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高瀬大介の思い出のプラグインは刹那い記憶

〜高瀬企画発気まぐれ遺言状〜

2006年09月

2006年09月29日03:13
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一昨日、吉祥寺プラKのワイセッツライブに来てくれた方々どうもありがとうございました。



何か個人的には過呼吸になるぐらいテンション上がりまくってついコントロール不能になってしまってヤバかったんだけど、まあいいリアクションが返ってきたのでホッとした。



で、実はこの日、ワイセッツの初の映像作品、「あんたのよていをくるわせたい」の初売りの日だった。



このDVD、我々はドメスティック・ヴァイオレンス・ドキュメントと呼んでおるのだが、決して血を見る作品ではない。ただまあドキュメントっつう感じで結構客観的にというか、俯瞰でバンドを捉えた作品になっていると思う。
勿論バンド側の意思で制作したのだけれど、例えば「思い入れたっぷりのインタビュー」とか、「アジテーション」とか、「ライブ前の緊張したメンバーの表情」とかそういうバンド側の暑苦しい主観が殆どないドライな作品だ。だってありがちじゃん、そういうのってお互い思ってたのかもね。
そういう感覚って大事だ。バンド側と制作側の温度差がありすぎると結構困る。
そういう意味では「無為」と「計算」と「好奇心」を高いレベルで昇華している映像監督・長沼良氏(人生ノリとタイミング)は本当にうちらの期待を裏切らなかった。この作品ははある意味彼の作品と言っていい。勿論ある程度はこちらからの意見も出したが、基本的には彼にまかせっきり。ライブの部分も含めて色んな映像素材を提供して、あとは彼の才気の爆発に任せて編集してもらったという、ワイセッツに対する「批評的」な作りになっている。
だからある程度ウチの事が好きな人にはかな〜リ見応えのある作品になっていると思う。
自分で言うのもなんだが、ライブ本編よりも途中で入るCMとか、鬼の編集作業によって作られたオープニングとエンディングの方に作品としての魅力が強く出ていると思う。
いや、ライブも勿論いいと思うんだけどね......。ただまあ自分達のしでかした事にはどうしても点数辛くなってしまうのでこんな風に言っちゃうんだわ。



その逆に、副音声では「ワイセッツアンソロジー」という、よう自分で言うわ的なタイトルを持つ、「主観バリバリ」の特別番組をこしらえた。
これも単なる思いつきから発展していったんだけど、これは自分達の短い歴史を、昔の音源とか未発表の音源を聴きながら自分達で振り返ってみて一区切りつけてみよう、という後ろ向き風前向き企画なのさ。
これは完全にウチらバンド側が主導で進めた企画で、特に俺が嬉々として司会を務めたり音源も選曲したりして、昔やってたラジヲ番組を作るような感覚で遊んでみた(マジいびきも提供)。
それを蛇が気のきいた編集でさらに加速させていてこれはこれで中々の聞き物ですよ、あんた。


というわけでライブに来て頂いてなおかつ「良かった!」という感想もたれた方、これは買い物ですよ〜。


あ、ちなみにこのDVDに収録された日のライブはなんと、ちょうど通算100回目のライブだったんだけれど、そんな事には全然気付かず、「ワイセッツアンソロジー」収録の時、たまたま紐解いたライブスケジュールを見ていて気付いて驚いた。そんなオイシいモニュメントに気付かずにいた俺らって......。でもそんな通算何回目とかに対して一切頓着しないこのバンドが結構好きだ。

2006年09月18日05:09
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はい、日付で言えば一昨日、ビアガーデンで友人ケンさんと一緒にDJやってきましたよ。ま、俺の場合所謂DJのスキルは何も無くてただ単に好きな曲をかけるだけなんだけどね。


いやしかしいいですねえ。上野公園の下、忍池公園内にあるビアガーデンっていうシチュエーションにまずグッときた。


「アサヒビール」ってかかれた提灯が穏やかな光が夜を照らし、愉快な音楽が流れるオープンスペースなビアガーデンに、通りを過ぎ行く人達も思わず立ち止まって呑んでいこうか悩む。そしてついには蚊に刺されながらも音楽に包まれてビールを飲む。いいですな。名残の夏をここで楽しみたいわ。今度の土曜日も行けそうならDJいやディスクジョッキーやるつもりです。


