から減少・停滞していた嬬恋村の観光の活性化と言う面もあります。
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GunMaaS(群馬版MaaS)より
また県が運営しているMaasであるGunMaasで嬬恋村向けのものを作る事で前橋・高崎など群馬県内及びその周辺部からの観光客の掘り起こしを行って見るというのも考えられます。現状草津・伊香保・四万の各温泉の宿泊客向けにアクセスバスの2日乗車券をスマホの電子チケットでお得に購入できるのですが、万座温泉・鬼押し出し・軽井沢方面の西武観光バス、草津温泉・北軽井沢・軽井沢方面の草軽交通を巻き込んで作って見るというのは手だと思います。
政令市広島・熊本・浜松に負けない活発な鉄道利用を誇る路線上越線
[画像:agatuma19]
高崎~渋川の輸送密度と対応する他社区間の本数比較(2022年度、JR東日本、JR西日本、JR九州、遠州鉄道@wikipedia参照)
続いてダイヤについて見ていきましょう。吾妻線のダイヤを書く前に、そのアプローチ区間である高崎~渋川について少し見ていきます。良く「群馬はクルマ社会」「鉄道は利用されない」と聞きますが高崎・前橋の鉄道の輸送密度を見ると札幌・仙台・新潟・岡山・広島・熊本と言った地方の政令指定都市のJR線輸送密度と比べて劣らないし、高崎〜新前橋の34825人と言う数字は多分名古屋・福岡の大手私鉄の主要路線と比較してもそん色ない数値です。昼間の本数を見るとそれだけの利用者のある路線としては十分な本数が確保できているとは言い難い状況です。
しかしこれまでの見てきたとおり新前橋以北の列車が新前橋で打ち切りになったり、特急が減便・区間短縮される等年々不便となり、本来のポテンシャルを発揮できていないというのが現状であるというのは押さえておきたいところです。
北陸新幹線が群馬と関西・名古屋を結ぶ日を控えて県内で五指に入り、多くの惚れ込むリピーターを抱える優良観光地万座温泉を抱えるこの地域の観光を再び盛り上げる為の投資を
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吾妻線の普通列車を担う211系、国鉄時代からの生き残りの大ベテランである
その前提で言えば、まず行うのは
・現状万座・鹿沢口あるいは新前橋止まりの列車をそれぞれ大前・高崎への延長
・高崎着8:00前後の大前始発普通列車の増発(高崎・前橋市内への通学の対応)
と言った普通列車ダイヤの整備となると思います。
[フレーム]211系の弟分213系、クロスシートなので群馬名物鳥飯系のお弁当を食べながら吾妻川を見つつ草津・万座へ
続いては速達列車の整備となります。こんな感じの列車はどうでしょうか?
・臨時も含め特急を長野原草津口から万座・鹿沢口へ延長、出来れば始発を上野から品川に変更
・臨時特急の走らない平日に臨時特急の走る時間帯に有料指定席を設定した快速列車を大前まで運行
・また土日・祝日も含め、特急が走らない大前発朝・夕方、高崎発夕方~夜間に大前〜高崎間に有料指定席を設定した快速を運行
・快速は上の動画の213系をJR東海あるいは西日本から購入して運行
・また羽根尾、万座・鹿沢口のバスも快速・特急に併せて接続の改善したり増発を行う
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吾妻線と寄り添う我妻川の光景@万座・鹿沢口
快速の目的は高崎乗換えで特急の補完する事と、高崎・前橋〜吾妻線沿線相互の流動へのフォローです。売りは我妻川の渓流を見ながら高崎駅でも購入できるだるま弁当や群馬県で人気のある登利平のお弁当を食べて吾妻線沿線の観光地地域や観光地へ向かう事です。小さいとは言え、観光客に向けてお弁当などが売れる事は嬬恋村など沿線の自治体だけでなく高崎市など他所とこの地域を繋ぐジャンクションである地域を潤す面を意識してほしいというのもあります。また時期がいつになるかは分かりませんが北陸新幹線開業後は関西・名古屋からのお客も意識できるのではと思います。213系は現在高崎地区で走る主力車両の兄弟分と言える車両ですので、メンテナンスなどがしやすいというのが大きいです。
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1800mの高原地と言う雰囲気が味わえる万座温泉
万座温泉の口コミ・評判@ゆこゆこより
投稿者:50代男性 訪問回数:3回以上 訪問・滞在の種別:宿泊 同行者・目的:夫婦・カップル旅行
1800メーターの高原地で夏は特に涼しく、高原の爽やかな風が気持ちいいです。白濁の露天風呂の。泉質は最高です、万座高原ホテルは4種類の源泉に入ることができる。秋は紅葉を楽しみ、冬はスキー場が目の前1年中楽しめる温泉地です
大盤振る舞いとも言える投資ですが、現在停滞している県内4位の集客力を誇る万座温泉を中心とした嬬恋村、長野原町の観光地の再活性化も含めて考えると高いものではないのではと考えています。上は万座温泉の口コミを集めたサイトからの引用ですが驚くのは投稿者の大半が50代以上、高齢化が進んでいる事です。しかしその反面、流行りの温泉街は無くても良質な温泉、落ち着いた環境、夏涼しく、秋の紅葉、冬のスキーと高原の恵まれた自然を愛するリピーターが多い、一度訪れた人たちに2度・3度と訪れさせる魅力ある観光地であるのも間違いないです。「東京のターミナルに○しろまる○しろまる行きと言う列車がきて行き先案内されるのはそれだけでも広告効果がある」と言うのはよく聞く話ですが、特急水上を失った水上温泉、特急草津を失った万座温泉が2010年代に2割近い来訪者を失ったのを考えると説得力を感じます。特急・快速を中心とした大盤振る舞いは万座温泉を中心とした良質な観光地を再び東京の若い人や東京に世界中から集まるインバウンド客、また今後北陸新幹線開業で群馬に近くなる関西・名古屋の人達に万座温泉を中心とした良質な高原観光地であるこの地域をアピールし新たなリピーターを確保するための投資と言うのは決して高いものではないのではないでしょうか?
地域の為、群馬県の為政治家とブレインの意地を見せてほしい
JR京葉線 再びダイヤ改正へ 朝の上りの快速を増やすなど@NHK2024/5/30より
ことし3月に行われたJR京葉線のダイヤ改正で、朝と夕方以降の快速の運行が大幅に減ったことに対し、見直しを求める声が相次いだことを受け、JR東日本が9月にも、朝の上りの快速を増やすなど、再びダイヤを改正する方針を固めたことが分かりました。
【詳しくはこちら】JR京葉線 朝と夕方以降の快速が各駅停車に 再検討求める声も ことし3月のJR京葉線のダイヤ改正では、ラッシュ時の通勤快速が廃止されたほか、朝と夕方以降の時間帯の快速が早朝の上り2本を除いて各駅停車に変更されました。
このため、京葉線を利用して東京方面に通勤する住民が多い千葉市など各地の自治体から、利便性が低下するなどとしてダイヤの再検討を求める声が相次いでいました。
こうした状況を受け、JR東日本はことし9月にも、朝の時間帯で上りの快速の運行を増やすなど、再びダイヤを改正する方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。
停車駅が少ない通勤快速の運行は再開しないものの、快速での所要時間が従来より短くなる形でダイヤを編成し、乗客の利便性を確保する方向で検討を進めているということです。
今年3月京葉線のダイヤ変更で通勤快速廃止と言う話が出た時、千葉県知事や千葉市長を中心とする沿線・あるいは関係する自治体の首長たちは一斉に声を上げ反発しました。沿線外の人間からどう映るかは分かりませんが、沿線に住む住民たちにとっては「言うべきことを言ってくれた」と感じたのではないでしょうか?沿線に住む、特に一戸建てやマンションを買った人達から見たらこの通勤快速の廃止は東京への通勤利便性を低下させる「人生をかけた投資である家の価値を下げる許せない行為」であるわけで、もし首長たちが山本知事の様に「中立な第3者として調整する」と言ったらどうなったでしょうか?そしてこの吾妻線の事も県内で5指に入る有力な温泉である万座温泉を中心とした有力な観光地である嬬恋村・長野原町の観光に大きな影響を与えるのはこれまで特急草津や嬬恋村、万座温泉の話を見れば明らかで群馬県の大きな観光資産の価値を左右する話と言わざるを得ません。私はこのままいけば山本知事をはじめとする沿線の政治家は「地域の高校生の問題なので中立な調整者」と言うのは地域の主張としての責任を放棄していると言われてもおかしくないのではと感じます。
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左:芸備線備後落合駅の利用者数推移、右:万座・鹿沢口駅利用者数推移、どちらもWikipediaより
×ばつ人だと良く言われます。前に取り上げた芸備線の場合備後落合〜東城は20人、今回の吾妻線長野原草津口〜大前は263人と言われています。しかしwikipediaで2021年までの各駅利用者数が分かる芸備線はともかく2015年以降の各駅利用者数が全く分からない吾妻線の輸送密度は何を根拠にこの数字が出ているのか私にはさっぱり分かりません。簡単にでたらめと言う気はないですが誰かがこの数字はでたらめだと言ったら否定する根拠は全くないです。
芸備線各区間の経営状況@芸備線再構築協議会の協議体制について@中国運輸局2024年3月26日
ご説明資料@JR西日本2023年8月2日
芸備線と吾妻線2つの赤字旅客線の問題を調べて一番感じた違いは考える上での資料の豊富さの差、この差は地域の未来を考える政治家とブレインの思い、情熱、維持の差に見えて仕方ありませんでした。当然この手の話し合いを続けている時間の差が大きいのは言うまでもないですが、よそ者とは言え少なくない時間をかけて調べた人間のわがままな感想になりますが、群馬県、長野原町、嬬恋村に関わる政治家、そして彼らを支えるブレインの皆様、この沿線地域、そして群馬県の未来の為意地を見せてほしいそう思わずにはいられませんでした。
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吾妻線の象徴特急草津(現草津・四万)号
芸備線改善策を考える
※(注記)2024年6月18日一部資料差し替えました、また続編らしきものも書きました。
政治家とブレインの意地を見せてほしい〜吾妻線を考えるその2〜
特急の縮小が長野原草津口〜大前の衰退を招いたのか〜吾妻線の経緯を見る〜
2012年:特急草津の本数減少3往復→2往復(土休日3往復)
2014年:特急草津をE651系に置き換え、八ッ場ダム建設により新線切り替え
2016年:特急草津区間短縮(長野原草津口〜万座・鹿沢口廃止)
2017年:一部列車が高崎発着から新前橋発着に区間短縮
2023年:特急草津をE257系に置き換え草津・四万に改称
特急用車両変更、八ッ場ダム建設をきっかけとした新線切り替えがあるものの特急草津(2023年から草津・四万に改称)の本数削減、区間短縮、一部普通列車の新前橋止まりへの変更等消極策が目立ちます。
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吾妻線利用者数推移(路線別ご利用状況@JR東日本より作成)
続いてJRの公表資料から吾妻線の輸送密度の推移を見ていきます。協議の対象となっている長野原草津口〜大前に関しては2012年まではむしろ渋川~長野原草津口よりも利用に関しては健闘していたものの、2012年の特急の減便、2016年の特急の区間短縮で利用者の減少傾向に拍車がかかって逆転し現状に至っていることが分かります。
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吾妻線沿線自治体の観光入れ込み客数@観光入込客統計調査報告書@群馬県観光魅力創出課 平成30年、令和3年度版より作成
観光客に関しても特急の区間短縮の影響が大きい嬬恋村の観光客は2010年代中盤他の地域が増減を繰り返したり増加傾向にあったのに対し低迷し、2010年代草津町に次ぐ観光客を誇っていたのが2021年には5町村の中で4位となりました。特急の本数減、区間短縮の影響だけではないとはいえ、吾妻線沿線では草津町に次ぐ観光集客力を誇る嬬恋村の観光業停滞は単なる鉄道の赤字と言うよりも地域経済をどう活性化するかの問題にも結びついているとも言えます。
高校と通学ダイヤを見る
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大前駅周辺、謎の終着駅扱いされる大前駅だが川向こうの高台には嬬恋村役場や、市街地(?)が広がる agatuma5
沿線の高校・役場と朝時間帯ダイヤ(JTB時刻表2024年3月号参照)
また沿線の高校の立地を見ると渋川市に4校、他の町村に3校となっています。また役場の立地を見ると大前、長野原草津口、群馬原町、中之条に町村役場があり渋川には渋川市役所があり、高校所在地を含めて市街地が広がっています。その上でダイヤを見ると芸備線とは違い大前から渋川方面への通学が難しいものの沿線内の高校への通学、役場への通勤自体は比較的無理なくできそうです。ただ贅沢を言えば嬬恋村から屈指の進学校高崎高校(前橋高校は立地的に難しい)、群馬高専のある高崎・前橋市内への通学と大前駅から高崎・前橋市内に通勤が出来ないというのが改善点として挙がるかもしれません。
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参考:吾妻地域の通学流動(15歳以上、単位:人) @群馬県吾妻地域の高校生の通学交通特性からみた課題 西尾 敏和(群馬県立高崎工業高等学校) 森田 哲夫(前橋工科大学)より引用
ちなみに少し古い2015年のデータですが、地元の高校・大学の共同研究の結果を見ると大学生等も含む数値ですが嬬恋村から高崎市への通学が25人、前橋市への通学が21人と決して小さい人数ではない事が示されています。
昼間のダイヤを見る IMG_5723
現特急「草津・四万」用E257系@上野駅
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吾妻線長野原草津口〜大前日中〜夜ダイヤ(括弧がついているものは乗換え、赤字は特急、斜め字は臨時列車、〇は土・休日運転、△しろさんかくは特定日運転)※(注記)2024年6月18日差し替えました
さて朝の時間帯以外のダイヤも見ていきますと以下の特徴があります。
・大前~万座・鹿沢口は日中最大7時間空くくらい本数が少ないが万座・鹿沢口泊まりの列車は1本を除き20分以上あり、何故万座・鹿沢口折り返しになっているか分からない
・臨時特急が走る関係で万座・鹿沢口折り返しも日中は2〜3時間空く
・定期の特急は長野原草津口で普通に接続し万座・鹿沢口迄アクセス可能だが、臨時特急には接続する普通がない
・万座・鹿沢口〜高崎は普通は100〜119分、特急乗換えは78〜83分と時間差が意外に大きい。
・特急の運行時間帯は定期列車で下り高崎発11:19〜13:33、長野原草津口発13:07〜15:43と偏りがある。
万座・鹿沢口基準で考えれば最小限に食い止められているとはいえ、感じるのは線内の通学、草津温泉への観光輸送の優先度が高く、この地域から群馬県の高崎・前橋を中心とした都市部へのアクセスが後回しになっている感がぬぐえないダイヤと感じられます。例えばこの地域から前橋市の群大病院等の大規模医療施設へ通う高齢者や県庁へ出張する役場の職員、また平日だと数は減るかもしれませんが、沿線の温泉などの観光地へ新幹線から乗り継いで来る観光客など掘り起こせそうな気がしますが果たしてどうでしょうか?
現状のバス路線を見ていく
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西武観光バスの万座温泉行@万座・鹿沢口駅
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群馬大津駅〜大前間各駅発着の主な路線バス
さて続いて周辺の交通を見ていきましょう。まず並行区間を走るバスとしては草軽交通の北軽井沢〜草津温泉間の長野原草津口〜応桑堂バス停間とJRバス関東の長野原草津口〜堂西バス停がそれぞれ長野原草津口〜羽根尾、群馬大津と並行していますが、長野原草津口から嬬恋村の中心である万座・鹿沢口、大前方面へ向かうバスは無い様です。
沿線の主な路線バスを見ると軽井沢〜草津温泉、万座温泉と言う広域な観光ルートの中間点にこの吾妻線が位置しているのが分かります。軽井沢周辺の鬼押し出しや北軽井沢地区は、群馬県であり、かつて特急草津が万座・鹿沢口まで乗り入れていたのはこの観光ルートの一端を担う事で草津温泉だけでない多彩な観光客を取り込んでいたことを意味しているのでしょう。そして現状通学客が8割と言うのはこの観光ルートが衰退してしまったという事、そして既存のバス会社が長野原草津口〜大前の代替バスを走らせる可能性は低いという事を意味します。
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西武観光バス万座バスターミナル行き、軽井沢駅行バス時刻表@万座・鹿沢口(斜め字は土・休日運休、(赤字)は特急に接続する普通列車)※(注記)2024年6月18日差し替えました
またかつて特急草津のお客さんを運んだであろう万座・鹿沢口のバスを見ると接続は決して良くいです。特に鬼押し出し→高崎・東京方面の乗り継ぎは実質的に14:45発の1本だけ(鬼押し出し発10:45は鬼押し出し迄の始発でかつ土休日運休)となります。 西武観光バス 草津・軽井沢エリア
草軽交通株式会社
JRバス関東
上田バス
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嬬恋村のスクールバス
また退出したバスの代替交通として走る事の多いコミュニティバスではなく長野原町、嬬恋村のHPを調べるとコミュニティバスは無く行政が走らせるのは福祉バスや小中学校のスクールバス等公共交通と言うよりも目的を絞り込んだ交通機関のようです。
嬬恋村スクールバス
嬬恋村福祉バスについて@嬬恋村
買い物支援バス運行中です@嬬恋村社会福祉協議会
外出支援バスについて@長野原町
福祉バスについて@長野原町
八ッ場地区を巡る周遊バス「八ッ場ぐるりん」の運行が始まります@やんば天明泥流ミュージアム(長野原草津口以東)
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高速バスだけでなく水陸両用バスも走らせる地元企業DTS
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草津温泉発着高速バス一覧
つづいてローカル線との競合がよく言われる高速バスなのですが長野原草津口〜大前に関しては草津温泉行ばかり見つかりました。最近では地元企業DTSや2022年に東急バスが横浜発着の路線を走らせている様に、増発傾向にあるようです。一番本数の多いJRの湯めぐり号ですが、経由地に渋川・中之条・群馬原町・河原湯温泉・長野原草津口と渋川~長野原草津口間の主要駅も多く競合の影響が懸念されそうですが2012年〜2019年の渋川~長野原草津口の輸送密度は横ばいに近く棲み分けがなされていると言うかともに盛り上がっている様な感じがします。逆に万座温泉を中心とした嬬恋方面への高速バスは無い様です。
上州湯めぐり号時刻表
横浜駅西口・新横浜・たまプラーザ-軽井沢・北軽井沢・草津温泉@東急バス
渋谷・中野坂上-軽井沢・北軽井沢・草津温泉(※(注記)二子玉川は休止中)@東急バス
DTS HP
吉祥寺〜草津温泉線@関越バス
現状の課題をまとめて見る
さてこれまで見てきた経緯と現状を纏めますと
・現状の長野原草津口〜大前の利用者の8割が通学客
・2012年の特急減便、2016年の特急区間短縮で長野原草津口〜大前の乗客減少傾向が明確となって来た。
・それに伴い沿線の嬬恋村の入れ込み観光客数は他が増加か、増減を繰り返すのに対し明確に停滞・減少傾向に入った。
・通勤・通学を見ると概ね線内の通学には対応していて、高崎・前橋市内への通勤もある程度対応されている、嬬恋村内から高崎・前橋方面への通学への対応が課題
・日中のダイヤは東京から草津温泉方面への特急は沿線の視点で見ると運行時間が偏ったり、臨時特急の影響で日中の本数が少ないなど、沿線〜高崎・前橋方面との双方の行き来が不便なダイヤと言う印象を受ける
・沿線のバスを見ると吾妻線に沿った区間は一部あるものの、基本的には軽井沢〜草津温泉・万座温泉の広域観光ルートの一端を担う路線が多い
・万座・鹿沢口発着のバス路線のダイヤを見ると本数が少なく接続も良くない
・自治体はコミバスと言うよりもスクールバスや福祉バス等公共交通と言うよりも特定の目的を最低限フォローする交通機関の手当てが精一杯と言った感じ
と言った感じになります。芸備線が通学客の利用すらないのに比べると通学利用への対応が比較的出来ている反面、特急の減便・区間短縮の影響でJRの観光ルートから外れて長野原草津口〜大前の観光利用が減少し、長野原草津口迄の特急により日中のダイヤも便利ではなく高崎や前橋と言った県内の主要都市への移動も抑えきれないと言った所です。また地域としては草津と対照的に嬬恋村の観光客数が停滞・減少傾向にあり、その対策も課題と言えます。
鍵を握る場所、万座温泉を少し歩く
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万座温泉の一番宿プリンスホテル
さて個人的には長野原草津口〜大前の活性化を考える際に一番大きなポイントだと思う場所万座温泉に行ってきました。この温泉へのアクセスの為に特急が3往復万座・鹿沢口まで乗り入れた2007年の長野原草津口〜大前の輸送密度は657人、2022年が263人ですからおよそ2.5倍、2022年との差分である394人の多くはこの万座温泉へのお客さんだったはずです。
この温泉は単なる温泉と言うよりもスキーリゾートも併設されたものであり、アクセスのバスが西武観光バスである事から分かるように西武グループにより開発が行われました。万座・鹿沢口から万座に向かうバスでは嬬恋と万座と言う2つのプリンスホテルがあり、嬬恋の方にはゴルフ場、万座にはスキー場が併設されています。
万座温泉観光協会
嬬恋プリンスホテル
万座プリンスホテル
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万座バスターミナルと硫化水素に関する注意書き
バスに40分ほど乗ると万座バスターミナルにつきます。興味深かったのはターミナルにつくと温泉の各旅館の送迎車が現れ私以外のバスの乗客がみな送迎車に乗り込みホテルに向かった事です。万座温泉は下の注意書きにある様に硫化水素の濃度が濃く、歩くのに注意が必要な個所もあるため最近流行っている温泉街にある様な歩き回る様な温泉街と呼べる場所が少ないのが特徴です。
