写真:今年は1味違う?
さて毎年この季節といえば「日本母乳学会」と相場が決まっている当blogですが、今年は株主にもなり各種決算レポートも書いていると言う事もありまして経営に詳しくなろうと言う事で関東学院の経営情報研究部会に出席・・・
看板2
写真:本当の看板
ではなく毎年お馴染みのLRTフォーラムに行ってまいりました。ちなみに会場は今年は関東学院の関内メディアセンター、と言う事で毎年お馴染みの母乳学会との同時開催は見送られました。
横浜にLRTを走らせる会
横浜の公共交通活性化をめざす会
KGU関内メディアセンター
イベント見聞録:2008/6/142008夏 LRTフォーラム横浜イベント見聞録2008年1月26日〜2008新春LRTフォーラム「横浜の公共交通を考える」〜
開会の挨拶
写真:大内事務局長による開会挨拶
さて本題に移りましょう。まずは開会挨拶、ここでは昨年の横浜市の環境モデル都市選定されたのを受け、150年前の開港以来様々な最先端のものや仕組みを導入してきた最先端都市としての横浜でLRTはその最先端のシンボルとなるのではと言った話がされました。
横浜市は「環境モデル都市」に選定されました!@横浜市
活動報告
写真:活動報告
続いて主催団体である横浜にLRTを走らせる会及び横浜の公共交通の活性化を目指す会の最近の活動報告が行われました。昨年末からの主なものとしては
2008年12月 第3回人と環境に優しい公共交通を目指す全国大会への積極的主体的な参加
2009年4月 中田市長とのカレーランチミーティングへの参加
2009年5月 タイヤ型LRTであるトランスロールをテーマとした人と環境にやさしい交通をめざす研究会の実施
また日本初のLRT絵本である『子ねことふしぎな電車』の宣伝も少し出てきました。
また今年も冬のフォーラムや勉強会である「人と環境にやさしい交通をめざす研究会」の実施やカーフリーデー、人と環境に優しい交通を目指す全国大会への参加など積極的な活動を行っていくとの事です。
SEV/人と環境にやさしい交通をめざすホームページ
横浜カーフリーデー実行委員会
イベント体験録:2008年12月6日第3回人と環境に優しい公共交通を目指す全国大会in横浜 研究発表大会編
イベント見聞録:2008年12月6日第3回人と環境に優しい公共交通を目指す全国大会in横浜 市民フォーラム編
日本初!LRTの絵本完成@横浜にLRTを走らせる会
中田市長とのカレーランチミーティング
ゴムタイヤトラム@Wikipedia 濱海快速導軌電車@中国の地下鉄・都市鉄道
前富山市副市長笠原氏による基調講演
写真:前富山市副市長笠原氏による基調講演
続いては基調講演、まずは富山ライトレールで知られる富山市の前副市長笠原勤氏による講演、もともとは建設省→国土交通省のお役人さんでLRTに関しては石川県庁に出向中に金沢市で計画が持ち上がった際に関わったとの事、その後本庁に戻ってLRT導入の相談を全国の自治体から受けていたのが富山市に移って実際導入すると言う事態になると眼からうろこが落ちる事が山ほどあったとの事でした。
さて講演はまずLRT導入の舞台となった富山市について、この富山と言う場所を一言で言えば「非常に住み易い街・・・ただし車があれば」との事、その為車社会化+人口減少で公共交通はバスが平成に入って利用が1/3になったり、6つある鉄道路線のうち3路線で廃線案が出る等衰退し、除雪費用を中心とした都市管理コストがかさんできた事が問題になったとの事です。
そのため団子(駅・バス停)と串(公共交通路線)を中心とした都市構造、即ちコンパクトシティを目指す街づくりが志向され、富山ライトレールや増発実験の行われた高山本線に特徴的ですが公共交通を活性化させることで公共交通沿線に人口を呼び戻す事を目指す事になったそうです。
さてそんな中でシンボルとなったのが富山ライトレール、もともとは富山港線と言うJRのローカル線で日中1時間以上間隔のあく不便なローカル線だったそうです。その為本数を3倍以上に増発し、車両は導入できる技術は全て導入したと言う低床車両、既存軌道では騒音が気になったので、樹脂固定軌道、他の地域ではお金が無くて中々導入が進まないバリアフリー電停等積極的に新機軸を導入し平日で2倍、休日で5倍の利用者と言う結果をもたらしたとの事です。
当然これだけの設備投資を行うに当って、資金調達や運用形態に関しては資金に関してはJRの協力も含めて初期投資費用は公共が負担、運営企業は公営で苦戦している事が多いので地元で路面電車を運営している富山地方鉄道の協力を得て民営の形で行っているそうです。
結果現状の経営状況は黒字で推移し今後は駅をはさんで運行している富山地鉄の路面電車への乗り入れも含めて環状線計画も進行中との事です。
富山市都市マスタープラン
富山ライトレール
JR高山本線活性化社会実験
富山市内電車・環状線化計画に関する検討報告書
横浜にLRTを走らせる会古川氏による基調講演
写真:横浜にLRTを走らせる会古川氏による基調講演
続いては横浜にLRTを走らせる会古川氏による基調講演、こちらは4月の市長のカレーランチミーティングで提案した案を中心に展開されました。
この案はあくまでパイロットプランと言う事で横浜の臨海部みなとみらい地区への導入と言うものです。
本題に入る前に横浜にLRTを走らせる会で過去に提案している路線案の説明が行われました。これはこのパイロット案に近い都心(伊勢佐木町・野毛)を巡る2ルートと、都心近くながら鉄道路線の無い本牧地区への路線提案です。
さてこれらの既存路線案を取り敢えず於いてこの路線案が出てきた背景には現状で見てきた導入への困難さがあるそうです。主要な点を挙げると
・ステークホルダーが多く合意形成が難しい事
・都市計画と交通計画が取れていなくコンパクトシティへの舵取りが難しい事
・横浜の場合相鉄・京急・東急等民間企業による鉄道路線が多く、鉄道=民間が採算ベースで行う事と言う考えが根深い事
その中で路線導入を考えるみなとみらい臨海地区を見ていくと
・広い道路が整備され導入スペース確保が困難で無い
・ステークホルダーが少なく合意形成が容易
・集客施設、観光地が分散し歩いていくにはつらいので多くの利用が見込みやすい
と言ったメリットが上がるそうです。
その上で既存路線案との比較で浮かび上がってくるメリットとしては
・環境都市としてのメッセージ性や広告塔的シンボル性
・既存公共交通の保管
と言った点です。
ちなみに建設費としては営業kmあたり25億円(地下鉄の1割ほど)で60億円前後との事です。
そして導入後の展開として本牧方面、野毛、伊勢佐木町等の既存市街地、横浜駅方面など多方面への展開が可能と言うのもメリットとして挙げられていました。
そしてカレーランチミーティングでこの路線案を提案した際の市長の反応としては
・LRTに対しては非常に良いイメージを持っていて、今後人と環境に優しいと言う観点で非常に有効なインフラと考えている
・ただし財政が厳しいのが横浜ではネック
・伊勢佐木モールや交通不便地域等実用性とマッチングさせる視点が必要
・総合的な計画の中で検討する必要がある。また「都心臨海部・インナーハーバー整備構想骨子案」ではLRT導入も1つの案として上がっている
と言った事が挙げられていました。
路線案の資料ダウンロード@横浜にLRTを走らせる会≪企画チーム≫
都心臨海部・インナーハーバー整備構想(骨子案)
中田市長とのカレーランチミーティング
パネルディスカッション
写真:パネルディスカッション
さて基調講演後はパネルディスカッション、基調講演を行った2方に加え多士済々なラインナップ、まずは自己紹介がてら様々な話題が出てきました。
コーディネーターのエコノミスト宇都宮氏は海外のLRT事情に通じている氏らしくヨーロッパの港町ナポリ、ロッテルダム等のLRTの紹介、ヨーロッパやアメリカと日本を比較すると日本だけが岐阜に代表されるように年々路線網を縮小させている事、また横浜のような大都市ではどちらかと言えば路線長が短く、既存の地下鉄等を補完する形での路線設定が行われている状況が紹介されました。
