つれづれなるままに

2025年04月

IMG_84741
消費減税は個人消費で潤う小売業にはありがたい@けやきウォーク前橋

立民 食料品の消費税0%案 原則1年 参院選公約に 党内に不満も@NHK2025/4/25より
物価高対策をめぐって立憲民主党は、食料品の消費税の税率を原則1年間に限って0%に引き下げる案を夏の参議院選挙の公約に盛り込むことを決めました。
ただ、財源など具体的な制度設計はこれからで、党内からは「減税を訴えるほかの野党と区別がつかず中途半端だ」といった不満も出ています。


さて7月に行われる参院選に向けて消費減税に消極的な印象のあった立憲民主党が1年・食料品限定とはいえ、消費税減税を公約に盛り込むと発表したのが話題になっています。1年限定と明らかにいやいやながら感があり、明らかに財務省デモに象徴される減税を求める世論に流された感じがして悪手に見えてならないですが、取り合えず野党第一党迄消費減税と言った事は大きいです。ここでは主に2005年以降の平成後期の税金について見つつ色々考えていこうと思います。

現役世代から中高年以上世代へ移行する納税者
2004〜2006 所得税:住民税への税源移譲
2011 所得税:年少・特定扶養控除見直し
2012 法人税:税率引き下げ30→25.5%
2013 所得税:復興特別所得税導入
2014 所得税:上場株式等の配当・譲渡所得等に係る軽減税率の終(10.147%→20.315%)、NISAスタート
消費税:税率引き上げ5→8%
2015 法人税:税率引き下げ25.5→23.9%
所得税:の最高税率の見直し
2016 法人税:税率引き下げ23.9→23.4%
2018 法人税:税率引き下げ23.4→23.2%
2019 消費税:税率引き上げ8→10%、食料品等軽減税率導入
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/1zen25kai6-4.pdf
個人の方に係る復興特別所得税のあらまし@国税庁
いま売るべき?2014年から税率が変わります。〜軽減税率終了〜@楽天証券など参照


さて2005年以降の主要3税(所得税・法人税・消費税)に関する主な税制変更を挙げると上の様になると思います。大きなものとしては下記になります。
法人税:4回30→23.2%への税率引き下げ
所得税:上場株式等の配当・譲渡所得等に係る軽減税率の終(10.147%→20.315%)
消費税:2回5→10%への税率引き上げ
基本的に法人減税、消費増税、配当所得増税と言う路線になります。配当所得税は2014年と言う時期を考えると現状40代以上の世代(30代以下はNISAによって非課税枠の利用シェアが高いと考えられる)が主体、消費税も現役世代の方が消費性向が高いとは言え高齢世代も同じ税率で言うなれば中高年以上の働かない高齢者も支払う税金の税率を倍近く上げ、法人税を2割以上税率を下げ、高齢化を意識して納税主体の現役世代から高齢者世代へ切り替えていっているのが分かります。ちなみに給与所得税は平成の前半期税率を大きく引き下げています。その事に関しては下記を参照ください。
令和の大きな宿題その30 玉木雄一郎は令和の小泉純一郎となってしまうのか〜たかまつなな炎上に思う〜

zeikin1
税収、歳出の推移税収は国税庁レポート、歳出は一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移参照(単位は税収億円、歳出兆円)

そして結果として税収及び歳出の経緯を見ると以下になります。
・増加率として最も伸びたのは配当所得税
・消費税は配当所得税に近い増加率で続く
・2022年基準では税率が変更となっていない給与所得税、税率が2割下がっている法人税も増加となっている
・歳出はコロナ禍の2020,22年は歳入に比べても大きく増加しているが、その解消に伴い歳入よりも増加率は小さくなると予測される
こうして見ると2022年で顕著ですが税率変更を増税・減税と言いがちですが実際の税収の増減に関しては個人消費や企業業績などの経済情勢によるものは決して小さくない事、そして財務省デモの一つの前提条件として経済情勢による税収効果を無視する事や、コロナ禍による歳出増を税率変更によって取り戻す思考への反発もあるのではと感じます。

トランプ関税の混乱下で1997年増税の悲劇を繰り返してはならない〜今後を考える〜
syohizei2
syohizei
上:図1 完全失業率、有効求人倍率|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)より、下:グラフ:税収に関する資料 : 財務省 (mof.go.jp)より

さて今後について考えていきます。まず今後を考える上で重要なのは過去の悲劇を繰り返さないという視点です。上は1997年に行われた消費増税の際の税収、求人状況です。税収は52.1兆円の税収が43.3兆円と17%近い減少となり、失業率上昇率が2%と大きく就職氷河期やロスジェネと言う悲劇を引き起こしています。この1997年の消費増税の前提条件としては以下が挙げられます。
・1993年に非自民政権へと政権交代し1994年に自社さと言う不安定な形での政権と政権が不安定だったこと
・アメリカでも1992年にクリントン政権に後退し、政権の方向転換が行われている事
・アジア通貨危機に突入していた事
そう考えると日米双方で政権交代が行われ政治が不安定な時期の上アジア通貨危機と言う経済的な混乱期に無理矢理増税施策を行った事です。

