さて本題の前にコロナに関する役立つ情報を
新型コロナ 対策支援制度まとめ@Yahoo
・Yahooによる支援制度の情報です。
新型コロナお役立ちコーナー@首相官邸
・首相官邸での各省庁の対策のまとめサイトです。
新型コロナウイルス感染症について@神奈川県
・神奈川県庁でのコロナウィルスに関するまとめサイトです。
新型コロナウイルス感染症に関する情報(2020年4月3日更新)@横須賀市
・横須賀市役所でのコロナウィルスに関するまとめサイトです。
横須賀市・横浜市公共交通各社の新型コロナウイルスに関する対応について
・横須賀・横浜地区の公共交通各企業のコロナ対策のリンク集です。利用者の協力をもとに3密を恐れず公共交通を利用しましょう。
横須賀公共交通バリアフリーマップの様なもの
・横須賀公共交通バリアフリーマップの様なものです。横須賀に車椅子で来られる際などにどうぞ
新型コロナウイルスワクチン接種の概要@横須賀市
・横須賀市のコロナウィルスワクチン接種に関する情報です。
プロローグ〜太平洋戦争末期何故多くの人達が松の根っこを掘り起こしたのか〜
・石油が無くなるのが1年以内なのに対し松根油の品質を航空燃料に適したものに変換する技術開発にかかる時間は不明確
言い換えれば必要な時期は明確なものの実現時期・可能性が明確でない技術で何とかしようとしたことがこの松根油の失敗の本質ではないかと思います。
独り歩きする輸送密度1000人〜鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会に思う〜
さて脱線した話を本題に戻します。最近JR東西日本が赤字地方路線の経営状況に関する資料公開を行った事から、注目されていた地方閑散路線問題に関して、国土交通省の鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会が提言を出し、輸送密度が1000人/日未満の路線に関して国が特定線区再構築協議会(仮称)を設置し、廃止ありき、存続ありきという前提を置かずに協議する事を提言した事が7月末に報道されました。
鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会について@国土交通省
令和の大きな宿題その12 JR西日本が投げかけたもの
ご利用の少ない線区の経営情報を開示します。@JR東日本
ローカル線に関する課題認識と情報開示について@JR西日本
線区別収支@JR九州
線区別収支と営業係数の公表について@JR四国
地域交通を持続的に維持するために@JR北海道
localLine2
鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会について@国土交通省
ただ輸送密度1000人未満の路線を自動的に国が設置した協議会で存廃を協議するという単純なものでなく
・我が国の基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区(特急列車、貨物列車が走行等)については、引き続きJR各社による維持を強く期待。
・危機的な状況のローカル線区については、沿線自治体(特に都道府県)が中心となり、法定協議会等を設け、利用者や地域戦略の視点に立ち、将来に向けた地域モビリティのあり方について関係者と検討を進めていくことが基本原則
単純に言えば
・特急や貨物列車の走る幹線
→JRさん努力してください
都道府県範囲で納まるローカル線は
→JRと都道府県で協議して決めてください
そしてそれ以外の路線
→国=国土交通省が協議会を設置するのでそこで存廃を話し合いましょう
と言った形となっています。
JRも都道府県も守るといいづらい特急の走る閑散線区
sexp
表:JR東日本、西日本の輸送密度2000人未満として発表しているかつ特急運行区間(参考:JTB時刻表2022年4月号)
