2016年02月
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写真:横浜は回遊性を高めて脱皮できるのか
さて久しぶりのLRT/公共交通フォーラムのレポートです。ちなみに参加そのものはしていたのですがなかなかレポートを挙げられませんでした。
イベント見聞録:2010年1月23日横浜LRTフォーラム
イベント見聞録:2010年1月23日横浜LRTフォーラムその2
イベント見聞録 2015年4月25日野毛山動物園LRT・路面電車の写真展
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写真:今回のテーマ
さて今回のテーマは「まちづくりにおける回遊性の向上とその効果」、これは2013年に林文子市長が市長選挙で再選した際に横浜市都心部の再開発計画である都心臨海部再生マスタープランにおいて都心部の回遊性向上へ向けてLRT導入を検討すると政策を掲げ、2014年度からLRT導入に向けた調査を開始した事が大きいと考えられます。
横浜市長選候補者からLRT導入に関する公開質問の回答届く@横浜にLRTを走らせる会
都心臨海部再生マスタープラン(仮称) 検討資料@横浜市
横浜市が都心臨海部新交通システムの導入調査を日本交通計画に @日本経済工業新聞2014年6月17日
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写真:今回の戦利品
さて今回から(?)こんなものがありましたので思わず手に入れました。横浜みなとみらいを走るLRTのシミュレーション写真の絵葉書です。ちなみに一定額の寄付でそのお礼に受け取る方式です。ちなみの画像が縦なのはどうやってもこうなった結果とだけ書いておきましょう。
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写真:司会のめざす会小田部事務局長(左)と開会のあいさつをするめざす会清水会長
そうこうするうちにフォーラムが始まります。司会は主催団体横浜の公共交通活性化をめざす会小田部事務局長、開会のあいさつは清水会長でした。開会のあいさつではこの日は雪の予報もあったので1昨年雪で中止となったフォーラムの話、また共催者である横浜にLRTを走らせる会も参加する横浜市交通政策推進協議会のモビリティマネジメント推進部会の話や今回特別講演を行う荒川副市長のいる宇都宮市のLRT計画の話などが出ました。
横浜市交通政策推進協議会 モビリティマネジメント推進部会
新交通システム(LRT)@宇都宮市
1.基調講演:「LRTは街に人を呼び込めるのか」関西大学経済学部宇都宮教授
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写真:基調講演「LRTは街に人を呼び込めるのか」関西大学経済学部宇都宮教授
さて最初は基調講演、関西大学経済学部教授の宇都宮浄人氏による「LRTは街に人を呼び込めるのか」と言うテーマの講演5つのテーマでした。
前段階として現状の日本のLRTの現状、2006年に富山ライトレールが開業し各地でLRT導入に関する声が挙がるものの、「財政が破たんしても良いのか」と言う反発も増えたのがままならないとの事、また横浜に関してはかつて東京に住んでいたころ横浜に遊びに来た経験からみなとみらい線がなかったころだったせいもあるか回遊するには以外に不便という事からLRTが最も似合う街なのではとの事でした。
1、LRT・BRTの基礎知識
LRTの定義としては一時期あまりに提唱者やまちづくりに関わる部分からきつい定義づけをする人が多かったからか部分低床車や高床式車両などの普及も紹介し、大切な事として「まちに乗り入れ、まちを盛り上げていけるか」と言う点を挙げていました。
またBRTに関してはあくまで専用道路(専用レーン)やPTPS等きちんとした環境を整えた上でのもので単純に連接バスを導入すれば良いものではないとしたうえで確かに海外での導入事例を紹介していました。
2、LRTの魅力
LRTの魅力としてMAFFIAと言う略語を挙げていました。
Medium capasity transit:ゆとりある中量輸送機関(大量輸送機関:電車、少量輸送機関:バス・タクシー)
Accessibility:乗りやすさ→地上からの乗り降り(地下鉄のような会談なし)、超低床車(バスのようなステップなし)
Frequentry:待たずに乗れる
Flexibility:柔軟なネットワーク・既存の電車との乗り入れも可能
Inexpensive:コストの安さ→1km当たり20億円、バイパス道路でも1kmあたり数十億円
Amenity:街の環境改善→街の顔として景観や回遊性向上による活性化
あまり良い略語ではないですが、略語がある事での普及効果を言ってました。またまちの顔、まちのシンボルと言った話は定量化しづらい事もあり、コンサルがなかなか言わないというのも意外に重要と言う点を挙げられていたのですがこれは地域の視点としては重要なのではと感じました。更にコスト面では特定財源で財源が確保されている道路との比較(バイパス道路は財源を問われず、LRTは問われる)と言うのは地域の交通を考える上で重要な点ではと感じました。
またBRTとの比較としては以下の点を挙げられていました。
・線路のある電車に比べてバスは蛇行などを行う事もあり、占有スペースがやや広くなる
・LRTの開業した富山でのバスとの比較アンケート結果から特に高齢者で乗り心地を評価する人が多い(ただし圧倒的に評価が高いのは定時制)
・LRTはBRTに比べて輸送力が高い
3、LRTは人の動きを変えるのか
・ LRT導入が盛んなフランスでは導入の進んだ都心部では公共交通利用が増加
・富山ライトレールを導入した富山市では旧富山港線時代に比べて平日2倍、休日3倍以上と激増、特に2割は他の交通機関からの移転でなく新規需要を開拓したことは重要
・富山市での沿線アンケートでは開業後観劇・スポーツ観戦などを中心に外出する機会が増加したとの回答が多く市民の行動に影響したことがうかがえる
・同じく富山市の市内環状線開業後の利用者アンケートでは環状線利用者の中心市街地での滞在時間、来街頻度、特に休日での消費金額などが車より優位になっている
・堺市の阪堺電車では運賃値下げ策などの支援の結果利用者が2015年/2009年でおおむね12~15%程度増加
・堺市が行ったアンケートでは観光客が増えたとの回答が504人/1375人と非常に多いのが目にひく、観光客はコンサルが計算しづらいため中々効用としてあげないため、注目する必要がある
ポートラム
堺市阪堺線活性化推進懇話会
4、国内外の最近の動き
・海外の都市では次々LRTを導入、ロンドン・パリの様に地下鉄があり路面電車を全廃した都市でも地下鉄の保管などの目的でLRTを導入している都市もある(ロンドン・ベルリン・フランクフルトなどは路面電車は廃止せずに地下鉄・LRT共存)
・アメリカではまちなかの回遊に特化した路面電車ストリートカーの導入が盛ん
・フランスの地方都市圏(10万人以上)では郊外で車利用が増える一方、LRT導入が盛んな市内では車利用が抑制されている
・札幌市では本格的なサイドリザベーション(歩道からの直接乗車)を導入し環状延伸区間を昨年12月に開業、事前の予測2.7%増加に対し1月で平日10%増、休日16%増と大きな増加がみられている
・福井鉄道では廃止から一転LRT化、越前鉄道との乗り入れを計画、宇都宮市では新設LRT導入計画を推進
・神戸市では三宮駅〜神戸港など主要な南北での回遊性を抑える交通機関に乏しく、民間提案を受けLRT構想、宇都宮教授の研究室で行ったアンケートでは多くの人が南北交通の不便さからLRT導入に対して賛成である。
福井鉄道えちぜん鉄道LRT整備計画について@福井鉄道福武線活性化連携協議会/えちぜん鉄道活性化連携協議会
交通計画報告書等@富山市
新たな交通手段(LRT、BRT)の導入可能性検討
利用者増、街中に活気 札幌市電ループ化から1カ月@北海道新聞2016年1月20日
5,おわりに
・LRTは小さな投資で大きな効果→あまり役に立たないに役立たない200台級の7~80億円の駐車場をいくつも簡単に作るのにkm20億円程度のLRT路線を数km作るのに逡巡するのはどうだろう?
・Storagy(戦略)、Tactice(戦術)、Operate(運行)の明確化を→日本では飛び抜けて優秀で大規模なOperater(京急・東急・JR・神奈中バスの様な交通事業者)に依存し過ぎてSとTが疎か
・交通政策基本法→横浜のような大きな都市は特にそうだが地域が交通戦略を持つ事が求められている
・LRTは
→人々の行動を変える(→富山市のアンケートなど)
→まちの回遊性を導くまちづくりのツール(→堺市のアンケート、観光はコンサルが語らない分野)
→地下鉄やバスと対立するのではなく補完する交通機関(→ロンドン・パリ・ベルリン・フランクフルト)
と言った効果がある
交通政策基本法に基づく政策展開@国土交通省
・BRTに関する補完らしきもの
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写真:日本のBRTの雛形ともいえる名古屋の基幹バス(左2009年)と幕張地区の連接バス(右2015年)
個人的には全体的によくまとまっていて、宇都宮教授の講演は何度も聞いているもののよくネタが尽きないなと感心することしきりですが、個人的には海外の事例がヨーロッパに偏りがあるのが気にかかりました。欧州出羽守なんというスラングもあるし、高齢者はともかく現役世代にとっては良くも悪しくも中国・アジア地域とのつながりが深い事、また中国・アジア地域はヨーロッパと違い横浜と比較可能なメガシティが多い事等を考えるともう少しサンプルとして挙げてもよかったかなと感じます。
あとBRTに関してもう少し突っ込んだ話が聞けると良かったかなと感じます。私が体験した範囲で言うと名古屋市の基幹バスや幕張の連接バスあたりが横浜のBRTを考える上で参考になるのかなと感じますがどちらも交通機関としてはきちんと機能しているものの横浜市の回遊性を高める交通機関に向くかと言えばどうかなと感じています。名古屋の基幹バスは郊外へ放射状に広がるバス路線の都市部での高速化に役立ったものですし、幕張は幕張メッセやマリンスタジアムなど大量の顧客が見込まれる地域へのピストン輸送の担い手として機能しています。横浜都心部の場合郊外からのアクセスは名古屋都心部ほどの求心力がない上に地下鉄などの軌道系が機能しやすく、シャトル便は横浜都心部の集客施設は駅から歩けない距離でないためまとまった需要を集めずらいと言った点が挙げられます。またバスの利点である柔軟な路線設定そのものが頻繁に訪れるわけではない回遊客にとってはどこを走っているかはっきりせず、利用しづらい欠点となっている点も挙げられるのではと感じます。
BRTの取り組み状況及び支援制度@国土交通省
【次世代の生活支援(BRTの導入)】@国土交通省
基幹バス (名古屋市)@wikipedia
連節バス@Wikipedia
鉄道復権 [ 宇都宮浄人 ]
2、報告1:横浜都心臨海部再生と新たな魅力づくり 横浜商工会議所副会頭/株式会社崎陽軒社長野並直文氏
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写真:横浜都心臨海部再生と新たな魅力づくり 横浜商工会議所副会頭/株式会社崎陽軒社長野並直文氏
続いてある意味でこのフォーラムのビッグネームである意味でメインゲストともいえる崎陽軒社長野並氏の報告です。
まず前段として活性化とは人が増える事と言う話がありました。人が増えるというのはイコール自治体の住民が増えるだけ事でなく、住む人・働く人・遊びに来る人・観光客・買い物客等様々な意味でその地域にいる人が増える事との事、その辺は地域の企業人らしい視点だと思いました。
1、横浜の観光の現状
まず横浜の観光の現状としては以下のことが言われました。
・宿泊客・インバウンド客が東京との比較で桁外れに少ない(=消費金額が少ない、インバウンド客は2012年40万人→2014年50万人)
・「大人」「夜」向けの観光に弱い(→これは東京も同様でスカイツリー等大型施設は「子供」「女性」向き、東京はつまらないという外国人客の声もある)
・よって「大人」「夜」向けの観光開発が重要
感想としてはしごくごもっともと言う感じですが個人的には大型施設=「子供」「女性」向き=つまらないとまで言った所に本気度を感じます。
2、新たな観光振興戦略
さてもっともらしいタイトルですが前段の問題点の解決策として野並社長が挙げていたのはIRとドーム構想でした。反対派も多いIR構想、また回遊性と言うのがこのフォーラムのテーマなので社長は以下のように言っていました。
・シンガポールには水族館を核にした家族にも楽しめるIRがある
・IRは統合型という事で自己完結型になりがちなのが欠点
・IRを生かすにはIRを起点に回遊性を持たせ波及効果を広げたい
・LRTは地下鉄と違って乗ってみたい乗り物なのでその役割に適切なのでは
・LRTとIRで統合型→分散型リゾートに
IRはカジノが注目されますがホテルや大規模集客施設を中心とした大規模投資、ドーム球場は広島で新規球場計画をドーム構想として立ち上げ、完成後は地元のカープの観客増加の大きな起爆剤となった事、そして何より双方とも実現に向けて一定の動きがある事が大きいのでしょう。賛否に関しては何とも言えませんが個人的には反対派に一票は投じずらいと言った感じです。
IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討調査 報告書@横浜市政策局
横浜ドームを実現する会
3、既存市街地の活性化
横浜市では今関内駅前にある市役所を馬車道地区に移転する等古くからの中心地である関内を中心に既存市街地の活性化が求められているそれに対しては
・「港町1丁目1番地」と言う歴史的、象徴的な地区としてシンボリックな再活用を
・試案としては現在の市役所庁舎は「横浜もののはじめ博物館」として活用を
・その際ドイツハンブルクのミニチュアワンダーランドを誘致してみても面白い
・原鉄道模型博物館と競合するかもしれないがただ成功しているのでニーズはある
・山下埠頭再開発に関してはトリエンナーレで見た夜景は最高だった是非とも横浜の観光拠点に
・横浜は海があるのは非常に大きい副都心線開業にあたって埼玉県のある市の商議所の人と話した時こんなことを言われた「(大意)横浜はおいしいものがたくさんあってよい、埼玉は海がないからおいしいものがない」「横浜の中華街にはきれいな女性が多い(←副都心線で埼玉から来た女性も多いよ)」
最後は何だか財界人の会話っぽくて興味深かったです。
ミニチュアワンダーランド@wikipedia
原鉄道模型博物館
横浜トリエンナーレ
4、まとめ
・(シウマイ弁当の掛け紙を見つつ)昭和の掛け紙から平成の掛け紙に変わった際にランドマークタワーをはじめとして最近の建物が加わった。次の掛け紙ではLRTを!!