円、一時140円台に上昇 日米交渉前に年初来高値更新@日経新聞2025年4月21日

そして現状を見ると日本では昨年の衆院選で自民党が少数与党となり、トランプ大統領への交代と彼の関税施策で経済も乱高下している不安定な状況です。そう考えると日米両国の政治が安定するまで消費減税はともかく増税を避けるべきではないかと思います。そう考えると「増税を避ける為」に減税を主張する政党を推すというのはありではないかと思います。もし財政再建を指向するなら1日も早く政治体制が安定するのに有効な政党を応援するのが良いのではないかと思います。ただここで重要なのは政治が安定してすぐ増税するのではなく、じっくり議論を行った上で懸念材料のないタイミングで行うという事になると思います。


タグ :
#立憲民主党
#財務省デモ
#消費減税
#税収
#歳出
#トランプ大統領
#消費増税
#ロスジェネ
#就職氷河期
#お金
IMG_1484
瑞穂の国を襲った米価高騰

「頭じゃなくて米価を下げろ」農水相謝罪に国民から猛ツッコミ!...それでも政府が「コメ高騰政策」を平然と続けるワケ@Diamond2025/4/24より
昨年夏から続くコメ不足やコメ高騰の元凶は「減反政策」にある。しかし、これを50年以上も続けて莫大な税金を投じてきた農水省としてはそれだけは絶対に認められない。そこで「コメは足りている」という白々しい「嘘」をつき、それを誤魔化すためにまた苦しい言い訳を重ねているというのだ。


米価の高騰が続く中、フリーライターの窪田順生氏がその元凶を減反政策に求める記事が話題になっています。確かに米価の高騰は家計に厳しいと感じますし、減反政策と言うコメを育てる田圃を減らしてきたのは確かです。ただ米価と言うと世界初の金融先物取引の対象がお米であり、先物市場が成り立つという事は、そもそも値段の上下が激しい商品だったという事でもあります。そう考えるとそんな単純なものなのだろうかと思います。と言う事でここではその辺に関して少し考えて見ましょう。

減反と食管法の概要を見ていく
減反政策@Wikipediaより
昭和37年(1962年)に日本の「1人当たりの年間米消費量」はピークになり、以降から右肩下がりが続いている[5]。背景には機械化による生産量増加・食の欧米化で「米離れ」が加速したことにある。日本で統計的に生産量が消費量を上回るようになった1970年には、農家からの買取価格より市場への売値の方が安くなるという事態が起こるようになった[2]。お米が余ることで価格が下落事態を抑止するため、 日本政府は米価を維持し、継続コメ農家を守るするために米の生産量を調整してきた。具体的な方法として、米作農家に作付面積の削減を対価に金銭を支給した[5][2]。日本国内のコメ消費量はピークの昭和40年(1965年)頃と比較すると、2023年の「1人当たりの年間米消費量」は約半分の50.9kg(1人/年間)まで減少している[5]。生産継続するコメ農家らは守られたものの、高コストの零細農家の市場退出(田の集約化・大規模農家化)を抑止してしまっていたり[6]、「生産量を消費量が上回った年度」には国内米限定だと米不足が発生する(緊急輸入のあった冷害時の1993年)[1][2]。〜中略〜
その年度や季節ごとの需要と供給で市場で価格が決まってきた野菜など他の農作物とは異なり、米価のみ政治問題化するか継続コメ農家保護政策が取られてきたと指摘されている。後述の減反政策下の米価で分かるように、そもそも農作物は生産量と価格の調整が難しい問題もある。具体例として、平成15年時でコメ生産量が10%減少しただけで米価は30%も上がった。逆に、平成16年時では生産量9%増の生産過剰になっただけで米価は25%も暴落した
減反政策は1970年または1971年から実質的に開始され、 2018年度(平成30年度)に廃止となった[1][2]。廃止後に、45の道府県のうち14道県は増産方針を打ち出した[2]。


さてこの問題に関して関連の深い減反政策と食管法について概要を見ていきます。減反に関しては所謂「コメ離れ」によってコメの消費量=需要が減る中の供給側の調整と言う意味で始まっています。さて最初に書いた様にコメは価格変動の激しい商品で2003年に供給量10%減少で価格が30%上昇し、2004年には供給量9%増加で価格が25%下落しているなど需給調整が一筋縄でいかないのが見て取れます。