で、一昨日はベルギーからやってきたBlack Light Orchestraというバンドと対バンつうか、かわりばんこでやった。

http://georgeshop.com/top/list.php?music_id=113


このバンドかなりくせ者で、やってる事はフランクザッパ&マザーオブインベンションのようなシアトリカルでアバンギャルドなんだけど、メンバーの人柄のせいかどこかのどかで笑って楽しめるとこがあって、何とも言えずビアガーデンにマッチしていた。


あとこのバンドのキーボーディストが兼任しているもう一つのバンド(名前忘れた...スイマセン)のライブもあったんだけど、これがまた素晴らしかった。
アコーディオンにソプラノボイス(男性)、ドラムにピアノという編成で、どこか遠い国の民謡のような郷愁を誘う歌声がまたこのビアガーデンにピッタリなんだ。なんか昭和20年代のカフェーのような感覚に陥る。知らんけどね。


で、俺はと言うと予告通り選曲のテーマは「ニッポン」。選曲も日本一辺倒ならばコスチュームの日本じゃなきゃあと決まらねえとばかり、ふんどしに着物というコンセプチュアルな出で立ち。おまけに髭坊主で恰幅のいいムッチリボディー。なんでも後で聴いたら、お客様のゲイの方が熱い視線を送ってくれていたそうで「じっくり料理したい......」と仰られたそうな。金さえくれりゃいいでっせ。ただ貫通はNG。そこは大事に取っておきたいので。
ま、とにかく麦酒呑み呑み焼きそば食い食いテキトーな気分と国粋主義ウギな感性で選んだ曲は以下の通り。(順不同)


くろまる東京ブギウギ/笠置シヅ子 まずはこれ。戦後の日本を奮い立たせた歌姫が高らかに歌い上げます。

くろまる買い物ブギー/笠置シヅ子 大阪出身の彼女がユーモアたっぷりに魚屋のおっさんとのやり取りをたたみかけるように歌います。J-ラップの始祖鳥。

くろまる銀座カンカン娘/高瀬大介 僭越ながら不肖ワタクシめが本歌取りを。ルーズなドラムンベースに乗って佐野元春チックに昭和の流行歌を鼻歌わさせてもらいます。

くろまる銀座カンカン娘/高峰秀子 これぞ本家。私のアイドル。昭和の銀幕を代表する大女優が若き日歌った服部メロディ不滅の名曲。

くろまる君が代/忌野清志郎 最高にイカしたロックンロール!清志郎が歌えばテクノでもヒップホップでも演歌でも国歌でもロックンロール!

くろまる監獄ロック/奥田民生 日本が空前のロカビリーブームだった頃、このプレスリーナンバーも漣健児によるイカした日本語訳で歌われた。その間接カバー。民生もここぞとばかりにシャウトしてます。

くろまるBAD CITY/SHOGUN 「探偵物語」のテーマソングとして広く知られたナンバー。ホーンが完全にミストーン出してるのにOKになってしまってるこのいいからかげんさがグッとくる。

くろまる桂子の夢は夜ひらく/藤圭子 15、16、17と私の人生暗かった......宇多田ヒカルのおっ母さん、こんな世を拗ねたような歌も歌っておりましたな。

くろまる愛する君に/ゴールデンカップス 日本のロックの産声とか何とか言っても、所詮は既存の歌謡界のシステムが牛耳っていたグループサウンズ界の中では明らかに突出していた本格的R&Bバンド、ゴールデンカップスが無理矢理「やらされた」歌謡曲。しかし「日本初のソウルナンバー」と言われたように歌詞もメロディーも演奏も「ロック」している。これは名曲でしょう。

くろまる銭$ソング/白木みのる てなもんや三度笠でお馴染みの白木みのるがこんな歌を歌っておりました。おまけに作詞は赤塚不二夫。そのインフォメーションだけで荒唐無稽なホットチューンであろう事は想像に難くないが、やはり期待は裏切りません。リトルマイケルジャクソンもマッツァオのシャウトを聴かせます。

くろまるRocknRoll退屈男/大瀧詠一 ロックンロールのノベルティ要素と旗本退屈男をミクスチャーした「快作」。アナーキックなアレンジと芝居っけたっぷりな大瀧氏の詠唱が素晴らしい。しかし氏の深い慧眼からすればこの手の曲なら「朝飯前」で出来てしまうのだろう。

くろまるカナリア/井上陽水 このビアガーデンの名前「カナリヤ」って言うんですわ。だからかけました。しかしこの曲ビールを飲むには哀し過ぎます。カナリヤ、カナリヤ 一番夢を見せてくれた人の名前を教えて......。

くろまる氷の世界/井上陽水 リクエストにお応えしてかけたけど、初秋の夜に「毎日吹雪吹雪氷の世界〜」は無いだろうと思ったが、名曲季節を選ばず。

くろまるハイそれまでヨ/ハナ肇とクレイジーキャッツ ド頭に植木等の「さあいっちょうブワ〜と行くか!」のシャウトをくっつけてこの珠玉の名曲を盛り上げるMIXを施した。しかしなんてビアガーデンに合う曲なんだろう...。まるでショウパブでクレイジーキャッツのステージを観ている「あの」映画でお馴染みのシーンを彷彿とさせる。

くろまる金太の大冒険/つぼいのりお 未だにこの曲は放送禁止扱いなんだろうか?しかし俺はそんな自主規制とやらに屈しない。しかしかけたバージョンは放送禁止を逆手に取った自主規制バージョン。動物の鳴き声をインポーズして「きんたしろまる」のところをかえって強調。ザマアミロ!

くろまるはいからはくち/はっぴいえんど お囃子から始まるこの曲。いきなりドライブ感たっぷりのロックナンバーになる。若き日の大瀧詠一が不条理な歌詞をシャウトします。しかし松本隆のドラムのアグレッシブさは凄い。

くろまる丘を越えて/矢野顕子 アッコちゃんがやればどんな曲でも彼女のオリジナルナンバーとなってしまう。この青山一郎の詠唱で知られる戦後間もない頃の流行歌も彼女の手にかかればモダンでキャッチーなナンバーに変身。しかし彼女はこの曲の原曲を全く知らないまま取り上げていたらしい。天才とはげに恐ろしい。

くろまる抱きしめたい/東京ビートルズ 日本人による「誤解釈」による迷曲の代表ナンバー。この曲を聴いたベルギー人のカストラータシンガーが「これ是非コピーさせてくれ」と言ってきた。このファニーな感じは万国共通?

くろまるツイスト・アンド・シャウト/東京ビートルズ 東京ビートルズの中でも傑作中の傑作。「ランチキ騒ぎのダンスパーティーだ」「若い俺たちの全部を吐き出し」香ばしいフレーズ続出の名訳詞はやはり漣健児。イカ臭そうな若い男の子がシャウトというより奇声を上げている後ろで、モダンジャズのフィールにでツイストをやるとこんなにも混沌が産まれるとは...。

くろまる嵐を呼ぶ男/石原裕次郎 やんちゃなタフガイ祐次郎が熱演します。ドラムをボクシングに見立て相手をノックアウトします。ジョージ川口によるクールな暴れ太鼓がイカすナンバー。

くろまるパープルタウン/八神順子 まさにニューミュージックな歌謡曲。そりゃ売れるわ、っていう要素ばかりを集めたような名曲。しかしこの人本当に歌うまい。

くろまるあんたのバラード/世良公則とツイスト 血管ブチギレそうな世良公則の熱いシャウトが格好いい。こんな濃いいナンバーが当時ヒットしたんだよなあ。日本の歌謡界に本格的に「R&B」な要素を持ち込んだ先駆的ナンバーではなかろうか?

くろまるFUJIYAMA MAMA/細野晴臣 唯我独尊。この飄々としたセンスの前ではどなたも敵いません。60年代にヒットした亜米利加人による日本語ナンバーを日本人である細野氏が歌舞伎のようなうなり声で人をおちょくったように歌っております。

くろまるどろろのテーマ/藤田淑子 手塚治虫原作によるアニメ「どろろ」のテーマ。お前らみんなほげたらポン!ほっきゃほっきゃ侍ヘラヘラ ヘロヘロ侍と〜ろとろ とぼけちゃいけねえしってるぜい!ある意味不条理とも言えるこの詩を健全に元気に歌いとばしております。俺はこの曲を初めて聴いた時、横隔膜が痙攣するほど笑ってしばらく立てませんでした。