〈横浜〉崎陽軒・シウマイ(6箱入)
・補完:何故横浜の観光の課題は「夜」と「大人」なのか?横浜と神戸の観光を比較してみる
上の表は野並社長は横浜の財界人という事でどうしても東京と言ってしまうのですが、比較対象としてどうかと思うので、同じく大都市圏でメイン都市に次ぐポジションにある都市であり、近代開港し開発が進んだイメージの都市という事で神戸市と横浜市の観光産業の比較です。何よりも注目したいのは観光客の総数では横浜が1.5倍近くあるはずなのに消費金額では神戸市が15%近く上回っている事です。特に注目したいのは日帰り客の一人あたりの消費金額で8726円と横浜の1.8倍近くあります。
これはもともと宿泊客のシェアが高く宿泊客=24時間対応の度合いが高いため、日帰り客も長居することが多いためと考えられます。例えるならば横浜の日帰り客はランチを食べるだけ、神戸の観光客は夕飯も食べていくと言った感じでしょうか?だからこそ「大人」「夜」なのでしょう?
平成25年の神戸観光(観光入込客数)について@神戸市
過去最高!!平成26年(1月〜12月)の観光集客実人員は3,452万人、観光消費額は2,771億円@横浜市
3、報告2:ホテルから見た、観光客の回遊性 ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル副総支配人谷口高広氏
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写真:報告2:ホテルから見た、観光客の回遊性 ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル副総支配人谷口高広氏
財界の大物に続いては現場で見続けてきた人の意見という事で報告2はヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル副総支配人谷口高広氏です。まず横浜の観光地の周遊状況としては
・一般徒歩・宿泊ともにみなとみらい〜カップヌードルミュージアム〜赤レンガ〜大桟橋〜山下公園〜中華街・元町と言ったルートが多い
・また観光客から問い合わせの多い場所として八景島・ベイサイドマリーナ、崎陽軒・アサヒビールなどの工場(学生他団体)やスポーツ観戦など
・野毛・吉田町、港が見える丘公園・本牧・三溪園は行き方がわからないせいか問い合わせは少ない、また伊勢佐木町周辺は有力施設がないせいかイメージがわきづらい
・まとめると横浜中心市街地の観光地はみなとみらい線〜海に囲まれた狭い地域に集中している
・そしてその狭い地域では宿泊を伴うような長い時間過ごすのは難しく横浜宿泊は少なく宿泊が東京やTDRに流出している
こうしてみると課題は明白で臨海部に観光が集中し過ぎている為その他への地域への回遊性を高めて滞在時間を延長すること、そして宿泊客を増やす事、その際にLRTに期待されることをまとめると
・現状集中している地域以外への観光ルート開発
・車窓観光
・台湾等のインバウンド客にニーズがある写真被写体となる事
・そして被写体となる事でSNS等での情報発信の題材となる事
との事でした。
ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル
・みなとみらい線は回遊性に貢献しているのか?
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写真:元町近くの洋館と横浜中心市街地循環バス赤い靴号
感想ですが、個人的にはこの辺は感じていたので非常に腑に落ちたのですが、ただ問い合わせの少ない地域として港が見える丘が入っていたのが興味深かったです。この地域に関しては元町中華街からも徒歩圏で横浜市の観光循環バス赤い靴号も走る地域であり思った以上に外からの観光客にとって臨海部中心思考は高いのだと感じました。
補完と言うわけではないですがこの地域の最有力な交通機関であるみなとみらい線に関して少し考察を上の表はみなとみらい線の運営企業横浜高速鉄道のHPからとってきたものです。乗降客ベースでの利用者数は39万人、横浜駅以外の乗降客数20万人に対して横浜駅は18.5万人と直通を行っている東急線をはじめとする横浜駅から伸びている各線からのこの地域に1日18.5万人ものお客さんを運んでくるのは見事ですがこの地域内の移動客は2万人以下となっています。言うなればみなとみらい線とは1日20万人近いお客さんを横浜駅以遠から運んでくる路線で来たお客さんの回遊性と言う意味ではあまり役立つ路線ではないのです。
良く考えてみれば歩いてちょっとの移動のために地下奥深くまで移動するでしょうか?
横浜高速鉄道
4、報告3:「あるくまち・京都」の推進及び四条通歩道拡幅事業について 京都市都市計画局歩くまち京都推進室担当部長 山口雅直氏
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写真:「あるくまち・京都」の推進及び四条通歩道拡幅事業について 京都市都市計画局歩くまち京都推進室担当部長 山口雅直氏
続いては京都市の山口担当部長による「あるくまち・京都」の推進と四条通歩道拡幅事業についての報告です。
まず京都市の現況として
・14か所の世界遺産を抱え年間5000万人(2014年度5526万人)の観光客が訪れる観光都市
・伝統・文化と市民が密接にかかわる都市である(まつりのお囃子など)
とする一方
・車社会化で比較的広範囲にばらけている世界遺産を中心とした観光地を巡るのに車が増え環境が悪化した面がある
としていてそれに対してスタートしたのが「歩くまち・京都」であり2001年の京都市基本計画に掲げて以来2010年に行動規範である憲章が制定されその実現のため総合交通戦略も策定されています。総合交通戦略の概要は
・理念としては脱車・歩く事を中心としたまちに転換することでまちのにぎわいを生み出す都市であり続けることを目指す
・目標としては自動車分担率を28%→20%にすることを目指す
・取り組みとしては以下の3つを柱とする
→既存公共交通:公共交通を再編強化して使いやすさを世界トップレベルに
→ライフスタイル:歩いて楽しい暮らしを大切にするライフスタイルに転換
→まちづくり:歩く魅力を最大限味わえるよう歩行者優先のまちづくり
との事です。そしてこの「歩くまち・京都」の主な取り組みとして紹介されたのが四条通歩道拡幅事業です。内容としては
・まず幅7mの歩道に7000人/時、15mの車道に2200人/時と言うアンバランスぶりに着目して多く通る歩道側にスペースを再配分
・その際に通りそのものをバスターミナルとするべくバスターミナル、タクシー乗り場を整備
・その他の車の駐停車や荷捌きは沿道アクセススペースに集約化
することで歩行者の快適性と公共交通の利便性を高め、都心の商業施設に行きやすくし、まちのにぎわいを創出する
との事でした。またほかの施策としては
・「歩いて楽しいまちなかゾーン」の整備では1つの通りだけでなく面的に歩行をしやすい環境を整備
「パークアンドライドの推進」では休日に観光客が多いので休日遊休化しやすい企業の駐車場を巻き込み
・「モビリティマネジメント」では単に啓発するのではなくバス路線の新設や増発をきっかけに大学(→学生)、商業施設(→買い物客)と連携して実施することで1日当たりの市バス利用者数を2013年326千人→2014年341千人と消費税増税の逆風の中で5%近く増加させた
さて感想ですが、四条通の歩道拡幅に関しては一般的に車道を減らすというのは様々な抵抗がありますが歩行者数から再配分への理解を求めるというのはものすごい工夫で、単に車を追い出すと言うのでなくアクセススペースと言うフォローを考えるのは強かな感じがしました。
また他の施策を含めた施策全体に関してはやはり時にはバスの増発等や歩道拡幅等思い切った施策も時には行い、また企業の駐車場をに着目したりアクセススペースなど強かな工夫も行って負担を抑えると言った施策は1つには長い時間をかけ理念を浸透させ、伝統・文化に近い市民性を利用して単に仕事の時間だけでない人間関係を築き上げた事がものを言っているのではと感じました。
「歩くまち・京都」公共交通センター@京都市
四条通歩道拡幅事業に係るお知らせ@京都市
5、宇都宮市におけるLRT導入計画 宇都宮市副市長 荒川辰雄氏
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写真:宇都宮市におけるLRT導入計画 宇都宮市副市長 荒川辰雄氏
さて長いフォーラムも最後のゲストです。ある意味今回のフォーラムの真打とも言えるLRT導入に向けて着々と前進する宇都宮市の荒川副市長です。
まず宇都宮市のLRT計画に関して
・郊外の工業団地である宇都宮工業団地へのアクセスとして20年近く前から計画があった
・現状に関しては昨年運営企業である宇都宮ライトレールを設立、今年は運営に必要な特許の取得や都市計画の申請を行う
・反対派、懐疑派の主張としては
→人が乗るのか(需要)
→渋滞がひどくならないのか(輸送)
との事でした。そしてLRTの走る宇都宮市に関しては
・宇都宮市のある栃木県は自動車保有率全国2位の自動車県である
・一方で宇都宮市の人口は2017年にピークを迎え本格的な人口減少・超高齢化社会となる
との事でその為に各拠点をコンパクトシティ化し、それを交通機関で結ぶネットワーク型コンパクトシティを目指すとの事です。ネットワーク型コンパクトシティの考え方の背景としては
・都市に必要な機能として「住まう」、「憩う」、「学ぶ・働く」がありこの3つがバラバラだとそれを結ぶ交通は不可欠となる
・宇都宮市は合併によって成長した都市であり、もとの町や村の中心部の存在を考えるのが不可欠である
といった事があるそうです。またLRTの目的地である清原工業団地を中心とした地域に関しては
・清原工業団地とお隣芳賀工業団地はキヤノンやHONDAが立地する2つ合わせて3.3万人が就業する北関東最大の工業団地でありテクノポリスである
・就業者の7割が宇都宮市内から車通勤する
・また朝の宇都宮駅東口では企業の通勤バスでごった返す
との事でその為優先整備区間として工場従業員の通勤をメインの需要として宇都宮駅〜工業団地と言うルートが計画されているそうです。そしてその需要がどれくらいあるかを調べるために
・第1段階として沿線企業の担当部局に対し従業員数や企業バス利用者数沿線居住者数など徹底したヒアリングを行い企業バスからや車からの転換などで最低限の需要を予測→車からの転換が3.6%で9000人強の利用が見込め富山ライトレールのように上下分離すればペイする見込みを立てる
・その上で快速運転などダイヤの設定等詳細な設定も踏まえて大規模な従業員向けアンケートを行い従業員だけかつ快速運転無で1日12000人は最低利用するだろうと言う予測を出す
・最終的に県央広域都市圏行動実態調査を行い最終的に快速あり従業員減少と言う最も悪い条件で1日15200人利用するという需要予測を完成させた
そうです。こんなに利用が移るかと思われるかもしれませんが、実際この地区の工場は従業員が多いので工場と別の敷地に大きな駐車場がある事が多く、駐車場から工場まで10分歩くという事も珍しくないとの事で、実際私の同僚でこの地域に勤務していた人からも聞いたことがあります。
また需要はともかく道路占有により車線が減る影響はどうかと言う点に関しては
・朝のラッシュ時に現状、車線を減らしてLRTを導入、道路拡幅で車線を減らすことなくLRT導入と言う3パターンで予測
・車線を減らしてLRTを導入でも輸送能力は1780人/時→2700人〜3700人/時となった
との事でこの手の議論で起こりがちな渋滞がひどくなるならないの論争に対してきちんと裏付けのある数字を出したそうです。またよく言われる財源に問題に関しては
・まず建設費400億円、国からの補助200億円、一般財源20億円で地方債は180億円(→20年償還)
・それに対し法人市民税・固定資産税等工業団地の企業が支払う地方税は年間宇都宮市70億円、芳賀町32億円、栃木県116億円
・それをベースに工業団地の従業者が1000人増えその7割が宇都宮市内に居住すると仮定した際の税収増は年間4.5億円+α、20年間で90億円+α、→これだったら芳賀町、栃木県と分担して十分地方債を償還できる
と一つ一つきちんと数字を出して予測し十分負担できるという結論を導き出したそうです。そして今後のスケジュールとしては2016年に工事施行認可取得し2019年開業するそうです。
また全国の中核市(人口30万人以上で認められた市)からの質問に対しては
・BRTに関しては混雑率200%と言う状態での運行が不可能で輸送力に限界有
・地下鉄はkmあたり159億円(仙台東西線)、AGT129億円(日暮里舎人ライナー)は高すぎるのでkm30億円で建設できるLRTは中核市向きと答えている
とのことでした。
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写真:宇都宮市中心市街地のオリオン通り
さて感想ですがやはり市民から突き付けられる一つ一つの疑問に対してきちんと生の数字を調べ極力正攻法で計算しきちんと根拠ある答えを掲示しろ、と言うのが荒川副市長の一番大きなメッセージなのではと感じます。また打ち上げの時に言われた話ですが需要予測の従業者アンケートは色んな人から「大丈夫か」と心配されたそうですが逆にそれまできちんとヒアリングで状況を把握していたから実施できたとの事でした。もう1つのポイントは生の声をきちんと聴き状況を把握する事でこの段階が必要だからこそ3段階と言う言葉を出していたのだと思います。あと車社会宇都宮でも東京から転勤する人たちは最近車を持ってこずまた新入社員で免許を持たない人も増えていると言った話も聞いたのは打ち上げだったのですが個人的には面白かったです。
LRT等の交通施策を推進したい人にとって厳しいですが有用なアドバイスになったのではと感じます。
新交通システム(LRT)@宇都宮市
雷都レールとちぎ
109から宮コンへ〜宇都宮に見るまちづくりのマーケティング〜@私的まちづくり論その4
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写真:横浜にLRTを走らせる会栗原理事長による閉会のあいさつ
さて最後に共催の横浜にLRTを走らせる会栗原理事長の閉会のあいさつで終了と相成りました。
個人的には、宇都宮教授の博識さ、横浜の経済人たちによるこれまで活況を呈してように見えて狭い地域の限られたに限定された観光によって人はいても儲からず、宿泊などビジネスとしての観光の肝である部分を他に奪われているのを回遊性を高めて何とかしたいという思い、あるくまち・京都の強かなモビリティマネジメント運営、荒川副市長の政策に必要な血の通った正攻法の裏付けとしての数字への思いなど今後横浜の交通施策が必要な知見が盛りだくさんで勉強になったというのが陳腐に思えるほどでした。
さて皆さんはいかがだったでしょうか?