食糧管理制度@Wikipediaより
食糧管理制度(しょくりょうかんりせいど)とは、日本における主食である米や麦などの食糧の価格や供給等を、日本国政府が管理する制度をいう。
食糧法の施行により、農家が自由に米などの作物を販売できるようになった。これはその後の米輸入解禁に備え、あらかじめ自由に米を流通させることで日本国内の農家の競争力・対応力の向上を目指したものである。一方で、政府による管理は緩和されることとなった。 1942年(昭和17年)2月21日制定の食糧管理法(いわゆる食管法)に基づき創設された。同法は1995年(平成7年)に廃止され、代わりに主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(食糧法)が制定されたことを受け、食糧管理制度の呼称も食糧制度と改められた。また、2004年(平成16年)には、その食糧法に大幅な改正がなされるなど、制度の内容は時代と共に大きく変化してきている。〜中略〜
米穀統制法・米穀配給統制法を発展させ、1942年(昭和17年)の東條内閣時に食糧管理法が制定された。2月21日公布、7月1日一部施行。米穀に加え主要食糧の生産・流通・消費にわたって政府が介入して管理するというものであり、目的は食糧の需給と価格の安定である。供出価格及び供出数量は政府によって決定される。1942年9月1日、日本米穀など5団体を吸収し中央食糧営団が設立され、10月-12月各府県に地方食糧営団が設立された。
当初の対象となったのは米の他、はだか麦・大麦・小麦などの麦類である。生産者は自家保有量以外を公定価格で供出し、政府は米穀配給通帳に基づき消費者へと配給する。加工・管理は食糧営団が行う。これ以外の流通は一切認められず刑罰規定もあったものの、実際には闇市での取引が行われていた。米穀需給調節特別会計は食糧管理特別会計(食管会計)に発展し、管理業務の経理を実施。〜中略〜
1994年(平成6年)12月14日、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(いわゆる食糧法)が公布、一部の条項を除き翌1995年11月1日に施行され、これに伴い食糧管理法は廃止となった。また、制度の呼称としての「食糧管理制度」も内容の変更に沿って「食糧制度」に改められた。ただし、食糧管理特別会計(2007年度から食料安定供給特別会計)・食糧管理勘定など、一部の用語には「管理」の文字が残った。〜中略〜
2004年の大幅改正
食糧法を大幅に改正する主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律(平成15年法律第103号)が2004年(平成16年)4月1日に施行され、従来からの農業従事者に限らず誰でも自由に米を販売したり流通させることが出来るようになるなど、1995年の食管法廃止・食糧法制定に匹敵するような制度改革が実施された。この大幅改正後の食糧法は、それまでの食糧法と区別するため「新食糧法」あるいは「改正食糧法」と呼称される。
法改正により、米穀の販売については、従来は登録制であったが、これが届出制になった。すなわち、47条1項は、「米穀の出荷又は販売の事業(その事業の規模が農林水産省令で定める規模未満であるものを除く。第五十九条において同じ。)を行おうとする者は、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない」と規定している(届出制について参照、[1])。
また。米穀の輸入についても、一定額を支払えば自由に行うことができるようになった。34条1項は、「米穀等の輸入(関税法 (昭和二十九年法律第六十一号)第二条 に定める輸入をいう。以下この項及び第四十五条第一項において同じ。)を行おうとする者は、国際約束に従って農林水産大臣が定めて告示する額に、当該輸入に係る米穀等の数量を乗じて得た額を、政府に納付しなければならない」と規定している。


続いて長い引用になりましたが食管制度についても見ていきます。食管制度に関しては戦時中に不足する食糧供給に対して政府が介入する事で始まった制度で、1995年に廃止され食糧制度と変更し、2004年に大幅変更されました。単純化して言えば1995年、2004年に大幅に変更されそのたびにコメを中心とした農業に関して販売ルート、輸入に関して規制が緩和されて来たと言う事です。

平成〜令和のコメ需要と相場に関してみて見る
kome1
コメ価格の推移@米の販売数量及び民間在庫の推移(令和6年9月)より

さて今回の件の主役と言えるコメ相場についてみていきましょう。実は食管法廃止のあった1994年からコメ相場の下落傾向が続いていて60kgあたりの価格は1993年23607円→2014年11967円とほぼ半減しています。ちなみに2019年に15716円に30%ほど上がっていますがその後コロナショックで2021年には12804円と2014年に近い水準まで下がっています。言って見れば減反政策の目的が「コメ価格の安定」にあるならば、コメ価格が半減したというのは減反が足りなかったとすらいえる訳です。

kome2
コメ需要量の推移@米の消費及び生産の近年の動向についてより

続いて値段が下がったコメの需要についてみていきましょう。こちらは価格が半減しているのに対して需要も減少しています。1996/97年944万トン→2022/23年691万トンと27%も減少しています。言って見ればコメ市場は価格半減、需要3割減とただひたすらシュリンクしている中コメ農家を中心に農業からの逃散を防ぐために悪戦苦闘してきたのが減反をはじめとする日本の農業政策で、今起こっているコメ高騰はその無理が行き着いた結果起こったものではないかと思います。

コメ価格高騰の原因と今後
kome3
コメ・パックご飯等・米菓の輸出実績の推移@5 コメの輸出・輸入より
米輸出、初の100億円台 24年 日本食人気追い風@YahooNews2024/12/28より
米の年間輸出額が100億円を突破したことが26日、分かった。財務省が同日公表した貿易統計によると、2024年1〜11月の米の輸出額は、前年同期比2割増の106億円。日本食レストラン人気を追い風に、北米向けを中心に伸長した。政府が25年の目標とする、パックご飯などを含む米の輸出額(125億円)の達成も視野に入ってきた。〜中略〜
地域別に見ると、北米向けが著しく伸びており、米国が同4割増の22億円、カナダが同5割増の5億円になった。主力のアジア向けでは、香港が29億円、シンガポールが12億円、台湾が9億円で、それぞれ同2割伸びた。
円安に加えて、すしやおにぎりなどを提供する日本食レストランの人気が輸出拡大の追い風になっている。現地レストランでは外国産米を使うケースも多い中、「日本産米は、冷めてもおいしいといった品質の高さで支持を高めている」(農水省)。外国産米から日本産米に切り替える業者もいるという。


さてそんな中何故コメ価格が高騰したのか、理由とまではいかないですが昨年コメの年間輸出額が100億円を突破したそうです。ただ仮に減反によって他作物に転換した田んぼを戻すとしてもその農家は価格の下落圧力が強く、需要も減少を続ける国内向けにコメ生産を行うでしょうか?正直なところその可能性は低いのではないでしょうか?