さて「基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区(特急列車、貨物列車が走行等)については、引き続きJR各社による維持を強く期待」と書かれていますが、そう簡単に行くでしょうか、上の表はご利用の少ない線区の経営情報を開示します。@JR東日本、ローカル線に関する課題認識と情報開示について@JR西日本でJRの東・西日本が輸送密度が低く自治体への協力を期待している路線の中で定期的に特急列車が走っている区間を挙げたものです。共に7区間、JR西日本が挙げた30区間の1/4近く、東日本も66区間の1割を超えます。これらの区間に関してJR東日本/西日本は「はい、そうですか」と言えない区間と言えます。国土交通省の「期待する」と言う言葉は発表した段階で既に破綻していると言えるのではないでしょうか?更に言えば大糸線、外房線を除くと県境を越える路線であり、都道府県にとっても積極的に存続への負担をしづらい路線と言えます。
貨物の走る路線とはどこまでを指すのか〜災害時の代替路線が示すもの〜
続いて貨物に関して考えていくと一見今貨物列車が走っている路線を考えがちですが災害時の代替輸送を考えると簡単にはいきません。西日本では震災時の播但・加古川・山陰、そして2018年の西日本豪雨時には山陰・山口線が活躍しましたし、東日本震災時には上越・羽越・奥羽・磐越西の各線が活躍した上に、目的地が盛岡だったために北上線の名前も浮かび上がりました。この中には当時単線非電化のローカル線だった播但・加古川・磐越西(喜多方以北)・北上線がある事は注目したいところです。東日本では東北・常磐・上越・羽越・奥羽、貨物の幹線、東北北部の太平洋岸の港を連絡する各線、西日本では山陽・北陸の貨物幹線をバイパスできるルートは潜在的な代替ルートですが、多分それをすべて含むなら大半とは言わないまでも2/3程度の赤字路線は含まれます。そしてJR旅客各社は貨物の線路使用料がアボイダブルコストである為、こんなことは決して飲めないのは言うまでもないです。
2024年問題に揺れる物流業界にトラックを出す余裕はあるのか
そしてもう1つ忘れてはならないのは仮に鉄道貨物をトラック輸送で代替と言うのは令和の時代では通用しづらい概念であるという事です。ドライバーの高齢化が進みかつ若い世代には底辺職として嫌われている状況で2020年代中盤には幹線の自動運転化を盛り込んでなお24万人ものドライバーが不足する見込みであり、災害時簡単に道路輸送に切り替えるのは難しいという事です。女性の活用や自動運転の大きな発展により解決する可能性は無しとは言えないですが、言うなれば戦争末期の松根油と言えるでしょう。
人材を常に募集しているバスに赤字路線廃止のフォローをする負担はあるのだろうか?
そして早くも秋田県佐竹知事がバス転換への理解を示すという新聞報道がなされました。秋田県には先に出した貨物の重要幹線である奥羽本線、羽越本線が走っていて県内の赤字額TOP3がこの2路線かつでかつ両方とも県境区間を抱えているのでバス転換の有力候補となりえます。それが実現すれば困るのは言うまでもないですが秋田から東京・仙台に行くには秋田新幹線があればよく、秋田県民に奉仕するサーバントである秋田県知事に「日本の為に奥羽・羽越本線を守るべく財政負担しろ」と言うのは筋違いの批判と言う他ないでしょう。そしてJRも地元自治体も諦めた中では特定線区再構築協議会(仮称)も設置できるでしょうか?
さて赤字旅客鉄道線の廃線と言うとすぐバス転換が言われます。ある意味でローカル線の雛形とも言える国鉄分割民営化に伴う廃線の際にも多くの旅客輸送がバスに切り替えられました。しかし1980年代と2020年代で同じようにバス転換できるのでしょうか?上は30万都市である前橋市・高崎市にも乗り入れる群馬県のバス会社関越交通の運転手募集のHPです。夏休みを挟む8月であっても積極的に運転手を募集している様子を見て取れます。1980年代〜2000年代初頭の20代は1歳辺り160〜210万人程度(1966年除く)いましたが2020年代の20代は1歳辺り100〜120万人程度で3〜4割減っている事となります。確かにバス運転手はトラック運転手よりは条件がマシですがそれでも少子化で担い手の確保に苦戦している様子を見て取れます。
その中で仮にピーク時片道300人を運ぶと考えるとどれくらい運転手が必要かと言えば
バス:6人(1便50人x6便)
電車(2両):1人(電車定員1両120人x2=240人、混雑率125%で算出)
300人と言えば仮に1学年の定員が300人の高校で学生の1/3が利用すれば満たしてしまう数字です。赤字路線とは言え青森・盛岡・鳥取と言った県庁市に乗り入れる路線も珍しくない事を考えるとこういった区間は決して珍しくなく、その中でJRの協力があるとはいえ、電車の6倍近い運転手の頭数を確保できるのでしょうか?
高速バス・長距離バスの運行状況について@岩手県交通
【高速バス】運行状況について@弘南バス
高速バスのご案内@庄内交通
新型コロナウイルスの影響による運行情報@西鉄バス
各地のバスを見ているとコロナの乗客減がきっかけではありますが高速バスの撤退・運休・減便と言ったケースが多かれ少なかれ見受けられます。特に東京・大阪向けを中心とした長距離・夜行バスの撤退が目立ちます。こういった路線は交代要員を含め多くの運転手が必要な路線であり、人的リソースの負担が大きな路線です。
そして今回JR東日本で提起されている路線に並行したいわゆる競合する高速バス路線でも乗務員不足で減便する路線が出て来ています。秋田中央交通/羽後交通の秋田〜湯沢線です。この路線はJR東日本が赤字路線として挙げている湯沢〜大曲間に並行した路線です。また秋北バスの大舘〜秋田線も乗務員不足とは書かれていませんがこちらは路線ごと廃線となっています。こちらもJR東日本が赤字路線として挙げている東能代〜大舘の並行バス路線となります。言って見ればバスには赤字鉄道線廃止の負担を引き受ける余裕は少なくなっていてむしろ路線整理による公共交通空白のフォローを鉄道にしてもらう時期に入りつつあると言えます。
福井の負の社会実験が掘り起こした問題と令和の家庭
また人材不足が問題になりそうなのは多分トラックやバスの業界だけでなく何よりも家庭もその1つとなると思われます。かつて京福電鉄に絡み「鉄道が無くなる負の社会実験」と言う状況が出来た福井市ではマイカー送迎による渋滞が問題になりましたが、それすらも今から見ればぜいたくな悩みとなりつつあります。中小企業のための女性活躍推進ハンドブックによると育児との両立で困る事として「子供の保育園への送迎」が上がっています。実際送迎による時短勤務が問題になっている事が見て取れます。そう考えると、両親にこれ以上送迎負担をしてもらうのは難しいですし、じいじ・ばあばも定年延長等で、やはり孫の世話に割ける時間は減ると考えられます。言って見れば家庭にも赤字路線廃止による負担を引き受ける余地は無くなりつつあり、むしろバスや鉄道などの公共交通にうまく「子供の送迎」の負担を引き受けてほしいというニーズすらある状態と言えます。
まとめ〜赤字鉄道路線をバス転換するという贅沢が出来なくなりつつある時代に〜 IMG_0046
写真:秋田ではないですが佐竹知事には縁がありそうな路線
こうして見ると確かに赤字鉄道路線をどうするかと言う問題自体は昭和末期の国鉄民営化、平成期の赤字ローカル線問題の頃と変わらないかもしれませんが、ただ令和のローカル線問題では「赤字鉄道路線を廃止してバス・トラック・マイカーなどの道路交通に移行する」のにはバスもトラックも家庭も人的余裕がなく難しくなっている、言って見れば赤字鉄道路線を廃止しバス転換するという贅沢が許されなくなりつつあることを意識する必要があると思われます。
むしろ逆に鉄道にその人的負担の軽減に貢献が求められているとすらいえると思います。昭和期に考えられた「赤字鉄道路線を廃止してバス・トラック・マイカーなどの道路交通に移行する」と言う贅沢が許される余地が激減したそれ故に限られた人材を上手く活用し、鉄道を中心としたインフラへ投資を促すことで少子化の影響が無視できなくなった令和の人と物の移動の仕組みを考えていくのがJR各社が打ち出した赤字路線問題への回答だと考えますが皆さまはいかがでしょうか?
新型コロナ 対策支援制度まとめ@Yahoo
・Yahooによる支援制度の情報です。
新型コロナお役立ちコーナー@首相官邸
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新型コロナウイルス感染症に関する情報(2020年4月3日更新)@横須賀市
・横須賀市役所でのコロナウィルスに関するまとめサイトです。
横須賀市・横浜市公共交通各社の新型コロナウイルスに関する対応について
・横須賀・横浜地区の公共交通各企業のコロナ対策のリンク集です。利用者の協力をもとに3密を恐れず公共交通を利用しましょう。
横須賀公共交通バリアフリーマップの様なもの
・横須賀公共交通バリアフリーマップの様なものです。横須賀に車椅子で来られる際などにどうぞ
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プロローグ〜太平洋戦争末期何故多くの人達が松の根っこを掘り起こしたのか〜
松根油@Wikipediaより最初に全く関係ないですが、終戦記念日に近い時期の記事らしくそれらしいネタを書いて始めます。日中・太平洋戦争末期、南方からの原油還送が困難となって燃料事情が極度に逼迫していたためマツの伐根(切り株)を乾溜することで得られる油を航空ガソリンの代用品として使おうとして結果的にうまく行かず一説には戦後対戦国であるアメリカに「日本に残ったリソースを浪費した大愚策」と称されたという話がありました。「松の根からとれる油(以下松根油)で飛行機を飛ばす」と言うぱっと見のイメージでバカバカしいと感じてしまう面がありますがそれでは芸がないので何故松根油が失敗したのか少し真面目に考えてみましょう。ポイントは以下であると感じます。
松根油(しょうこんゆ)は、マツの伐根(切り株)を乾溜することで得られる油状液体である。広義にはテレビン油の一種であるため、松根テレビン油と呼ばれることもある。太平洋戦争中の日本では航空用ガソリン(航空揮発油)の代替物としての利用が試みられたが、非常に労力が掛かり収率も悪いため実用化には至らなかった[1]。
・石油が無くなるのが1年以内なのに対し松根油の品質を航空燃料に適したものに変換する技術開発にかかる時間は不明確
言い換えれば必要な時期は明確なものの実現時期・可能性が明確でない技術で何とかしようとしたことがこの松根油の失敗の本質ではないかと思います。
独り歩きする輸送密度1000人〜鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会に思う〜
輸送密度1000人/日の線区、協議開始から3年以内に決着を...国交省のローカル線検討会が提言@Response2022/7/26より
国土交通省は7月25日、「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」における提言案を公表した。
三大都市圏を除く人口減や少子高齢化、高速道路の進展、コロナ禍における鉄道を取り巻く環境の激変などで、いわゆる「ローカル線」と呼ばれる地域の鉄道は危機的な状況を迎えていると言われている。
とくにJR北海道、JR西日本、JR四国、JR九州の4社は、輸送密度が2000人/日以下となっている線区の収支状況を公表。地域交通の再構築へ向けた議論を提案しており、動揺が広がっている地域も多い。〜中略〜
それらの点を踏まえ、平常時の輸送密度が1000人/日未満で、自治体と比較的連携しやすい第三セクター鉄道を除いた線区を対象に仮称「特定線区再構築協議会」(特定線区協議会)を設け、「廃止ありき」「存続ありき」ではなく協議を進めることが適当とされた。
さて脱線した話を本題に戻します。最近JR東西日本が赤字地方路線の経営状況に関する資料公開を行った事から、注目されていた地方閑散路線問題に関して、国土交通省の鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会が提言を出し、輸送密度が1000人/日未満の路線に関して国が特定線区再構築協議会(仮称)を設置し、廃止ありき、存続ありきという前提を置かずに協議する事を提言した事が7月末に報道されました。
鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会について@国土交通省
令和の大きな宿題その12 JR西日本が投げかけたもの
ご利用の少ない線区の経営情報を開示します。@JR東日本
ローカル線に関する課題認識と情報開示について@JR西日本
線区別収支@JR九州
線区別収支と営業係数の公表について@JR四国
地域交通を持続的に維持するために@JR北海道
localLine2
鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会について@国土交通省
ただ輸送密度1000人未満の路線を自動的に国が設置した協議会で存廃を協議するという単純なものでなく
・我が国の基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区(特急列車、貨物列車が走行等)については、引き続きJR各社による維持を強く期待。
・危機的な状況のローカル線区については、沿線自治体(特に都道府県)が中心となり、法定協議会等を設け、利用者や地域戦略の視点に立ち、将来に向けた地域モビリティのあり方について関係者と検討を進めていくことが基本原則
単純に言えば
・特急や貨物列車の走る幹線
→JRさん努力してください
都道府県範囲で納まるローカル線は
→JRと都道府県で協議して決めてください
そしてそれ以外の路線
→国=国土交通省が協議会を設置するのでそこで存廃を話し合いましょう
と言った形となっています。
JRも都道府県も守るといいづらい特急の走る閑散線区
sexp
表:JR東日本、西日本の輸送密度2000人未満として発表しているかつ特急運行区間(参考:JTB時刻表2022年4月号)
さて「基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区(特急列車、貨物列車が走行等)については、引き続きJR各社による維持を強く期待」と書かれていますが、そう簡単に行くでしょうか、上の表はご利用の少ない線区の経営情報を開示します。@JR東日本、ローカル線に関する課題認識と情報開示について@JR西日本でJRの東・西日本が輸送密度が低く自治体への協力を期待している路線の中で定期的に特急列車が走っている区間を挙げたものです。共に7区間、JR西日本が挙げた30区間の1/4近く、東日本も66区間の1割を超えます。これらの区間に関してJR東日本/西日本は「はい、そうですか」と言えない区間と言えます。国土交通省の「期待する」と言う言葉は発表した段階で既に破綻していると言えるのではないでしょうか?更に言えば大糸線、外房線を除くと県境を越える路線であり、都道府県にとっても積極的に存続への負担をしづらい路線と言えます。
貨物の走る路線とはどこまでを指すのか〜災害時の代替路線が示すもの〜
令和の大きな宿題その12 JR西日本が投げかけたものより
特に山陰線・加古川線・播但線の3路線では実際に阪神大震災の際、旅客・貨物双方で代替ルートとして活用され、加古川線全線、播但線の一部(ただし今回公開された区間は該当せず)がその経験もあって電化されています。 地震・豪雨災害後に重要、鉄道「迂回ルート」の役割@東洋経済2022年4月7日より
主要幹線が長期間不通になった近年の事例としては、2018年7月の西日本豪雨がある。この際は山陽本線の線路への土砂流入や盛土の崩壊が起こり、三原―白市間の再開は9月30日、柳井―下松間は10月13日(9月9日に一度再開したが9月29日に台風被害で再び不通となった)となり、全線復旧まで約3カ月を要した。この間、地域の旅客輸送では代行バスが運行されたほか、山陽新幹線による代行も行われた。
問題は貨物である。人間のように自分で動くことはできない。まずはトラック輸送や船舶で対応したが、鉄道での代替ルート確保は必須だ。そこで、倉敷―新山口間を伯備線・山陰本線・山口線経由で迂回するルートにより、九州と名古屋を結ぶ貨物列車が運転された。
3.11 被災地に石油を輸送せよ 11年前 緊迫の挑戦 真貝康一・JR貨物社長に聞く@東京新聞2022年3月11日
東日本大震災では、JR東北線などが寸断された。物資の主要な輸送路を断たれ、暖をとり車を走らせる燃料も底をついて、首都圏から緊急石油輸送が繰り広げられた。横浜を起点に日本海側をぐるりと鉄路で回る究極の迂回(うかい)ルート。当時、東北支社長として陣頭に立った真貝康一(しんがいこういち)・JR貨物社長(66)に、被災体験を踏まえた新たな災害対策を聞いた。 「(東北唯一の)仙台の製油所が津波でやられ、ガソリンスタンドに長蛇の列ができて...。地震発生から二、三日後のことですが、緊急輸送について国からも強い要請がありました」と真貝さんは振り返る。~中略~
盛岡行きとは別に、新津から郡山へ磐越西線経由で運ぶルートも設定したが、ここには電化されていない区間がある。「ディーゼル機関車と、その運転士の確保が大変でした」と真貝さん。DD51形ディーゼル機関車を門司(北九州市)などから集める一方、郡山から運転士四人を稲沢(愛知県)へ派遣して訓練させた。
【東日本大震災から10年】被災地へ走った"前例なき"緊急石油貨物列車。その原動力になった「鉄道マン魂」(後編)@NHK2021/3/8
野月さん: 今回の場合、盛岡への最短ルートは新潟・酒田・秋田まで日本海側を北上して、秋田から奥羽(おうう)本線を南下して大曲、そして田沢湖線で盛岡というルートになるのですが、いわゆる秋田新幹線も走っている在来線区間の秋田〜盛岡間も含まれます。しかし新幹線と貨物列車では線路の幅が異なり、特に大曲〜盛岡の間では線路幅を新幹線に合わせてしまったので、貨物列車は走ることができません。 次に短い距離のルートは、秋田から奥羽本線を大曲・横手と南下し、横手から北上(きたかみ)線で奥羽山脈を越えて岩手県の北上駅へ。そこから東北線で盛岡へ行くルート。 もうひとつ考えられるのは、秋田からそのまま奥羽本線を弘前・青森まで北上して、青森から八戸を通って盛岡に南下するルートです。
続いて貨物に関して考えていくと一見今貨物列車が走っている路線を考えがちですが災害時の代替輸送を考えると簡単にはいきません。西日本では震災時の播但・加古川・山陰、そして2018年の西日本豪雨時には山陰・山口線が活躍しましたし、東日本震災時には上越・羽越・奥羽・磐越西の各線が活躍した上に、目的地が盛岡だったために北上線の名前も浮かび上がりました。この中には当時単線非電化のローカル線だった播但・加古川・磐越西(喜多方以北)・北上線がある事は注目したいところです。東日本では東北・常磐・上越・羽越・奥羽、貨物の幹線、東北北部の太平洋岸の港を連絡する各線、西日本では山陽・北陸の貨物幹線をバイパスできるルートは潜在的な代替ルートですが、多分それをすべて含むなら大半とは言わないまでも2/3程度の赤字路線は含まれます。そしてJR旅客各社は貨物の線路使用料がアボイダブルコストである為、こんなことは決して飲めないのは言うまでもないです。
2024年問題に揺れる物流業界にトラックを出す余裕はあるのか
kamotsu1
<<ヒヤリング資料>>ヤマト運輸(株)@今後の鉄道物流のあり方に関する検討会国土交通省より
teihen
就活情報サイト「底辺の職業ランキング」に批判殺到 12の職を羅列...運営会社は削除し「事実関係を確認する」@J-CAST NEWS2022/6/29より
第118回 トラックドライバーが10年後に27.8万人不足する?@日本生命2019年12月2日より 国土交通省「自動車輸送統計年報」によれば、国内の貨物輸送に占める自動車輸送の割合はトンベースでは9割、トンキロベース(※(注記)1)では約5割と大きな割合を占めています。近年、EC市場(電子商取引市場)の急激な発展等に伴い自動車輸送の需要が高まったことで、これらを担うトラックドライバーの不足が深刻な問題となっています。〜中略〜 トラック運送業は、中高年層の男性に労働力を大きく依存するなか、ドライバーの高齢化が進んでいます。総務省「労働力調査」によれば、道路貨物運送業の就業者(トラックドライバー)において20〜30代の占める割合は減少傾向にあり、2018年時点では3割未満である一方、50代以上は4割を超えています(図表2)。今後は高齢ドライバーの退職等が加わり、ドライバーの不足はさらに深刻化する可能性が高いと考えられます。公益社団法人鉄道貨物協会の試算によれば、2028年度にはドライバーが27.8万人不足すると予測されています(図表3)。
そしてもう1つ忘れてはならないのは仮に鉄道貨物をトラック輸送で代替と言うのは令和の時代では通用しづらい概念であるという事です。ドライバーの高齢化が進みかつ若い世代には底辺職として嫌われている状況で2020年代中盤には幹線の自動運転化を盛り込んでなお24万人ものドライバーが不足する見込みであり、災害時簡単に道路輸送に切り替えるのは難しいという事です。女性の活用や自動運転の大きな発展により解決する可能性は無しとは言えないですが、言うなれば戦争末期の松根油と言えるでしょう。
人材を常に募集しているバスに赤字路線廃止のフォローをする負担はあるのだろうか?
「バス代替輸送やむを得ない」 秋田知事、JR東・赤字路線公表に理解示す@河北新報2022年8月9日より
秋田県の佐竹敬久知事は8日の定例記者会見で、JR東日本が公表した利用者が少ない路線の区間別収支に県内6路線11区間が含まれ、全て赤字だったことについて「人口が縮小し、持ちこたえていくのは無理。バスの代替輸送はやむを得ず、それもできないところをどうするか個別の検討が必要だ」と述べ、路線の存廃検討やバス転換に理解を示した。 6路線11区間のうち、最も赤字幅が大きいのは奥羽線東能代-大館間で32億4200万円(2019年度)。花輪線荒屋新町-鹿角花輪間は100円の収入を得るために必要な費用「営業係数」が1万196円と東北で最も高かった。
そして早くも秋田県佐竹知事がバス転換への理解を示すという新聞報道がなされました。秋田県には先に出した貨物の重要幹線である奥羽本線、羽越本線が走っていて県内の赤字額TOP3がこの2路線かつでかつ両方とも県境区間を抱えているのでバス転換の有力候補となりえます。それが実現すれば困るのは言うまでもないですが秋田から東京・仙台に行くには秋田新幹線があればよく、秋田県民に奉仕するサーバントである秋田県知事に「日本の為に奥羽・羽越本線を守るべく財政負担しろ」と言うのは筋違いの批判と言う他ないでしょう。そしてJRも地元自治体も諦めた中では特定線区再構築協議会(仮称)も設置できるでしょうか?
kanetsu
上越国境近くを走るバス会社は夏休み前後でも積極的に運転手を募集する 鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会について@国土交通省より
JR各社のローカル線区については輸送密度が1000人未満、かつピーク時の1時間当たり輸送人員500人未満を一つの目安
出生数資料@内閣府
さて赤字旅客鉄道線の廃線と言うとすぐバス転換が言われます。ある意味でローカル線の雛形とも言える国鉄分割民営化に伴う廃線の際にも多くの旅客輸送がバスに切り替えられました。しかし1980年代と2020年代で同じようにバス転換できるのでしょうか?上は30万都市である前橋市・高崎市にも乗り入れる群馬県のバス会社関越交通の運転手募集のHPです。夏休みを挟む8月であっても積極的に運転手を募集している様子を見て取れます。1980年代〜2000年代初頭の20代は1歳辺り160〜210万人程度(1966年除く)いましたが2020年代の20代は1歳辺り100〜120万人程度で3〜4割減っている事となります。確かにバス運転手はトラック運転手よりは条件がマシですがそれでも少子化で担い手の確保に苦戦している様子を見て取れます。
その中で仮にピーク時片道300人を運ぶと考えるとどれくらい運転手が必要かと言えば
バス:6人(1便50人x6便)
電車(2両):1人(電車定員1両120人x2=240人、混雑率125%で算出)
300人と言えば仮に1学年の定員が300人の高校で学生の1/3が利用すれば満たしてしまう数字です。赤字路線とは言え青森・盛岡・鳥取と言った県庁市に乗り入れる路線も珍しくない事を考えるとこういった区間は決して珍しくなく、その中でJRの協力があるとはいえ、電車の6倍近い運転手の頭数を確保できるのでしょうか?
高速バス・長距離バスの運行状況について@岩手県交通
【高速バス】運行状況について@弘南バス
高速バスのご案内@庄内交通
新型コロナウイルスの影響による運行情報@西鉄バス
各地のバスを見ているとコロナの乗客減がきっかけではありますが高速バスの撤退・運休・減便と言ったケースが多かれ少なかれ見受けられます。特に東京・大阪向けを中心とした長距離・夜行バスの撤退が目立ちます。こういった路線は交代要員を含め多くの運転手が必要な路線であり、人的リソースの負担が大きな路線です。
高速 湯沢・秋田線の運行について@羽後交通2022年7月14日より
現在弊社は、慢性的な乗務員不足となっております。
乗務員不足解消の一環として、一部ダイヤを土・日・祝日のみ運行とさせていただきますのでお知らせいたします。
高速バス「大館・秋田線」の廃止について@秋北バス2021年12月6日
そして今回JR東日本で提起されている路線に並行したいわゆる競合する高速バス路線でも乗務員不足で減便する路線が出て来ています。秋田中央交通/羽後交通の秋田〜湯沢線です。この路線はJR東日本が赤字路線として挙げている湯沢〜大曲間に並行した路線です。また秋北バスの大舘〜秋田線も乗務員不足とは書かれていませんがこちらは路線ごと廃線となっています。こちらもJR東日本が赤字路線として挙げている東能代〜大舘の並行バス路線となります。言って見ればバスには赤字鉄道線廃止の負担を引き受ける余裕は少なくなっていてむしろ路線整理による公共交通空白のフォローを鉄道にしてもらう時期に入りつつあると言えます。
福井の負の社会実験が掘り起こした問題と令和の家庭
【中古】ロ-カル線ガ-ルズ /メディアファクトリ-/嶋田郁美(単行本(ソフトカバー))P39より
代行バスに不満を抱く人々は、次々にマイカーへと切り替えました。ただし高校生は自分では運転できませんから、ご家族が送り迎えすることになります。国道416号線では、これらの車と代行バスで大渋滞が発生し、従来のマイカー通勤者まで遅刻するはめになってしまいました。〜中略〜
勝山周辺から福井市内に進学する中学生も多かったのですが、通学手段を失ってしまったために、希望校の受験を泣くなく諦めたという話も耳にしました。
kosodate
中小企業のための女性活躍推進ハンドブック -@日本商工会議所P18より
teinen
高年齢者雇用安定法改正の概要@厚生労働省より
また人材不足が問題になりそうなのは多分トラックやバスの業界だけでなく何よりも家庭もその1つとなると思われます。かつて京福電鉄に絡み「鉄道が無くなる負の社会実験」と言う状況が出来た福井市ではマイカー送迎による渋滞が問題になりましたが、それすらも今から見ればぜいたくな悩みとなりつつあります。中小企業のための女性活躍推進ハンドブックによると育児との両立で困る事として「子供の保育園への送迎」が上がっています。実際送迎による時短勤務が問題になっている事が見て取れます。そう考えると、両親にこれ以上送迎負担をしてもらうのは難しいですし、じいじ・ばあばも定年延長等で、やはり孫の世話に割ける時間は減ると考えられます。言って見れば家庭にも赤字路線廃止による負担を引き受ける余地は無くなりつつあり、むしろバスや鉄道などの公共交通にうまく「子供の送迎」の負担を引き受けてほしいというニーズすらある状態と言えます。
まとめ〜赤字鉄道路線をバス転換するという贅沢が出来なくなりつつある時代に〜 IMG_0046
写真:秋田ではないですが佐竹知事には縁がありそうな路線
こうして見ると確かに赤字鉄道路線をどうするかと言う問題自体は昭和末期の国鉄民営化、平成期の赤字ローカル線問題の頃と変わらないかもしれませんが、ただ令和のローカル線問題では「赤字鉄道路線を廃止してバス・トラック・マイカーなどの道路交通に移行する」のにはバスもトラックも家庭も人的余裕がなく難しくなっている、言って見れば赤字鉄道路線を廃止しバス転換するという贅沢が許されなくなりつつあることを意識する必要があると思われます。
むしろ逆に鉄道にその人的負担の軽減に貢献が求められているとすらいえると思います。昭和期に考えられた「赤字鉄道路線を廃止してバス・トラック・マイカーなどの道路交通に移行する」と言う贅沢が許される余地が激減したそれ故に限られた人材を上手く活用し、鉄道を中心としたインフラへ投資を促すことで少子化の影響が無視できなくなった令和の人と物の移動の仕組みを考えていくのがJR各社が打ち出した赤字路線問題への回答だと考えますが皆さまはいかがでしょうか?
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brothertom
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ありがとうございます。
brothertom
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