くろまるブクブク・マンボ/トニー谷 このあまりにも意味の無い歌詞を歌うのにこれほど相応しいシンガーがかつて居ただろうか?「あの娘に見とれてつるりんこ コンブがあたしにねちょりんこ」って。ハア...。

くろまるさいざんす・マンボ/トニー谷 トニー谷の代表作。トニーングリッシュ炸裂の必殺ナンバー。私も思わずそろばんもってマンボを踊ってしまいました。

くろまるあんたのおなまえ何ァんてェの/トニー谷 この不思議なグルーヴを持ったナンバーはトニー谷にとっては「後年」のヒット曲となる。1962年、よみうりテレビ系列で放送された「アベック歌合戦」の司会を務めたトニーがこの歌を歌いながら素人を紹介していたのがきっかけでこの歌が作られヒットする。後に「ひょうきん族」でこの番組のパロディーコーナーが作られ片岡鶴太郎がトニー谷に扮して歌っていた。

くろまるアイムダウン/尾藤イサヲ&内田裕也withブルーコメッツ この組み合わせを見ただけでもお腹いっぱいになりそうなナンバー。オリジナルのビートルズ以上にグルーブしまくっているこのナンバーはまさにアッパレ。俺もこれをかけながらお客さんに万歳三唱を強要したくなってきました。

くろまるミニミニデート/山本リンダ ウララ〜ウララ〜とセクシー路線に行く前のリンダの困っちゃう名曲。「ミニミニスカートはラブラブカラー」。シラフじゃ歌えない。

くろまるしょーがないね節/小林アキラ どこまで行くんだ〜と言いたくなるくらいアキラのシャープ気味のハイトーンが伸びていく名曲。俺はこの曲をライブ前に聴いた所為でいつもはフラット気味な俺のピッチがその日に限ってシャープしていた。感染度の高い麻薬的ハイトーンボイス。ビバ!アキラ。

くろまるろくでなし/越路吹雪 どんな人生を歩んだらこんな洒脱でしかもドスの効いた歌が歌えるんだろう?幼き日に聴いて以来20数年間ず〜と心のベストテンに居座っている曲。

くろまる愛の讃歌/越路吹雪 まさに高らかに愛を歌い上げる感動的ナンバー。これをかけ出したらいきなりあるお客さんが「歌わせて〜!」と言いながら乱入。高らかに歌っておいられました。嗚呼DJやってよかったと思った瞬間でございました。

くろまる椿三十郎のテーマfeaturingタモリの四カ国語麻雀/mixed by高瀬EX 黒澤明とタモリが時空を超えてコラボレーション!したわけでなく高瀬EXが、ただ強引に掛け合わせただけの「野合ミックス」。でもその場の思いつきにしてはなかなかしっくりいってたんではなかろうか?

くろまる用心棒のテーマ/佐藤勝 三船敏郎の洒脱で不敵な笑みを思わせるようなグルーブを持ったナンバー。もうかっっこいいたらありゃしねえ!映画も音楽も。

くろまる愛してタムレ/谷啓 既に昭和30年代にはアフロビートを取り入れていたのかと今更ながら驚かずにはいられないナンバー。谷啓による人を食ったような喉サックスとインチキスキャットが堪らない。

くろまる霧のサンフランシスコ/服部富子 昭和25年、亜米利加帰りの服部良一が作ったハバネラ調の異国情緒溢れる曲。今聴いても「新しい」といえるメロディーのセンスには脱帽。

くろまる東京よさこい/市丸 「西郷隆盛 話せる御方よ 上野の山で アベック見て見ぬふりをする ああそうだね ああまったくだ ああ東京よいとこ よさこい 昼来い 朝も来い チョイナ」かけるしかないっしょ?

くろまる相合傘/清水ミチコ 細野晴臣の名曲を矢野顕子がカバーしているバージョンを物まねした驚愕のテイク。ファンが聴いたら怒るぞって言うくらい失礼な物まねだが、よほどアッコちゃんを聴き込んでなければここまで似ない。ある意味リスペクトを感じる。

くろまるハートを狙い撃ち/有馬龍之介 オケも歌も思いっきり熱い魂がこもっているが、向かっているベクトルが全然違うので全くかみ合わずカオスを産み出している。毒汁滴る熱唱がかえって痛々しい。GS末期に産まれた徒花のような作品。