EUの農業政策@農水省より
1. EUの共通農業政策(Common Agricultural Policy:CAP)の概要
EU共通農業政策(CAP)は、EU加盟国27カ国に対し共通して講じられる農業政策。EU予算を財源として欧州全体レベルで運営される。
(ア)農業者の所得を保障するための「価格・所得政策」(第1の柱)、(イ)各加盟国が農業部門の構造改革、農業環境施策等の農村振興プログラムを実施する「農村振興政策」(第2の柱)の二本の柱から成る。
1962年、欧州域内市民への十分な食料供給と農業者の生活水準の確保を目的として、共通農業政策(CAP)を導入。生産過剰状況を踏まえた制度見直し(1984年)、市場支持から生産者補助への転換(1992年)、デカップル支払いの導入(2003年)、持続可能な農業に向けた対応をより重視した制度見直し(2013年)など、累次の改革を実施。
2021年に採択された現行CAP(実施期間:2023〜2027年)では、加盟国の裁量・責任を拡大するとともに、環境・気候変動の取組を強化。
2. 価格・所得政策
(1) 直接支払い
1992年、価格支持制度における支持価格の引下げによる農業者の所得減少を補填するため、農業者に対する直接支払いを導入。当初は、品目ごとに決められた支払単価を基に、作付面積等に応じて支払われていた(カップル支払い)。
2003年改革において、支払いを生産と切り離し(デカップリング)、過去の支払実績に基づいて支払額を決めるという、品目によらない単一直接支払いを導入(2005年から実施)。
2013年改革において、直接支払い制度は環境・気候変動課題への対応をより重視した制度へと見直しが図られ、グリーニング支払いや各種目的別支払い等が定められた(2015年から実施)。
現行CAP(2023〜2027年)においては、直接支払いの受給要件である環境・土壌保全等に関する共通遵守事項(クロスコンプライアンス)を強化(コンディショナリティ)。また、更なる環境・気候変動への取組を行う農業者に対する上乗せ支援「エコ・スキーム」を導入。
(2) 価格支持
対象品目毎に支持価格を定め、市場価格がそれを下回った際に、各国の機関等が買支え等を実施。
対象品目:小麦、大麦、コメ、牛肉、バター、脱脂粉乳等


多分今後安く価格の安定したコメを中心とした食糧を確保するとしたら欧州の所得保障政策の様に政府が大幅に市場介入や農家への所得補償をしていくほかないのではと感じます。そしてそれが現状の減反より安くつく保証はどこにもないのは言うまでもないと思います。


タグ :
#コメ価格高騰
#減反
#窪田順生
#食管法
#コメ相場
#お金
#マネー
#経済
#先物市場
プロローグ
【クローズアップ富山】岐路に立つ富山地方鉄道@NHK2025/3/27より
[画像:toyama1]
[画像:toyama2]
[画像:toyama3]
いま富山地方鉄道はこの人手不足に加え、長年の赤字、人口減少、資材価格の高騰など苦しい経営を強いられています。
このため、4月からは運行本数を減らし、約30年ぶりとなる運賃の値上げにも踏み切ります。


最近NHKで富山県の地方私鉄富山地方鉄道の苦境が報じられました。長年の赤字や人手不足による運航・メンテ体制の疲弊、あるいは人口の多い都市部に比べて経営面で苦戦する末端部...、またその対策として30年ぶりの運賃値上げや運行本数の減少など地域にとって厳しい対応がとられるようです。これは他の地方都市でも見られるものかもしれません。ただ報道を見てと言うより何とかならないのだろうかと考えた時に違和感を感じました。ここではこの違和感をスタート地点に色々書こうと思います。

高単価と乗客増を誇る立山黒部アルペンルートと宇奈月温泉と言う富山地鉄のもう1本の柱
[フレーム] その違和感は立山黒部アルペンルートや宇奈月温泉(+黒部峡谷鉄道)等の本線、立山線終点にある有力観光地の存在が全くなかった事です。

toyama4
令和5年富山県観光客入込数等 @富山県地方創生局観光振興室 (公社)とやま観光推進機構

ローカル線活性化で観光はよく言われますが、そこまで大きいものはそれほど聞かないという方は多いと思います。しかしこの立山黒部アルペンルートに関してはコロナ前の2018年に富山県全体で30万人ほどの外国人宿泊者があったのに対し、アルペンルートを訪れた外国人観光客が26万人と言う富山のインバウンドの大黒柱と言って良い存在で、また本線終点宇奈月温泉から利用できる黒部峡谷鉄道もアルペンルートほどではないにせよ多くの外国人観光客の訪れる極論をすれば富山県の観光の大黒柱と言って良い存在ではないかと思います

[画像:toyama16]
3 市町村別宿泊施設数及び客室数等 @富山県地方創生局観光振興室 (公社)とやま観光推進機構

そして訪れた人たちの宿泊を考えると、アルペンルートのある立山町の宿泊施設は限られていて、宇奈月温泉の黒部市は比較的多いとは言え、市街地の宿泊施設も多いと考えると富山、黒部を中心とした周辺の都市へインバウンドの経済効果を広げる役割を富山地鉄はになっていると言えます。

toyama5
富山地方鉄道株式会社(E04128)有価証券報告書@2024年3月期より
立山黒部貫光@Wikipediaより
立山黒部貫光株式会社(たてやまくろべかんこう、英: TATEYAMA KUROBE KANKO CO.,LTD.)は、富山県富山市に本社を置き、立山黒部アルペンルートのうち、富山県の黒部湖駅から立山駅までのケーブルカー、ロープウェイ、およびバス(立山高原バス、称名滝探勝バスなど)を運行している事業者。TKKの公式略称がある。


