自民新総裁に石破茂氏、10月1日首相選出へ 決選投票で高市氏破る@朝日新聞2024年9月27日より
岸田文雄首相の後継を決める自民党総裁選は27日午後、自民党本部で投開票され、石破茂元幹事長(67)=無派閥=が第28代総裁に選出された。総裁任期は3年。10月1日召集の臨時国会で、石破氏は第102代首相に選ばれる。
石破氏は決選投票で、高市早苗経済安全保障相(63)=無派閥=を破った。
さて史上最多の9人の候補者で賑やかに争われた自民党総裁選、個人的には実は結構意外だったのですが石破候補が高市候補との決戦投票で高市候補を破り、初の総裁、そして来月の国会での指名を受けての総理就任を確実なものとしました。
自民新総裁 石破茂氏ってどんな人 鉄道やラーメン好きの一面も@NHK2024/9/27より
石破茂氏は、衆議院鳥取1区選出の当選12回で、67歳。総裁選挙には5回目の挑戦となりました。〜中略〜
自民党が野党だった2012年の総裁選挙では最も多くの党員票を獲得しましたが、決選投票で安倍元総理大臣に敗れました。〜中略〜
4回目の挑戦となった2020年の総裁選挙では菅前総理大臣に敗れ、前回・3年前の総裁選挙には立候補せず河野デジタル大臣を支援しました。〜中略〜
そして、今回の総裁選挙では先月24日に地元・鳥取の神社で立候補を表明し、選挙戦では、災害時の対応に一元的にあたる「防災省」の創設や地方の活性化を実現すると訴え、岸田総理大臣の経済政策を引き継ぐ考えも示していました。
意外と書いたのは総裁選そのものに関して実に5回ものチャレンジを行っていて、時には決選投票にはいっていたものの最終的に国会議員票が集まらず落選しているケースが多かった為です。とは言え、「党内では反主流と言うポジション」、「党員票等一般国民に近いポジションでの人気の高さ」、「何度も敗北してもめげずに立候補を続け最終的に総裁のポジションを勝ち取った」と言った所を見るとどうしても横須賀育ちの人間としては小泉純一郎氏を思い出してしまいます。
自民新総裁 石破茂氏ってどんな人 鉄道やラーメン好きの一面も@NHK2024/9/27より
2015年に立ち上げた派閥は、所属議員の減少などを受けて3年前に事実上解散し、その後は近い議員と政策勉強会を重ね、全国各地を回って講演するなど活動を続けてきました。
その一方で石破氏と小泉純一郎氏を比べて見ると小泉純一郎氏が勝利した際にはYKKと呼ばれ派閥を超えた繋がりを持った加藤紘一氏、山崎拓氏、自派閥の長であり、総理就任時には不人気で知られた森喜朗氏等多くの仲間がいたのに対し、石破氏の周りにはそう言った仲間が少ないのが印象に残りました。
立民・野田新体制「中道保守」にカジ 自民離れの層狙う@日経新聞2024年9月24日より
立憲民主党の野田佳彦代表が24日に発表した人事からは政権交代に向けて支持層の幅を広げたいとの狙いが透ける。派閥を巡る政治資金問題で自民党は支持率を下げた。野田氏はかねて主張する「中道から穏健な保守」路線を掲げ、派閥を巡る政治資金問題に批判的な自民党支持層に秋波を送る。
小泉純一郎氏と石破氏この2人の長年の努力の結果としての総裁選勝利ですが、その後継の差の背景のあるものは何でしょうか?これはあくまで個人的な見解ですが1年以内に行われる総選挙及び参院選を前提と考えると野党第一党の党首が中道寄りの野田氏に決まったことが関係あると思います。言って見れば最大のライバルが中道寄りになったことで、所謂保守色の強い高市氏では中道寄りの有権者を来る選挙で取りこぼすリスクがあるという懸念が少なからず議員たちの心を動かしたのではと感じます。
daihyousen1
立憲民主党代表選挙2024@NHKより
一見立憲民主党を警戒してと言う動きに見えますが、むしろ立憲民主党代表選挙の状況を見ると逆を狙っているように見えます。実際立憲民主党の代表選を見ると自民党総裁選挙で話題になった小泉進次郎候補や小林候補の様な40代の候補は見当たらず、唯一の女性候補である吉田候補に関しても一年生議員で目立った実績がなく、自民の高市候補、上川候補がそれぞれ総務大臣、法務大臣として長期間勤めた「総理候補として恥ずかしくない実績」を持っていた事と比べると大きく見劣りします。そして当選した野田候補に関しては立憲民主党の前身とも言える民主党党首時消費増税などの施策を打ち出すことで有権者からそっぽを向かれて政権を失うどころか党そのものの分裂も招き最終的には第3党転落ぎりぎりまで党勢を凋落させた戦犯とも言える人物です。
立民代表選 あすの投票を前に最後の討論 【9月22日】@NHK2024/9/22より
野田元総理大臣は「代表選挙は政権取りを目指した戦いであり、外交や予算編成、危機管理などは、一度、総理大臣を務めているので、ほかの3人より一日の長がある。代表選挙に勝ち、総理大臣を目指す戦いに臨んでいきたい」と述べました。
枝野前代表は「日本の暮らしと経済、民主主義の危機に、これまでの経験を生かして先頭に立ちたい。人を使い捨てにして停滞した30年を転換させ、一人一人に投資する『人間中心の経済』で安心して暮らせる活力ある未来をつくる」と述べました。
泉代表は「今回は『日本を伸ばす』という政策を訴えている。『裏金問題』や旧統一教会の問題はおかしい。だからこそ何をするのか知ってもらいたい。この国を豊かにし、農業振興やエネルギーの国産化を進める。安心して任せてほしい」と述べました。
吉田晴美氏は「これからの日本の伸びしろは若い世代と女性で、その力をどれだけ引き出せるかだ。『裏金問題』の明確な答えは1つで、民間企業と同じレベルで収入も支出も監査をすれば『裏金』はできない」と述べました。
実際代表選での公約も各候補大雑把であり、極端に言ってしまえば自民党が立憲民主党の政策の中で妥協できる事は自民優位の形で妥協し、その代わり立憲にとって致命的な妥協を引き出すというのは民主党政権時代の消費増税を見ても容易に思えます。
自民総裁選 政治とカネ・労働市場改革など論戦【9月13日】@NHK2024/9/13より
小泉氏は、総裁選挙への立候補を表明した記者会見で「大企業では解雇が容易に許されなかった」と述べ、解雇規制を見直す考えを示しましたが、ほかの候補者からは「解雇規制は緩和すべきではない」などとして反対する意見が出ています。
これについて小泉氏は日本テレビの番組で「規制の緩和や自由化でもなく昭和の時代の働くルールを令和の今の時代に合わせるものだ。大企業にリスキリングや再就職の支援、ジョブカウンセリングを義務づける。誰もがより自分らしい働き方ができる方向性の労働市場に持っていく」と説明しました。
対照的なのは自民党総裁選で河野・小泉進次郎両候補が政策として取り上げた「解雇規制緩和」は良くも悪しくも話題になりました。特に制作発表前には今回の総裁選の本命候補と言って良い状況だった小泉進次郎候補はこの政策をきっかけに支持を失い決選投票にも駒を勧められず、今後野党に対して大きな攻撃材料を与えたとも言えますが、ただ総裁選の政策論争に注目を集めるという意味では成功している事、そして良くも悪しくも自民党と言う政党が広い視野で政策を論議できる政党と言うのを示したのも確かです。
年金記録問題@wikipediaより
年金記録問題(ねんきんきろくもんだい)とは、日本の公的年金記録においてオンライン化データ(社会保険庁職員がコンピュータで入力した年金記録)に誤りや不備が多いこと等が明らかになった問題である[1][2][3][4]。「消えた年金」問題とも呼称される[5][6]。〜中略〜
自公政権への影響も大きく、2007年7月の第21回参議院議員通常選挙以降敗北を重ね、2009年(平成21年)の政権交代へ至った一因となった。
旧民主党時代の政権交代前は積極的に政策的なテーマを掘り起こす事で支持を集め、与党を追い詰めてた光景がよく見られました。上の年金記録問題もその代表的な1つだと思います。今はメディアなどが取り上げるテーマを追随する下請け政党にしか見えません。言い方は悪いですが「選択的夫婦別姓」の様な誰からも反発されない「安全な」政策ばかり出していても支持は広がると言えるでしょうか?
日経平均1910円安 石破新総裁、初日は「最大の下げ」@日経新聞2023年9月30日より
30日の東京株式市場で日経平均株価が大幅に反落し、節目の3万8000円を下回った。自民党の総裁選で石破茂氏が勝利し、高市早苗氏の勝利を見込んだ「円安・株高トレード」が逆回転するとともに新政権の政策への不安が広がっている。日経平均は自民党総裁選後の初日の取引としては1990年以降、最大の下落率となった。
さて石破氏の話に戻ります。そんな石破総裁ですが早速市場の洗礼を受けた感じです。平成以降の総裁選後初日では最大の下落幅と言うのは日欧米の金利差はまだ大きいとは言え欧米で利下げが始まる中「金利を今、上げるのはあほ」と言い放った高市氏に比べて経済政策に弱いであろう石破氏への市場の出した宿題のように思います。
石破さんは地方のどこにでも笑顔で応援に足を運び、実際に応援してもらったという経験は何よりも強く票につながる。これまで取り立てて何の業績もないのに保守のアイドルとして祭り上げられてる高市早苗を応援するに気にはならない。
— 清水俊史 (@AKBhVis) September 27, 2024
と、地方の某自民党議員が言っておりました。 https://t.co/BQcep95wGC
石破氏は自民党の地方を中心とした党員の支持で総裁になった人です。その支持の背景には地方のどこにでも笑顔で応援に足を運び実際応援してもらって心強かった地方の党員たちの感謝の気持ちがあると言われています。言うなれば日本全国津々浦々の党員・有権者に誠実に丁寧に接した事が彼を総裁に導いたと言えますが、市場の問いは、「この難しい時期同じように市場と向き合えるのですか?」という事なのではないでしょうか?
no more war! no more deflation!!より
そしてこの金解禁で最も被害を受けたと言われるのは東北地方の零細農民、デフレで売り物である農産物の価格が大きく下落したうえで気象の影響での大凶作と言う2重の苦難が直撃しました。〜中略〜
そしてあふれたのは借金返済のために身売りする娘や欠食児童と呼ばれる餓死寸前の子供たち、上は秋田県の出版社である無明舎出版が発行したこの時期の東北地方に関する新聞記事のまとめから記事タイトルのみを抜粋したもの、読んでいる方は気がめいるかもしれませんがでも日本が結果的に戦争へ行く過程でこういった光景が見られたというのは忘れてはならない事であり、またこういった体験をした若者が徴兵によって兵士になりこの後戦争を行う軍部に少なからぬ影響を与えたのは無視できない事実ではないでしょうか?
〜中略〜
金融に関する原則論にこだわるあまり金本位制で失敗し、財界との関係から現状の苦境への対策が出し切れない政治(高橋蔵相の施策はあくまで失敗のしりぬぐい)、それを支持した知識人、苦境を利用して金もうけに走る財界と言う構図の中で新しい希望を持てる施策を出せたからこそこののち軍部は政治の実権を握っていったのではないでしょうか?
この国の前身大日本帝国の破綻、日中・太平洋戦争への道のりは大恐慌下における金解禁と言う「正しい政策」による社会の破壊からスタートしました。恐慌により作物の価格が急落する事による農家の破綻、そしてそれは娘の身売りや欠食児童と言う悲惨な光景を生み出し、そして「大学出たけれど」と言われる就職難は若者たちを絶望へ導きそれが戦争と言う破壊への原動力となった訳です。誰かが言った正しい政策に逃げず市場との丁寧な対話から導いた適切な政策の実施、それは難しい道ですが、有権者と言うこれまた難しい存在に丁寧に向き合ってきた石破氏の頑張りに期待したいと思います。
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brothertom
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