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万座BTから少し歩くと行ける豊国館、安く外湯が楽しめます。
という事で早速外湯に行ってきました。バスセンターからも近い豊国館です。外湯は500円、近所の銭湯感覚の嬉しいお値段できちんと露天風呂もありました。
久しぶりの温泉を満喫しながら子供連れで来ていたお客さんに聞くと結構常連との事でタオルを買う際に従業員に尋ねてみたところやはり常連さんが多いとの事でした。これまで見てきたようにコロナ禍前に確かに減少はしていても10%以内の減少にとどまって来たと言うのが良く理解できました。実際バスターミナルの光景も私以外の宿泊客はなかなか手馴れていました。
豊国館
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万座温泉の雄大な自然
そして自然は雄大でなかなかの絶景であり、高原と言う自然条件も含めて夏の避暑、冬場のスキー、あるいは温泉につかってのんびり過ごしたい人など、この温泉を魅力に思える人は決して少なくはないのかなと思います。
【ご紹介】温泉むすめ 万座千斗星@万座ホテルジュラク
また常連さん頼みではなく新しい顧客を意識した取り組みも見られます。
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万座・鹿沢駅前にある観光案内書、外にはシェアバイクも用意され、中はアイスクリームやコーヒーなどが飲めるちょっとしたカフェや地域の情報コーナーとなっています。また周りにはコンビニや飲食店、また川向うには高校や銀行、郵便局などもあるちょっとした市街地になっています。嬬恋村の観光は西武と言う大資本に絡む観光開発で発展した面が大きいですが、地域の小さな観光資源も発掘してまた違った魅力も開拓してほしいと思います。
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帰りは211系普通電車で
そして万座・鹿沢口で17:36発の高崎方面への普通電車に乗り長野原草津口方面へ向かったのですが興味深かったのは羽根尾駅で行き違った大前方面への電車、大体4両で20人くらいの乗車、そう書くと少なく感じまる方もいますが、万座・鹿沢口行きだったらもう残り2駅ほど、この駅までには長野原草津口、群馬原町、中之条と利用者の多い駅も通り過ぎた後で、渋川出発時だとそこそこ混んでいたのかなと感じました。良く東京から大前方面へ向かって電車に乗って用事が終わって戻っていく際にガラガラだったという話が出ますが、良く考えれば沿線の人達は電車に乗って高崎や前橋に向かい用事が終わったら帰って来る、旅行者とは逆の動きをするわけです。それを考えると簡単にガラガラと言うのも違うのかなと感じました。 さてここまで見てきました。万座温泉はイメージとしては確かに公共交通よりもクルマ向きであり、また最近の流行とは外れているのも確かです。ただコロナ前の2019年の観光客数は日本でも有数の温泉草津温泉を抱える草津町328万人に対して嬬恋村は200万人、負けてはいても今でも無視はできない規模を誇っているのではと感じます。
嬬恋村観光協会について
熱海を盛り上げた新しいお客さんは鉄道が連れてきた...のか
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熱海市の観光客数、熱海駅利用者数、市営駐車場利用状況(令和5年版熱海市の観光より作成、駐車場利用状況は2013〜2015年一部駐車場の値が未計上)
当然熱海市の成功は熱海市の人達の努力の賜物ですが、熱海市の努力による新しいお客さんを運んできたのは鉄道だったというのは言い過ぎなのでしょうか?実際駅の利用者数、駐車場の稼働台数の推移は同じような感じです。ただ新しいお客さんを若い世代や外国人観光客と考えると既存のお客さんより鉄道・公共交通への指向は高いと思われます。熱海程ではないですが群馬で成功している草津温泉で新しい高速バス路線が増えているのも見てきたとおりです。
まずは本当に巻き込むべき人たちを巻き込むべきでは
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万座温泉行きの際に使った群馬県のMaasGunMaas
吾妻線の象徴特急草津(現草津・四万)号
"赤字は年間4億円超"JR吾妻線 長野原草津口〜大前の今後は 沿線自治体などが初の協議@NHK2024/5/23よりさて芸備線に続き群馬県の赤字旅客線吾妻線も将来の在り方に関する協議が始まったようです。ここでは吾妻線、特に協議の対象である長野原草津口〜大前について少し見ていこうと思います。
群馬県の渋川と大前を結ぶJR吾妻線。草津温泉や四万温泉などへの観光輸送に加え、地域の生活も支えてきました。しかし、長野原草津口と大前の間は、年間4億円を超える赤字が課題となっています。この区間について、沿線の自治体などが将来のあり方を協議する初めての会議が23日に開かれました。
芸備線改善策を考える
※(注記)2024年6月18日一部資料差し替えました、また続編らしきものも書きました。
政治家とブレインの意地を見せてほしい〜吾妻線を考えるその2〜
特急の縮小が長野原草津口〜大前の衰退を招いたのか〜吾妻線の経緯を見る〜
吾妻線、草津・四万@Wikipedia、よりさて平成期からの吾妻線の状況を見ていきます。主なものを抜粋すると下記になります。
1989年(昭和63年)3月11日:107系電車導入[33]。
1991年(平成3年)12月1日:川原湯駅を川原湯温泉駅に、長野原駅を長野原草津口駅に改称[18]。
日時不詳:165系電車全廃。
1992年(平成4年)3月14日:小野上温泉駅が開業[18]。
2002年(平成14年)12月1日:特急「新特急草津」を「草津」に改称[32]。
2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正で下り1号(上野駅7時20分発)・上り6号(万座・鹿沢口駅16時24分発)が廃止となり、毎日運転の列車は2往復(土休日のみ3往復)となる。また、上野駅 - 新前橋駅間での「水上」との併結運行が廃止となり、全列車が、全区間7両編成での運行となる。
2014年(平成26年)
3月15日:ダイヤ改正で使用車両が651系に置き換えられる。
9月25日:八ッ場ダム建設に伴う新線切り換え工事のため中之条駅 - 大前駅間を運休し、中之条駅 - 大前駅間で30日までバス代行輸送を行う[16]。
9月26日-30日:中之条駅 - 岩島駅間の営業運転が再開[16]。新線区間での乗務員訓練のため岩島駅 - 大前駅間を運休し、同区間で試運転を実施[8]。
10月1日:岩島駅 - 大前駅間の営業運転が再開[16]。岩島駅 - 長野原草津口駅間の新線切り換えに伴い、川原湯温泉駅が新線上に移転し[9]、同時に同区間を改キロ (-0.3 km)[14]。全線が東京近郊区間に指定され、中之条駅、長野原草津口駅、万座・鹿沢口駅の3駅でSuica等のICカード乗車券が使用可能になる。
2016年(平成28年)3月26日:ダイヤ改正により区間短縮が行われ、長野原草津口駅 - 万座・鹿沢口駅間の定期運行が廃止となる[5]。なお、ダイヤ改正当日の3月26日は下り「草津83号」が、翌日の3月27日は上り「草津84号」が上野駅 - 万座・鹿沢口駅間で臨時運転された。以後は多客期の特定日のみ延長運転される。
8月22日:211系電車を導入[34]。初日はA28編成を充当して、高崎駅を夜に出発する549Mから[35]。
2017年(平成29年)3月4日:一部列車における上越線内直通区間が高崎駅までから新前橋駅までに短縮。
2019年(令和元年)10月13日:令和元年東日本台風(台風19号)の影響で長野原草津口駅 - 大前駅間で長期間運休となる[36]。
2020年(令和2年)2月21日:長野原草津口駅 - 大前駅間が運転再開[37][38]。
2023年(令和5年)3月18日:特急「草津」を651系からE257系に置き換え、「草津・四万」に改称。
2024年(令和6年)3月22日:JR東日本高崎支社が、旅客減少により「鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できていない」とされる末端区間の長野原草津口駅 - 大前駅間について、群馬県、長野原町および嬬恋村に対し同区間の「沿線地域の総合的な交通体系に関する議論」を申し入れた事を発表した。
2012年:特急草津の本数減少3往復→2往復(土休日3往復)
2014年:特急草津をE651系に置き換え、八ッ場ダム建設により新線切り替え
2016年:特急草津区間短縮(長野原草津口〜万座・鹿沢口廃止)
2017年:一部列車が高崎発着から新前橋発着に区間短縮
2023年:特急草津をE257系に置き換え草津・四万に改称
特急用車両変更、八ッ場ダム建設をきっかけとした新線切り替えがあるものの特急草津(2023年から草津・四万に改称)の本数削減、区間短縮、一部普通列車の新前橋止まりへの変更等消極策が目立ちます。
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吾妻線利用者数推移(路線別ご利用状況@JR東日本より作成)
続いてJRの公表資料から吾妻線の輸送密度の推移を見ていきます。協議の対象となっている長野原草津口〜大前に関しては2012年まではむしろ渋川~長野原草津口よりも利用に関しては健闘していたものの、2012年の特急の減便、2016年の特急の区間短縮で利用者の減少傾向に拍車がかかって逆転し現状に至っていることが分かります。
"赤字は年間4億円超"JR吾妻線 長野原草津口〜大前の今後は 沿線自治体などが初の協議@NHK2024/5/23よりそしてこの区間の利用客の8割を高校生が占めると言うのは長野原草津口〜大前の区間で観光客を失う事で利用客を減らしてきたことを端的に示していると思われます。
きょう(5月23日)は、2つの自治体とJR東日本の担当者などが出席して、初めての会合が、冒頭以外およそ1時間、非公開で行われました。この中では、現在の利用状況などを共有したうえで、今後、この区間の利用客のおよそ8割を占める高校生とその家族などに、利用実態についてアンケートを行う方針などが話し合われたということです。次の会議の日程は未定ですが、今後も協議を続けるとしています。
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吾妻線沿線自治体の観光入れ込み客数@観光入込客統計調査報告書@群馬県観光魅力創出課 平成30年、令和3年度版より作成
観光客に関しても特急の区間短縮の影響が大きい嬬恋村の観光客は2010年代中盤他の地域が増減を繰り返したり増加傾向にあったのに対し低迷し、2010年代草津町に次ぐ観光客を誇っていたのが2021年には5町村の中で4位となりました。特急の本数減、区間短縮の影響だけではないとはいえ、吾妻線沿線では草津町に次ぐ観光集客力を誇る嬬恋村の観光業停滞は単なる鉄道の赤字と言うよりも地域経済をどう活性化するかの問題にも結びついているとも言えます。
高校と通学ダイヤを見る
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大前駅周辺、謎の終着駅扱いされる大前駅だが川向こうの高台には嬬恋村役場や、市街地(?)が広がる agatuma5
沿線の高校・役場と朝時間帯ダイヤ(JTB時刻表2024年3月号参照)
また沿線の高校の立地を見ると渋川市に4校、他の町村に3校となっています。また役場の立地を見ると大前、長野原草津口、群馬原町、中之条に町村役場があり渋川には渋川市役所があり、高校所在地を含めて市街地が広がっています。その上でダイヤを見ると芸備線とは違い大前から渋川方面への通学が難しいものの沿線内の高校への通学、役場への通勤自体は比較的無理なくできそうです。ただ贅沢を言えば嬬恋村から屈指の進学校高崎高校(前橋高校は立地的に難しい)、群馬高専のある高崎・前橋市内への通学と大前駅から高崎・前橋市内に通勤が出来ないというのが改善点として挙がるかもしれません。
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参考:吾妻地域の通学流動(15歳以上、単位:人) @群馬県吾妻地域の高校生の通学交通特性からみた課題 西尾 敏和(群馬県立高崎工業高等学校) 森田 哲夫(前橋工科大学)より引用
ちなみに少し古い2015年のデータですが、地元の高校・大学の共同研究の結果を見ると大学生等も含む数値ですが嬬恋村から高崎市への通学が25人、前橋市への通学が21人と決して小さい人数ではない事が示されています。
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現特急「草津・四万」用E257系@上野駅
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吾妻線長野原草津口〜大前日中〜夜ダイヤ(括弧がついているものは乗換え、赤字は特急、斜め字は臨時列車、〇は土・休日運転、△しろさんかくは特定日運転)※(注記)2024年6月18日差し替えました
さて朝の時間帯以外のダイヤも見ていきますと以下の特徴があります。
・大前~万座・鹿沢口は日中最大7時間空くくらい本数が少ないが万座・鹿沢口泊まりの列車は1本を除き20分以上あり、何故万座・鹿沢口折り返しになっているか分からない
・臨時特急が走る関係で万座・鹿沢口折り返しも日中は2〜3時間空く
・定期の特急は長野原草津口で普通に接続し万座・鹿沢口迄アクセス可能だが、臨時特急には接続する普通がない
・万座・鹿沢口〜高崎は普通は100〜119分、特急乗換えは78〜83分と時間差が意外に大きい。
・特急の運行時間帯は定期列車で下り高崎発11:19〜13:33、長野原草津口発13:07〜15:43と偏りがある。
万座・鹿沢口基準で考えれば最小限に食い止められているとはいえ、感じるのは線内の通学、草津温泉への観光輸送の優先度が高く、この地域から群馬県の高崎・前橋を中心とした都市部へのアクセスが後回しになっている感がぬぐえないダイヤと感じられます。例えばこの地域から前橋市の群大病院等の大規模医療施設へ通う高齢者や県庁へ出張する役場の職員、また平日だと数は減るかもしれませんが、沿線の温泉などの観光地へ新幹線から乗り継いで来る観光客など掘り起こせそうな気がしますが果たしてどうでしょうか?
現状のバス路線を見ていく
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西武観光バスの万座温泉行@万座・鹿沢口駅
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群馬大津駅〜大前間各駅発着の主な路線バス
さて続いて周辺の交通を見ていきましょう。まず並行区間を走るバスとしては草軽交通の北軽井沢〜草津温泉間の長野原草津口〜応桑堂バス停間とJRバス関東の長野原草津口〜堂西バス停がそれぞれ長野原草津口〜羽根尾、群馬大津と並行していますが、長野原草津口から嬬恋村の中心である万座・鹿沢口、大前方面へ向かうバスは無い様です。
沿線の主な路線バスを見ると軽井沢〜草津温泉、万座温泉と言う広域な観光ルートの中間点にこの吾妻線が位置しているのが分かります。軽井沢周辺の鬼押し出しや北軽井沢地区は、群馬県であり、かつて特急草津が万座・鹿沢口まで乗り入れていたのはこの観光ルートの一端を担う事で草津温泉だけでない多彩な観光客を取り込んでいたことを意味しているのでしょう。そして現状通学客が8割と言うのはこの観光ルートが衰退してしまったという事、そして既存のバス会社が長野原草津口〜大前の代替バスを走らせる可能性は低いという事を意味します。
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西武観光バス万座バスターミナル行き、軽井沢駅行バス時刻表@万座・鹿沢口(斜め字は土・休日運休、(赤字)は特急に接続する普通列車)※(注記)2024年6月18日差し替えました
またかつて特急草津のお客さんを運んだであろう万座・鹿沢口のバスを見ると接続は決して良くいです。特に鬼押し出し→高崎・東京方面の乗り継ぎは実質的に14:45発の1本だけ(鬼押し出し発10:45は鬼押し出し迄の始発でかつ土休日運休)となります。 西武観光バス 草津・軽井沢エリア
草軽交通株式会社
JRバス関東
上田バス
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嬬恋村のスクールバス
また退出したバスの代替交通として走る事の多いコミュニティバスではなく長野原町、嬬恋村のHPを調べるとコミュニティバスは無く行政が走らせるのは福祉バスや小中学校のスクールバス等公共交通と言うよりも目的を絞り込んだ交通機関のようです。
嬬恋村スクールバス
嬬恋村福祉バスについて@嬬恋村
買い物支援バス運行中です@嬬恋村社会福祉協議会
外出支援バスについて@長野原町
福祉バスについて@長野原町
八ッ場地区を巡る周遊バス「八ッ場ぐるりん」の運行が始まります@やんば天明泥流ミュージアム(長野原草津口以東)
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高速バスだけでなく水陸両用バスも走らせる地元企業DTS
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草津温泉発着高速バス一覧
つづいてローカル線との競合がよく言われる高速バスなのですが長野原草津口〜大前に関しては草津温泉行ばかり見つかりました。最近では地元企業DTSや2022年に東急バスが横浜発着の路線を走らせている様に、増発傾向にあるようです。一番本数の多いJRの湯めぐり号ですが、経由地に渋川・中之条・群馬原町・河原湯温泉・長野原草津口と渋川~長野原草津口間の主要駅も多く競合の影響が懸念されそうですが2012年〜2019年の渋川~長野原草津口の輸送密度は横ばいに近く棲み分けがなされていると言うかともに盛り上がっている様な感じがします。逆に万座温泉を中心とした嬬恋方面への高速バスは無い様です。
上州湯めぐり号時刻表
横浜駅西口・新横浜・たまプラーザ-軽井沢・北軽井沢・草津温泉@東急バス
渋谷・中野坂上-軽井沢・北軽井沢・草津温泉(※(注記)二子玉川は休止中)@東急バス
DTS HP
吉祥寺〜草津温泉線@関越バス
現状の課題をまとめて見る
さてこれまで見てきた経緯と現状を纏めますと
・現状の長野原草津口〜大前の利用者の8割が通学客
・2012年の特急減便、2016年の特急区間短縮で長野原草津口〜大前の乗客減少傾向が明確となって来た。
・それに伴い沿線の嬬恋村の入れ込み観光客数は他が増加か、増減を繰り返すのに対し明確に停滞・減少傾向に入った。
・通勤・通学を見ると概ね線内の通学には対応していて、高崎・前橋市内への通勤もある程度対応されている、嬬恋村内から高崎・前橋方面への通学への対応が課題
・日中のダイヤは東京から草津温泉方面への特急は沿線の視点で見ると運行時間が偏ったり、臨時特急の影響で日中の本数が少ないなど、沿線〜高崎・前橋方面との双方の行き来が不便なダイヤと言う印象を受ける
・沿線のバスを見ると吾妻線に沿った区間は一部あるものの、基本的には軽井沢〜草津温泉・万座温泉の広域観光ルートの一端を担う路線が多い
・万座・鹿沢口発着のバス路線のダイヤを見ると本数が少なく接続も良くない
・自治体はコミバスと言うよりもスクールバスや福祉バス等公共交通と言うよりも特定の目的を最低限フォローする交通機関の手当てが精一杯と言った感じ
と言った感じになります。芸備線が通学客の利用すらないのに比べると通学利用への対応が比較的出来ている反面、特急の減便・区間短縮の影響でJRの観光ルートから外れて長野原草津口〜大前の観光利用が減少し、長野原草津口迄の特急により日中のダイヤも便利ではなく高崎や前橋と言った県内の主要都市への移動も抑えきれないと言った所です。また地域としては草津と対照的に嬬恋村の観光客数が停滞・減少傾向にあり、その対策も課題と言えます。
鍵を握る場所、万座温泉を少し歩く
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万座温泉の一番宿プリンスホテル
さて個人的には長野原草津口〜大前の活性化を考える際に一番大きなポイントだと思う場所万座温泉に行ってきました。この温泉へのアクセスの為に特急が3往復万座・鹿沢口まで乗り入れた2007年の長野原草津口〜大前の輸送密度は657人、2022年が263人ですからおよそ2.5倍、2022年との差分である394人の多くはこの万座温泉へのお客さんだったはずです。
万座温泉@Wikipediaより
草津白根山山麓に位置し、冬はスキーのメッカとして春から秋にかけてはかつては湯治場としてにぎわった。源泉温度が高いことからもうもうと湯けむりを上げ、源泉地は地獄的な様相を見せ、硫黄の匂いが充満している。川床には至る所に源泉が湧出している[1]。中心部の外れにある「空吹」(からぶき)と呼ばれる水蒸気を含んだ硫化水素煙の噴出口は万座温泉の名物となっている(2012年頃から噴出量が減少し以前ほどの迫力はなくなっている)。なだらかな山の斜面に旅館・ホテルが点在し、後背には万座温泉スキー場がある。〜中略〜