くろまるうなづきマーチ/うなづきトリオ 大瀧詠一氏によるノベルティーソングの傑作。マンザイブームに湧いた80年代初頭、漫才コンビのトップランナーだったツービート、B&B、紳介竜助の才能の無い方を3人集めて歌わせたらヒットしてしまったというあの時代ならではの「リサイクル商品」。アレンジもミックスも思いっきりテキトーな所がいい。

くろまるどですかでんのテーマ/武満 徹 この人をホッとさせ落ち着かせる曲は、黒澤明によるガイキチ紙一重作品「どですかでん」のテーマである。ハッキリ言って映画はつまらんが、この曲のエモーショナルな感動に罪は無い。

くろまるあの鐘を鳴らすのはあなた/和田アキ子 もう言わずと知れた名曲中の名曲。やっぱジャパニーズフィーメイルNo,1R&Bシンガーはアキ子に決まりだ!俺もケンさんもDJブースで大熱唱してしまいました。

くろまるダイナマイトが百五十屯/小林アキラ これはロックですね。監獄ロックの歌詞で歌えるぞこのメロディ。アキラの記念すべきデビュ−曲。当時の銀幕スター石原裕次郎は「タフガイ」の愛称で知られていたが、それに対抗してアキラのキャッチフレーズは「マイトガイ」。その流れでこの曲は作られたようだ。


という事でここまで読んだ人、アンタ暇ねえ。


まあこんな事やってまんねん。今度の土曜日もやるかもしれないのでよろしかったら来てね〜。


2006年09月14日23:38
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昨日は久方ぶりのライブだった。まあ路上やったりしたからうちら的には久方ぶりではなかったけど。


昨日は何だか感極まってしまった。


いろんな人がそれぞれの十字路にさしかかっている。それをやけにリアルに感じてしまう今日この頃。って言う気持ちだったんでね。


自分で書いた歌詞なのに、他人の状況を慮って初めてその歌詞にリアリティーを感じてしまうというへんてこな状況。
いや、自分なりにその歌詞を書いた時の自分の状況を反映させてはいるんだろうけど、いったん吐き出してしまうともう自分の中に居座る悩みや苦しみではなくなっていたんだな。他人事みたいになってるもんね。なんか浄化と言うか排泄に近い行為だわ、作詞作曲って。


まあとにかく昨日は何かと胸に去来するもんがあったって事ですよ。


昨日来てくれた方々どうもありがとうございました。あんな雨の寒い夜。俺だったらやめようっと思うもんね。
2006年09月10日04:42
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b35bb507.jpg 今日、いや昨日か、友人の結婚式に行ってきた。


ワイセッツがいつも行くスタジオで、かつてウチのキーボードと一緒にバイトしてた女の子。あうのは一年ぶりだったが以前よりずっと健康的に美しくなっていた。良かった良かった。


俺個人としてはそんなにそんなに親しかったという訳ではなかったんだけど、座席表を観ると新婦側友人代表として新郎新婦の目の前の席だったので、ちょっと照れてしまった。ワイセッツの曲もBGMとしてがんがんかけてくれてそれは有難かったんだけど、やっぱり過去の音源を聴くといきなり反省モードになっちゃって料理食ってる場合じゃなくなる。っつうかウチの音って結婚式に相応しくね〜。


まあそれ以外は式や披露宴が微笑ましく続く。普通よりちょっと違って新郎新婦の意向が反映された手作りな感じのパーティーで好感が持てた。



大学時代、リゾートホテルの結婚式場でバイトしてたせいか、結婚式に関してはかなり擦れっ枯らしだ。ちょっとやそっとじゃあ人の結婚式なんぞに感情移入なんか出来ない。


ていうか新郎新婦の意思とか人となりが感じられる結婚式なんて殆ど皆無に近くて、ハッキリ言って結婚式なんて辟易している。


どいつもこいつもホテル側が用意した定番パターンで済ませやがって。おかげでホイットニーヒョウーストンの「あんだ〜〜〜いや〜〜〜」ばっかしを一生分聞かされたよ。その頃は今より更に輪を掛けて無礼者だったんで露骨に嫌な顔して仲間内と悪態ついてたわ。つうかとにかく俺はホイットニーとかマライヤとかの類は大っ嫌いなんだよ。人工甘味料てんこ盛りで胸やけするから。