またコメンテーターの関東学院大学安田教授からは持論である「関内に代表される大都市横浜と田園都市線沿線や港北NTに代表されるベッドタウンとしての横山に分割されている事が横浜と言う都市を分裂状態にさせていると言う」横山横浜論に加え、横浜のLRT導入に関して過去の市電廃止と言う経緯が難しくしている面があるのではと言う問題提起がなされました。ポイントとしては車に乗ると便利で皆が乗る事で渋滞が起こり不便になっていく囚人のジレンマと呼ばれる現象の中でどうしても横浜の市電のような公営の路線は大きな声に押され車の軌道内進入を許してしまう事、そして残っている所を見ると広島に代表されるように民営の場所も多いのは民間は自分の経営基盤を守る為に必死に環境を守るからではと言う事でした。
続いてシティネットのアシャド・バハルディン氏からは所属するシティネットの紹介、21世紀にかけて10以上の1千万都市が出来たアジアでの交通渋滞、大気汚染などの環境問題、ボートハウスに代表される人口流入の問題等の都市問題に対し日本に代表される先進国との技術交流(横浜の街づくりのやり方を導入した都市もあるとの紹介もなされました)によって問題解決を模索していくシティネットの活動に関する紹介がなされました。
続いて横浜の地元企業大川印刷の大川哲郎氏による会社紹介、会社単位でのカーシェアの導入等の環境対策の取り組み、明治年間から続く薬品ラベル印刷事業や横浜の名物崎陽軒のシウマイ弁当のラベル印刷等活発な企業活動の紹介がなされました。
さて本題のディスカッションではまず横浜のLRT導入に向けての現状について
まず市民の間では
・良いんじゃないか
・渋滞につながるのでは
と言う2つの意見がありそして市の対応としては
・財政の問題があり難しい
と言うのが現状と言う問題提起に対し
・海外のLRTでは渋滞悪化と言う問題は聞かない
・費用便益に関しては他の都市では比較的良い
・渋滞やコスト、地域的に市民全体の利益となるようなベストなプランを立ててから議論していく必要があるのでは
・ただしコストとしては60億円と言う数字は横浜の財政規模から言えば相当小さいのでは
・補助制度に関しては現在充実してプロジェクトの半額くらい出るからそれをふまえてまずプランを立ててみると良いのでは
・風力発電のようなCSRによる民間出資の道は開けないのであろうか?
・横浜は歩き回るのには広すぎてそれが「車で行こう」と言った方向につながっているのでそれを改善する方向で考えていってはどうだろうか?
・良いプランだけではなくPRも必要では
と言った意見が出ました。
また会場からの質問・意見としては
・例えば札幌や広島等比較的簿の近い都市と組んでの展開は考えられないか?
・行政主導だと所謂「無駄な公共事業」と一緒くたにならないか?
・交通の主導権を行政に戻す為の機構改革を
・広範に広げていく為にはフォーラム等以外のどの様なPR活動があるか?
と言った事が挙げられました。
関東学院大学
CITYNET
株式会社大川印刷
株式会社自然エネルギー市民ファンド(風車ファンドの一例)
さて上手くまとまっていないような感じがしますが個人的にまとめると、内容そのものは実は結構過去にあったものだったり聞いた事ある話だったりといった感じなのですが、逆に言えばこれまでどちらかと言うと啓蒙、PR段階だったLRT導入に関して実は実現へ向けた段階に入りつつあり、だからこそ色んな明確な障害も見えてきた段階だからこその原点回帰なのかなと感じます。だからこそ富山市のコンパクトシティのような明確な哲学やまた実際どう導入して言ったのかと言う事が重要だったり、具体的な路線案をきちんと出した上で財政問題で終わることなく「60億円て横浜市にとって大きな額なの?」、「プランだけでなくPRも」、「単に行政主導となると「無駄な公共事業」と一緒くたにされない?」 と言った具体的な話も出てきたのだと思います。
個人的には学生時代良く横浜駅〜みなとみらい〜馬車道〜伊勢佐木町〜黄金町駅と言ったルートを歩く事があったのですがいつも感じたのが「えらく長い距離だけどじゃぁこのルートで歩く以外の交通って以外に無いなぁ」と言う事でした。そう言った意味で横浜都心部のLRT導入と言うのは魅力的なプランに感じるのですが皆様はいかがでしょうか?もし横浜を歩く機会があったら考えてみるのも語一驚では無いでしょうか?
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