そして何より富山地方鉄道の筆頭株主はアルペンルートの富山県側の運営企業とも言える立山黒部貫光株式会社である事を考えると富山地方鉄道の経営問題を語るうえでアルペンルートの名前が出てこない事に関する違和感の大きさをご理解いただけるかなと思います。

toyama6
富山地方鉄道株式会社(E04128)有価証券報告書@2024年3月期より

さてその上で富山地鉄の有価証券報告書を見ると面白い事に気付きます。定期外の乗車人員は定期の半分以下なのに旅客収入は定期外が定期を大きく上回るのです。

toyama7
定期、定期外の客単価

旅客収入と乗車人員から客単価を出すと定期外の単価が定期の実に2.8倍となります。

toyama8
主要区間の運賃(2025年3月31日以前、富山地方鉄道HPより2025年3月調べ)

主要区間の4月値上げ前の運賃を調べてみると上の様になります。定期客の単価158.6円は5km以内の電鉄富山〜南富山の通学定期に近く、言うなれば富山地鉄の定期客は短距離の通学定期が主力と言えます。一方同距離帯の普通あるいはICの乗車券は定期外の単価より安く、言うなれば立山や宇奈月温泉への観光客の存在が単価を押し上げている事が見て取れます。更に言えば電鉄富山~宇奈月温泉・立山の普通紙きっぷの価格は文字通り定期客単価より桁1つ高く宇奈月温泉へは新幹線黒部宇奈月温泉駅(富山地鉄では新黒部駅)からのアクセスも多いので必ずしもそのまま受け取れるものではないと思いますが宇奈月温泉・立山への観光客1人で定期客5〜10人分と言えるほど収益への影響は大きいと言えます。

toyama9
主要駅の乗降人員傾向(各駅Wikipedia調べ)

続いて利用者の推移を調べて見ます。
全体
・2018年のコロナ前までは2015年に北陸新幹線が金沢まで延伸されたこともあり増加傾向
・コロナで利用が落ち込み回復段階
立山・宇奈月温泉
・乗降客数は南富山・上市に比べて多くはない、ただし客単価は非常に大きい
・コロナ前は2010年比最大2倍前後、コロナ時は最も落ち込みは低く、利用者数は乱高下している
・現状は利用回復が順調で2010年水準はクリアしている
南富山・上市(富山近郊)
・乗降客数は特に上市は他のローカル私鉄のターミナルレベルで多い
・コロナ前特に2018年は2010年比増加だがピークは2010年比10%前後で大きくない
・コロナでの落ち込みも2割前後と大きくない
・コロナ後の回復は鈍く2010年水準をクリアできていない
こうして見ると客数は多くないものの客単価が高く、インバウンドを中心に乗客増加率が高いもののコロナの様な事が起こると落ち込みがひどく、不安定な立山・宇奈月温泉と逆に利用者は多くコロナの様な時も落ち込みはそこまでひどくならないものの客単価及び乗客増加率は低い南富山・上市が相互補完的な2本柱となっているのが見て取れます。

ダイヤ改正と運賃改定が語る富山地鉄の方向性
鉄軌道事業旅客上限運賃の認可と運賃改定について(3/25追記)@富山地方鉄道より
toyama10


さて現在の富山地鉄で大きなトピックは4月から消費税関連を除くと29年ぶりに行われる運賃改定と4月15日から行われるダイヤ改定です。上は運賃改定のプレスリリースからの抜粋です。
・通学定期の改定率が5.5%と全体の改定率を大きく下回る
・逆に通勤定期は13.7%と全体の改定率を上回る
・ふりーきっぷ及び1日乗車券では全線及び宇奈月満喫きっぷは20%以上の大幅値上げ、富山市内のきっぷは10%未満と改定率は低い
印象としては宇奈月温泉・立山方面への観光客、会社から交通費の出る通勤客等負担力の高い人たち向けの改定率は高く、富山市内の移動や通学の学生など負担力が高くない人たち向けの改定率は低い感じです。

鉄道線のダイヤ改正及び時刻表について【令和7年4月15日(火)改正】@富山地方鉄道より
<<ダイヤ改正のポイント>>
1 利用状況に合わせ、運行本数を見直します。
休日や平日の利用の少ない早朝や昼間にかけて、利用実態に即した運行に調整(減便)します。
2 パターンダイヤの見直しを行います。
平日(夕方ラッシュ帯):電鉄富山〜寺田の運行間隔を15分に1本とします。
休日:電鉄富山〜寺田の運行間隔を30分に1本とします。
3 冬期間の立山線の運行を変更します。
冬期間の岩峅寺〜立山間の利用実態に合わせ、当該区間の運行を朝・夕方のみとします
4 最終列車の見直しを行います。
運転士・駅員の労働環境の改善、夜間作業時間を確保する等の「働き方改革」に向けて、電鉄富山発の各方面の最終列車を繰り上げます。


