つれづれなるままに

2015年10月

大塚久美子社長 単独インタビュー「大塚家具をどう変えるのか?」 @blogos 2015年10月20日より
経営方針の違いから創業者の父親と社長に就いた娘が対立する騒動で世間の注目を集めた大塚家具。3月の株主総会で娘の大塚久美子社長の続投が決まり、混乱は収束に向かっているが、経営の建て直しは道半ば。新しい事業戦略を打ち出し、2015年中間決算は赤字予想から一転黒字を達成した大塚久美子社長に単独インタビューをした。

さて世間を騒がせた騒動から半年大塚家具に関する情報がまたぽつぽつと出てきました。
前回の記事↓
親から見捨てられたかぐや姫は家具屋を救えるか〜大塚家具問題に思う〜

さてその前に企業の経営絡みの話なので少し決算を除いてみましょう。
平成27年12月期第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)@大塚家具

2015 2014 2013
売上高 30151 29856 28475
営業利益 493 743 543
経常利益 611 871 665
4半期純利益 359 742 559

2013,14,15年度の第2四半期決算(単位百万円)

第2四半期の決算という事で4〜6月の数字と思いきや第1四半期からの累計で1〜6月の累計になっています。2014年度もこのやり方なのでこれが流儀なのでしょう。ちなみに上の表では2014年度は消費税増税の影響があるため比較対象として2013年度の数字も載せています。
さて難しいと感じるのは売り上げは2年連続で増加しているものの利益関連の数字はこの3年間で最悪な所です。

大塚家具、お家騒動を逆手に業績回復させた大塚久美子社長の立ち回り@HARBOR BUSINESS Online2015/8/6より
経営権を巡る親子対立でメディアの注目を集めていた大塚家具が7月29日、6月の中間決算を発表し当初の業績予想を上方修正したと発表した。〜中略〜
この好調の要因となったのは、"お家騒動"が一段落した後に大塚久美子社長のもと実施した「大感謝フェア」と銘打たれた"お詫びセール"だ。〜中略〜
また、「父がすみません......」、「けんかしない!」などというセリフも出てくる騒動を逆手に取ったCMも各メディアで話題になるなど、騒動を今度は逆手に取ったプロモーションを行うなどネガティブな注目度ながら獲得したメディアの関心をポジティブなものへと変える戦略も功を奏しているようだ。
大塚家具の久美子社長はやはりただ者ではないね@大西 宏のマーケティング・エッセンスより
大塚家具のお家騒動も、その後の「大感謝フェア」が話題となり、5月の売上が前年同月70%増、6月が49.6%増と大盛況でした。親子対決に世間の目が大塚家具に釘付けとなりましたが、さらに株主総会で久美子社長の勝利が決まった後も、間髪をいれずに「大感謝フェア」を開催した行動力、またその後の情報発信力も見事というしかありません。勝久会長は、素晴らしい後継者を得たことになります


さて他の方はどう見ているだろうと調べたら上の様な記事が浮かび上がってきました。やはり大きいのは5〜6月に行われたお詫びセールの影響、実際4月までの落ち込みがひどかったせいか、取りあえず黒字決算である事業績予想を上方修正したことなどが好評価を導き出しています。

[画像:大塚家具2]
大塚家具 4月 5月 6月 7月 8月 9月
2015 82.5 170.0 149.6 105.2 105.0 86.0
2014 101.9 89.3 83.2 83.4 93.8 96.9
対2013 84.1 151.8 124.5 87.7 98.5 83.3
ニトリ
2015 95.7 124.3 113.3 116.9 110.3 114.9
2014 120.1 96.8 101.5 98.8 108.9 108.1
対2013 114.9 120.3 115.0 115.5 120.1 124.2

表:大塚家具とニトリ2013年比の月別売上推移(大塚家具月次情報ニトリ月次情報参照)

さてそれを踏まえて次に月次情報をニトリと比較して見ていきます。これを見るとニトリがおおむね2013年比15%以上の増収で推移しているのに対し、大塚家具はセールのあった5,6月を除くと2013年比マイナス、特に4月7月9月は10%以上の減収となっているのが目立ちます。5,6月の好調を騒動で来店を手控えていた顧客が1時期に集中したこと、あるいは騒動で興味を持ったお客さんによる1時的な現象と考えると実は4,7,9月の消費税増税前から15%売り上げが減少し、それがなかなか戻らず更なる減少も見込まれると言うのがが今の大塚家具の置かれた状況なのではないでしょうか?