万座温泉が本格的に開けてくるのは、戦後になって西武グループによるリゾート開発が行われ、交通の便が改善されてからである。
この温泉は単なる温泉と言うよりもスキーリゾートも併設されたものであり、アクセスのバスが西武観光バスである事から分かるように西武グループにより開発が行われました。万座・鹿沢口から万座に向かうバスでは嬬恋と万座と言う2つのプリンスホテルがあり、嬬恋の方にはゴルフ場、万座にはスキー場が併設されています。
万座温泉観光協会
嬬恋プリンスホテル
万座プリンスホテル
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万座バスターミナルと硫化水素に関する注意書き
バスに40分ほど乗ると万座バスターミナルにつきます。興味深かったのはターミナルにつくと温泉の各旅館の送迎車が現れ私以外のバスの乗客がみな送迎車に乗り込みホテルに向かった事です。万座温泉は下の注意書きにある様に硫化水素の濃度が濃く、歩くのに注意が必要な個所もあるため最近流行っている温泉街にある様な歩き回る様な温泉街と呼べる場所が少ないのが特徴です。
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万座BTから少し歩くと行ける豊国館、安く外湯が楽しめます。
という事で早速外湯に行ってきました。バスセンターからも近い豊国館です。外湯は500円、近所の銭湯感覚の嬉しいお値段できちんと露天風呂もありました。
久しぶりの温泉を満喫しながら子供連れで来ていたお客さんに聞くと結構常連との事でタオルを買う際に従業員に尋ねてみたところやはり常連さんが多いとの事でした。これまで見てきたようにコロナ禍前に確かに減少はしていても10%以内の減少にとどまって来たと言うのが良く理解できました。実際バスターミナルの光景も私以外の宿泊客はなかなか手馴れていました。
豊国館
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万座温泉の雄大な自然
そして自然は雄大でなかなかの絶景であり、高原と言う自然条件も含めて夏の避暑、冬場のスキー、あるいは温泉につかってのんびり過ごしたい人など、この温泉を魅力に思える人は決して少なくはないのかなと思います。
【ご紹介】温泉むすめ 万座千斗星@万座ホテルジュラク
また常連さん頼みではなく新しい顧客を意識した取り組みも見られます。
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万座・鹿沢駅前にある観光案内書、外にはシェアバイクも用意され、中はアイスクリームやコーヒーなどが飲めるちょっとしたカフェや地域の情報コーナーとなっています。また周りにはコンビニや飲食店、また川向うには高校や銀行、郵便局などもあるちょっとした市街地になっています。嬬恋村の観光は西武と言う大資本に絡む観光開発で発展した面が大きいですが、地域の小さな観光資源も発掘してまた違った魅力も開拓してほしいと思います。
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帰りは211系普通電車で
そして万座・鹿沢口で17:36発の高崎方面への普通電車に乗り長野原草津口方面へ向かったのですが興味深かったのは羽根尾駅で行き違った大前方面への電車、大体4両で20人くらいの乗車、そう書くと少なく感じまる方もいますが、万座・鹿沢口行きだったらもう残り2駅ほど、この駅までには長野原草津口、群馬原町、中之条と利用者の多い駅も通り過ぎた後で、渋川出発時だとそこそこ混んでいたのかなと感じました。良く東京から大前方面へ向かって電車に乗って用事が終わって戻っていく際にガラガラだったという話が出ますが、良く考えれば沿線の人達は電車に乗って高崎や前橋に向かい用事が終わったら帰って来る、旅行者とは逆の動きをするわけです。それを考えると簡単にガラガラと言うのも違うのかなと感じました。 さてここまで見てきました。万座温泉はイメージとしては確かに公共交通よりもクルマ向きであり、また最近の流行とは外れているのも確かです。ただコロナ前の2019年の観光客数は日本でも有数の温泉草津温泉を抱える草津町328万人に対して嬬恋村は200万人、負けてはいても今でも無視はできない規模を誇っているのではと感じます。
嬬恋村観光協会について
熱海を盛り上げた新しいお客さんは鉄道が連れてきた...のか
衰退から一転、「熱海の奇跡」が実現した舞台裏を、再生キーパーソンに聞いてきた ―街づくりと観光の連動から「関係人口」の創出まで@トラベルボイス2020年11月8日さて話が変わりますが、令和の今、成功した温泉と言うと熱海を思い浮かべる方も多いと思います。かつて首都圏に近く、社内旅行等でにぎわっていたもののバブル崩壊以降衰退していたものの積極的なまちづくりで若い世代の個人観光客を掘り起こした事で有名です。
静岡県・熱海が最近変わってきたと聞いて、何十年ぶりかに訪れてみた。かつては会社の慰安旅行などの団体が多かったが、今では熱海銀座を歩いているのは女子旅のグループ、カップル、ファミリーが目立つ。「コロナ禍で高齢者が少ないこともありますが、若い個人観光客は確実に増えています」。そう話すのは、熱海で街づくりを手掛けている「machimori」の代表取締役・市来広一郎さん。元気な街には人が訪れ、消費し、さらに街が活性化される。街づくりは観光の素地と言えるが、観光誘致を目的に行うものでもない。街づくりと観光の関係とは。「熱海の奇跡」と言われるV字回復の背景にあるものは。熱海再生に取り組んでいる市来さんに聞いてみた。
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熱海市の観光客数、熱海駅利用者数、市営駐車場利用状況(令和5年版熱海市の観光より作成、駐車場利用状況は2013〜2015年一部駐車場の値が未計上)
当然熱海市の成功は熱海市の人達の努力の賜物ですが、熱海市の努力による新しいお客さんを運んできたのは鉄道だったというのは言い過ぎなのでしょうか?実際駅の利用者数、駐車場の稼働台数の推移は同じような感じです。ただ新しいお客さんを若い世代や外国人観光客と考えると既存のお客さんより鉄道・公共交通への指向は高いと思われます。熱海程ではないですが群馬で成功している草津温泉で新しい高速バス路線が増えているのも見てきたとおりです。
まずは本当に巻き込むべき人たちを巻き込むべきでは
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万座温泉行きの際に使った群馬県のMaasGunMaas
