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高瀬大介の思い出のプラグインは刹那い記憶

〜高瀬企画発気まぐれ遺言状〜

2009年12月09日17:45
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ちょっとした成り行きで来年の1月10日、代々木ブーガルーで行われるコピーバンド大会に、クリームのコピーバンド「creeeeam」としてライブをやります。コピーバンドでのライブなんて初めての経験かつ、いまさらなんていう青い経験。



まあコピーバンドといっても、もともとの本家が即興演奏を主体にライブをやってたんで完コピしてもしょうがないんだけれどね。
コピー大会なんて...となんともお気楽な企画なんだけど、実は個人的にはかなり血圧の上がる経験だと今から意気込んでいる。



俺のクリームにかける思い入れは半端ではなく、中学生から高校生にかけて、ほぼ毎日クリームのライブ音源に合わせてバーチャルセッションをしていた。最初はアコギにエレキ弦を張ってね(笑)。



ぶっちゃけて言えば、自分の持っているギターフレーズの8割くらいはクラプトンがクリーム時代に使ってたものの使い回しといっても過言ではない。



特に「ライブ・クリーム?」に入っている「Steppin' Out」というクラプトンが13分くらいひたすらギターソロを弾きまくるという曲に狂って、毎日聴いては一緒にジャムったりしていた。



まあとにかくギターを弾き始めて最初に学ぶノウハウは殆どクリームから得たといえる。いわば親も同然。



そんなクリームのコピーバンドをいまさらやってしまう。そんなのとっくに卒業しとけよと思うけれど、なんか身近にいる人間もやれニルヴァーナのコピバンだ、ラルク・アンシェルのコピバンだ、ブルーハ−ツのコピバンだなどやったりしていて、いくつになってもそういうのはやりたいもんなんだよなぁと、そういう中二病みたいなのを持ってない奴はかわいくないよなぁ、と自分を納得させている。なんとかコピバンをやる大義名分を探しているだけなんだが。



是非是非遊びに来てほしいです。単なるお気楽なコピバン大会ではないんです!俺のクラプトンにかける思い、クリームにかける思いは半端ではないのDeath!
んな大袈裟な...。



というわけで最近は久しぶりにクリームを聴き返している。今更聴き返してもなんら認識の変化はないんだけれど、つくづくこのバンドっていうのは雑な扱われ方をしてきたよなぁって思う。



後のクラプトン人気のお陰で需要が無くなることはなかったけど、それゆえにクリームの認識のされ方も歪んだものになった。



クリームの本質であるジャック・ブルース主体の、非常に混沌としたスウィンギン・ロンドンな雰囲気や、サイケデリックで雑多な音楽性を持ったポップバンドとしての面があまりクローズアップされず、ライブでの主役であったクラプトンが中心のブルースロック的なクリームばかりがクローズアップされ、いわゆるハードロックの元祖という言われ方ばかりが流布される。



しかし元祖ハードロックバンドとしてのポテンシャルを実証するような音源があまりにも少なく、多くの人に肩透かしを食らわせてしまう。実は海賊盤の中にはこれぞハードコア・ブルースロック!ともいえるような凄まじい音源が沢山あるのに、そういうのは一向に発掘されず、BBCライブみたいなラジオ収録のための軽いライブテイクしか正規盤化されない。



そもそもがあまりにもライブが人気があるから、なんとしてもそれを世に出して金に換えようとしたレーベルの勇み足でスタジオ盤との抱き合わせで出されたようなライブ盤ばかりだったり、解散後に適当にコンピレートされた粗製濫造気味のライブ盤が出たりしたための、ライブ盤自体に決定的な作品がない。



また肝心のスタジオ録音にしても、そのライブ盤に助けられたような出され方だったので不当に評価が低い。
「名盤」の誉れ高いものもあるけれど実際の内容は、ハードスケジュールの中録音されたものが殆どのため、中途半端なものも少なくはない。いくつかの作品は本当に完成度の高さと先見性の高さを証明するような名曲なのに、全体のバランスは悪かったりする。



まだポップスとかロックが海のものとも山のものともつかなかった時代なのでしょうがないけれど、じっくりと時間の余裕を持ってスタジオ録音が出来なかったために決定的な名作を作ることが出来なかった。それがツェッペリンとかとは評価のされ方が違う原因かもしれない。



解散の原因にしたって、マネージメントが乱暴で、果てしなく続くライブツアーのせいでメンバー間の仲が悪化して解散するに至ったたわけだし、メンバー自身も「一ヶ月ぐらいのオフがあったりしたら充電も出来て、もっといろんな可能性を試せたかもしれないのに...」と後に語っている。
つうか一ヶ月のオフもなかったのか?と驚いてしまうのだけれど、確かに男三人がず〜と一緒に行動を共にしてりゃいがみ合いもするし、まあそれ故に火の噴くようなインプロヴィゼーションを延々と続けそれが魅力になってたわけで、痛し痒しだ。



クリームというのはいろんな可能性を秘めながらも、それらを試行錯誤のまま途中で放り投げたため、決定的な評価が抜け落ち「伝説のトリオ」とか「ハードロックの元祖」という曖昧な形容詞ばかりが先行するようになってしまった、まあ良くも悪くも「先駆者」だったんだなぁと思う。



同時代にその衝撃を体験したファンや、後に生まれた熱心な信者は、その可能性の先を深読みもするけれど、ごく一般の後追いのロックファンにはなかなかその魅力が伝わりにくいバンドである。

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高瀬大介

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