続いてダイヤ改正に関してのプレスリリース、昨今の運転手不足により本数削減、運行時間帯縮小を行う中で岩峅寺〜立山の冬期間の日中運航中止が目立ちます。ただこの冬期間はアルペンルートが営業休止となる為の減便に思えます。

toyama11
本線日中時刻表左:改正後、右改正前

ただ時刻表を見て気になるのは現在日中1時間に1本走っている電鉄富山〜宇奈月温泉直通列車の一部が上市折り返しとなり、その代わり新魚津〜宇奈月温泉の区間列車が設定されている事です。また平日の宇奈月温泉行きの特急も新幹線接続駅の新黒部となっています。

[画像:toyama12]
富山〜滑川・魚津・黒部間のあいの風とやま鉄道・富山地鉄所要時間比較(平日富山発12時台列車比較)

その背景には滑川市〜黒部市であいのかぜとやま鉄道と富山地鉄が並行し、富山〜滑川・魚津・黒部は旧北陸本線であるあいの風とやま鉄道でもいける上に、所要時間でも本数でも圧倒されているからです。富山~魚津ではあいの風24分、30分毎に対し富山地鉄は56分1時間毎では競合と言う意味では相当不利になります。その為富山~宇奈月温泉で考えると魚津まではあいの風とやま鉄道を利用してもらう事で上市〜新魚津の運行にかかる運転手を他に回そうということかもしれません。

toyama13
富山地鉄本線上り土休日時刻表より

一見上市~新魚津廃止への第一歩と感じるかもしれませんが単純ではないのが土休日宇奈月温泉〜寺田〜立山を結ぶアルペン特急は廃止になっていない事です。それを意味しているのは富山地鉄が宇奈月温泉に泊まってからアルペンルートへ向かう観光ルートをまだあきらめていないという事です。
運賃改定とダイヤ改正に関して纏めると
・立山線の冬季昼間運休も含め運転手不足と収支の赤字から本数を減らさざるを得ない
・上市~新魚津の減便から富山〜滑川・魚津・黒部でのあいの風とやま鉄道との競争を諦め富山〜宇奈月温泉は魚津乗換えに移そうとしている
・運賃改定では通学定期、富山市内の改定率は低く、運賃負担力の大きい通勤定期、宇奈月温泉・立山方面の観光客は改定率を高くしている

あまりに複雑な地方鉄道を理解するために赤字補助で時間を稼ぎ綿密な調査から再投資をするべきでは
[画像:toyama14]
【クローズアップ富山】岐路に立つ富山地方鉄道@NHK2025/3/27より

さて現在厳しい状況にある富山地鉄、議会では厳しい事も言われています。確かに、報道でも議会でもイメージされているのは
・電鉄富山〜上市等富山近郊区間は他の地域のローカル私鉄よりも利用者も多く運営会社も黒字化可能としているが、利用は伸び悩み末端地区は利用も少なく赤字であり運賃値上げ予定
・現状人手不足で、運転手や保安要員の確保に苦戦し、列車の大幅減便を予定
と言った一面ではないかと思います。しかし終点と言える立山/宇奈月温泉駅を見ると見えてくる光景は違ってきます。
・コロナでの乗客の落ち込みは大きかったが2022年段階で急激に利用を回復させている
・電鉄富山発着値上げ前の運賃で考えると宇奈月温泉きっぷ1880円、立山1220円と定期客1人当たりの運輸収入158.6円の7〜12倍と非常に高単価のお客さんが多い(新幹線黒部宇奈月温泉から宇奈月温泉へ行くお客さんが一定数いる事を踏まえても)
・立山から行く立山黒部アルペンルートや、宇奈月温泉から向かう黒部峡谷鉄道は富山県においてインバウンド客を惹きつける意味では最も有力な観光地であり、県の観光の大黒柱である
・その大黒柱であるアルペンルート、黒部峡谷鉄道の経済効果を富山・黒部などに周辺都市に広げる役割を富山地鉄は担っている
・そもそも富山地鉄の筆頭株主は立山黒部アルペンルートの運営企業である立山黒部貫光株式会社である
こうして見ると立山、宇奈月温泉は決して無視はできないですし、また議論するとしたら赤字の地方鉄道への補助ではなく立山黒部アルペンルート、黒部峡谷鉄道と言う富山県の観光産業の大黒柱をどうするのかと言う話は避けて通れないと思います

IMG_5858
あいの風とやま鉄道521系

また運転手・保守要員不足に関してダイヤ改正で上市〜新魚津の減便を行っているので、あいの風とやま鉄道と並行している滑川市〜黒部市の区間を廃止し、あいの風とやま鉄道と直通してフォローする様な案が出てきそうですが・・・
・富山地鉄は直流電化、あいの風とやま鉄道交流電化で規格が違うので新規車両製造が必要
・あいの風とやま鉄道の車両は交直流両用なのでそのまま使えるが、その車両への富山地鉄のインフラ対応が必要
・電鉄富山〜宇奈月温泉が全て富山地鉄ではなくなるのでどの程度の減収になるか確認が必要
・富山駅〜宇奈月温泉への所要時間短縮、運賃変更となるのでその事が及ぼす影響の確認が必要
・宇奈月温泉、黒部峡谷鉄道の観光への影響の確認が必要
とぱっと浮かぶだけでもこれだけあり様々な事を調べる必要があります。

toyama15
富山大学学部一覧より

そういった事を考えると今富山地方鉄道の赤字、人員不足の問題に対してどのように対応すべきかを考えると一番必要なのは「時間の確保」とその時間を用いた「現状・周辺状況に関する徹底した調査」のように思います。それこそ富山地鉄全駅間の通学・通勤定期、IC・紙の乗車券利用者の数の調査から始める様な徹底した調査で、富山県全体の知を結集するような大規模調査となると思います。言うなれば現段階では赤字補助を行って極力現状維持を目指し、その間の調査結果から、富山地鉄、行政だけでなく関西電力をはじめとする周辺の受益企業も含めた形で再投資を行うという形が一番良いのではと感じます。