おまけに新郎側の友人とかは、サム〜〜い企画を持ち込んで仲間内で盛り上がって親族のおっさんおばはんらは激無視ってパターン。
新婦側の友人の女の子のスピーチとか新婦の母親に向けた作文発表会コーナーなんて「〜なことがあったね。〜なこともあったね」的なありがちな作文を読んで一人で盛り上がって、段々泣き出してぐだぐだになってきて最後は殆ど聞き取れないっつうパターン。分った分ったと心の中思ってるだけじゃなくてつい口に出てたな。



いや......まあ、人ごとだしどんなことしようと全然構わないし大きなお世話なんだけど、ただバイトでず〜と観てると飽きるんだわ。本当にホットケだわな。ま、あの時分はとにかく毒吐かないと身体を毒が回って自家中毒起こしそうだったから。今はさすがにもうそんなに無意味な毒汁は出ないけどやっぱ相変わらず結婚式ってヤツはなにかと退屈だ。



しかし昨日の結婚式は俺が感じる辟易とした部分が全く出てこない式で清々しかった。


特に新婦の母親に向けた作文のスピーチはなかなかに感動的だった。


新婦の母親や姉に対する気持ちの変遷を、露悪的でもなく装飾的でもなくただ素直に綴ったもので、言葉や新婦の声に濁った所が微塵もなかった。
本人としては無意識なんだろうけど、列席した者、あるいは俺みたいに詳しい事情を知らない人間が聞いてもちゃんと伝わってくる内容と言葉と音波だった。多くの人がすすり泣いていたし、俺も柄にもなく少し泣いてしまった。何とも説明しようのないこの感動の質は実に「音楽」だ。口幅ったい言い方だけど感動はひょんな所に転がってる。

帰り道渋谷の裏路地でネコがガンとばし合っていた。人間様が近寄ってもビクともしねえ。ふてぶてしい畜生達。感動はひょんな所に転がっている。

2006年09月07日02:13
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最近やっと涼しくなってきて楽になった。


久しぶりに日記らしいものを書く。最近あらためて思うこと。


いろんな人がいろんなスタンスでいろんな文体で書いているけど、個人的に思うのは(前にも書いたっけか?)、基本的に不特定多数の人々が観る以上、ここに書く日記は所謂個人的につける日記とは違うものだと思っている。


日記に限らず文章というのは、たとえ声高なメッセージでなくとも、独り言のようなものであっても、何らかのことを他者に伝える機能と目的を持っているものだと思う。
だからその属性を無視して書かれてある文章をこういう場で読むと「?」となってしまう。


早い話、自分にだけ判ればいいっていうことをわざわざ文章化してここに載せなくてもいいと思うのさ。
まあそういう文体って往々にして「判って欲しい」の裏返しだったりしてイヂマシイっつうかなんつうか......その物欲しげな感じが個人的にはちょっと嫌だ。可愛げがある場合もあるにはあるが......。


(勿論どういう目的でここに日記を書こうと人の勝手だし、この場所をどう捉えるかも人によって様々だというのは重々承知の上で、あえて個人的な意見を書いてます。気になさらぬように)
ちゃんと伝えたい内容をあって、なおかつ伝えるための努力と配慮がなされている文章は、その内容や主旨云々は別として、読んでいて凄く気持ちがいい。主旨より手法で持っていかれてしまう。


まあこれは文章に限ったことではなくて、音楽でも漫画でも全ての表現活動に当てはまるし、もっと言えば社会生活における他者とのコミニュケーションにも同じことが言える。
コミニュケーション手段の精度の向上、あるいは合理化に関して思いを致さぬ者は中々上手く世を渡っていけなかったりする(もっとも社会不適合者みたいな人がより強烈に深く伝わっていく表現を産み出すという構造もこれまた真理)。


「伝えたいことがまとめきれないからとにかく全部ブチ込んでやれ」方式の文章をつい書いてしまう俺としては、「簡潔」とか「ストレート」とか「含蓄がある」という文章力を持った人に憧れる。
そんな人は間違っても自己完結的な方向や自暴自棄な書きなぐり方はしない。


「言葉の威力」というのは冷静に冷酷に自己を対象化した上で発揮されるもんだ、とそういう人の文章を観ていてつくづく思う。



高峰秀子の「私の渡世日記」(文春文庫)と早川義夫の「たましいの場所」(晶文社)はそういう意味においては凄すぎる本だ。
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高瀬大介

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