写真:横浜は回遊性を高めて脱皮できるのか
さて久しぶりのLRT/公共交通フォーラムのレポートです。ちなみに参加そのものはしていたのですがなかなかレポートを挙げられませんでした。
イベント見聞録:2010年1月23日横浜LRTフォーラム
イベント見聞録:2010年1月23日横浜LRTフォーラムその2
イベント見聞録 2015年4月25日野毛山動物園LRT・路面電車の写真展
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写真:今回のテーマ
さて今回のテーマは「まちづくりにおける回遊性の向上とその効果」、これは2013年に林文子市長が市長選挙で再選した際に横浜市都心部の再開発計画である都心臨海部再生マスタープランにおいて都心部の回遊性向上へ向けてLRT導入を検討すると政策を掲げ、2014年度からLRT導入に向けた調査を開始した事が大きいと考えられます。
横浜市長選候補者からLRT導入に関する公開質問の回答届く@横浜にLRTを走らせる会
都心臨海部再生マスタープラン(仮称) 検討資料@横浜市
横浜市が都心臨海部新交通システムの導入調査を日本交通計画に @日本経済工業新聞2014年6月17日
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写真:今回の戦利品
さて今回から(?)こんなものがありましたので思わず手に入れました。横浜みなとみらいを走るLRTのシミュレーション写真の絵葉書です。ちなみに一定額の寄付でそのお礼に受け取る方式です。ちなみの画像が縦なのはどうやってもこうなった結果とだけ書いておきましょう。
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写真:司会のめざす会小田部事務局長(左)と開会のあいさつをするめざす会清水会長
そうこうするうちにフォーラムが始まります。司会は主催団体横浜の公共交通活性化をめざす会小田部事務局長、開会のあいさつは清水会長でした。開会のあいさつではこの日は雪の予報もあったので1昨年雪で中止となったフォーラムの話、また共催者である横浜にLRTを走らせる会も参加する横浜市交通政策推進協議会のモビリティマネジメント推進部会の話や今回特別講演を行う荒川副市長のいる宇都宮市のLRT計画の話などが出ました。
横浜市交通政策推進協議会 モビリティマネジメント推進部会
新交通システム(LRT)@宇都宮市
1.基調講演:「LRTは街に人を呼び込めるのか」関西大学経済学部宇都宮教授
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写真:基調講演「LRTは街に人を呼び込めるのか」関西大学経済学部宇都宮教授
さて最初は基調講演、関西大学経済学部教授の宇都宮浄人氏による「LRTは街に人を呼び込めるのか」と言うテーマの講演5つのテーマでした。
前段階として現状の日本のLRTの現状、2006年に富山ライトレールが開業し各地でLRT導入に関する声が挙がるものの、「財政が破たんしても良いのか」と言う反発も増えたのがままならないとの事、また横浜に関してはかつて東京に住んでいたころ横浜に遊びに来た経験からみなとみらい線がなかったころだったせいもあるか回遊するには以外に不便という事からLRTが最も似合う街なのではとの事でした。
1、LRT・BRTの基礎知識
LRTの定義としては一時期あまりに提唱者やまちづくりに関わる部分からきつい定義づけをする人が多かったからか部分低床車や高床式車両などの普及も紹介し、大切な事として「まちに乗り入れ、まちを盛り上げていけるか」と言う点を挙げていました。
またBRTに関してはあくまで専用道路(専用レーン)やPTPS等きちんとした環境を整えた上でのもので単純に連接バスを導入すれば良いものではないとしたうえで確かに海外での導入事例を紹介していました。
2、LRTの魅力
LRTの魅力としてMAFFIAと言う略語を挙げていました。
Medium capasity transit:ゆとりある中量輸送機関(大量輸送機関:電車、少量輸送機関:バス・タクシー)
Accessibility:乗りやすさ→地上からの乗り降り(地下鉄のような会談なし)、超低床車(バスのようなステップなし)
Frequentry:待たずに乗れる
Flexibility:柔軟なネットワーク・既存の電車との乗り入れも可能
Inexpensive:コストの安さ→1km当たり20億円、バイパス道路でも1kmあたり数十億円
Amenity:街の環境改善→街の顔として景観や回遊性向上による活性化
あまり良い略語ではないですが、略語がある事での普及効果を言ってました。またまちの顔、まちのシンボルと言った話は定量化しづらい事もあり、コンサルがなかなか言わないというのも意外に重要と言う点を挙げられていたのですがこれは地域の視点としては重要なのではと感じました。更にコスト面では特定財源で財源が確保されている道路との比較(バイパス道路は財源を問われず、LRTは問われる)と言うのは地域の交通を考える上で重要な点ではと感じました。
またBRTとの比較としては以下の点を挙げられていました。
・線路のある電車に比べてバスは蛇行などを行う事もあり、占有スペースがやや広くなる
・LRTの開業した富山でのバスとの比較アンケート結果から特に高齢者で乗り心地を評価する人が多い(ただし圧倒的に評価が高いのは定時制)
・LRTはBRTに比べて輸送力が高い
3、LRTは人の動きを変えるのか
・ LRT導入が盛んなフランスでは導入の進んだ都心部では公共交通利用が増加
・富山ライトレールを導入した富山市では旧富山港線時代に比べて平日2倍、休日3倍以上と激増、特に2割は他の交通機関からの移転でなく新規需要を開拓したことは重要
・富山市での沿線アンケートでは開業後観劇・スポーツ観戦などを中心に外出する機会が増加したとの回答が多く市民の行動に影響したことがうかがえる
・同じく富山市の市内環状線開業後の利用者アンケートでは環状線利用者の中心市街地での滞在時間、来街頻度、特に休日での消費金額などが車より優位になっている
・堺市の阪堺電車では運賃値下げ策などの支援の結果利用者が2015年/2009年でおおむね12~15%程度増加
・堺市が行ったアンケートでは観光客が増えたとの回答が504人/1375人と非常に多いのが目にひく、観光客はコンサルが計算しづらいため中々効用としてあげないため、注目する必要がある
ポートラム
堺市阪堺線活性化推進懇話会
4、国内外の最近の動き
・海外の都市では次々LRTを導入、ロンドン・パリの様に地下鉄があり路面電車を全廃した都市でも地下鉄の保管などの目的でLRTを導入している都市もある(ロンドン・ベルリン・フランクフルトなどは路面電車は廃止せずに地下鉄・LRT共存)
・アメリカではまちなかの回遊に特化した路面電車ストリートカーの導入が盛ん
・フランスの地方都市圏(10万人以上)では郊外で車利用が増える一方、LRT導入が盛んな市内では車利用が抑制されている
・札幌市では本格的なサイドリザベーション(歩道からの直接乗車)を導入し環状延伸区間を昨年12月に開業、事前の予測2.7%増加に対し1月で平日10%増、休日16%増と大きな増加がみられている
・福井鉄道では廃止から一転LRT化、越前鉄道との乗り入れを計画、宇都宮市では新設LRT導入計画を推進
・神戸市では三宮駅〜神戸港など主要な南北での回遊性を抑える交通機関に乏しく、民間提案を受けLRT構想、宇都宮教授の研究室で行ったアンケートでは多くの人が南北交通の不便さからLRT導入に対して賛成である。
福井鉄道えちぜん鉄道LRT整備計画について@福井鉄道福武線活性化連携協議会/えちぜん鉄道活性化連携協議会
交通計画報告書等@富山市
新たな交通手段(LRT、BRT)の導入可能性検討
利用者増、街中に活気 札幌市電ループ化から1カ月@北海道新聞2016年1月20日
5,おわりに
・LRTは小さな投資で大きな効果→あまり役に立たないに役立たない200台級の7~80億円の駐車場をいくつも簡単に作るのにkm20億円程度のLRT路線を数km作るのに逡巡するのはどうだろう?
・Storagy(戦略)、Tactice(戦術)、Operate(運行)の明確化を→日本では飛び抜けて優秀で大規模なOperater(京急・東急・JR・神奈中バスの様な交通事業者)に依存し過ぎてSとTが疎か
・交通政策基本法→横浜のような大きな都市は特にそうだが地域が交通戦略を持つ事が求められている
・LRTは
→人々の行動を変える(→富山市のアンケートなど)
→まちの回遊性を導くまちづくりのツール(→堺市のアンケート、観光はコンサルが語らない分野)
→地下鉄やバスと対立するのではなく補完する交通機関(→ロンドン・パリ・ベルリン・フランクフルト)
と言った効果がある
交通政策基本法に基づく政策展開@国土交通省
・BRTに関する補完らしきもの
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写真:日本のBRTの雛形ともいえる名古屋の基幹バス(左2009年)と幕張地区の連接バス(右2015年)
個人的には全体的によくまとまっていて、宇都宮教授の講演は何度も聞いているもののよくネタが尽きないなと感心することしきりですが、個人的には海外の事例がヨーロッパに偏りがあるのが気にかかりました。欧州出羽守なんというスラングもあるし、高齢者はともかく現役世代にとっては良くも悪しくも中国・アジア地域とのつながりが深い事、また中国・アジア地域はヨーロッパと違い横浜と比較可能なメガシティが多い事等を考えるともう少しサンプルとして挙げてもよかったかなと感じます。
あとBRTに関してもう少し突っ込んだ話が聞けると良かったかなと感じます。私が体験した範囲で言うと名古屋市の基幹バスや幕張の連接バスあたりが横浜のBRTを考える上で参考になるのかなと感じますがどちらも交通機関としてはきちんと機能しているものの横浜市の回遊性を高める交通機関に向くかと言えばどうかなと感じています。名古屋の基幹バスは郊外へ放射状に広がるバス路線の都市部での高速化に役立ったものですし、幕張は幕張メッセやマリンスタジアムなど大量の顧客が見込まれる地域へのピストン輸送の担い手として機能しています。横浜都心部の場合郊外からのアクセスは名古屋都心部ほどの求心力がない上に地下鉄などの軌道系が機能しやすく、シャトル便は横浜都心部の集客施設は駅から歩けない距離でないためまとまった需要を集めずらいと言った点が挙げられます。またバスの利点である柔軟な路線設定そのものが頻繁に訪れるわけではない回遊客にとってはどこを走っているかはっきりせず、利用しづらい欠点となっている点も挙げられるのではと感じます。
BRTの取り組み状況及び支援制度@国土交通省
【次世代の生活支援(BRTの導入)】@国土交通省
基幹バス (名古屋市)@wikipedia
連節バス@Wikipedia
鉄道復権 [ 宇都宮浄人 ]
2、報告1:横浜都心臨海部再生と新たな魅力づくり 横浜商工会議所副会頭/株式会社崎陽軒社長野並直文氏
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写真:横浜都心臨海部再生と新たな魅力づくり 横浜商工会議所副会頭/株式会社崎陽軒社長野並直文氏
続いてある意味でこのフォーラムのビッグネームである意味でメインゲストともいえる崎陽軒社長野並氏の報告です。
まず前段として活性化とは人が増える事と言う話がありました。人が増えるというのはイコール自治体の住民が増えるだけ事でなく、住む人・働く人・遊びに来る人・観光客・買い物客等様々な意味でその地域にいる人が増える事との事、その辺は地域の企業人らしい視点だと思いました。
1、横浜の観光の現状
まず横浜の観光の現状としては以下のことが言われました。
・宿泊客・インバウンド客が東京との比較で桁外れに少ない(=消費金額が少ない、インバウンド客は2012年40万人→2014年50万人)
・「大人」「夜」向けの観光に弱い(→これは東京も同様でスカイツリー等大型施設は「子供」「女性」向き、東京はつまらないという外国人客の声もある)
・よって「大人」「夜」向けの観光開発が重要
感想としてはしごくごもっともと言う感じですが個人的には大型施設=「子供」「女性」向き=つまらないとまで言った所に本気度を感じます。
2、新たな観光振興戦略
さてもっともらしいタイトルですが前段の問題点の解決策として野並社長が挙げていたのはIRとドーム構想でした。反対派も多いIR構想、また回遊性と言うのがこのフォーラムのテーマなので社長は以下のように言っていました。
・シンガポールには水族館を核にした家族にも楽しめるIRがある
・IRは統合型という事で自己完結型になりがちなのが欠点
・IRを生かすにはIRを起点に回遊性を持たせ波及効果を広げたい
・LRTは地下鉄と違って乗ってみたい乗り物なのでその役割に適切なのでは
・LRTとIRで統合型→分散型リゾートに
IRはカジノが注目されますがホテルや大規模集客施設を中心とした大規模投資、ドーム球場は広島で新規球場計画をドーム構想として立ち上げ、完成後は地元のカープの観客増加の大きな起爆剤となった事、そして何より双方とも実現に向けて一定の動きがある事が大きいのでしょう。賛否に関しては何とも言えませんが個人的には反対派に一票は投じずらいと言った感じです。
IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討調査 報告書@横浜市政策局
横浜ドームを実現する会
3、既存市街地の活性化
横浜市では今関内駅前にある市役所を馬車道地区に移転する等古くからの中心地である関内を中心に既存市街地の活性化が求められているそれに対しては
・「港町1丁目1番地」と言う歴史的、象徴的な地区としてシンボリックな再活用を
・試案としては現在の市役所庁舎は「横浜もののはじめ博物館」として活用を
・その際ドイツハンブルクのミニチュアワンダーランドを誘致してみても面白い
・原鉄道模型博物館と競合するかもしれないがただ成功しているのでニーズはある
・山下埠頭再開発に関してはトリエンナーレで見た夜景は最高だった是非とも横浜の観光拠点に
・横浜は海があるのは非常に大きい副都心線開業にあたって埼玉県のある市の商議所の人と話した時こんなことを言われた「(大意)横浜はおいしいものがたくさんあってよい、埼玉は海がないからおいしいものがない」「横浜の中華街にはきれいな女性が多い(←副都心線で埼玉から来た女性も多いよ)」
最後は何だか財界人の会話っぽくて興味深かったです。
ミニチュアワンダーランド@wikipedia
原鉄道模型博物館
横浜トリエンナーレ
4、まとめ
・(シウマイ弁当の掛け紙を見つつ)昭和の掛け紙から平成の掛け紙に変わった際にランドマークタワーをはじめとして最近の建物が加わった。次の掛け紙ではLRTを!!
〈横浜〉崎陽軒・シウマイ(6箱入)
・補完:何故横浜の観光の課題は「夜」と「大人」なのか?横浜と神戸の観光を比較してみる
人数(万人) 宿泊客 日帰り客 合計
横浜市 489 2963 3452
神戸市 481 1806 2287
消費金額(億円)
横浜市 1324 1447 2771
神戸市 1646 1576 3222
一人当消費金額
横浜市 27,076円 4,884円 8,027円
神戸市 34,220円 8,726円 14,088円
表:横浜(2014年度)と神戸(2013年度)との観光経済の比較(引用元は下に記載)上の表は野並社長は横浜の財界人という事でどうしても東京と言ってしまうのですが、比較対象としてどうかと思うので、同じく大都市圏でメイン都市に次ぐポジションにある都市であり、近代開港し開発が進んだイメージの都市という事で神戸市と横浜市の観光産業の比較です。何よりも注目したいのは観光客の総数では横浜が1.5倍近くあるはずなのに消費金額では神戸市が15%近く上回っている事です。特に注目したいのは日帰り客の一人あたりの消費金額で8726円と横浜の1.8倍近くあります。
これはもともと宿泊客のシェアが高く宿泊客=24時間対応の度合いが高いため、日帰り客も長居することが多いためと考えられます。例えるならば横浜の日帰り客はランチを食べるだけ、神戸の観光客は夕飯も食べていくと言った感じでしょうか?だからこそ「大人」「夜」なのでしょう?
平成25年の神戸観光(観光入込客数)について@神戸市
過去最高!!平成26年(1月〜12月)の観光集客実人員は3,452万人、観光消費額は2,771億円@横浜市
3、報告2:ホテルから見た、観光客の回遊性 ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル副総支配人谷口高広氏
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写真:報告2:ホテルから見た、観光客の回遊性 ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル副総支配人谷口高広氏
財界の大物に続いては現場で見続けてきた人の意見という事で報告2はヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル副総支配人谷口高広氏です。まず横浜の観光地の周遊状況としては
・一般徒歩・宿泊ともにみなとみらい〜カップヌードルミュージアム〜赤レンガ〜大桟橋〜山下公園〜中華街・元町と言ったルートが多い
・また観光客から問い合わせの多い場所として八景島・ベイサイドマリーナ、崎陽軒・アサヒビールなどの工場(学生他団体)やスポーツ観戦など
・野毛・吉田町、港が見える丘公園・本牧・三溪園は行き方がわからないせいか問い合わせは少ない、また伊勢佐木町周辺は有力施設がないせいかイメージがわきづらい
・まとめると横浜中心市街地の観光地はみなとみらい線〜海に囲まれた狭い地域に集中している
・そしてその狭い地域では宿泊を伴うような長い時間過ごすのは難しく横浜宿泊は少なく宿泊が東京やTDRに流出している
こうしてみると課題は明白で臨海部に観光が集中し過ぎている為その他への地域への回遊性を高めて滞在時間を延長すること、そして宿泊客を増やす事、その際にLRTに期待されることをまとめると
・現状集中している地域以外への観光ルート開発
・車窓観光
・台湾等のインバウンド客にニーズがある写真被写体となる事
・そして被写体となる事でSNS等での情報発信の題材となる事
との事でした。
ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル
・みなとみらい線は回遊性に貢献しているのか?
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写真:元町近くの洋館と横浜中心市街地循環バス赤い靴号
駅名 乗降人員 横浜駅のシェア
横浜駅 185,465
新高島駅 4,889
みなとみらい駅 80,044
馬車道駅 35,231
日本大通り駅 23,254
元町・中華街駅 59,148
横浜駅以外 202,566 91.6%
合計 388,031 47.8%
表:みなとみらい線の乗降客数(2014年度公式HPQ&Aより)感想ですが、個人的にはこの辺は感じていたので非常に腑に落ちたのですが、ただ問い合わせの少ない地域として港が見える丘が入っていたのが興味深かったです。この地域に関しては元町中華街からも徒歩圏で横浜市の観光循環バス赤い靴号も走る地域であり思った以上に外からの観光客にとって臨海部中心思考は高いのだと感じました。
補完と言うわけではないですがこの地域の最有力な交通機関であるみなとみらい線に関して少し考察を上の表はみなとみらい線の運営企業横浜高速鉄道のHPからとってきたものです。乗降客ベースでの利用者数は39万人、横浜駅以外の乗降客数20万人に対して横浜駅は18.5万人と直通を行っている東急線をはじめとする横浜駅から伸びている各線からのこの地域に1日18.5万人ものお客さんを運んでくるのは見事ですがこの地域内の移動客は2万人以下となっています。言うなればみなとみらい線とは1日20万人近いお客さんを横浜駅以遠から運んでくる路線で来たお客さんの回遊性と言う意味ではあまり役立つ路線ではないのです。
良く考えてみれば歩いてちょっとの移動のために地下奥深くまで移動するでしょうか?
横浜高速鉄道
4、報告3:「あるくまち・京都」の推進及び四条通歩道拡幅事業について 京都市都市計画局歩くまち京都推進室担当部長 山口雅直氏
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写真:「あるくまち・京都」の推進及び四条通歩道拡幅事業について 京都市都市計画局歩くまち京都推進室担当部長 山口雅直氏
続いては京都市の山口担当部長による「あるくまち・京都」の推進と四条通歩道拡幅事業についての報告です。
まず京都市の現況として
・14か所の世界遺産を抱え年間5000万人(2014年度5526万人)の観光客が訪れる観光都市
・伝統・文化と市民が密接にかかわる都市である(まつりのお囃子など)
とする一方
・車社会化で比較的広範囲にばらけている世界遺産を中心とした観光地を巡るのに車が増え環境が悪化した面がある
としていてそれに対してスタートしたのが「歩くまち・京都」であり2001年の京都市基本計画に掲げて以来2010年に行動規範である憲章が制定されその実現のため総合交通戦略も策定されています。総合交通戦略の概要は
・理念としては脱車・歩く事を中心としたまちに転換することでまちのにぎわいを生み出す都市であり続けることを目指す
・目標としては自動車分担率を28%→20%にすることを目指す
・取り組みとしては以下の3つを柱とする
→既存公共交通:公共交通を再編強化して使いやすさを世界トップレベルに
→ライフスタイル:歩いて楽しい暮らしを大切にするライフスタイルに転換
→まちづくり:歩く魅力を最大限味わえるよう歩行者優先のまちづくり
との事です。そしてこの「歩くまち・京都」の主な取り組みとして紹介されたのが四条通歩道拡幅事業です。内容としては
・まず幅7mの歩道に7000人/時、15mの車道に2200人/時と言うアンバランスぶりに着目して多く通る歩道側にスペースを再配分
・その際に通りそのものをバスターミナルとするべくバスターミナル、タクシー乗り場を整備
・その他の車の駐停車や荷捌きは沿道アクセススペースに集約化
することで歩行者の快適性と公共交通の利便性を高め、都心の商業施設に行きやすくし、まちのにぎわいを創出する
との事でした。またほかの施策としては
・「歩いて楽しいまちなかゾーン」の整備では1つの通りだけでなく面的に歩行をしやすい環境を整備
「パークアンドライドの推進」では休日に観光客が多いので休日遊休化しやすい企業の駐車場を巻き込み
・「モビリティマネジメント」では単に啓発するのではなくバス路線の新設や増発をきっかけに大学(→学生)、商業施設(→買い物客)と連携して実施することで1日当たりの市バス利用者数を2013年326千人→2014年341千人と消費税増税の逆風の中で5%近く増加させた
さて感想ですが、四条通の歩道拡幅に関しては一般的に車道を減らすというのは様々な抵抗がありますが歩行者数から再配分への理解を求めるというのはものすごい工夫で、単に車を追い出すと言うのでなくアクセススペースと言うフォローを考えるのは強かな感じがしました。
また他の施策を含めた施策全体に関してはやはり時にはバスの増発等や歩道拡幅等思い切った施策も時には行い、また企業の駐車場をに着目したりアクセススペースなど強かな工夫も行って負担を抑えると言った施策は1つには長い時間をかけ理念を浸透させ、伝統・文化に近い市民性を利用して単に仕事の時間だけでない人間関係を築き上げた事がものを言っているのではと感じました。
「歩くまち・京都」公共交通センター@京都市
四条通歩道拡幅事業に係るお知らせ@京都市
5、宇都宮市におけるLRT導入計画 宇都宮市副市長 荒川辰雄氏
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写真:宇都宮市におけるLRT導入計画 宇都宮市副市長 荒川辰雄氏
さて長いフォーラムも最後のゲストです。ある意味今回のフォーラムの真打とも言えるLRT導入に向けて着々と前進する宇都宮市の荒川副市長です。
まず宇都宮市のLRT計画に関して
・郊外の工業団地である宇都宮工業団地へのアクセスとして20年近く前から計画があった
・現状に関しては昨年運営企業である宇都宮ライトレールを設立、今年は運営に必要な特許の取得や都市計画の申請を行う
・反対派、懐疑派の主張としては
→人が乗るのか(需要)
→渋滞がひどくならないのか(輸送)
との事でした。そしてLRTの走る宇都宮市に関しては
・宇都宮市のある栃木県は自動車保有率全国2位の自動車県である
・一方で宇都宮市の人口は2017年にピークを迎え本格的な人口減少・超高齢化社会となる
との事でその為に各拠点をコンパクトシティ化し、それを交通機関で結ぶネットワーク型コンパクトシティを目指すとの事です。ネットワーク型コンパクトシティの考え方の背景としては
・都市に必要な機能として「住まう」、「憩う」、「学ぶ・働く」がありこの3つがバラバラだとそれを結ぶ交通は不可欠となる
・宇都宮市は合併によって成長した都市であり、もとの町や村の中心部の存在を考えるのが不可欠である
といった事があるそうです。またLRTの目的地である清原工業団地を中心とした地域に関しては
・清原工業団地とお隣芳賀工業団地はキヤノンやHONDAが立地する2つ合わせて3.3万人が就業する北関東最大の工業団地でありテクノポリスである
・就業者の7割が宇都宮市内から車通勤する
・また朝の宇都宮駅東口では企業の通勤バスでごった返す
との事でその為優先整備区間として工場従業員の通勤をメインの需要として宇都宮駅〜工業団地と言うルートが計画されているそうです。そしてその需要がどれくらいあるかを調べるために
・第1段階として沿線企業の担当部局に対し従業員数や企業バス利用者数沿線居住者数など徹底したヒアリングを行い企業バスからや車からの転換などで最低限の需要を予測→車からの転換が3.6%で9000人強の利用が見込め富山ライトレールのように上下分離すればペイする見込みを立てる
・その上で快速運転などダイヤの設定等詳細な設定も踏まえて大規模な従業員向けアンケートを行い従業員だけかつ快速運転無で1日12000人は最低利用するだろうと言う予測を出す
・最終的に県央広域都市圏行動実態調査を行い最終的に快速あり従業員減少と言う最も悪い条件で1日15200人利用するという需要予測を完成させた
そうです。こんなに利用が移るかと思われるかもしれませんが、実際この地区の工場は従業員が多いので工場と別の敷地に大きな駐車場がある事が多く、駐車場から工場まで10分歩くという事も珍しくないとの事で、実際私の同僚でこの地域に勤務していた人からも聞いたことがあります。
また需要はともかく道路占有により車線が減る影響はどうかと言う点に関しては
・朝のラッシュ時に現状、車線を減らしてLRTを導入、道路拡幅で車線を減らすことなくLRT導入と言う3パターンで予測
・車線を減らしてLRTを導入でも輸送能力は1780人/時→2700人〜3700人/時となった
との事でこの手の議論で起こりがちな渋滞がひどくなるならないの論争に対してきちんと裏付けのある数字を出したそうです。またよく言われる財源に問題に関しては
・まず建設費400億円、国からの補助200億円、一般財源20億円で地方債は180億円(→20年償還)
・それに対し法人市民税・固定資産税等工業団地の企業が支払う地方税は年間宇都宮市70億円、芳賀町32億円、栃木県116億円
・それをベースに工業団地の従業者が1000人増えその7割が宇都宮市内に居住すると仮定した際の税収増は年間4.5億円+α、20年間で90億円+α、→これだったら芳賀町、栃木県と分担して十分地方債を償還できる
と一つ一つきちんと数字を出して予測し十分負担できるという結論を導き出したそうです。そして今後のスケジュールとしては2016年に工事施行認可取得し2019年開業するそうです。
また全国の中核市(人口30万人以上で認められた市)からの質問に対しては
・BRTに関しては混雑率200%と言う状態での運行が不可能で輸送力に限界有
・地下鉄はkmあたり159億円(仙台東西線)、AGT129億円(日暮里舎人ライナー)は高すぎるのでkm30億円で建設できるLRTは中核市向きと答えている
とのことでした。
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写真:宇都宮市中心市街地のオリオン通り
さて感想ですがやはり市民から突き付けられる一つ一つの疑問に対してきちんと生の数字を調べ極力正攻法で計算しきちんと根拠ある答えを掲示しろ、と言うのが荒川副市長の一番大きなメッセージなのではと感じます。また打ち上げの時に言われた話ですが需要予測の従業者アンケートは色んな人から「大丈夫か」と心配されたそうですが逆にそれまできちんとヒアリングで状況を把握していたから実施できたとの事でした。もう1つのポイントは生の声をきちんと聴き状況を把握する事でこの段階が必要だからこそ3段階と言う言葉を出していたのだと思います。あと車社会宇都宮でも東京から転勤する人たちは最近車を持ってこずまた新入社員で免許を持たない人も増えていると言った話も聞いたのは打ち上げだったのですが個人的には面白かったです。
LRT等の交通施策を推進したい人にとって厳しいですが有用なアドバイスになったのではと感じます。
新交通システム(LRT)@宇都宮市
雷都レールとちぎ
109から宮コンへ〜宇都宮に見るまちづくりのマーケティング〜@私的まちづくり論その4
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写真:横浜にLRTを走らせる会栗原理事長による閉会のあいさつ
さて最後に共催の横浜にLRTを走らせる会栗原理事長の閉会のあいさつで終了と相成りました。
個人的には、宇都宮教授の博識さ、横浜の経済人たちによるこれまで活況を呈してように見えて狭い地域の限られたに限定された観光によって人はいても儲からず、宿泊などビジネスとしての観光の肝である部分を他に奪われているのを回遊性を高めて何とかしたいという思い、あるくまち・京都の強かなモビリティマネジメント運営、荒川副市長の政策に必要な血の通った正攻法の裏付けとしての数字への思いなど今後横浜の交通施策が必要な知見が盛りだくさんで勉強になったというのが陳腐に思えるほどでした。
さて皆さんはいかがだったでしょうか?
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