県内唯一生き残った私立大学を残すためには
富山 学生募集停止の高岡法科大学で入学式の代わりに開講式@NHK2025/4/4より
少子化の影響などを受け、今年度からの学生募集を停止し、ことしは新入生がいない高岡市の高岡法科大学で4日、入学式の代わりに開講式が行われました。
高岡法科大学は定員割れが続いたことから、今年度以降の学生募集を停止し、すべての在学生が卒業したら閉校することが決まっています
toyama18
高岡法科大学へのアクセス@高岡法科大学HPより


その際には一見関係ない地域の事情も考慮する必要もあると思います。富山地鉄から少し離れますが、富山県西部の高岡市の私立大学高岡法科大学が昨年少子化の影響などで募集停止を発表して話題になりました。大学である以上学問の質が第一なのでしょうが、ただこの高岡法科大学は最寄り駅が無く高岡市のターミナル高岡・新高岡駅からバスで25分と言う交通アクセスの悪さによりその学問の資質を若い学生に伝えきれなかった一因だったのではないでしょうか?

toyama17
toyama19
上:富山国際大学の学部・学科の学生定員および在学生数(2024年5月1日現在)下:富山国際大学東黒牧キャンパスのアクセス手段

そして富山県内唯一の私立大学である富山国際大学、現状極端な定員割れなどはしていないものの、高岡法科大学同様駅からバスアクセスとなる東黒牧キャンパス現代社会学部は入学定員120人に対し在籍1年生は99人と定員割れし、呉羽駅から徒歩圏の呉羽キャンパス子供育成学部が定員を満たしているのと対照的な状況となりつつあり予断を許しません。現状地方から東京等大都市への若い人の流出が問題となっている以上これ以上簡単に大学をつぶすわけにはいかないと思います。その為には大学へのアクセス向上は不可欠であり、その為に富山地鉄を活用する事も考慮に入れる必要はあると思います。

まとめ
IMG_09971
大都市の私鉄でも需要喚起の為の観光客誘致は欠かせない@京急浦賀駅

如何だったでしょうか?大都市で通勤・通学で多くのお客さんでにぎわっている電車に慣れていると電車・鉄道=通勤・通学のお客さんを運んでも儲けていると考えがちですが、富山地鉄での立山黒部アルペンルート・黒部峡谷鉄道などの観光客の存在は高単価で思った以上に存在感が大きいです。ここでは富山近郊との2本の柱と書きましたが複数の収益源があるほうが経営が安定しやすく様々なリスクへ対処しやすくなるというのはどんなビジネスに共通する事です。そして人口密度が高く多くの通勤・通学客に恵まれている大都市の私鉄でも例えば京急であれば三浦半島、京成であればディズニーランドや成田山新勝寺、小田急であれば箱根・江の島と言った観光開発を積極的に行っているのは少し見ればわかると思います。そしてそれは鉄道・バスだけでなく沿線の地域経済にとっても小さな存在ではないと思います。そのような多様な視点で状況を見、そして投資していくのが必要なのではないか、富山地鉄の赤字はそれを語っていると思います。


タグ :
#富山地方鉄道
#立山黒部アルペンルート
#宇奈月温泉
#黒部峡谷鉄道
#高岡法科大学
#富山国際大学
#あいの風とやま鉄道
#富山県
#富山市
#黒部市
IMG_8603
桜の季節です。

さて2025年3月のランキングです。今月も当月リリース記事が1位、2位を占めています。

1.令和の大きな宿題外伝その10〜さす九にみる「共感」の恐ろしさ〜
2.令和の大きな宿題その31 中流社会のラットレースが終わるとき〜トランプ円安是正発言と長期金利1.5%超えに思う〜
3.令和の大きな宿題その18〜中高年独身女性の貧困問題を整理する〜
4.お金の話その2〜まず100万貯めるんだ〜お金の主人になるために
5.平成の終わりに考える外伝6:「女性」を特別扱いする時代の終わり〜兵庫県知事選挙に思う〜

1位には令和の大きな宿題外伝その10〜さす九にみる「共感」の恐ろしさ〜が入りました。

男尊女卑やゆ「さす九」SNSで拡散 性別による無意識の思い込み調査、九州の傾向は@西日本新聞2025年3月9日

楽しいツイッターランドで男尊女卑の総本山として「さす九」のキーワードでいじられ続けた九州、その九州のブロック紙西日本新聞でその事が取り上げられたのを機に書いた記事が入りました。あのタモリを「辛島先生」と萌えさせた平成の美人シンガー辛島美登里さんが所謂旧制一中の鶴丸高校に浪人しては言ったというエピソードから関東と山口・沖縄を除く九州の島内7県の旧制一中の男女共学度合を比べて見ました。実は記事には書かなかったのですが、九州の旧制一中は男子校である旧制一中を単に共学にしたのではなく旧制第一高女等も合併して、男子・女子のトップブランドを兼ねる事、複数の学校の中で良い立地の場所に立地させるケースが多いのは日本で最も東大に合格しない旧制一中を抱える券の人間としては当時の地域の教育部部門のトップ層の見識を感じました。

漫画家・尾添椿先生が「さす九」を取材し告発。『鹿児島の女性は栄養不足で低身長』等〜内容に異議や疑念も@posfi

ただタイトルに共感とつけたのですが、共感の怖さはある意味で無責任な所だと思います。上は漫画家さんが「取材した」と言う名目で明らかに無茶な漫画を描いてあきれられている状況のまとめなのですが、確かにこういった出鱈目な話で共感を集めるのは楽ですし、儲かるのかもしれませんが安易で無責任な「共感」に溺れる怖さはものすごく感じる次第です。また別の人が「映画化したらどうか」とツイートしてバズっていたので映画企画案を作ってみました。もし物好きな方がいたら実現して原案料をもらいたいところです。

映画「さすが九州」企画案を妄想してみる

2位には令和の大きな宿題その31 中流社会のラットレースが終わるとき〜トランプ円安是正発言と長期金利1.5%超えに思う〜が入りました。

トランプ大統領 "日本と中国 通貨安を誘導 解決に関税必要"@NHK2025/3/4

長期金利が1.5%超えとトランプ大統領の円安是正発言から思った以上に金利が上がっていく可能性が高まり住宅ローンがどうなるんだろうと計算した事から書いた記事です。

2010年代中産と下流の時代〜プロローグ1980年代に始まった非婚化・草食化が語るもの〜その3

さて今から15年位前「地獄」のと言う頭文字を着ける人もいる民主党政権時、中流社会が終わり新しい中産階級が現れるのではと考えていたのですが、結果的に安倍政権時の0金利・マイナス金利政策アベノミクスによって中流社会が延命したように思います。1億総中流の頃に比べ3500万円ローンで家を建てた際の月の返済額、返済総額が大きく削減され中国を中心とした新興国の発展で揺さぶられた中流社会を維持する原資になったのではないかと言うのがこの記事の前半の骨子です。ただ結局の所、コロナ後の金利上昇によって金利が復活する事でこの延命策は徐々に縮小せざるをえず、文字通り圧倒的な生産性・パフォーマンスを示すか、それとも労働と資産のダブルインカムで中産化していくかと言う選択が静かに示されているのではと感じます。

3位には令和の大きな宿題その18〜中高年独身女性の貧困問題を整理する〜が入り1月以来のランクインと相成りました。

東京23区のペアローン利用率が過去10年で3倍に増加も、2022年をピークにやや減少傾向@PRTIMES2024/10/28

住宅価格の高騰が叫ばれる中昨年あたりから夫婦共にローンを組むペアローンが急増しているという話を聞くようになりました。ある意味で平成時代は男女平等に投資した時代だったと思うのですが、その回収と言える動きの1つと私は見ているのですが、その延長線上には女性の貧困が男性の貧困と同レベルで自己責任と言われる時代になっていくのではと感じます。そういった方は多くないと思いますが読者の方で女のお子さんを育てている方はその辺を意識しておかないと彼女の未来はだんだん暗くなっていくのではと感じます。ご注意ください。

4位にはお金の話その2〜まず100万貯めるんだ〜お金の主人になるためにが入りました。

千葉県知事選挙に見る民主主義の光景

先月は千葉県知事選挙が行われ現職の熊谷知事が再選したのですが、その中で候補者の1人立花孝志氏が財務省デモの行われる近くで襲われるという事件が起こりました。

クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れよう

個人的にはこういった政治要求を掲げたデモそのものを否定する気はないですし、否定したところで止まらないとは思いますが、一方で政治的な要求を実現させたところで増える手取りは限定的であり、並行してお金と上手く付き合い、資産を増やしていく努力をしなければ厳しくなっていくのではと感じています。上のリンクは「地方都市で暮らす人が家にある車を減らすことで生活を豊かにしていく」為のある意味でノウハウを書いたマガジンですが、もしデモで盛り上がったという方がいたら盛り上がったデモから帰ってきた際に読んでほしいマガジンでもあります。

5位には平成の終わりに考える外伝6:「女性」を特別扱いする時代の終わり〜兵庫県知事選挙に思う〜が入りました。

千葉県知事選挙に見る民主主義の光景

4位の解説でも取り上げた千葉県知事選挙ですが、実際熊谷知事の政策なんかでもこの記事で書いたような女性政策の退潮を見て取れました。3位の記事にも共通する部分ですが平成時代に続いた男女平等への投資の回収期に入ったという事の一側面ではあると思います。極端に女性不利の政策が出るとは思いませんが空気も含め静かに「女性の特別扱いが終わる」時代に入っていくんではないかと思っています。

如何だったでしょうか?関東では寒い中、新しい年度が始まりました。読者の皆様と私にとってこの1月が良い1月となる事を祈念します。


タグ :
#さす九
#中流社会
#中産階級
#貧困女子
#財務省デモ
#千葉県知事選挙
#2chコピペ
最新記事
人気記事
リンク集
読者登録
広告
広告3
広告4
広告2
アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:
ギャラリー
楽天

Template by decoweb

traq

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /