2019年11月
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写真:沼津市のラブライブサンシャインのファンによるイベントにて@2017年
さて旧聞になりますが本blogでも取り上げました愛知トリエンナーレが10月14日に終了しました。
あいちトリエンナーレに思う
上は文化庁の補助金不交付問題に関する美術手帳にのっていた補助金不交付までの今回のトリエンナーレに関するまとめです。前回の記事の段階では「表現の不自由展・その後」の展示中止までしか抑えられていませんでしたが、そこから文化庁による補助金不交付の問題も出ています。 個人的な見解を出すならばやはり一度内定を出したならやはり補助金は出すべきだったと思います。たとえ合法であるにしても表現の自由が問題となっている以上、政治家が色々発言するのは仕方ないにしても予算などの実行するのは良くはないと思います。
・「表現の不自由展」をつぶした主犯は?
さて表現の自由を揺さぶられたことで良くも悪しくも話題となった今回のあいちトリエンナーレ、さて今回この「表現の自由」を揺さぶった主犯はだれになるでしょうか?それはこのイベントに電凸した人たち、言うなれば一般の市民に他ならないのではないでしょうか? そして今回の件で市民がその気になってちょっと電凸すれば表現なんて簡単につぶせる、それが多くの人の目に留まる形で示されたのが今回あいちトリエンナーレの騒動ではないかと思います。
しかし不思議なのはこうして市民たちに表現の自由を奪われつつあるアーティストたちが主犯である市民に対して言及せず、議員・役人・官庁・指定管理者制度、全て市民とアーティスト・作品の間にある存在にばかり言及することです。確かに市民とアーティスト・作品の間に立つ彼らのアーティスト・作品を守る力が弱くなっているのは一因としてあると思います。しかし本来ならこういったことも投げかけるべきだったのではないでしょうか?「今美術館や役所などアートと市民の間にある存在が弱くなり、市民1人の1本の電凸で作品はあっという間に簡単に排除できる時代です。それ故に市民の皆さん、電話するなとは申しません。しかし考えてほしいのです、その作品は社会から排除されるべきものなのか、そしてそのアーティストの生活を奪うまでそれは憎たらしいものか?と言う事を」
・表現を守るためにアーティストは何をするべきか
作品・製作者と市民・消費者の間にある存在が弱体化しているのは何もアートの世界だけではありません。活況を呈していると思われる漫画の世界でも同じことが起こっています。しかし彼らはその間にいる存在を愚痴るだけでなく、生き残るために別の市場を開拓していっています。これはコミケと言う独自の市場を作り育てていったからです。
これは何もマンガだけでありません。音楽の業界でも角松敏生をはじめとした凄腕のミュージシャンがインディーズでレアグルーブを追求していくために始めたAGHARTAと言うバンドがあり、「WAになった踊ろう」と言う曲を作って長野オリンピックの閉会式で素晴らしいパフォーマンスをしたという歴史があります。表現者として生き残り、より自由に作品を発表していくには、美術館の様な公的な存在に頼り切るだけでなく様々な市場を開拓し、多様なスポンサーを集めるというのも必要なのではないでしょうか?
・表現を守るためにファンは何をするべきか
話は変わってアートを支えるファンはどうでしょう。最終日に発表された入場者数は65万人強、個人的にはびっくりしました、その少なさに。あいちトリエンナーレのこれまでの入場者数は最高は2013年の63万人弱、前回2016年は60万人強、確かに増えてはいますし、過去最高と言うのも間違いはないですが、あれだけ騒ぎになってわずか8%ほどしか入場者が増えていない状況に違和感すら感じました。
確かにデモや署名運動が行われたという話はありますが、もう1つ必要だと思うのはイベントを支える地域やあるいはアーティストを経済的にも支えていく事ではないでしょうか?「表現の不自由展・その後」に関してはクラウドファンディングが行われ700人のパトロンから1140万円の資金が集まりました。
一方で同じように外部からのクレームで公認を外されたという悲しい過去を持つお隣三重県の非公認の萌えキャラ碧志摩メグも志摩地域のアピールのため都内にラッピングバスを走らせるためにクラウドファンディングが行われているわけですが、こちらは報道もほとんどなかったのですが345人のパトロンから335万円もの資金が集まっています。 こうしてみるとアートのファンは行政からの補助金ばかり期待して身銭を切らないけちんぼと言う風に見えてなりません。今後アートをシュリンクさせないためにはクレームで公認を外されてから3年近くたっても身銭を切って支えてくれる碧志摩メグのファンのような存在、外部にアピールし地元を中心に味方を増やしていく為の努力が必要となってくると思います。
・まとめ
そんな中あいちトリエンナーレのメイン会場である名古屋市でアニメロードを作るという話が出てきました。場所は名古屋駅西口でトリエンナーレの会場ともなっている場所です。この時期にこの決定を出したという事は多分名古屋市として地域を盛り上げていく為の投資先としてアートに見切りをつけ、アニメに重点を置くという事なのでしょう。トリエンナーレの入場者数、クラウドファンディングでの資金の集まり具合などを考えると妥当な選択としか言いようはないです。
私自身表現の自由を尊重する立場から言えばまず大村知事の「表現の不自由展・その後」の休止の選択はやはり受け入れがたいですし、菅官房長官を中心とした政府の補助金不交付の決定には懸念を表明します。ただ一納税者として今のアートに投資するのは地域を盛り上げるための投資としては効果が期待できないのではと思わざるを得ません。
そう考えるとアートのファンはアニメのファンのように身銭を切り地域やアートを潤すための努力をしていかないとならないのではないかと思います。
いかがだったでしょうか?最後にまた書くのですが市民の皆様は少し苦情の電話を入れれば表現を排除できるという大きな権力を持っています。しかしその権力は表現を殺し、表現者を路頭に迷わせかねない危険があるという事を頭に入れてダイヤルを推していただければ幸いです。
写真:沼津市のラブライブサンシャインのファンによるイベントにて@2017年
あいちトリエンナーレ2019が閉幕。65万人以上で過去最高の入場者数を記録@美術手帳2019年10月14日より
8月1日に開幕した「あいちトリエンナーレ2019」が、10月14日で75日の会期を終えた。入場者数は65万人以上で、あいちトリエンナーレ史上最高を記録したという。
さて旧聞になりますが本blogでも取り上げました愛知トリエンナーレが10月14日に終了しました。
あいちトリエンナーレに思う
あいトリ補助金問題、宮田文化庁長官が初の発言。「不交付決定を見直す必要はない」@2019年10月16日より
あいちトリエンナーレ2019と補助金不交付決定をめぐるタイムライン
7月31日 宮田亮平文化庁長官が「第一報」を受ける(予算委で証言)
8月3日 菅官房長官「適切に対応していきたい」と発言
8月3日 「表現の不自由展・その後」展示中止
8月18日 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会「中間報告」について文化庁が進捗確認
9月19日 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会「中間報告」について文化庁が進捗確認
9月20日 「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業」26件のうち「あいちトリエンナーレ2019を除く」25件を交付決定
9月24日 不交付決定を起案
9月25日 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会「中間報告」を発表
9月26日 不交付決定
上は文化庁の補助金不交付問題に関する美術手帳にのっていた補助金不交付までの今回のトリエンナーレに関するまとめです。前回の記事の段階では「表現の不自由展・その後」の展示中止までしか抑えられていませんでしたが、そこから文化庁による補助金不交付の問題も出ています。 個人的な見解を出すならばやはり一度内定を出したならやはり補助金は出すべきだったと思います。たとえ合法であるにしても表現の自由が問題となっている以上、政治家が色々発言するのは仕方ないにしても予算などの実行するのは良くはないと思います。
・「表現の不自由展」をつぶした主犯は?
「表現の自由」を取り戻すために〜アートとは、そして美術館の役割とは何か@江川紹子2019年9月11日より
今回の企画展が中止に追い込まれた最大の要因が、大量の抗議電話だったことから、プロジェクトでは、アーティスト自らがコールセンターを設立することも提案している。演劇ユニット代表の高山明さんは、その趣旨をこう語る。
「我々アーティストが表現の自由を訴える一方で、最前線で県の職員が抗議の電話を受け続けてくださっている。その抗議の声を、我々アーティストが受けたらどうだろうか。その課程で、『公共とは何か』『公共サービスとは何か』を法学者などの専門家を交えて問い直していきたい。そして、電話対応について一定のガイドラインを作っていく。具体的には、電話対応の運営マニュアル。それによって、あいちトリエンナーレに限らず、公共の文化事業を今後も存続させていけるよう、今回の問題をプラスに転化して行けたら、と思っています」
さて表現の自由を揺さぶられたことで良くも悪しくも話題となった今回のあいちトリエンナーレ、さて今回この「表現の自由」を揺さぶった主犯はだれになるでしょうか?それはこのイベントに電凸した人たち、言うなれば一般の市民に他ならないのではないでしょうか? そして今回の件で市民がその気になってちょっと電凸すれば表現なんて簡単につぶせる、それが多くの人の目に留まる形で示されたのが今回あいちトリエンナーレの騒動ではないかと思います。
「表現の自由」を取り戻すために〜アートとは、そして美術館の役割とは何か@江川紹子2019年9月11日より
――会見では、日本では自主規制が日常化している、という話もされていましたね。
「日本では、誰が検閲の主体なのかが、なかなか見えないんですよ。もしかしたら議員のプレッシャーがあったかもしれない。あるいはプレッシャーをかけたのは役人か、館長か......。小泉改革の後、文化に関しても「官から民へ」ということで、美術家にも指定管理者制度を導入したり、民間委託されたりして、自分たちで金を稼ぎながら、美術展を開いていく、ということになりました。
昔は行政に直接雇われたキュレーターという専門職が美術展を作っていて、何が美術として価値があるのか、公的な美術館に何が置かれるべきか、という判断をある程度任されていた。今は、指定管理者に雇われ、役所や指定管理者、そこにいろんな人が入ってくる重層構造な権力構造になっていて、責任の所在もはっきりしなくなっています」
しかし不思議なのはこうして市民たちに表現の自由を奪われつつあるアーティストたちが主犯である市民に対して言及せず、議員・役人・官庁・指定管理者制度、全て市民とアーティスト・作品の間にある存在にばかり言及することです。確かに市民とアーティスト・作品の間に立つ彼らのアーティスト・作品を守る力が弱くなっているのは一因としてあると思います。しかし本来ならこういったことも投げかけるべきだったのではないでしょうか?「今美術館や役所などアートと市民の間にある存在が弱くなり、市民1人の1本の電凸で作品はあっという間に簡単に排除できる時代です。それ故に市民の皆さん、電話するなとは申しません。しかし考えてほしいのです、その作品は社会から排除されるべきものなのか、そしてそのアーティストの生活を奪うまでそれは憎たらしいものか?と言う事を」
・表現を守るためにアーティストは何をするべきか
私がまだ「プロなんだから連載を最優先するのは当然」と思っていたころ。ある作家さんに「有明を一回休んだら、僕の年収は300万減るんですよ!」と言われまして。マンガで食っていくとはどういうことか、何をもって商業と言うのか考えるきっかけになった一言です。#作家さんかく語りき
— 荻野謙太郎(フリーランス漫画編集者) (@gouranga_) 2018年10月16日
作品・製作者と市民・消費者の間にある存在が弱体化しているのは何もアートの世界だけではありません。活況を呈していると思われる漫画の世界でも同じことが起こっています。しかし彼らはその間にいる存在を愚痴るだけでなく、生き残るために別の市場を開拓していっています。これはコミケと言う独自の市場を作り育てていったからです。
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これは何もマンガだけでありません。音楽の業界でも角松敏生をはじめとした凄腕のミュージシャンがインディーズでレアグルーブを追求していくために始めたAGHARTAと言うバンドがあり、「WAになった踊ろう」と言う曲を作って長野オリンピックの閉会式で素晴らしいパフォーマンスをしたという歴史があります。表現者として生き残り、より自由に作品を発表していくには、美術館の様な公的な存在に頼り切るだけでなく様々な市場を開拓し、多様なスポンサーを集めるというのも必要なのではないでしょうか?
・表現を守るためにファンは何をするべきか
無題
あいちトリエンナーレ2019が閉幕。65万人以上で過去最高の入場者数を記録@美術手帳2019年10月14日より
8月1日に開幕した「あいちトリエンナーレ2019」が、10月14日で75日の会期を終えた。入場者数は65万人以上で、あいちトリエンナーレ史上最高を記録したという。
話は変わってアートを支えるファンはどうでしょう。最終日に発表された入場者数は65万人強、個人的にはびっくりしました、その少なさに。あいちトリエンナーレのこれまでの入場者数は最高は2013年の63万人弱、前回2016年は60万人強、確かに増えてはいますし、過去最高と言うのも間違いはないですが、あれだけ騒ぎになってわずか8%ほどしか入場者が増えていない状況に違和感すら感じました。
東京藝大や京都の文化庁でも。あいトリ補助金全額不交付への抗議デモ@美術手帳2019年9月28日
ReFreedom_Aichi --あいトリ2019を「表現の自由」のシンボルへより
現在の支援総額:11,412,009円
パトロン数:703人
碧志摩メグを認めてもらいたい!頑張るしかない!三重県観光PR動画プロジェクト!!より
現在の支援総額:3,352,000円
パトロン数:345人
確かにデモや署名運動が行われたという話はありますが、もう1つ必要だと思うのはイベントを支える地域やあるいはアーティストを経済的にも支えていく事ではないでしょうか?「表現の不自由展・その後」に関してはクラウドファンディングが行われ700人のパトロンから1140万円の資金が集まりました。
一方で同じように外部からのクレームで公認を外されたという悲しい過去を持つお隣三重県の非公認の萌えキャラ碧志摩メグも志摩地域のアピールのため都内にラッピングバスを走らせるためにクラウドファンディングが行われているわけですが、こちらは報道もほとんどなかったのですが345人のパトロンから335万円もの資金が集まっています。 こうしてみるとアートのファンは行政からの補助金ばかり期待して身銭を切らないけちんぼと言う風に見えてなりません。今後アートをシュリンクさせないためにはクレームで公認を外されてから3年近くたっても身銭を切って支えてくれる碧志摩メグのファンのような存在、外部にアピールし地元を中心に味方を増やしていく為の努力が必要となってくると思います。
・まとめ
名古屋駅の西側エリアに「アニメロード」構想が浮上 その狙いとは@中京TV2019/9/19より
アニメやマンガのキャラクターを名古屋駅の西側エリアに設置して、話題の新スポットをつくる構想が浮上しました。名古屋市が前向きに検討するそうですが、その狙いとは? いつにも増してご機嫌な、名古屋市河村市長。 「面白いと思いますよ。なるべく早く、名古屋の世界的名所になるように」(名古屋市 河村たかし市長)
そんな中あいちトリエンナーレのメイン会場である名古屋市でアニメロードを作るという話が出てきました。場所は名古屋駅西口でトリエンナーレの会場ともなっている場所です。この時期にこの決定を出したという事は多分名古屋市として地域を盛り上げていく為の投資先としてアートに見切りをつけ、アニメに重点を置くという事なのでしょう。トリエンナーレの入場者数、クラウドファンディングでの資金の集まり具合などを考えると妥当な選択としか言いようはないです。
私自身表現の自由を尊重する立場から言えばまず大村知事の「表現の不自由展・その後」の休止の選択はやはり受け入れがたいですし、菅官房長官を中心とした政府の補助金不交付の決定には懸念を表明します。ただ一納税者として今のアートに投資するのは地域を盛り上げるための投資としては効果が期待できないのではと思わざるを得ません。
そう考えるとアートのファンはアニメのファンのように身銭を切り地域やアートを潤すための努力をしていかないとならないのではないかと思います。
いかがだったでしょうか?最後にまた書くのですが市民の皆様は少し苦情の電話を入れれば表現を排除できるという大きな権力を持っています。しかしその権力は表現を殺し、表現者を路頭に迷わせかねない危険があるという事を頭に入れてダイヤルを推していただければ幸いです。
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- #表現の自由
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]「投票率の崩壊」はどこで起きていたか@みらい選挙プロジェクト情勢分析ノートより武器としての世論調査 社会をとらえ、未来を変える (ちくま新書 1414) [ 三春 充希 ]
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衆院選や参院選の投票率は戦後一貫して下落してきたわけではなく、1980年代までの横ばいが続いた後、1990年代に大幅に落ちています。そしてその後、投票率は郵政解散と民主党への政権交代という二回の選挙を除いては、従来の水準を回復しなくなりました。こうした経緯があるため、昨今の投票率の低下を考える上で、1990年代の状況の理解は重要です。
さて選挙関連の特集記事で何度か取り上げたことがあるみらい選挙プロジェクトさんが投票率の分析の一環として90年代の参院選の投票率推移の分析を上げています。確かに昭和時代は70%を超えることが当たり前だった国政選挙の投票率が現在は50%代が珍しくなく、今年の参院選の投票率に至っては50%を下回っているので面白い着眼点だと思います。「投票率の崩壊」はどこで起きていたか@みらい選挙プロジェクト情勢分析ノートより
この地図からは、本州、中国、四国地方の都市部や沿岸部で下げ幅が大きかったことが読み取れます。これは平野の分布とも重なっており、相対的に人口密度が高い地域であるということもできそうです。〜中略〜 今回は、投票率の下落が地域的に見て都市部、沿岸部、平野部で激しかったことを明らかにしました。ここまで不均質な傾向があったことは驚きで、これは当時、都市部の若者を中心として多くの無党派層がうまれたであろうという想像を根拠づけるものであるように思います。
しかし、せっかく良い着眼点なのに分析に少し疑問が残りました。詳細はリンク先の地図を見てもらいたいのですが、ぱっと見この分析が正しいように見えますが、実は非常に違和感を覚えました。
その為、この地図を補完する意味で89年→95年の参院選の都道府県別の投票率を調べてみました。利用したのは参議院議員通常選挙の都道府県別投票率 - 総務省統計局と言う資料です。
[画像:tohyoritu1]
表:89参院選→95参院選で20%以上投票率が下落した都道府県
確かに兵庫県が下落率2位で大阪府、北海道、愛知県、広島県、京都府、福岡県、宮城県と昭和時代からの政令市を抱える都道府県がずらりとそろっているので一見大都市ほど投票率が落ちているように見えます。しかしよく見ると大きな抜けがあるように思えないでしょうか?東京都、神奈川県、千葉県の3県です。確かに下落率20%以上の大都市圏である上の2府1道5県の人口を合わせると3500万人ほどになるので大きいですが実は東京・神奈川・千葉の1都2県でも2500万人は超えると思うので昭和政令市を抱える府県+東京都の構図で考えると20%以上の下落を示した都道府県と20%以内の下落に収まった都道府県では6:4位内に収まり、「都市部の若者を中心として多くの無党派層がうまれたであろうという」と言い切るのは難しいと思います。
[画像:tohyoritu2]
表:89参院選→95参院選で25%以上投票率が下落した都道府県
そして下落幅を25%以上の件を挙げると、大都市と胸を張れるのは兵庫県だけ、ベッドタウンも含めて考えるなら滋賀県が加わる程度で6県中4県は大都市とはとても言えない地域になります。また95年と言うと阪神大震災のあった年であり、それを考えると県外に避難していた人も多いと考えられるため兵庫県の下落も額面通り受け取れなくなります。
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表:89参院選→95参院選で20%以上投票率が下落した都道府県の各地域での割合
だとするとどういった地域で投票率の下落が激しかったのでしょうか?衆院選の比例区の地域割りで20%以上の下落率を示した都道府県の割合を出したのが上の表です。近畿・東海・北関東で投票率の下落が大きな府県が多かったのがわかります。そして人口集積の大きい近畿・東海では大阪維新の会、減税日本と言う個性的な首長を中心とした地域政党が一定の勢力を得ています。そして北関東でも栃木県を地盤とする渡辺喜美氏率いるみんなの党がこちらは国政で一定の勢力を築いた時期がありました。言うなれば国政選挙での投票率の大幅な下落と言う、ある種の政治的な空白が市町村をはじめとする地域の政界の変化を引き起こしたと言えるのかもしれません。ただ国政に関してはみんなの党は挫折し、減税日本は一時期勢力確保に成功したものの続かず、大阪維新の会系の勢力も全盛時に比べると大きく議席を失っています。
[画像:tohyoritu4]
表:89参院選→95参院選で20%以上投票率が下落しなかった都道府県
ちなみに下落率20%以内の比較的投票率の下落の少なかった地域は上になります。南関東・東北・四国が特に低く、東北は護憲4党が強く、南関東・四国は与党が強い地域となっています。
その上でもし野党、特に護憲4党躍進のための策を考えるなら以下の3つになると思います。 ・九州を重点地域とする
・河村名古屋市長の様な有力かつ、国政進出がうまくできていない知事・市長を巻き込む
・知事・政令・県庁市長を中心とする地方の基盤を強くする
九州に関して言えば近畿・東海・北関東に次ぐ投票率下落地域である割に東国原知事こそいたものの、結局引退し、その3地域ほど大きな動きがなく、かつ古賀誠、山崎拓、麻生太郎と首相あるいは派閥領袖等の有力者が多かったものが前2者は引退し、生き残った麻生財務相も80の大台が見えているというのが大きいです。逆に人口が多くても南関東は菅官房長官、河野防衛大臣と有力な首相候補や小泉進次郎の様な人気者もいる中で大きく勢力を伸ばすのは難しいと思います。
知事や市長を巻き込むのは確かに河村市長のように癖のある人物は反発もあるものの、付け入るスキがあるとしたらと言う話です。
地方の基盤に関しては民主党政権前夜の関東を見ると、松沢神奈川県知事、中田横浜市長、上田埼玉県知事、堂本千葉県知事と東京都知事こそ自民系のものの民主党あるいはそれに近いポジションの人間が大都市圏の知事・市長にいて、それ故にこの地域の支持を集めやすく政権交代の原動力になったと思います。河村市長や松井市長がうまく地域の政治力を国政にいかせていないのは国政政党を運営したノウハウがないという面もあると思いますので、仮に有力な市長や知事を出せたならその影響は思ったより大きいのではと思います。
いかがだったでしょうか?みらい選挙プロジェクトの方とは違う視点が提供できていると思っていただければ幸いです。
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さて今月のランキングです。
1.参院選2019に思うその1〜護憲4党の攻勢限界〜
2.幸色のワンルーム
2.取り残された女性たちのまち
4.人気記事ランキング201909
5.北海道新幹線は少子化解消に切り札になり得るか
1位は参院選2019に思うその1〜護憲4党の攻勢限界〜、参院選と言うと政権交代の選挙でない為、例えば政権交代前の2007年の参院選で民主党が躍進しその後の政権交代の布石となったように、極端な民意を反映させる先行指標的なものになるイメージがあるのですが、そういった意味では今年の参院選で見えたのは所謂護憲を旗印に集まっている立憲民主、国民民主、共産、社民の4党の共闘路線が曲がり角に来ているところでしょうか?特に中部地方と並ぶこの4党の大きな基盤ともいえる東北地方ですら、自民・公明の与党に得票率で上回られ、かつ若い世代の支持率の低迷に歯止めがかからない状況はじり貧と言うほかないと思います。
2位は同数で2記事が入りました。幸色のワンルーム ×ばつ献血コラボキャンペーンが炎上した事で改めて表現の自由もテーマのこの記事が注目されたのかもしれません。
もう1つの2位は取り残された女性たちのまち、相変わらず息の長い人気を誇ります。最近結婚を軸に論を展開している洲桃氏が注目されていますが、個人的には非婚化で結婚しなかった中高年女性の状況と言うのはそろそろ注目されてもよいのかなと思います。
note@すもも
4位には人気記事ランキング201909が入りました。この記事もそうですが毎月必ず書いているランキング記事で人気を分ける要因と言うのは何か、と言うのは興味深いところです。
5位は北海道新幹線は少子化解消に切り札になり得るかが入りました。各論が繰り返され相変わらず効果が上がらないとされる少子化対策ですが、きっと次の総選挙では「少子化対策に北海道新幹線札幌早期開業と日本海縦貫線強化を」と言ってくれる候補が出てくれると私は信じています。 少子季と言うと最近「子供部屋おじさん」なる謎ワードが出てきて戸惑っているところですが、子供部屋おじさん歴云十年のbrother-tが主張する以下の記事もぜひ読んでみてください。
「子供部屋おじさん」に思う
さていかがだったでしょうか?11月が皆様にとって良い月でありますように
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