経営情報 / トップメッセージ@大塚家具より
当社は実際には、暮らしを豊かにする品質の良いリーズナブルな商品を豊富に取り揃えています。 過去においては、低価格帯の商品を扱う家具店の台頭や中価格帯におけるメインプレーヤーとして即座に想起される家具店の不在により、顧客は低価格帯へ流出していました。 しかし今後、当社が「いいものを安く」提供する中価格帯のメインプレーヤーとして認知されるようになれば、低価格帯から中価格帯へと顧客が回帰していくことになるのです。 なお、比較的安定した需要のある高価格帯については、引き続き注力していきます。
反論!大塚家具、父・勝久会長が沈黙を破る@東洋経済2015年2月26日より
勝久会長としては、自身が開拓してきた、従来の会員制による対面販売を重視。祖父母・父母・子どもの三世代消費に対応し、あくまで高付加価値戦略を追求する、としている。〜中略〜
ニトリ、イケアを意識したら、間違える。家具は使い捨てじゃない。インターネットで、なんてダメ。われわれのよさは、最終的に商品をお届けしたときに、お客様にわかってもらえる」


果たして久美子社長はこの厳しい状況を乗り切れるでしょうか?正直な所難しいのではと感じます。上は久美子社長によるトップメッセージと父勝久前会長のインタビュー記事の引用です。ニトリ社長と同年代の勝久前会長は間違いなくニトリを意識してきたが上に感じているのだと思うのですが「中価格帯のメインプレイヤー」=「いいものを安く」と考えると嫌がおうにもニトリやイケアとの競合になります。全国16店舗の大塚家具にとって366店舗を展開するニトリと同じ土俵に立つのは命取りでしょうし、また北欧発祥でグローバルに展開しているイケアは低価格帯と言うよりも質を重視する中価格帯のプレイヤーと考えてもよくそれを低価格帯のプレイヤーとみなしているという事は値段では勝負にならないことをはたから認めている事となります。
確かに現在の大塚家具にとって空白に見える市場ですがニトリの量、イケアの質にはさまれて勝負になるとはとても思えません。
もし私が久美子社長なら、すこしづつ国内の個人から企業や店舗などに軸足を移すと思います。実際トップメッセージにはその点も多少は触れられているのですがガバメントを重視する久美子社長の持ち味を生かしつつと考えると個人よりもこちらかなと思います。ただ当たり前ですが大々的にやるので周辺企業のM&Aあるいは提携は必須にはなると思いますが・・・。
逆に言うともし大塚家具が久美子社長の元復活していくとしたら思いもよらぬところとの連携で波の高い青い海に漕ぎ出す時のような気がします。
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2015年10月08日00:28
カテゴリ
社会
雑感

アイドルが恋愛しちゃダメ? 交際発覚の少女に賠償命令@朝日新聞2015年09月30日より

東京地裁であった9月18日の判決によると、当時15歳だった少女は2013年3月、マネジメント会社と専属契約を結び、「異性との交際禁止」などの規約を告げられた。7月に6人組のグループとしてデビュー。ライブやグッズ販売などで220万円を売り上げたが、10月に男性と映った写真が流出して交際が発覚。会社はグループを解散した。

判決で児島章朋裁判官は、アイドルとは芸能プロダクション が初期投資をして媒体に露出させ、人気を上昇させてチケットやグッズなどの売り上げを伸ばし、投資を回収するビジネスモデルと位置付けた。

その上でアイドルである以上、ファン獲得には交際禁止の規約は必要で、交際が発覚すればイメージが悪化するとした。会社がグループの解散を決めたのも合理的で、少女に65万円の支払いを命じた。
遂に裁判沙汰「アイドル恋愛禁止令」 指原「やめません?」提案、ではももクロ妹分は?@J-CAST NEWS2015/09/27より
東京地裁は2015年9月18日、元アイドルの女性(17)に対し、かつての所属事務所などへ約65万円の支払いを命じた。女性は所属事務所と交際禁止の契約を結んだうえで、13年7月から6人グループで活動していたが、男性ファンとホテルへ行ったことが発覚し、グループは同年10月に解散した。地裁判決は、「交際発覚はアイドルのイメージを悪化させる」ことなどを理由に、女性に賠償を命じている。

さて先月末、こんなニュースが世間を賑わせました。
上野千鶴子 ‏@ueno_wan · 9月30日
「恋愛の自由」は基本的人権ではないのか。アイドル「交際禁止」契約違反に損害賠償の判決。契約違反以前に「交際禁止」を契約に入れること自体が公序良俗に反するだろう。裁判所の見識を疑う。
北原みのり ‏@minorikitahara · 9月19日
契約違反の問題以前に人権侵害。ファンタジーとリアルの区別、大人がつかなくなってどーする? 処女信仰の男のファンタジーこれ以上ケアして、どうするよ。
当然のことながら、その手の筋の人から「女性の人権侵害だ」、「処女信仰の男のファンタジーこれ以上ケアして、どうするよ」と言った批判が出ています。ただ個人的にはこのいまのアイドルの「交際禁止」を明言するやり方は非常に違和感があった上に芸能の業界でこんな些細な部分でわざわざ司法に持ち込むというやり方はリスクが大きすぎると感じていました。簡単に言えば上野千鶴子氏の言葉を借りれば「女性の人権侵害」を何故わざわざこんな公開的なやり方でやるでしょうか?
むしろ本当に本気でやるなら秘密裡にと言うのが普通の考え方なのではないでしょうか?だとしたら実はぱっとみでファンにご奉仕する為のこの「交際禁止」はむしろ逆にアイドルたちを守り、いきり立つファンをけん制するものと考えたらつじつまが合うのではと少し考えてみました。

昭和のアイドル 今のアイドル
多くの人に一枚づつ買ってもらう レコードの買い手 ファンに何枚も買ってもらう
学生など若者中心 ファン層 サラリーマンなど、30代以上も目立つ
テレビ中心 活動 ライブ中心
1人あるいは少人数(松田聖子) 人数 多人数のグループ(AKB48)
〜3年程度の短期(おニャン子クラブ:2年) 期間 長期間、20年近く活動するグループ(モーニング娘。:18年)もあり
少なくとも明言はしていない 恋愛禁止 明言

さて考えてみるといっても1990年前半と言うアイドル冬の時代に青春期を迎えた人間にとってはどっぷりアイドルにはまった経験はないので詳しくは書けませんが、ただおニャン子クラブに代表される昭和末期のアイドルもモーニング娘。以降の現在のアイドルも横目に見ていたので今のアイドル商売と昔のアイドル商売の大まかな違いはイメージできるのではと思ったので上の表を作ってみました。

さてまず目立つのはいわゆる「投票権ビジネス」の言葉に代表されるレコードの買い手の部分でしょうか?
昔のファンのイメージは「1枚のレコードを買って熱心に聴き続ける若者」でしたが最近のファンは「推しメンのために大量にレコードを買い投票するサラリーマン」と言ったイメージ、そしてそのファン獲得のための活動として昔はテレビやラジオなどのメディアに重きが置かれていたのがライブなどのイベント中心として距離感の近さを演出すると言うのが今のアイドルの活動と言った所でしょうか?

逆にこのやり方を考えていったときにリスクは何でしょうか?

AKB48握手会での嫌がらせ・トラブル@NAVERまとめより
藤江れいなが「ウザれいにゃん」という余り呼ばれたくないあだ名を100回以上言われた
秋元才加に中指立てて激怒させた
河西智美がファンにセクハラまがいの発言をされる
一部の不届きものとはいえ、ひどいなと思うのですが、一方でファンの人からして見たらやはりきつい労働をして得た少なくないお金を負担しているだけにアイドルに甘えたいという気持ちがあるのかなと感じます
ただイベントに関しては他人の目もあるし、またスタッフなどを配置して対策もできます。と言うよりもそのリスクを前提に仕事をしている以上それをきちんと行うのが運営する側の責任でもあります。
ただプライベートではどうでしょう。
非選抜アイドル [ 仲谷明香 ]より
P60
最後には公演での立ち位置やシングルでの選抜、非選抜と言った、AKB48の公的な活動でのポジションにも、如実に反映されるのである。

まず今のアイドルの現状をもう少し詳しく見ていきましょう。上の引用はAKB48の現役アイドルの書いた本からの引用なのですが、アイドルに限らず舞台で何かやる人にとっては重要な舞台での立ち位置やその他今後の芸能活動に関わる重要な部分を多くの人気を獲得したものに優先して与えることで、競争心をあおっていて、アイドルたちの努力を促すために大きなプレッシャーを与えていることがわかります。

非選抜アイドル [ 仲谷明香 ]より
P6
AKB48ではチームAに所属している。入団したのは2007年なのでもう5年目の比較的古参のメンバーだ。だから、2009年から始まったこの総選挙には、第1回から参加しており、この年でもう3度目になるのだった。〜中略〜
P62
AKB48のメンバーの中にはもともとかわいくて、すぐに人気を獲得できる者もいないわけではないけれど、大半のメンバーは長い努力と苦労の末に、それを努力して獲得していった

ただ一方で意外に運営側は割合長いスパンでアイドルたちの努力をみまもっているのも暗喩的な形ではありますが、見て取れます。AKBはトップアイドルだからそういった余裕がある可能性もありますが昭和のころに比べて年長のファンが増えたうえ、就職や結婚がファン卒業のきっかけとならなくなった結果、短期的な人気よりもファンとの信頼関係をきちんと築き長く応援してもらう方が良いと言う考えでこういった形になったと考えられないでしょうか?

遂に裁判沙汰「アイドル恋愛禁止令」 指原「やめません?」提案、ではももクロ妹分は?@J-CAST NEWS2015/09/27より
東京地裁は2015年9月18日、元アイドルの女性(17)に対し、かつての所属事務所などへ約65万円の支払いを命じた。女性は所属事務所と交際禁止の契約を結んだうえで、13年7月から6人グループで活動していたが、男性ファンとホテルへ行ったことが発覚し、
その上で考えると運営側にとって怖いのは信頼関係を失墜させることとなります。アイドルと言うのは若くてかわいらしい女性、特にファンにとっては尚更であるだけに、アイドルの立場で簡単に売り上げを増やすのには売上をバーターにファンと交際する事ではないでしょうか?とは言えそれは誰にも望むものではないでしょう。AKB48のキャッチフレーズで言えば「あいに行けるアイドル」だと思っていたら「ホテルに連れ込めるアイドル」ではファンにとって興ざめで信頼関係など築けないでしょうし、アイドルにとっても売上を上げるために性的サービスまで求められたらそれはアイドルではなく売春婦でしかありません。何よりもそれは女性が感じる幸せな恋愛の対極にあるものでしょう。そう考えると運営側が「交際禁止」を明言し、またそれを破ったアイドルに賠償金まで求める強硬な姿勢及びリベラルな判断を示しがちな地方裁判所がそれを認めるのはアイドルの女性としての恋愛の権利を守るための考えうる最もましな手段であり一種の妥当性があると感じるのは私だけでしょうか?
タグ :
#アイドル
#交際禁止
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