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参議院選挙2025特設サイト@NHKより
参議院選挙 自民・公明 過半数割れ【各党の獲得議席 全確定】@NHK2025/7/21より
20日に投票が行われた第27回参議院選挙。125の議席をめぐって争われ、各党の獲得議席が決まりました。
自民・公明両党は過半数の議席を維持できず衆議院に続き参議院でも少数与党となりました。石破総理大臣は比較第1党としての責任は重いとして総理大臣を続投する意向で21日に正式に表明する見通しです。
参院選投票率、58.52% 期日前は最多2618万人【25参院選】@時事通信2025年7月21日より
時事通信の21日午前2時半現在の集計によると、20日に投開票された参院選の投票率は58.52%となった。2022年の前回参院選の52.05%から上昇した。全ての都道府県で投票率が22年を上回った。
さて参院選終了から1週間たってしまいましたが感想戦の続きです。参政党に関しては以下からどうぞ
Choose or Loose1997消費税率変更の悲劇を避ける為の参院選2025エピローグその1:国を憂う愚直な良き隣人の政党の躍進と危うさ
世代別得票率を見る
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https://www.youtube.com/watch?v=NbGBSuGM_tU より
さてまずは世代別の比例得票率を見ていきましょう。ぱっと見では若い人の得票率の高い国民民主・参政党、高齢者の得票率の高い自民、立憲民主と言った感じです。
[画像:sanin2025_6]
各世代の得票率TOP3
世代別のTOP3を見るとまず印象に残るのは高齢者党と言う印象のある自民党が実は30代以下でも国民民主、参政党に次ぐ得票率3位でなんだかんだで第一党に留まり続ける強さを感じさせます。また興味深いのは3,40代の得票率1位が参政党と言う事でしょうか?比例得票数1位の国民民主党ですが、支持が20代以下に偏った結果と言えるのかもしれません。逆に参政党は60代でも3位に入る等印象とは裏腹に幅広い世代の支持を集めた感があります。そして70代では3位に維新が入っています。昨年の衆院選では自民、立民に次ぐ3番目の議席数を確保していたのが国民民主、参政党が躍進していく中で60代以下の現役世代の中で存在感を失ってしまったのかもしれません。
国民民主党〜党首玉木雄一郎の迷い?〜
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国民民主党籠島候補
さて今回の参院選において参政党に並ぶ主役、比例得票数では激戦を制し自民に次ぐ2位にのし上がった国民民主党結果だけを見ると改選議席は13もの激増、新勢力は自民、立民に次ぐ3番目の22議席と大躍進を遂げました。ただ選挙戦を見ると党と言うよりも党首玉木氏の迷いを感じずにいられませんでした。
山尾志桜里氏 国民民主党に離党届提出"党の統治能力に疑問"@NHK2025/6/12より
夏の参議院選挙をめぐり、国民民主党は11日の両院議員総会で、比例代表に擁立するとしていた山尾志桜里元衆議院議員について、党内から過去の不祥事に対する説明が不十分だという意見が相次いだなどとして、公認しないことを決めました。
これを受けて山尾氏は12日、声明文を発表しました。
この中では「大変残念だ。おとといの記者会見のあと、24時間もたたないうちに性急な結論をちょうだいしたことには正直驚いた。『有権者、全国の仲間、支援者からの十分な理解と信頼が得られない』とのことだが、公党の判断理由として有権者に説得力を持つものなのか疑問もある」としています。
そのうえで「正式な公認内定を受けても党の都合で排除されてしまう政党では、志のある人も今後、立候補の決断にちゅうちょしてしまうのではないか。国民民主党には感謝しつつ、その統治能力には深刻な疑問を抱いているので、今後は一線を画させて頂きたい」として離党届を提出したことを明らかにしました。
それを一番感じたのは山尾志桜里元衆議院議員の擁立問題でした。確かに彼女には様々な疑惑があったのですが、それでも擁立を決めて反発があってすぐ引っ込めるごたごたは多くの支持者の気持ちを冷ましたのではないかと思います。ただ玉木氏の立場からすれば山尾氏はすでに衆議院で活躍してきた経験もある即戦力で難のあっても擁立しようという話だったのかもしれません。
ただこの擁立劇自体がある意味で加熱していた支持を冷ますために行われたように思えてなりません。実際昨年の総選挙で躍進したとはいえ衆院での議席数は第4党28議席、参議院でも選挙前の段階で9議席と言う中小政党のままでは出来る事は限られます。仮に与党になるにしても「高齢者党」である自民・立民の顔色を窺いその事により躍進を支えた若い世代の支持層離れを起こすことは間違いないです。山尾志桜里氏の騒動の背景には政治家の人材不足もあるでしょうが、躍進したとはいえ、まだまだ大きくない勢力を十分な勢力にしていくのに時間がかかるという中での玉木氏の苦悩があったのかもしれません。とは言え結果的には富山・山梨などの選挙区を取ったとは言え30代以上の世代への支持を広げられたとは言えない、そんな状況で頭を痛めそうです。
立憲民主・維新・れいわ〜参政党の躍進の中での埋没〜
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維新候補者ちば修平氏の幟
さて続いては参政党の躍進の中、埋没した3党、立民増減なし、維新・れいわ1議席増なので敗北と言い切れない部分があるとはいえ、埋没した印象があります。
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東京選挙区音喜多氏の得票数(上:今回、下:2019年時)
維新に関しては今回社会保障改革を政策として取り上げていて若い世代の支持を期待していたと思われますが、結局の所支持を得られず、埋没してしまいました。象徴的だったのは東京選挙区の音喜多候補、8位だったので善戦とみる向きもありますが当選した2019年に比べて30%近い得票数と40%以上の得票率を失っているのが現状を示しているように思います。2019年段階では表現の自由等新しいテーマを出す候補者だったのですが、社会保障改革自体が不十分と見る向きがあるとはいえ、高齢者党である自民・立民でも話し合われ、少しずつ改善が行われたテーマであり、また少なからず反発を招くテーマだけに、高齢者の信頼を得られる様な人徳が必要で、今の関西以外の維新ではそういった候補は少なく、むしろ「良き隣人」に見える参政党の候補者たちに見劣りしてしまった面が大きいのではないかと思います。
【参院選】れいわ山本太郎代表 投票日の選挙特番に生出演なし 開票センター設置せず@東京スポーツ2025年7月8日より
れいわ新選組は、20日の参院選開票時に山本太郎代表や他の議員の生中継での出演、記者会見は行わないことを8日、発表した。
各党は参院選で開票が始まる午後8時以降に開票センターからテレビ、ラジオ、ネットなどの選挙特番で、応じるのが恒例となっている。
れいわは「開票センターは、今回設置をいたしません。したがって、山本太郎代表および他の党所属構成員による生中継での出演・記者会見は、一律で行いません。『生出演が不可であるならば、開票日特番用の事前収録』といった対応も行いませんので、予めご了承ください。本方針は、いかなる場合であっても変更はいたしません」と発表した。
れいわに関しては開票日のTV生出演拒否が話題になりました。ネットで支持を広げた政党らしくマスメディアを軽視したのかもしれませんが、不要な軋轢を生み出す姿勢が生活にシビアさが増す有権者にとって支持しづらかったのではと思われます。
立憲民主党、議席横ばい・比例4位 参院選「明らかに負け」の声@日経新聞2025年7月22日より
立憲民主党は22日の執行役員会で参院選の結果を分析した。改選22議席から上積みできず、比例代表の得票数は国民民主党や参政党の後塵(こうじん)を拝する4位に終わった。党内では「明らかな敗北だ」との声もあがり、執行部への不満がくすぶる。
さて最後に立憲民主党ですが、多分一番深刻なのはこの政党のように思います。昨年の総選挙では大幅議席増となった訳なのですが、これは野党第一党として多くの候補者を立て、与党批判票の多くを得る事が出来たからですが、ある意味今回は比例得票率が国民民主、参政党に次ぐ4位にまで落ち込み、最大の売りである「野党第一党」が揺さぶられたのが大きいと思います。選挙区でも茨城県選挙区の様に参政党の後塵を拝し落選の憂き目を見た選挙区も現れました。かつても維新の様な比例得票数で上回る政党もありましたが彼らが全県に候補者を擁立するケースが無かった事を考えると極論ですが党存続の危機に立っているのかもしれません。
公明党・共産党支持者高齢化の中で
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公明党佐々木候補
続いては公明党と共産党、共に岩盤支持層の高齢化による体調が言われる政党で公明党は13→8議席、共産党は7議席→3議席と大きく減らしています。 sanin2025_8
佐々木候補の落選した神奈川選挙区
公明党の場合、比例票の減少も大きいですが、それ以外にも投票率の向上、更に選挙区ではこれまで票の分配の上手さで固定票を最大に生かして多くの議席を確保していたのが参政党の躍進で振り回された面も大きいです。実際写真の佐々木候補の神奈川県をはじめ埼玉県、愛知県の3選挙区で参政党当選の次点と言う形での落選があります。ある意味で参政党の影響を最もダイレクトに受けたのかもしれません。
もっと早く、こういう報道してほしいなぁ。
— 田村智子 (@tamutomojcp) July 19, 2025
参議院選の始まりから、根拠のない主張が政党の党首から振り撒かれたのですから。#ジェンダー平等 #選択的夫婦別姓 #婚姻の自由 https://t.co/vVTpCEWTXY
共産党に関しては女性党首である田村委員長、これまで消費減税を言い続けてきた政党でそこだけを見れば、躍進する可能性もあったと思いますが、多分女性党首が「選択的夫婦別姓」に代表されるジェンダー系の政策を話せば話すほど、物価や経済を何とかしてほしい有権者から見れば、優先分野を後回しされそうに感じたのではないかと思います。
自民党〜隠れた最大の勝者石破茂〜
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13議席減、公明党も含めた与党全体で参院の過半数議席を失う、本来なら大敗と言う他ない自民党、そして本来なら有無を言わさずに総理・総裁辞任となりかねない展開ですが、石破首相はすぐ続投を表明し、続投を求めるデモ迄起こりました。
Choose or Loose1997消費税率変更の悲劇を避ける為の参院選2025エピローグその1:国を憂う愚直な良き隣人の政党の躍進と危うさより
圧倒的な議席を抱える野党第一党の立憲民主党野田総裁にはこの自民大敗の事態でも首相の話が出ないなど人望が無く、ここ最近急成長している国民民主党玉木代表には火中の栗を拾う覚悟がない
その背景には1つは与党が衆参で過半数割れしても野党には適当な総理候補がいない上、参政党がメディア、左派野党に嫌われながら躍進した結果、石破首相が辞めた後の総理候補高市早苗氏が参政党を巻き込む形で連立組み換えと言う形は避けたいと言うのがこのデモの背景にあるのではと思います。選挙に大敗したのにではなく選挙に大敗したからむしろ政治基盤が固まってしまうという摩訶不思議な状況を作り出したという意味で実はこの選挙の主役・勝利者は参政党でも国民民主党でもなく石破茂首相なのではないかとさえ思ってしまいます。
NHK党の敗北とメディアの未来
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さて最後に取り上げるのはNHK党、個人的には彼らが議席を取れなかったのにはびっくりしました。ただ少し経つと実は意外に納得いったのも確かです。色々な見方はあると思いますが個人的には彼らのコアの部分はNHKを中心としたマスメディアが「責任を問われない第4の権力」であるにも関わらずその責務を全うしていないのを正したいというのがあり、それが一定の支持を受けていたのがこれまでだったのですが、それが変わってしまったというのが今回の選挙結果なのではと感じています。変わったというのはマスメディアが心を入れ替えて全身全霊で責務を全うした訳ではなく、「第4の権力」としての力をどんどん失った、言い換えるならもう相当数がTVや新聞を見て選挙を考えなくなったというのが大きいと思います。この選挙が終わったら最大3年間選挙のない、言い換えればこの選挙は政治の季節の終わりを告げる選挙だったわけですが次の季節では多分権力を失ったマスメディアに大きな動きが起こりそうな気がします。1990年代の金融ビッグバンのメディア版が起こるのではないかと言うのが正直なところです。
参政党「神奈川新聞記者排除」の意味 「参院選で妨害」と主張するが...トランプ流「メディア選別」日本でも?@東京新聞2025年7月26日より
参政党の神谷宗幣代表らが出席した定例記者会見を巡り、同党が神奈川新聞記者の出席を認めず会場から排除する事態が起きた。同党は当初、記者に対し「事前登録が必要」と理由を示していたが、24日に文章を発表し、選挙中に「取材に名を借りた妨害行為に加担」したなどと説明を変更させた。「権力によるメディア選別」と識者からも批判が上がっている。
今回の選挙で躍進した参政党が定例記者会見で神奈川新聞の記者を排除したという話があります。当然良い事ではないとは言え、それを責める声はかつてなく小さく思います。私自身この話を聞いたときに思い浮かんだのは「人口900万の神奈川の県紙と言いながら15万部以下の発行部数しかないから足元を見られたのでは」と言う事でした。そして東京新聞の書く様な反発がこれまで以上に広がっていかない状況を考えると、これからのメディア改革は現場の改善ではなく経営レベルでの大きなものにならざるを得ないのではと思います。
如何だったでしょうか?昨年末から吹き荒れた反自民を中心とした熱風、その熱風吹きすさむ季節はこの選挙の終了を機に徐々に終わりを告げていくと思います。その中でどう生きていくかこれからはそこが大きなテーマになってくるような気がします。読者の皆様も私も新しい季節を良く過ごせることを祈りつつ今回の選挙特集を終えようと思います。
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