"赤字は年間4億円超"JR吾妻線 長野原草津口〜大前の今後は 沿線自治体などが初の協議@NHK2024/5/23よりさてこうして見て見るとJRと群馬県のやっている事がどうしてもずれて見えてきます。例えばこの話し合いの場に西武観光バスや草軽交通はいてしかるべきでしょうし、また高校生だけでなく嬬恋村、長野原町など関係する自治体の観光業に関わる人達、またこの地域から高崎・前橋などと行き来する働く人たちの意見も聞いてしかるべきです。草津温泉が繁栄しているから万座温泉は別にいいと考えていないかもしれませんが、もしそうだとすれば大きな間違いと言う他ありません。どんなに素晴らしい観光地でもいつも繁栄している訳ではなく衰退したり、再生したりを繰り返すのは熱海を見れば明らかで、その最悪い影響を最小限に食い止めるのには他の場所がきちんとしている必要があります。それ以前に過去の人達が投資を行い育て上げた資産を安易に手放すのはもったいないと言うのはこの吾妻線と万座温泉を調べて感じた事です。はたしてこの路線がどんな結論を辿るのか、今後とも注目していきたいと思います。
きょう(5月23日)は、2つの自治体とJR東日本の担当者などが出席して、初めての会合が、冒頭以外およそ1時間、非公開で行われました。この中では、現在の利用状況などを共有したうえで、今後、この区間の利用客のおよそ8割を占める高校生とその家族などに、利用実態についてアンケートを行う方針などが話し合われたということです。次の会議の日程は未定ですが、 今後も協議を続けるとしています。
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こんなものも書いています。よろしかったらご覧になってください。
クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れよう
クルマを1台減らす方法を考えよう@クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れようその1
クルマ通勤から脱却しよう@クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れようその2
歩いてみよう@クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れようその3
電車の乗ってご褒美に美味しいケーキを食べよう@クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れようその4
バスに乗ってイオンモールに映画を見に行こう@クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れようその5さて2024年5月のランキングです。
さて5月のランキングです。
1.令和の大きな宿題その1〜親から自立できない中年未婚女性はどれだけいるか〜
2.令和の大きな宿題その18〜中高年独身女性の貧困問題を整理する〜
3.お金の話その5〜復活する金利が問うもの〜
4.芸備線改善策を考える
5.令和の大きな宿題その22 令和のイエはどうなるのか〜負動産、限界ニュータウンが語るもの〜
1位には令和の大きな宿題その1〜親から自立できない中年未婚女性はどれだけいるか〜が実に2021年10月以来2年半ぶりに入りました。
「弱者男性」は「差別」されているのか? 社会から"排除"されてきた「低学歴中年男性」の支援に必要な視点@ 弁護士JPニュース2024年5月24日
ここ最近弱者男性と言う言葉がメディアで出てきます。この言葉の対になるのがこの記事で100万人いると推測している中高年未婚貧困女性となると思うのですが、何となく弱者男性を諸悪の根源とでも言っている様な世論を見るとむしろ潜在的に深刻になっている中高年未婚貧困女性から目を逸らすための藁人形に見えて仕方ないのですがいかがでしょうか?
2位には令和の大きな宿題その18〜中高年独身女性の貧困問題を整理する〜が2か月連続で入りました。
女性にとって「結婚・出産の価値」が急落している...経済学者が指摘する「30代前半女性の未婚率4割」の背景@President2024/5/28
さて非婚化と言うと「強くなった女性が結婚から逃避した」みたいな論が多いのですが、個人的には経済的な自立に十分な年収300万円以上の所得を得ている女性の比率を考えると何となく眉唾です。経済的な自立により選択肢が増えている女性よりもむしろ非婚化により結婚と言う制度に包摂されずに潜在的な貧困層となっている女性の方が圧倒的に多く、彼女たちの問題が顕在化した時にどうなるのかと言うのは今後の懸念です。
3位にはお金の話その5〜復活する金利が問うもの〜が先月から2ランクダウンで入りました。
長期金利1.075%、上昇どこまで 市場「日銀政策読めず」@日経新聞2024年5月29日
さてこの記事を書いた昨年10月以来小康状態にあった長期金利がとうとう1%を超えました。個人的には政治的、相場的な事情により何のかんので少しずつ金利が上がっていくんだろうなと感じています。
対外純資産 471兆円余 円安進展で5年連続過去最高@NHK2024/5/28
正直な所日本は世界一の対外純資産を抱える持てる国であり、物価も他の先進国より安定しているので、焦って動かない方が良いというのが正直なところですが果たしてどうなるのかは注目していきたいと思います。
4位には芸備線改善策を考えるがリリース当月にランクインしました。
令和の大きな宿題その15 バス転換と言う贅沢が許されない時代に〜赤字鉄道路線廃止問題に思う
令和の大きな宿題その12 JR西日本が投げかけたもの
さて所謂ローカル線問題の個別路線の話です。芸備線のダイヤ、利用者数の状況を見ていて思ったのは高校生の通学に適した列車があるのかと言う基本的な部分の注目度の低さです。当然高校生の通学だけでこういった路線を黒字化できるとは言いませんが、公共性、収益性双方の柱となる部分をもう少し考えてみる必要があるのではと感じます。
5位には令和の大きな宿題その22 令和のイエはどうなるのか〜負動産、限界ニュータウンが語るもの〜
が入りました。3位の記事の所でも書いた様にこれからじわりじわりと金利が上がっていく中で真っ先に問われてくるのは不動産の問題、バブルとその崩壊をぎりぎり見てきた世代としては一軒家を得る為に一生働き詰める社会の限界を感じますが、果たしてどうなっていくんだろうと思わずにいられません。
如何だったでしょうか?6月が書き手の私にとっても皆さんにとっても良い1月でありますように。
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