つれづれなるままに



写真:終点上総中野駅ではいすみ鉄道と小湊鉄道が出会います。

さて前回に引き続きいすみ鉄道の社会実験レポートをお送りいたします。

イベント見聞録2009年2月28日いすみ鉄道の大増発で今まで知らなかった房総を巡る〜プロローグ〜
イベント見聞録2009年2月28日いすみ鉄道の大増発で今まで知らなかった房総を巡る〜大多喜駅編〜
イベント見聞録2009年2月28日いすみ鉄道の大増発で今まで知らなかった房総を巡る〜国吉駅編〜

国吉駅に到着する上総中野行き列車

写真:国吉駅に到着する上総中野行き列車

続いては国吉発14:06の通常列車に乗って上総中野へ向かいます。この国吉では行元寺やナハナ摘みがえりのお客さんも加え15〜20名ほど乗車、列車内は100名以上もの大混雑で調査担当の高校生も乗降を追いかけるだけで精一杯です。
列車は上総中野に向かって走り途中大多喜で70名ほど下車し20名くらい乗車したのをはじめ、城見ヶ丘新駅で10名前後、以下久我原駅や総元でも5名前後と乗降も目立ちました。
今回乗客を見ていて目立ったのは高齢者と男性の鉄道ファンと言う定番パターンに加え意外に多かったのがカップル、男性だけでなく女性のほうも一眼レフカメラを構えて撮影する様子等も見て取れました。沿線で様々な観光イベントが行われた事を差し引いても面白い現象の様に感じます。

上総中野駅

写真:上総中野駅

そうこうしているうちに列車は上総中野駅に到着します。上総中野駅はログハウス風の駅舎、いすみ鉄道、小湊鉄道の終着駅でありながら無人駅と言う事で待合室のような雰囲気を醸し出します。この日は多くの人たちがおとずれ、お茶の振る舞い等もあり大賑わいでした。

駅の傍にある掘っ立て小屋(?)

写真:駅の傍にある掘っ立て小屋(?)

また駅周辺は終着駅らしく小湊鉄道の子会社のメンテナンス関連企業の事務所があったり古くからの詰め所なのか写真のような掘っ立て小屋があったりと「鉄道の街」としての光景も見て取れました。

小湊鉄道五井行き

写真:小湊鉄道五井行き

また列車到着直後に小湊鉄道の列車も到着し夢(?)の競演も見ることが出来ました。
いすみ鉄道と小湊鉄道同じ非電化路線であり、首都圏から比較的近い割にローカル色豊かな両者なのですがよくよく見てみると意外に違いが際立ちます。
例えばダイヤを見ると
小湊鉄道(平日下り)
五井〜上総牛久 :29本
上総牛久〜養老渓谷:9本
養老渓谷〜上総中野:5本
いすみ鉄道
大原〜大多喜 :16本
大多喜〜上総中野:14本
いすみ鉄道が基点大原でも終点上総中野でも本数的にそれほど変わらないのに対し、小湊鉄道は上総牛久、養老渓谷を境の列車本数が激減しているのが分かります。
1日の乗客数を見ても
小湊鉄道
普通1842人(42.7%)
定期2486人(57.3%)
合計4314人
いすみ鉄道
普通335人(24.5%)
定期1031人(75.5%)
いすみ鉄道は定期客に乗客が偏り、かつその人数も決して多くないのに対し、小湊鉄道は普通客が半分近くを占め、定期客もいすみ鉄道の倍以上となっています。人口30万人弱の市原市と言う地盤の差はあるにしてもダイヤも合わせて考えるとローカル線に最後に残る基礎需要であり、多方向への需要が錯綜する高校生の通学需要にどれだけ上乗せが出来ているかと言う差と言う考え方が出来るのではないかと思います。小湊鉄道は上総牛久以北で市原・千葉・東京方面への通勤需要を多くはないにしろつかみ、養老渓谷までの区間では少なくない観光需要をつかんでいるのに対し、いすみ鉄道では観光にしても東京・千葉等の大都市向けの需要もつかみ切れていない、その差が奥に行けば行くほど本数が減る=五井口にリソースを集中させる小湊鉄道と大原でも上総中野でも本数が変わらない=リソースを集中させる事のできないいすみ鉄道の差と見る事が出来るかもしれません。逆に言えば今回の社会実験で大原〜大多喜に増発を集中させたのはまず大多喜方面への観光需要を掴もうと言う考えでありまた無料のフィーダー交通機関もここに集中させたのは観光面で大きな存在を持たない為回遊性で勝負しようと言う事ではないかと思います。

上総中野駅前
写真:上総中野駅前

さて駅前に出ると国吉同様地方都市の風情ですが、ただこちらは養老渓谷と言う観光地向けのアクセス拠点であるだけあって観光バス会社などやや華やいだ感じを受けます。

栗又の滝行きのバス

写真:養老渓谷栗又の滝行きバス

この上総中野駅ではもともと有料の養老渓谷探勝バスが走っていただけあってその増発でアクセス対応を行っています。その為このバスに乗り込んで養老渓谷へ向かう事にしました。
ちなみにバスを走らせているのは駅に乗り入れている小湊鉄道なのですが、びっくりしたのはバスカードに対応していない事、自治体が運行する代行バスやタクシー業者が参入した路線を別とすれば久しぶりのバスカード非対応バス体験となりました。
ちなみに乗客は7名ほど、意外に少ないのですがその20人程度は小湊鉄道の列車を利用し、また続行のバスもあったのでそちらの利用となったのでしょう。

滝見荘

写真:栗又の滝のそばにあるホテル滝見荘

さてバスは悪路を走りつつ養老渓谷のメインスポット栗又の滝へ到着します。バス停の向かいには滝見荘と言うホテルがあり、「秘湯」を売りにしています。
温泉地としての養老渓谷のメインは小湊鉄道養老渓谷駅周辺ですがこちらは栗又の滝を中心とした散策や静かな雰囲気で売って行こうと言う事なのでしょう。
ちなみにいすみ鉄道でもこの地域を対象とした温泉ツアーをやっているようです。
ぽかぽか温泉日帰りの旅@いすみ鉄道
滝見苑けんこう村 ごりやくの湯

費用:『いすみ鉄道全線』プラス『お風呂と食事』 セット料金 4,000円
利用列車:平日大原駅11:46発、土・休日大原駅9:42発

もし興味をもたれた方は是非お問い合わせを!!

栗又の滝入口

写真:栗又の滝入口

さて写真にあるような個性的な門を通って養老渓谷のメインスポット栗又の滝へ向かいます。しかしこのアバンギャルドな観音様の数々は誰が企画して誰が書いたのだろうかと思わず感じてしまいます。

栗又の滝その1
栗又の滝その2

写真:栗又の滝

さてそんなアバンギャルドな門を抜け栗又の滝へ向かいます。門をくぐるとやや悪路ですが養老川の流れを横目に見つつ、栗又の滝へ到着します。
昨年行った鬼怒川に負けないくらいの見事な滝っぷりです。
来た時間が遅かったので余り長い時間要られなかったのですがここはこの滝でなくハイキングコースも整備され、また私は行かなかったのですが新しい景勝地も出来たらしいのでハイキングに是非どうぞ!!

大原行き列車@上総中野

写真:大原行き@上総中野駅

さて養老渓谷めぐり(?)を早々に切り上げ上総中野駅に戻って大原方面の列車に再び乗ります。16:26上総中野発大原行き、乗客は15名ほど養老渓谷帰りにはちょうど良い時間だったもののこの日の増発バスはこの次の列車への接続、本当は通常のバス路線が接続しているのですが、運転手さんに確認した人しかこの乗継が分からなかったと言う事で、こんな感じでした。もう少し案内と接続ダイヤに工夫が必要か菜と感じました。
そして列車は途中総元駅で下車をはさんで次の目的地へ向かいます。

久我原駅

写真:久我原駅の表示

次の目的地は久我原駅、ファンが発掘した所謂「秘境駅」です。

[フレーム]
動画:秘境駅久我原駅

秘境駅とは「日本全国の鉄道路線に現存する、周囲に人家の少なく大自然の真っ只中にあるような駅」と言う定義の駅です。いすみ鉄道のようなローカル線もそうですが意外に函館本線や、室蘭本線、鹿児島本線のような最高速度130km/hの高速の特急がそれこそ10往復以上走る路線や神戸電鉄、南海電鉄、JRで言えば仙山線の様な大都市の近郊路線でも見られるのは興味深い所です。
参考
秘境駅へ行こう(命名者である牛山 隆信さんのサイト)

何もない駅です・・・

写真:駅の全体像


駅の全体像を見ると待合室があるくらいで本当に何もありません。


久我原駅の光景

写真:久我原駅の光景


駅前を見ると竹林が広がり秘境駅にたがわない光景が広がります。

秘境駅の桜
桜の花

写真:秘境駅の桜

そして逆側を見ると2〜3軒ながら民家が見えるのですがそっちへ向かうと桜の花が咲いていました。沿線名物の菜の花だけでなく桜も含めて一足早く春が来ているようです。

秘境駅のぬくもり
秘境駅のぬくもりその2

写真:秘境駅のぬくもり

何故人々は秘境駅に惹かれるのだろうか?
ふと駅を見ると誰かが掃除をしているのだろうか雑巾が干してあるのが見えます。
またホームにも訪れた人たちの目を楽しませるのか花が飾ってあります。
確かに一見誰もいない駅、ただそこにある人の温もりが旅人を秘境駅に向かわせるのかもしれません。

旅人は・・・

写真:旅ノート

あとこう言った駅だと旅ノートもある事が多いので書いてきます。ふと他の人の書いているのを見るとイルミネーションイベントがあってみたり、毎年訪れている人たちがいたり、色んな人たちの色んな旅が垣間見れます。
こんな所も秘境駅の魅力なのかもしれません。

総元駅

写真:総元駅

さてもうそろそろ暗くなってきたので上総中野方面に少し戻って総元駅にいきます。駅前にはアパートや一般の家屋があり駅の自販機にジュースを買いにクル人たちもいました。何だか生活に密着した駅みたいです。

駅前の通り
簡易郵便局

写真:駅前の通り

総元は現在は大多喜町ですが、1954年の合併までは総元村と言う単独の村だったみたいです。
駅前を見ると確かにそんな雰囲気が漂っています。農協や簡易郵便局が立地し、地域の中心と言う感じを醸し出します。
ただそんな地域でも少し歩くと家並が途切れ何もなくなるのがローカル線としての厳しさを感じさせます。
いすみ鉄道のようなローカル線問題を考える際ややすると鉄道ばかり見てしまうのですが、果してこう言った地域がどうなっていくかそんな問題を最後に突きつけられたような気がします。

さていかがだったでしょうか?いすみ鉄道の駅としては以上の駅を巡ってきました。
ただ今回が最後と言うわけでなく次回エピローグをやりたいと思っていますのでそちらもお楽しみに

[フレーム]

タグ :
#いすみ鉄道
#小湊鉄道
#上総中野駅
#久我原駅
#養老渓谷

コメントする

名前
最新記事
人気記事
リンク集
読者登録
広告
広告3
広告4
広告2
アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:
ギャラリー
楽天

Template by decoweb

traq

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /