2023年07月
高齢者福祉か、子育て支援か5公5民時代のむなしいゼロサムゲーム
さて論説系の御田寺圭氏と経済アナリスト(?)の藻谷浩介氏が同じような事を書いていてびっくりしました。簡単に言えば「高齢者を中心とした福祉予算を減らして子育て支援に向けろ」と言う意見です。
国民負担率47.5%で「五公五民」がトレンド入り「日本中で一揆が」「江戸時代とどっちがマシ」の声@SmartFlash2023/2/22より
2月21日、財務省は、2022年度の「国民負担率」が47.5%になる見込みだと発表した。過去最大だった2021年度の48.1%をやや下回ったものの、国民所得のほぼ半分を占めている。
nenkin
表:年収300万円(月収25万円)での税金・社会保険料負担額・率(参照:厚生年金、協会けんぽ・介護保険、雇用保険料、所得税@国税庁、住民税@横須賀市)
確かに前提条件として、5公5民と言う言葉が言われるようになり、現役世代の負担が限界に近付いている為、負担増を伴わない前提で言えば既存の予算リソースのどこかを削って別の事に回すという側面があるのは分からなくはないです。
高齢者福祉の削減が現役世代に押し付ける高齢者への負担と決断
【親などを介護する場合の不安の有無】
kamotsu1
[画像:7301]
介護について知る@朝日生命より
ただし「高齢者向けを中心とした福祉」の受益者が単純に高齢者化と言われたらそこまで単純でもありません。例えば上の生命保険会社のアンケートでは現役世代の多くが現状の介護に関して「肉体・精神・時間・経済的な負担」の大きさに不安を感じていて、かつ半数近くが「現状の公的介護は不十分」と感じています。この中で福祉を減らし介護保険を縮小する事は現役世代の負担増加に繋がると言えますし、それが出生率低下につながる可能性も否定できないと言えるのではないでしょうか?
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親への仕送りをしている世帯の割合や金額は? トラブルの避け方も紹介@朝日新聞Re:ライフ.netより
また金額的には最大と言える年金に関しても同様の事が言えます。上は新聞社による親への仕送りに関するアンケートですが、現状親世代に仕送りをしているのは2%程ですが、年金の縮小はそれを拡大し、現役世代の負担拡大につながる可能性が大きいです。「高齢者への福祉を縮小し、子育て支援に」と言うのは一見聞こえは良いですが、高齢者を支える、そして言い方は悪いですが切り捨てる判断を行う役割を現役世代の個々人に押し付ける形と言うのが現実に起こりうる光景に見えます。それは現役世代の負担を軽減させるのとは逆の方向に作用すると感じるのは私だけでしょうか?
高齢者たちが育ててきたストックからの所得で世代間対立を緩和できないだろうか?
増税などの現役世代への負担増加、高齢者への福祉削減も簡単には難しい、そんな中で「じゃぁどうしたらよいんだ」と思われる方がいるかもしれません。ただそれを考える際に忘れてはならないのはストックの視点かもしれません。日本が衰退したという人が多いですが、日本はまだ32連連続で世界最大の対外純資産を持つ国と言うのは何かを物語っています。
7302
2022年度の運用状況@GPIF
当然対外純資産ではあいまいですがその中で大きな存在感を持つ年金基金を見ると面白い事が分かります。2022年度の収益額は2.9兆円、配当などのインカムゲインは3.7兆円に対し国庫納付は3800億円と収益の20%未満となっています。これは2002年度からの通算でも108兆円に対し18兆円弱とやはり20%未満となります。せめてこれが50%となれば年平均利回り3%として半分で3兆円、今との比較でも2兆円以上使えるお金が増える訳です。その為の大前提としてはこの基金は当然将来の年金支払いの為の大切な資金ですから安易に取り崩すべきお金ではないですし、また政治的な人気取りの為の道具にするのも好ましい事ではないです。ただ少なくとも短期的に政権交代が起こらないであろう政治的に安定している今、将来の年金支払いのためとはいえ、実質活用されていない資産からの配当を活用を検討するのは実質的に現役世代の利益にすらつながらない世代間対立を煽るだけの結論に陥りそうなゼロサムゲームからの脱却を考えると意味のある事に思えます。言うなれば、高齢化でフローの所得が伸び悩んだのを高齢者たちが育ててきたストックからの所得でフォローする、それこそ現役世代と高齢者の対立を緩和し、これからの高齢社会を上手く回す手段と感じるのですがいかがでしょうか?
ついに岸田総理が「扶養控除の廃止」を検討しだしたヤバい理由...「田舎の高齢者政党」自民党の哀しき限界@週刊現代2023年7月3日より
年間3.5兆円の予算を投じる、少子化対策の「加速化プラン」を発表するなど、様々な点でこれまでの政権とは一線を画す岸田政権の「異次元の少子化対策」であるが、しかしいざ財源の議論になると歯切れが悪くなり、現役世帯向けの控除を廃止したり社会保障負担を増額したりと、事実上の「現役世代同士のカネの奪い合い」という奇妙な方法論を出さざるを得ないという現状がある。〜中略〜
自民党だって、現役世代で負担を押し付け合わせるようなやり方で「子育て支援」の財源を捻出するのはちぐはぐだし不合理であることくらい理解している。
だからといってその財源を、年間100兆円を超える高齢者福祉(医療・介護)から取ってくるという選択もできないジレンマに陥っている。それはまさしく自分たちの票田に弓を引くような真似だからだ。
出生率の低い首都圏の日本人は生物学的には絶滅へ 生き残るのは職住環境が安心な"過疎自治体"@AERA.net2023/7/29より
藻谷:主要国で最初に65歳以上人口が増えない時代を迎えるはずです。すでに全国約1700自治体のうち、過疎地を中心に300近い自治体で70歳以上人口が減り始めました。こうなれば福祉予算を減らして、子育て支援に予算を振り向けられるようになります。それで子育て環境が整えば、子どもが増え始めるでしょう。私はそう予測しています。
さて論説系の御田寺圭氏と経済アナリスト(?)の藻谷浩介氏が同じような事を書いていてびっくりしました。簡単に言えば「高齢者を中心とした福祉予算を減らして子育て支援に向けろ」と言う意見です。
国民負担率47.5%で「五公五民」がトレンド入り「日本中で一揆が」「江戸時代とどっちがマシ」の声@SmartFlash2023/2/22より
2月21日、財務省は、2022年度の「国民負担率」が47.5%になる見込みだと発表した。過去最大だった2021年度の48.1%をやや下回ったものの、国民所得のほぼ半分を占めている。
nenkin
表:年収300万円(月収25万円)での税金・社会保険料負担額・率(参照:厚生年金、協会けんぽ・介護保険、雇用保険料、所得税@国税庁、住民税@横須賀市)
確かに前提条件として、5公5民と言う言葉が言われるようになり、現役世代の負担が限界に近付いている為、負担増を伴わない前提で言えば既存の予算リソースのどこかを削って別の事に回すという側面があるのは分からなくはないです。
高齢者福祉の削減が現役世代に押し付ける高齢者への負担と決断
【親などを介護する場合の不安の有無】
kamotsu1
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介護について知る@朝日生命より
ただし「高齢者向けを中心とした福祉」の受益者が単純に高齢者化と言われたらそこまで単純でもありません。例えば上の生命保険会社のアンケートでは現役世代の多くが現状の介護に関して「肉体・精神・時間・経済的な負担」の大きさに不安を感じていて、かつ半数近くが「現状の公的介護は不十分」と感じています。この中で福祉を減らし介護保険を縮小する事は現役世代の負担増加に繋がると言えますし、それが出生率低下につながる可能性も否定できないと言えるのではないでしょうか?
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親への仕送りをしている世帯の割合や金額は? トラブルの避け方も紹介@朝日新聞Re:ライフ.netより
また金額的には最大と言える年金に関しても同様の事が言えます。上は新聞社による親への仕送りに関するアンケートですが、現状親世代に仕送りをしているのは2%程ですが、年金の縮小はそれを拡大し、現役世代の負担拡大につながる可能性が大きいです。「高齢者への福祉を縮小し、子育て支援に」と言うのは一見聞こえは良いですが、高齢者を支える、そして言い方は悪いですが切り捨てる判断を行う役割を現役世代の個々人に押し付ける形と言うのが現実に起こりうる光景に見えます。それは現役世代の負担を軽減させるのとは逆の方向に作用すると感じるのは私だけでしょうか?
高齢者たちが育ててきたストックからの所得で世代間対立を緩和できないだろうか?
日本の対外純資産、円安で過去最高を更新...32年連続で世界一418兆6285億円@読売新聞2023年5月23日より
財務省が26日発表した2022年末時点の対外資産・負債残高によると、対外純資産は前年末比0・2%増の418兆6285億円で過去最高を更新した。円安の進行で、外貨建て資産の評価額が円換算で膨らんだ。32年連続で、世界最大の対外純資産を持つ国となった。
増税などの現役世代への負担増加、高齢者への福祉削減も簡単には難しい、そんな中で「じゃぁどうしたらよいんだ」と思われる方がいるかもしれません。ただそれを考える際に忘れてはならないのはストックの視点かもしれません。日本が衰退したという人が多いですが、日本はまだ32連連続で世界最大の対外純資産を持つ国と言うのは何かを物語っています。
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2022年度の運用状況@GPIF
当然対外純資産ではあいまいですがその中で大きな存在感を持つ年金基金を見ると面白い事が分かります。2022年度の収益額は2.9兆円、配当などのインカムゲインは3.7兆円に対し国庫納付は3800億円と収益の20%未満となっています。これは2002年度からの通算でも108兆円に対し18兆円弱とやはり20%未満となります。せめてこれが50%となれば年平均利回り3%として半分で3兆円、今との比較でも2兆円以上使えるお金が増える訳です。その為の大前提としてはこの基金は当然将来の年金支払いの為の大切な資金ですから安易に取り崩すべきお金ではないですし、また政治的な人気取りの為の道具にするのも好ましい事ではないです。ただ少なくとも短期的に政権交代が起こらないであろう政治的に安定している今、将来の年金支払いのためとはいえ、実質活用されていない資産からの配当を活用を検討するのは実質的に現役世代の利益にすらつながらない世代間対立を煽るだけの結論に陥りそうなゼロサムゲームからの脱却を考えると意味のある事に思えます。言うなれば、高齢化でフローの所得が伸び悩んだのを高齢者たちが育ててきたストックからの所得でフォローする、それこそ現役世代と高齢者の対立を緩和し、これからの高齢社会を上手く回す手段と感じるのですがいかがでしょうか?
小樽市で開催の並行在来線廃止「問題提起」セミナー 小樽市長や地元代議士らおよそ40名が参加@Yahoo!ニュース2023年7月12日より
小樽市倫理法人会は、2023年7月8日(土)の経営者モーニングセミナーで、交通コンサルタントの阿部等氏らを講師に招き、長万部―小樽間で廃止の方針が決定された北海道新幹線の並行在来線問題を提起するセミナーを開催。
セミナーには、小樽市の迫俊哉市長のほか、中村裕之衆議院議員とおおつき紅葉衆議院議員も出席。地元トップが勢揃いし、小樽市のほか余市町や倶知安町などからもおよそ40名が出席した。
冒頭に登壇した経済ジャーナリストの櫛田泉氏は、並行在来線の廃止の方針が決定されたプロセスについて、密室協議の場で同程度の鉄道路線のおよそ7倍の経費で赤字額が見積もられ廃止の結論が導かれたことを指摘。
特に、輸送密度が2000人を超えている小樽―余市間については、朝ラッシュ時の乗客をさばくためには10台以上のバスが必要になること。沿線にバス路線網を展開する北海道中央バスがドライバー不足を理由に、鉄道代替バスの引き受けを断り続けていることにも触れられた。
北海道新幹線「並行在来線」代替バス案の理不尽地元バス会社は「話を聞いていない」と憤る@東洋経済2023年3月21日
バス転換の留萌本線、「鉄道代替交通」は前途多難@東洋経済2023年7月11日より
2023年3月31日の運行をもって、JR北海道の留萌本線留萌―石狩沼田間35.7kmが部分廃止となった。留萌本線の廃止は、2016年12月の増毛―留萌間16.7kmに続くもので、2026年3月末には残る石狩沼田―深川間14.4kmが廃止となり、留萌本線の全線が廃止となる予定だ。
しかし、留萌本線の代替交通を担う沿岸バスは早くも4月28日になり、深川経由で留萌と旭川を結ぶ留萌旭川線について、関係自治体と今後の存廃協議を進めていることを公表。鉄道代替交通の持続可能性については、すでに暗雲が立ち込めている。
留萌旭川線 時刻表@沿岸バスより
■しかく重要なお知らせ 留萌旭川線(留萌十字街〜碧水〜秩父別役場前〜深川十字街〜神居古潭〜旭川駅前)は、地域間幹線系統として国・北海道から多額の補助を受けていますが、これら補助金をもっても欠損を賄いきれず、著しい赤字が続いています。現在、関係市町と今後の存続について協議を進めています。
留萌線(石狩沼田・留萌間)バス転換後の 新しい交通体系について@JR北海道
さていきなり長々と引用しましたが本州のJR旅客線に先行して、赤字旅客線の存続について話し合われ、路線の廃止が決定したり実際廃止になった北海道で鉄道廃止後の交通を担うバスに関する話題が出てきました。前者は北海道新幹線開業を機に並行在来線として鉄道廃止の方針が決まったとされる長万部〜小樽間で特に利用者の多い小樽〜余市間でこの問題に対し提起する会合に小樽市長や与党自民党の中村裕之衆議院議員を含む複数の衆議院議員が参加した事、そこで「北海道中央バスがドライバー不足を理由に、鉄道代替バスの引き受けを断り続けている」事衝撃的な事実が共有された話、後者は3月に廃線になった留萌本線留萌―石狩沼田間でJR北海道で代替バスとしてプレスリリースが出された留萌と旭川を結ぶ留萌旭川線に関して鉄道廃止から2か月足らずでバスの方も存続に関する協議を進めているという記事です。
どちらもかつて見られなかった光景の様な気がします。廃線代替バスの早期の廃止と言っても2〜3年程度は最低でも経っていましたし、そもそも鉄道廃線からわずかな期間でバスの廃線も出るのは沿線自治体及びJRの計画がきちんとしていなかったという事でもないかと思われます。
それ故に小樽市長及び地域の有力政治家たちが情報収集に走ったのでしょう。そして浮かび上がったのはドライバー不足と言う点ではないかと思います。
ドライバーがいない〜平成と令和のバス転換事情〜
[画像:syowa_heisei]
グラフ:平成2年(1990年)、令和2年(2020年)の現役世代の5歳刻み人口(平成2年、令和2年の国勢調査より作成e-statより作成)
さて平成期にはなかなか見られなかった光景が令和になって見られるようになった背景、それは少子化による労働人口、特に若い世代の人口の減少が挙げられます。上は平成2(1990年)と令和2(2020)年の15〜69歳の5歳刻みの人口を並べたものです。平成2年を見るとこれから社会に出るであろう学生を含む15〜24歳の人口が25歳以降の人口より多く、バス転換を図るとしてバス会社が新たにドライバーを雇用するのに地域に若い人がいないという事は無かったのではと感じます。その一方令和2年を見ると世代が若くなるほど人数が減っていき、地域の若い人がどんどん減っていて新しくバス転換をするにしても若いドライバーの確保が難しくなっているであろうことが見て取れます。
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表:バス運転者不足問題とその改善の方向性について 近畿大学経営学部 後藤 孝夫@2018年3月6日(火)開催地域バス交通活性化セミナー 「路線バス運転手確保とバス交通の活性化」報告資料 より
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年齢別大型2種免許保有者 運転免許統計令和4年度版より作成
※(注記)グラフ作成時の計算ミスがあったため差し替えました。失礼しました。(2023年8月4日)
それだけではありません。バスの運転手に必要な大型2種免許保有者を見ると更に絶望的になります。比較的若い30代以下はわずか5.1%、企業で言えば定年退職者にあたる60代以上で約60%を占めています。現役世代でも50代が24%で40代以下が16.7%と50代が過半数を占め、普通に考えればこの50代のドライバーの引退をどう補っていくかと言うのが大きな課題で、このドライバーが5年後10年後完全にドライバーを引退しているとは思えませんが、それでも一般的には第一線を引いている年齢と言えます。。
大型2種
表:バス運転者の有効求人倍率@統計からみるバス運転者の仕事@厚生労働省より
その為他の業種に比べても倍近い有効求人倍率となり、ドライバー不足が顕在化しています。このドライバー不足の中で新しく鉄道を廃止してそれをバスで補おうにも現状の路線を維持するので手一杯となるのではないでしょうか?
taxi
表:タクシー運転者(男性)の年齢別構成比率の推移@タクシー事業の現状について 国土交通省より
またバスがダメなら乗り合いタクシーと言うのはよく聞きますが、そちらもも厳しいです。10年近く前の統計ですが2014年段階でもタクシー運転手の60歳以上の比率は50%以上となっています。2001年14.1%だった事を考えると急激に高齢化しています。実際コミバスで運営しているタクシー会社の倒産によって運行停止(ただし現時点では別会社で復活)したケースもあります。
Choose or Loose〜ポストコロナ時代の統一地方選挙〜その3あるコミバスの運行停止が語る令和の新しい常識
こうして見るとこれから労働市場に入ってくる若い人の多かった平成期に比べて若い労働力が少子化で激減した現在は相当厳しくなっている、赤字鉄道路線のバス転換に関してはこの事を意識せざるを得ないと言えるのではないかと思います。
2010年と言う転換点〜若者のクルマ離れと免許返上が導く緩やかな脱クルマ社会〜
9割以上の人が「今後さらにクルマ離れは加速する」@DIME2023/5/13より
まずは、自分自身や、自分自身より若い世代などを見て「車離れ」を感じたことがあるか聞いてみた。
60代以上の半数以上である63%の方が、自分自身や、自分自身より若い世代などを見て車離れを感じたことが「ある」と回答した。50代の方は57%、40代の方は52%と、年代が下がるにつれて車離れを感じたことが「ある」比率が減っているのが印象的。〜中略〜
「維持費の問題」や「物価は上がったが賃金は上がらないため」といった理由が多く挙げられていた。ほかにも「車を持たずとも生活に困らないくらいには交通の便が発達しているから」といった意見もあった。〜中略〜
続いて、今後車離れはさらに加速していくと思うかを聞いてみた。60代では98.4%と、ほとんどの方が今後「車離れ」はさらに加速していくと「思う」と回答した。
ただ赤字鉄道路線の問題に関して、「自動車が便利だから」と思われる方が多いかもしれません。しかし2023年の今それが当てはまらなくなりつつあるのではと感じます。上の引用は若者のクルマ離れに関して30代以上にアンケートしたものなのですが興味深いのは就職氷河期以前の世代が特に「若者がクルマ離れしている」と感じている事、そして就職氷河期以降の世代も含めて過半数が「若者がクルマ離れ」していて90%以上の人が「維持費の負担」など経済的理由から今後その傾向が加速すると認識している事です。ある意味団塊の世代〜所謂バブル世代と言う「クルマ社会を推進してきた」世代が就職氷河期以降の世代全体で「クルマ離れ」の定着を感じ、そして全世代で今後「クルマ離れ」が進むと思っているというのが現状ではないかと思います。
menkyohenjo
運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移@警察庁
そしてクルマ社会を推進してきた世代がいつまでも車に乗り続けるかと言われたらこれも潮目が変わって来ています。何かといえば免許返納が定着してきたのです。平成中期の2002年には1万人未満だったのが2017年以降6年連続で返納者が年40万人を超えています。コロナ禍で減少はしていますがこれが2002年の1万人未満に戻ることは無いと思われます。言って見れば「クルマに最も熱心だった世代」も高齢化で「クルマを手放す」時期に入ってきたわけです。 大型2種
表:乗り合いバスの輸送人員@統計からみるバス運転者の仕事@厚生労働省より
その結果平成期2010年くらいまで減り続けてきたバスの利用者は2010年代コロナ禍に入る前まで人口減少下に関わらずわずかながら増加トレンドに入った訳です。言って見れば平成時代に進んだクルマ社会化が2010年前後を機にその拡大を止め、むしろ令和は緩やかな脱クルマ社会になってきているとすらいえるのかもしれません。確かに「地方の人はクルマを手放さない」と言う見方もできるのですが、単純に地方とだけ言えないのは赤字旅客線で問題になっている路線には県庁市クラスの都市への乗り入れ路線もあり、また5万人クラスの都市が沿線にない路線はさすがに少数と考えると単純にそうも言えなくなります。そうなってくるとバス運営者にとっては50代が主力となっているドライバーの世代交代の為にドライバーを確保する必要があり、廃線となった鉄道の代替バスの為にドライバーが確保できる保証はどこにもないわけです。
転換バスの運転手をどこから連れて来るか
市自ら選んだ「攻めの鉄道廃止」 JR石勝線夕張支線、代替バスはどう「進化」したのか@のりものニュース2019年4月21日より 2019年3月31日(土)をもって127年の歴史に幕を閉じたJR石勝線の夕張支線(新夕張〜夕張間16.1km)。この鉄路に代わり運行を開始したのが、夕張市に本社を置く夕張鉄道(夕鉄バス)が運行する路線バス「夕張市内線」です。鈴木直道前夕張市長(現北海道知事)による「攻めの廃線提案」から3年弱かけて運行実現に至ったこのバスには、これまでの鉄道代替バスの事例にとらわれない、持続可能な交通体系への実現を成しとげようとする夕張市の姿勢が見えてきます。〜中略〜 その後、JR北海道は社内に夕張市内の交通体系見直しなどに協力するプロジェクトチームを設置し、課長級の社員1名を夕張市へ派遣します。さらに、2018年3月23日、夕張市とJR北海道は、新夕張〜夕張間の鉄道事業廃止について、次のような条件で最終合意に至ります。 ・鉄道事業廃止日を2019年4月1日とすること。 ・JR北海道は、夕張市に対して、持続可能な交通体系を再構築するための費用として7億5000万円を拠出すること。 ・JR北海道は、夕張市が南清水沢地区に整備を進めている拠点複合施設に必要となる用地を一部譲渡すること。
そう言った厳しい環境の中ある程度長く続く転換バスを走らせるとしたらどうしたらよいのでしょうか?それを考えるのに面白そうな例があります。鈴木北海道知事が夕張市長だった時期に行った石勝線夕張支線の「攻めの廃線」です。このバス転換の特徴として
・JR北海道との協力による綿密な計画
・JR北海道による用地一部譲渡や7.5億円もの経済的負担
夕鉄バス 夕張営業所時刻表より
新夕張駅〜新札幌 普通 3 158分
リスタ〜新札幌 急行 3〜4 103分
新夕張駅〜夕張市石炭博物館 7〜8 47〜8分
新夕張駅〜リスタ 0〜1 14分
夕張本社ターミナル〜夕張市石炭博物館 2〜4 13分
そして廃線から4年経った現在でも夕張支線の代替区間と言える新夕張駅〜夕張市石炭博物館で7〜8往復、新札幌方面への路線と接続する区間便を合わせれば10往復以上、夕張支線廃線1年前の本数が9往復でしたからその時期以上の利便性を確保できています。
夕鉄バス、札幌〜夕張間など3路線を廃止。JR夕張支線廃止から4年で@タビリス2023年3月14日より
夕鉄バスを運行する夕張鉄道は、新札幌駅前を発着する3路線について、2023年10月1日に廃止することを明らかにしました。
廃止となるのは、以下の3路線です。
・新夕張駅前〜栗山駅前〜新札幌駅前(3往復)
・りすた〜由仁駅前〜新札幌駅前(急行、5往復)
・栗山駅前〜南幌ビューロー〜新札幌駅前(4往復)
夕鉄バスは、夕張市、栗山町、由仁町、長沼町、南幌町から北広島市、江別市を経由し札幌市までの地域をまたぐ路線を4路線運行していて、そのうちの3路線を廃止することになります。南幌東町〜新札幌駅前の路線については、運行を継続します。
夕鉄バスは、廃止の理由として、運転士不足の慢性化や、新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の減少、原油価格の高騰を挙げ、「さまざまな要因が重なり、大変厳しい経営状況が続いており、バス路線の運行を維持することが困難な状況」と説明しています。
バス路線の廃止について@夕張鉄道2023年3月13日
そしてそんな夕張鉄道にも新型コロナをはじめ運転手不足、燃料価格高騰などの苦境が訪れました。そしてその中夕張鉄道が選んだのは夕張〜札幌市内の長距離バス路線の廃止でした。高速バスを中心とした長距離バスは一般的にバス会社のドル箱と言うイメージですが一方で夕張鉄道夕張営業所のバス路線では夕張市内完結の路線は急行便で103分、普通便に至っては158分と所要時間が長く、運転手の負担が高く、また人繰りも難しくなっているのが大きいです。
逆に市内バス路線は最大50分弱、区間便なら20分以内と短距離で運転手の負担が小さく、また高齢の運転手が増えていく中でもその活用をしやすいメリットは現状大きいのではないかと思います。
高速はこだて号の乗客ら5人死亡、正面衝突のトラックが対向車線にはみ出したか@読売新聞2023年6月19日より
18日正午頃、北海道八雲町の国道5号で、札幌と函館を結ぶ長距離バス「高速はこだて号」とトラックが正面衝突した。道警によると、双方の男性運転手と、バスの乗客の男女3人の計5人が死亡。乗客12人がけがをした。
発表によると、亡くなったのはバスを運転していた札幌市清田区、興膳孝幸さん(64)、トラック運転手の北海道森町港町、梶谷誠さん(65)、乗客の函館市旭町、地方公務員若崎友哉さん(33)、鹿部町本別、パート従業員高清水忍さん(57)、札幌市清田区、高橋裕美さん(55)。
現状の高速バスでは札幌〜函館と言う長距離の幹線でも60代の運転手が運転しています。当然安全面での配慮があり、単純に高齢の運転手が危険とは言いませんが、ただ5年後70を過ぎた運転手が可能かと言われたら相当難しいと思います。そう考えると経済的なバックアップがされていて運転手の負担の少ない短距離便の設定も可能な代替バスと高速バスどちらをとるかと言われたら高齢ドライバーが増える今代替バスを取り高速バスを廃止するバス会社は少なくないと思われます。
まとめ〜もし赤字旅客鉄道線をバス転換するなら〜 さて鉄道好きとしてあまり考えたくない話ですが、赤字旅客鉄道線をバス転換するなら以下が必要なのではないかと考えます。
1,一定期間のバス路線を維持するための経済的な計画
2、団塊ジュニアが70代に入り、間違いなく一線からは引く時期までの20年程度のドライバー確保の見通し
3、2に伴いドライバー確保の為廃止が出るであろう高速バスの影響をフォローするための鉄道路線の計画とその為の設備投資の為の負担の分担
そしてそれは濃淡はあるとはいえ、鉄道を廃止しないにしても少なからず地方の交通、その受益者と言える大都市(交通機関が地方から人を運んできてくれるという意味で)にも言える事ではなかろうかと思います。
さて6月も終わりましたので誰が待っているかは分からない2023年上半期ランキングの時間です。
ただその前に軽く6月の月間ランキングです。
1.「銀河鉄道の父」に思う
2.令和の大きな宿題その10〜少子化政策は地に足ついたものに転換できるか〜
3.平成の終わりに考えるその1〜女性の社会進出と8050問題〜
4.令和の大きな宿題外伝〜電車を失った街が語る事〜
5.お金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様〜スープストック騒動に思う〜
1位には「銀河鉄道の父」に思うが入りました。当月作成記事、見てきた映画の感想と見せかけて、ある意味で戦前氏の視点で見た宮沢賢治を書いてみました。「厳しい環境にある東北の貧農のために働き、エコロジーも含めて現代にも通じるテーマも盛り込んだすぐれた作品を作った詩人、童話作家」と言う綺麗なイメージを背景含めて見ると...と言う記事です。2位は令和の大きな宿題その10〜少子化政策は地に足ついたものに転換できるか〜、少子化が注目される中でのランクインです。3位は平成の終わりに考えるその1〜女性の社会進出と8050問題〜、こちらも毎年の恒例行事ジェンダーギャップ指数発表に伴い注目されました。4位は令和の大きな宿題外伝〜電車を失った街が語る事〜、赤字旅客鉄道線問題が言われる中実際廃止してバス転換した路線でどれだけお客さんが減ったのかと言う資料がないと某所で議論になっていたのですが、そう言った視点でも意味のある記事なのかもしれません。5位はお金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様〜スープストック騒動に思う〜、5月に続いてのランクイン、最近はリリースした記事が割合早い段階でみられるケースが多いのがうれしいところです。
さて本編に移ります。2023年上半期の記事のTOP10発表です。
10〜8位:裏のテーマは子供部屋おじさん/おばさん IMG_6467
10位 お金の話その3〜単身赴任のおっさんに学ぶクルマなしの地方・郊外生活〜2023年1月(最高順位6位(2月))
10位にはお金の話の第3弾、クルマと家の話が入りました。記事でも書きました通り、ある意味でお金のの話の本丸とも言える話です。
「子供部屋おじさん」が合理的なのかは、実は深い問いだ@Diamond2023/6/7
当然一人暮らしのケースも想定し、それを廉価にするための考え方も書いていますが、結論を言えば実家住まいだと親世帯との連結で手取りで132万円額面で言えば200万円近く節約できるのは大きい事です。現状ではパラサイトシングル、子供部屋おじさん、子供部屋おばさんと言われる居住形態ですが、平成の間言われて来たこの価値観もだんだん変わりつつあるように思います。この辺はどこかで書きたいなと思っています。
9位 お金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様〜スープストック騒動に思う〜2023年5月(5月2位、6月5位)
9位にはスープストックトーキョーによる離乳食無償提供により起こった騒動を扱った記事が入りました。記事リリースが5月と言う遅い記事ながら時代にマッチしたのかもしれません。騒動は離乳食無償提供のプレスリリースに反発した既存顧客である独身女性が相当きつい発言を繰り広げたことにより起こったのですが、個人的には離乳食無償提供と言う施策自体も含めてこういった独身女性顧客向けの商売が顧客を広げるハードルの高さ、そして少子化の影響も出て来る今後を考えると平成の華やかな商売だった「独身女性向け商売」がある転換期に入っているんだなと言う感慨にふけってしまいました。
書いていてもう1つ思ったのは平成に多く増えたとされる「働く女性」の中身、それが問われる世の中になっていくんだろうなと言う事、それは「子供部屋おじさん/おばさん」も同様なのですが、どれだけ稼ぎと言う身も蓋もない部分も含め平成に行われた「男女平等」と言う配当と言う意味でも。
8位 令和の大きな宿題その22 令和のイエはどうなるのか〜負動産、限界ニュータウンが語るもの〜2023年3月(3月3位)
8位には負動産や限界ニュータウンと限界まで組まれるケースの増えた住宅ローンから家の話です。実際「子供の誕生あるいは成長を機に夫婦+子供の家族の為に家を買う」と言うパターンを何も考えずに続けた結果親の家は負動産となり、子供は子供で限界までローンを組んで家を購入するという状況を何だかもったいないと思い描きつつ書きました。
お金の話外伝〜ロスジェネ貧困女性の挽回策はあるか〜
かつてロスジェネ貧困女性の救済として「75歳まで介護などで働き、年金繰り下げ受給、Idoco,NISA等で資産形成、年金額確保をする」と書いた事があるのですが、もしかしたら結婚して子供を作った人にも同じことが言えるのかもしれません。
令和には増えてきた子供部屋おじさん/おばさんの存在も含めてイエをどの様に再編するかと言う起爆剤となるのかもしれません。
7位〜4位 平成と令和の赤字旅客鉄道問題
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7位 令和の大きな宿題その15 バス転換と言う贅沢が許されない時代に〜赤字鉄道路線廃止問題に思う2022年9月(最高順位7位(4月))
7位には昨年年間9位のこの記事が入りました。
地方鉄道など公共交通の再構築へ 改正法が成立 参院本会議@NHK2023/4/21
輸送密度1000人未満のローカル線「優先度高い」 国の再構築協議会、運用方針案の概要判明@中国新聞2023年6月3日
鉄道の存廃協議、千人以上も対象 国交省、10月制度開始@共同通信2023年6月8日
昨年のJR西日本をはじめとする各社の表明以降赤字旅客鉄道への対応の為様々な制度が作られてきました。
日本郵政グループとヤマトグループ 持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意について@日本郵政2023年6月19日
内航海運、船も人も足りない 老いる国内物流の大動脈@日経新聞2023年6月18日
長万部-小樽間の代替交通について中間報告...悩めるバスドライバー不足、バス以外の選択肢も視野に 北海道新幹線の並行在来線問題@Response2023/6/9
しかし令和の赤字旅客鉄道問題が平成と違うのは2024年問題に象徴される人手不足の問題、特に物流の中心となるトラックだけでなく内航海運、バス等様々な分野に影響が出て来ています。特に赤字旅客鉄道問題に先行した北海道新幹線の並行在来線問題でバス転換後に運転手不足になっている様子が語るものは大きいのではないかと思います。
6位 お金の話その4 高所得貧乏と一代果て〜資産2極化の時代に思う〜2023年2月(2月3位、5月3位)
6位には所得と資産の関係を取り扱ったお金の話がランクインしました。
好きなタイプは年収1000万円以上!26歳港区女のワガママ婚活体験記@マッチングアプリ大学
婚活等で良く年収○しろまる○しろまる万円と言う言葉をよく聞きますが単純な事だなと思います。しかし資産に関して調べると年収が高ければ資産を気付ける確率が高いものの、年収1000万円以上でも資産がない人もいれば、年収300万円でも資産1000万円以上を築く人も少なからずいるという状況を書いてみました。2010年代前半までによく聞かれた「低所得でも資産形成ができる」と言う話やその周りであったお金哲学みたいな話も少し掘り起こしてみました。
新NISAでさらに資産運用がしやすくなる!?新NISAのメリットと効果を解説@りそな銀行
来年から新NISAが始まり資産運用に関する関心が高まっています。新NISAの年間最大360万円、全体で最大1800万円と聞くと特に40代以上で「運用する資産がある人」と「ない人」の格差が広がっていくと思います。ただ誰が「ある人」で「ない人」と言うのは特に中高年で意外な状況が浮かんでくるかもしれないと思うのは私だけでしょうか?
5位 令和の大きな宿題外伝〜電車を失った街が語る事〜2020年7月(1月4位、6月4位)
5位にはこちらは平成の赤字旅客鉄道問題とも言えるえちぜん鉄道が出来る経緯を書いた記事が入りました。ちなみに今回のランキングでは最古残の2020年リリース記事です。平成は遠くになりけりと感じます。
北陸鉄道石川線 存続かBRT化か来月決定@MRO2023/7/4
えちぜん鉄道の走っている福井県のお隣石川県では県庁市金沢市を走るローカル私鉄北陸鉄道の存廃問題が浮かび上がっています。存廃を考える際には是非とも隣の県で起こった「負の社会実験」を思い出してほしいです。代行バス、既存路線バスも含めて6割は公共交通から離れ自動車に移った結果、雪の降る冬では渋滞で交通がマヒし待ってしまった事、そして共働きや高齢者の就労が増えた令和の今、鉄道が無くなった際に誰が交通手段のない高校生の通学手段を担うのか、そこまで思いをはせてほしいと思います。
[フレーム]
またもう1つ面白い指摘もあります。現状郊外にあり、金沢駅からバスで一時間の私立大学の活性化には都心あるいはJR駅近くに移転して福井県・富山県や能登地方から通学できるようにするという指摘です。北陸鉄道はJRではないですが、JR西金沢駅へのアクセスが良い事で沿線の学生にとって通学の幅が広がっている訳ですし、また逆も然りで高崎商科大学の様にローカル私鉄に駅を作る事で通学に利用する学生が増えたケースもあります。
赤字鉄道路線旅客輸送活性化策らしきもの その2:高崎商科大学前駅に見る大学と鉄道
4位 令和の大きな宿題その21〜ある夫婦の死と取り残されたお嬢様〜2023年2月(2月2位、3月4位)
4位には世田谷区の高級住宅街で起こったある悲惨な事件を取り上げた記事がランクインしました。高齢の両親が死んだのに葬式も死亡届もせず放置した50代の娘のお話です。
取り残された女性たちのまち
2018年に場所こそ横浜市青葉区・都筑区と違いますが同様の高級住宅街と知られる地域で20代後半〜40代の人口性比が90〜95と明らかに女性に偏っている状況を「取り残された女性たちのまち」と言う言葉で問題提起したのですが、悪い意味で当たってしまったようです。
[フレーム]
動画サイトを調べると婚活のジャンルで「子供部屋おばさん」を問題視する動画が見られます。ただ少なくとも「目に見える」と言う意味で彼女たちはましなのかもしれません。今後「子供部屋おばさん」の問題はより可視化され大きくなっていくのではないかなと思います。
3位 「制度」と「リソース」中高年独身女性の貧困問題に降りかかる厳しい逆風
3位 令和の大きな宿題その18〜中高年独身女性の貧困問題を整理する〜2022年12月(1月2位、2月4位、4月4位、5月5位)
さてTOP3に入ります。3位はこれまでいろいろ書いてきた中高年独身女性の貧困問題をまとめたこの記事が入りました。1位こそありませんが6か月間全てでベスト10入りする安定して読まれた記事でした。ちなみに昨年の上半期なら1位、年間でも3位に入れる高PVでした。
2023年7月と言う現在の視点で今後の中高年独身女性の貧困問題を考える際重要になってくるのは1986年に男女雇用機会均等法が施行されたことで、現状の65歳は均等法以前に就職をした世代で確かに「男女不平等な雇用慣行のせいで貧困の陥った」と言われても納得度が高いですが、それが後の世代になればなるほど「制度も整ったのにその言い訳は聞けませんよ」と言う意見が強まっていく事、そして未婚率、離婚率の向上で中高年独身女性自体が段々人数的に無視できない割合になって「これまでと同じような扱いはリソース不足で出来ないですよ」と言う意見も強まっていく事です。
お金の話外伝〜ロスジェネ貧困女性の挽回策はあるか〜
また高齢者就労の促進や年金繰り下げ受給制度の拡充と言った事を考えると65歳段階では「もう働くのが難しいから生活保護」ではなく「働いて年金繰り下げ受給で努力してね」と言う方向に移っていくと思われます。今の現役世代の特に独身女性は覚悟を決める必要が出て来るように感じます。
2位 2010年代の大国中国の曲がり角と少子社会のその後
2位 令和の大きな宿題その20 少子化の先にある女性が兵役から逃げられない時代〜中国人口減少を枕に考える〜2023年1月(2月1位、3月5位、4月1位)
2位には中国の人口減少と言う記事と、台湾で女性に対しての兵役訓練が行われたという記事が同時期に出ていたので、それらを纏めて取り上げた記事がランクインしました。3位の記事が安定性ならこちらは1位が2回と爆発力がすごく4月の月間PVは今年上半期の最大月間PV値をあげました。そして1位とは激戦でもし6月にTOP20入りしていたら逆転していました。ちなみに昨年のランキング基準で行きますと上半期1位、年間2位となります。
中国 若い世代 5月の失業率20%超に 学生たちから不安の声@NHK2023/6/17
さて色んな要素を巻き込んだ記事ですが一番大きいのは中国の世界一と言われた人口が減少に陥りかつ人口そのものもインドに抜かれた事でしょう。2010年代を席巻した経済も成長率が低下し、気づけば若い世代の失業率が20%超え、出生数もわずか6年で46.5%減少と2010年代を席巻した大国の転換点と言うのを印象付けました。
台湾、女性対象に初めて兵役の軍事訓練を実施へ@AFP通信2023年1月17日
また台湾での女性向け兵役訓練ですが、日本以上に少子化が進んだ台湾では若い世代の減少で女性も否応なく兵隊となって戦う状況が生まれつつあります。兵隊の様な「大変で誰もやりたがらない仕事」と言うのは男性がすることが多いというのは日本も台湾も変わりませんがただ少子化で若い世代が減るというのはそういった仕事から女性も逃げられなくなるという事をまざまざと示したと思います。今後日本でも同じ状況が起こる様な気がします。
韓国の出生率0.78で、7年連続過去最低を更新-少子化の主な原因と今後の対策について-@ニッセイ基礎研究所
そして少子化最先進国の韓国ではとうとう出生率は0.78まで下がってしまいました。韓国と中国で共通しているのは「増えすぎた大卒者が相応しい就職先がない為、多くの若い失業者となっている」と言う光景になります。多分今後の少子化対策はこの光景が大きな前提条件として進んで行くのではないでしょうか?
東工大、入試で143人の「女子枠」導入。2024年入学者から総合型・学校推薦型で順次実施@BUISINESS INSIDER2022/11/10
"名門"恵泉女学園大が「募集停止」に至った背景@東洋経済2023年4月5日
昨年名門工業大学である東京工業大学で143人もの女子枠が設けられ話題になりました。男性差別の最たるもの以外の何物でもないですが、今年春恵泉女学園大学をはじめとする女子大・短大の募集停止のニュースが相次いだことを考えると青色吐息の「就職に弱い」女子大学にとどめを刺す施策と考えると納得いく部分もあります。今高校生以下の若い男性には大変申し訳ないですが、多分韓国・中国などの少子化を見ての施策なのかもしれません。
1位 平成女子の少子化は何をもたらすのか
1位 Choose or Loose課題多き参院選2022その1平成女子に見る少子化対策の曲がり角2022年6月(1・3月1位、4月4位、5月1位)
1位3回、ベスト5入り4回、全月ベスト10入りと順位だけなら圧倒的だったのは昨年の参院選特集の少子化記事でした。とは言え2位の記事とは4月以降デッドヒートを繰り広げ、5月何とか逆転と言った所です。ちなみに昨年のランキング基準で行きますと上半期1位、年間2位となります。
この記事のポイントは1991年生まれ以降の平成女子の出生率がそれ以前の昭和女子に比べてものすごい勢いで下がっているという点です。
異次元の少子化対策は未婚の就職氷河期世代が35歳くらいだった15年前にやるべきだったのにそれが出来なかった理由はその時にリーマンショックがあったから...。@together
少子化に関しては良く「団塊ジュニアを中心としたロスジェネを放置したからだ手遅れだ」と言う論が若い世代から出ますが、はっきり言ってしまえば就職が良くなった若い世代の方が出生率が大きく下回るというとんでもない状態と言うのを掘り起こしてびっくりしました。人口を増加に転換させるという意味での解決策はムリとしてもこれ以上少子化させたら理屈じゃなくヤバいと言うのが今言われている「異次元の少子化対策」の原動力の様な気がします。
2025年は「自民党衰退」の大転換点になる...年金という「国家ぐるみのネズミ講」が永田町をひっくり返す日@週刊現代2023年7月3日
さて少子化に乗じて「年金は破綻した」と煽る向きはいますが、正直な所荒っぽいし、GPIFをはじめとする日本の資産をきちんと整理しないと見えてこないような気がします。若い世代にとって「少子化解消」と言う大義で数の不利をひっくり返したいのは分かりますが、21世紀に入って多くの人が煽った世代間対立が失敗を続けたのを振り返ったとはとても思えません。多分下半期はこの辺も整理していきたいとは思っています。
如何だったでしょうか?相変わらず気が重くなるランキングですが、下半期はもう少しスカッとする記事を書きたいものです。2023年下半期が筆者にとっても読者にとっても良い時期でありますように。
ただその前に軽く6月の月間ランキングです。
1.「銀河鉄道の父」に思う
2.令和の大きな宿題その10〜少子化政策は地に足ついたものに転換できるか〜
3.平成の終わりに考えるその1〜女性の社会進出と8050問題〜
4.令和の大きな宿題外伝〜電車を失った街が語る事〜
5.お金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様〜スープストック騒動に思う〜
1位には「銀河鉄道の父」に思うが入りました。当月作成記事、見てきた映画の感想と見せかけて、ある意味で戦前氏の視点で見た宮沢賢治を書いてみました。「厳しい環境にある東北の貧農のために働き、エコロジーも含めて現代にも通じるテーマも盛り込んだすぐれた作品を作った詩人、童話作家」と言う綺麗なイメージを背景含めて見ると...と言う記事です。2位は令和の大きな宿題その10〜少子化政策は地に足ついたものに転換できるか〜、少子化が注目される中でのランクインです。3位は平成の終わりに考えるその1〜女性の社会進出と8050問題〜、こちらも毎年の恒例行事ジェンダーギャップ指数発表に伴い注目されました。4位は令和の大きな宿題外伝〜電車を失った街が語る事〜、赤字旅客鉄道線問題が言われる中実際廃止してバス転換した路線でどれだけお客さんが減ったのかと言う資料がないと某所で議論になっていたのですが、そう言った視点でも意味のある記事なのかもしれません。5位はお金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様〜スープストック騒動に思う〜、5月に続いてのランクイン、最近はリリースした記事が割合早い段階でみられるケースが多いのがうれしいところです。
さて本編に移ります。2023年上半期の記事のTOP10発表です。
10〜8位:裏のテーマは子供部屋おじさん/おばさん IMG_6467
10位 お金の話その3〜単身赴任のおっさんに学ぶクルマなしの地方・郊外生活〜2023年1月(最高順位6位(2月))
10位にはお金の話の第3弾、クルマと家の話が入りました。記事でも書きました通り、ある意味でお金のの話の本丸とも言える話です。
「子供部屋おじさん」が合理的なのかは、実は深い問いだ@Diamond2023/6/7
当然一人暮らしのケースも想定し、それを廉価にするための考え方も書いていますが、結論を言えば実家住まいだと親世帯との連結で手取りで132万円額面で言えば200万円近く節約できるのは大きい事です。現状ではパラサイトシングル、子供部屋おじさん、子供部屋おばさんと言われる居住形態ですが、平成の間言われて来たこの価値観もだんだん変わりつつあるように思います。この辺はどこかで書きたいなと思っています。
9位 お金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様〜スープストック騒動に思う〜2023年5月(5月2位、6月5位)
9位にはスープストックトーキョーによる離乳食無償提供により起こった騒動を扱った記事が入りました。記事リリースが5月と言う遅い記事ながら時代にマッチしたのかもしれません。騒動は離乳食無償提供のプレスリリースに反発した既存顧客である独身女性が相当きつい発言を繰り広げたことにより起こったのですが、個人的には離乳食無償提供と言う施策自体も含めてこういった独身女性顧客向けの商売が顧客を広げるハードルの高さ、そして少子化の影響も出て来る今後を考えると平成の華やかな商売だった「独身女性向け商売」がある転換期に入っているんだなと言う感慨にふけってしまいました。
書いていてもう1つ思ったのは平成に多く増えたとされる「働く女性」の中身、それが問われる世の中になっていくんだろうなと言う事、それは「子供部屋おじさん/おばさん」も同様なのですが、どれだけ稼ぎと言う身も蓋もない部分も含め平成に行われた「男女平等」と言う配当と言う意味でも。
8位 令和の大きな宿題その22 令和のイエはどうなるのか〜負動産、限界ニュータウンが語るもの〜2023年3月(3月3位)
8位には負動産や限界ニュータウンと限界まで組まれるケースの増えた住宅ローンから家の話です。実際「子供の誕生あるいは成長を機に夫婦+子供の家族の為に家を買う」と言うパターンを何も考えずに続けた結果親の家は負動産となり、子供は子供で限界までローンを組んで家を購入するという状況を何だかもったいないと思い描きつつ書きました。
お金の話外伝〜ロスジェネ貧困女性の挽回策はあるか〜
かつてロスジェネ貧困女性の救済として「75歳まで介護などで働き、年金繰り下げ受給、Idoco,NISA等で資産形成、年金額確保をする」と書いた事があるのですが、もしかしたら結婚して子供を作った人にも同じことが言えるのかもしれません。
令和には増えてきた子供部屋おじさん/おばさんの存在も含めてイエをどの様に再編するかと言う起爆剤となるのかもしれません。
7位〜4位 平成と令和の赤字旅客鉄道問題
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7位 令和の大きな宿題その15 バス転換と言う贅沢が許されない時代に〜赤字鉄道路線廃止問題に思う2022年9月(最高順位7位(4月))
7位には昨年年間9位のこの記事が入りました。
地方鉄道など公共交通の再構築へ 改正法が成立 参院本会議@NHK2023/4/21
輸送密度1000人未満のローカル線「優先度高い」 国の再構築協議会、運用方針案の概要判明@中国新聞2023年6月3日
鉄道の存廃協議、千人以上も対象 国交省、10月制度開始@共同通信2023年6月8日
昨年のJR西日本をはじめとする各社の表明以降赤字旅客鉄道への対応の為様々な制度が作られてきました。
日本郵政グループとヤマトグループ 持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意について@日本郵政2023年6月19日
内航海運、船も人も足りない 老いる国内物流の大動脈@日経新聞2023年6月18日
長万部-小樽間の代替交通について中間報告...悩めるバスドライバー不足、バス以外の選択肢も視野に 北海道新幹線の並行在来線問題@Response2023/6/9
しかし令和の赤字旅客鉄道問題が平成と違うのは2024年問題に象徴される人手不足の問題、特に物流の中心となるトラックだけでなく内航海運、バス等様々な分野に影響が出て来ています。特に赤字旅客鉄道問題に先行した北海道新幹線の並行在来線問題でバス転換後に運転手不足になっている様子が語るものは大きいのではないかと思います。
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6位には所得と資産の関係を取り扱ったお金の話がランクインしました。
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婚活等で良く年収○しろまる○しろまる万円と言う言葉をよく聞きますが単純な事だなと思います。しかし資産に関して調べると年収が高ければ資産を気付ける確率が高いものの、年収1000万円以上でも資産がない人もいれば、年収300万円でも資産1000万円以上を築く人も少なからずいるという状況を書いてみました。2010年代前半までによく聞かれた「低所得でも資産形成ができる」と言う話やその周りであったお金哲学みたいな話も少し掘り起こしてみました。
新NISAでさらに資産運用がしやすくなる!?新NISAのメリットと効果を解説@りそな銀行
来年から新NISAが始まり資産運用に関する関心が高まっています。新NISAの年間最大360万円、全体で最大1800万円と聞くと特に40代以上で「運用する資産がある人」と「ない人」の格差が広がっていくと思います。ただ誰が「ある人」で「ない人」と言うのは特に中高年で意外な状況が浮かんでくるかもしれないと思うのは私だけでしょうか?
5位 令和の大きな宿題外伝〜電車を失った街が語る事〜2020年7月(1月4位、6月4位)
5位にはこちらは平成の赤字旅客鉄道問題とも言えるえちぜん鉄道が出来る経緯を書いた記事が入りました。ちなみに今回のランキングでは最古残の2020年リリース記事です。平成は遠くになりけりと感じます。
北陸鉄道石川線 存続かBRT化か来月決定@MRO2023/7/4
えちぜん鉄道の走っている福井県のお隣石川県では県庁市金沢市を走るローカル私鉄北陸鉄道の存廃問題が浮かび上がっています。存廃を考える際には是非とも隣の県で起こった「負の社会実験」を思い出してほしいです。代行バス、既存路線バスも含めて6割は公共交通から離れ自動車に移った結果、雪の降る冬では渋滞で交通がマヒし待ってしまった事、そして共働きや高齢者の就労が増えた令和の今、鉄道が無くなった際に誰が交通手段のない高校生の通学手段を担うのか、そこまで思いをはせてほしいと思います。
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またもう1つ面白い指摘もあります。現状郊外にあり、金沢駅からバスで一時間の私立大学の活性化には都心あるいはJR駅近くに移転して福井県・富山県や能登地方から通学できるようにするという指摘です。北陸鉄道はJRではないですが、JR西金沢駅へのアクセスが良い事で沿線の学生にとって通学の幅が広がっている訳ですし、また逆も然りで高崎商科大学の様にローカル私鉄に駅を作る事で通学に利用する学生が増えたケースもあります。
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取り残された女性たちのまち
2018年に場所こそ横浜市青葉区・都筑区と違いますが同様の高級住宅街と知られる地域で20代後半〜40代の人口性比が90〜95と明らかに女性に偏っている状況を「取り残された女性たちのまち」と言う言葉で問題提起したのですが、悪い意味で当たってしまったようです。
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動画サイトを調べると婚活のジャンルで「子供部屋おばさん」を問題視する動画が見られます。ただ少なくとも「目に見える」と言う意味で彼女たちはましなのかもしれません。今後「子供部屋おばさん」の問題はより可視化され大きくなっていくのではないかなと思います。
3位 「制度」と「リソース」中高年独身女性の貧困問題に降りかかる厳しい逆風
3位 令和の大きな宿題その18〜中高年独身女性の貧困問題を整理する〜2022年12月(1月2位、2月4位、4月4位、5月5位)
さてTOP3に入ります。3位はこれまでいろいろ書いてきた中高年独身女性の貧困問題をまとめたこの記事が入りました。1位こそありませんが6か月間全てでベスト10入りする安定して読まれた記事でした。ちなみに昨年の上半期なら1位、年間でも3位に入れる高PVでした。
2023年7月と言う現在の視点で今後の中高年独身女性の貧困問題を考える際重要になってくるのは1986年に男女雇用機会均等法が施行されたことで、現状の65歳は均等法以前に就職をした世代で確かに「男女不平等な雇用慣行のせいで貧困の陥った」と言われても納得度が高いですが、それが後の世代になればなるほど「制度も整ったのにその言い訳は聞けませんよ」と言う意見が強まっていく事、そして未婚率、離婚率の向上で中高年独身女性自体が段々人数的に無視できない割合になって「これまでと同じような扱いはリソース不足で出来ないですよ」と言う意見も強まっていく事です。
お金の話外伝〜ロスジェネ貧困女性の挽回策はあるか〜
また高齢者就労の促進や年金繰り下げ受給制度の拡充と言った事を考えると65歳段階では「もう働くのが難しいから生活保護」ではなく「働いて年金繰り下げ受給で努力してね」と言う方向に移っていくと思われます。今の現役世代の特に独身女性は覚悟を決める必要が出て来るように感じます。
2位 2010年代の大国中国の曲がり角と少子社会のその後
2位 令和の大きな宿題その20 少子化の先にある女性が兵役から逃げられない時代〜中国人口減少を枕に考える〜2023年1月(2月1位、3月5位、4月1位)
2位には中国の人口減少と言う記事と、台湾で女性に対しての兵役訓練が行われたという記事が同時期に出ていたので、それらを纏めて取り上げた記事がランクインしました。3位の記事が安定性ならこちらは1位が2回と爆発力がすごく4月の月間PVは今年上半期の最大月間PV値をあげました。そして1位とは激戦でもし6月にTOP20入りしていたら逆転していました。ちなみに昨年のランキング基準で行きますと上半期1位、年間2位となります。
中国 若い世代 5月の失業率20%超に 学生たちから不安の声@NHK2023/6/17
さて色んな要素を巻き込んだ記事ですが一番大きいのは中国の世界一と言われた人口が減少に陥りかつ人口そのものもインドに抜かれた事でしょう。2010年代を席巻した経済も成長率が低下し、気づけば若い世代の失業率が20%超え、出生数もわずか6年で46.5%減少と2010年代を席巻した大国の転換点と言うのを印象付けました。
台湾、女性対象に初めて兵役の軍事訓練を実施へ@AFP通信2023年1月17日
また台湾での女性向け兵役訓練ですが、日本以上に少子化が進んだ台湾では若い世代の減少で女性も否応なく兵隊となって戦う状況が生まれつつあります。兵隊の様な「大変で誰もやりたがらない仕事」と言うのは男性がすることが多いというのは日本も台湾も変わりませんがただ少子化で若い世代が減るというのはそういった仕事から女性も逃げられなくなるという事をまざまざと示したと思います。今後日本でも同じ状況が起こる様な気がします。
韓国の出生率0.78で、7年連続過去最低を更新-少子化の主な原因と今後の対策について-@ニッセイ基礎研究所
そして少子化最先進国の韓国ではとうとう出生率は0.78まで下がってしまいました。韓国と中国で共通しているのは「増えすぎた大卒者が相応しい就職先がない為、多くの若い失業者となっている」と言う光景になります。多分今後の少子化対策はこの光景が大きな前提条件として進んで行くのではないでしょうか?
東工大、入試で143人の「女子枠」導入。2024年入学者から総合型・学校推薦型で順次実施@BUISINESS INSIDER2022/11/10
"名門"恵泉女学園大が「募集停止」に至った背景@東洋経済2023年4月5日
昨年名門工業大学である東京工業大学で143人もの女子枠が設けられ話題になりました。男性差別の最たるもの以外の何物でもないですが、今年春恵泉女学園大学をはじめとする女子大・短大の募集停止のニュースが相次いだことを考えると青色吐息の「就職に弱い」女子大学にとどめを刺す施策と考えると納得いく部分もあります。今高校生以下の若い男性には大変申し訳ないですが、多分韓国・中国などの少子化を見ての施策なのかもしれません。
1位 平成女子の少子化は何をもたらすのか
1位 Choose or Loose課題多き参院選2022その1平成女子に見る少子化対策の曲がり角2022年6月(1・3月1位、4月4位、5月1位)
1位3回、ベスト5入り4回、全月ベスト10入りと順位だけなら圧倒的だったのは昨年の参院選特集の少子化記事でした。とは言え2位の記事とは4月以降デッドヒートを繰り広げ、5月何とか逆転と言った所です。ちなみに昨年のランキング基準で行きますと上半期1位、年間2位となります。
この記事のポイントは1991年生まれ以降の平成女子の出生率がそれ以前の昭和女子に比べてものすごい勢いで下がっているという点です。
異次元の少子化対策は未婚の就職氷河期世代が35歳くらいだった15年前にやるべきだったのにそれが出来なかった理由はその時にリーマンショックがあったから...。@together
少子化に関しては良く「団塊ジュニアを中心としたロスジェネを放置したからだ手遅れだ」と言う論が若い世代から出ますが、はっきり言ってしまえば就職が良くなった若い世代の方が出生率が大きく下回るというとんでもない状態と言うのを掘り起こしてびっくりしました。人口を増加に転換させるという意味での解決策はムリとしてもこれ以上少子化させたら理屈じゃなくヤバいと言うのが今言われている「異次元の少子化対策」の原動力の様な気がします。
2025年は「自民党衰退」の大転換点になる...年金という「国家ぐるみのネズミ講」が永田町をひっくり返す日@週刊現代2023年7月3日
さて少子化に乗じて「年金は破綻した」と煽る向きはいますが、正直な所荒っぽいし、GPIFをはじめとする日本の資産をきちんと整理しないと見えてこないような気がします。若い世代にとって「少子化解消」と言う大義で数の不利をひっくり返したいのは分かりますが、21世紀に入って多くの人が煽った世代間対立が失敗を続けたのを振り返ったとはとても思えません。多分下半期はこの辺も整理していきたいとは思っています。
如何だったでしょうか?相変わらず気が重くなるランキングですが、下半期はもう少しスカッとする記事を書きたいものです。2023年下半期が筆者にとっても読者にとっても良い時期でありますように。
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