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高瀬大介の思い出のプラグインは刹那い記憶

〜高瀬企画発気まぐれ遺言状〜

2016年09月09日22:39
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久しぶりにもほどがあるほど久しぶりの更新です。

興味を持ってここを訪れてくれる人がどれ程いるかは分からないけど、今回はどうしても来てほしいイベントがあるので書きます。



今月25日は地元神辺のハイダウェイで高瀬企画というか、俺と俺がリスペクトするシンガーソングライター、山崎怠雅さんとガジュマルさんを東京から招いてスリーマン・ライヴをやります。


山崎怠雅(やまざきたいが)君は、繊細で詩情豊かなシンガーソングライターとしての側面と、狂気のノイズブルースハードロックギタリストとしての側面が、全く違和感無く同居した、まさに奇才と言うべきアーティストで、その超然とした佇まいも含めて滅多にお目にかかれるもんではない才人だと思う。


出会いは10年くらい前だろうか、彼が捻転時計というバンドをやっており、俺がワイセッツというバンドをやっていた頃、たまたま渋谷のエッグマンで対バンしたのがきっかけだった。
最初はリハーサルの時、彼が弾くブルースフィール溢れるフレーズがあまりにもサマになっていて、一聴して「お仲間だ」と思った。本当にペンタトニックとブルーノートで「ちゃんと歌ってるフレーズ」が弾ける人は東京においてもレアだったんですよ、ライヴハウス界隈にいるようなミュージシャンだと。だからすぐに声をかけたように記憶している。人見知りなくせにレアで素晴らしい才能に対しては図々しくいくんだよ、俺。

しかし本番のライヴを観て度肝を抜かした。
とにかくライヴハウスが完全に音で飽和状態になったように感じたくらいの大爆音のギターが鳴っていて、しかもそれがちっともうるさくない。下手なクセに「ロックンロールは音がでかくなきゃあよぉ」みたいなこと言ってバカでかい音で鳴らしているギターってホント耳障りなんだけど、怠雅君のギターは「本当のノイズというのは美しいんだ」ということをよく理解しているギターだと思った。第一回フジロックで観たボアダムスの超爆音ライヴと同じような感じだった。


そんな第一印象だったけど、彼が優れたソングライターであり、リスナーとしても博覧強記の人だということに気づくのはもう少し親しくなってからのことだった。

捻転時計はヴォーカルは怠雅くんではなかったが、曲は全て怠雅君が作り、歌もそのヴォーカリストよりもよっぽど歌えるという、まさに捻転な山崎怠雅だが、彼がソロでアコースティックギターで弾き語りをしているのを聴いて、捻転時計の爆音ギターに目眩まし、いや耳眩ましさせられていた繊細でリリカルな楽曲の素晴らしさに気付いた。
夜の空気感と情景が皮膚感覚で伝わってくるような、そんな歌とアコースティックギターのプレイだった。
捻転時計ではない自分のバンドではさらに過激な大爆音ギターと絶叫シャウトをぶちかますのに、ソロでは真逆ともいえる内省的で繊細な世界観を見せる。でも矛盾はしていない。北野武の振り子の理論の通り、その二つの極限の世界観は両方が等しく存在してうまくバランスが取れている。

リスナーとしてもとても共有できるところが多く、少なくとも早川義夫さんやはっぴいえんど、レッド・ツェッペリンやクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングやゴールデンカップスについて俺が本気で語り合える人は彼をおいて他には居ない。元々早川義夫さんを呼ぶ捻転時計のイベントに声をかけてもらったのがきっかけで彼と親しくなったんだった。
俺がキチガイになるくらい好きなエリック・クラプトンとキング・クリムゾンを真っ向から否定するのも、ちゃんと聴いて良いところは認めた上での否定だから納得できる。


怠雅くんとはお互いの弾き語りにギターで参加したり、怠雅〜スと称してジュリーやカップスやはっぴいえんどをカバーするユニットをやったり、キョドルト・ヴァレルというハードロック・バンドをやったりと色々絡んできた。ついこないだも久々の俺のライヴに参加してもらったりもした。

それでもまだ理解してないとこもあるし、つかみどころが無いと言えば無いままだ。けれど別にそれはそれで構わない。クソ爺ィになってもたまにライヴ一緒にやって、終わったあと酒呑みながらツェッペリンのあの曲でジミー・ペイジが使ってるエフェクターはああでこうで、とか言えりゃそれでいい。



ガジュマルさんとの本格的な出会いは、ワイセッツが解散した2008年とかだから、かれこれもう8年くらいになるのか❗自分で書いててビックリした。

当事彼女が店長をしていたライヴハウス、代々木ブーガルーにライヴに出ることになったのがきっかけで知り合いになったんじゃなかろか。
話をしているなかで彼女もバンドやソロでやっているシンガーソングライターなのだということを知り、見た目もとても可愛い人だから(笑)ライヴに行ってみた。人が行動を起こす動機なんてそんなもんよ。

彼女がやっているバンド、サルパラダイスのイベントで、ナチュラル・レコード、うつぼ、いろちがい、踊り場ソウルというバンドが出ていた。
当事、自分のバンドが無くなった虚脱感と、自分一人の作品作りやなんやを早くやりたいのに煮詰まっているという状態で、かなりネガティブな気持ちの時に観たそれらのバンドは、とてもとても新鮮に感じられ、その高い音楽性や熱量の高さに興奮した。それと同時に俺はこういったシーンには今まで全くコミット出来ていなかった、あんだけ頑張ってたのにこういうバンドとは巡り会えなかった、自分はまだまだ駄目なんだなぁととても悔しさを感じた。

そしてトリのサルパラダイス。横揺れの物凄く気持ちのいいグルーヴ、ハッピーなバイヴス(笑)、ニュー・ソウルをルーツにもつ緩やかだけど熱いサウンド、そして何よりヴォーカルのガジュマルさんの圧倒的な存在感と声、下ネタも辞さないガハハなキャラクター、全てが当事の俺にとって必要としていた栄養であり契機であった。
自分にはそれらがまるで欠けていたけど、それが悔しさを通り越して発火剤になった。
ライヴイベントが終わったあと、挨拶もせずにすぐにライヴハウスを抜け出して自分の家に戻ってすぐ創作に打ち込んだのを今でも覚えている。


その日がきっかけになって俄然サルパラダイスが好きになり、ガジュマルのソロライヴにも行ってみたいと思うようになった。
で、初めてガジュマルのライヴを観て、さらに驚いた。サルパラダイスとは全然違う、もっともっと個人的な音楽で、独自性、オリジナリティという意味ではサルパラダイス以上のものがあると思った。
寓話をクラシックピアノの伴奏で聴いてるような、物凄く起伏に富んだ物語が一曲のなかで展開されてるような、凄い世界がそこにはあった。
また、曲の中で引用される笠置シヅ子さんの「ジャングル・ブギー」や、笠置シヅ子さんのカバー「買い物ブギー」など、俺が大好きな笠置シヅ子をこんな形でピアノ1つで自分でアレンジして歌ってる女の子が居たんだ‼と訳もわからず興奮した。いつかこの人と高峰秀子さんの「銀座カンカン娘」か越路吹雪の「ろくでなし」をデュエットしたい!と思った。後者は後に実現するのだが。


とにかく一時はとりつかれたようにサルパラダイスのアルバムを聴き、サルパラやガジュマルのライヴに行き、人見知りをアルコールで腹に流し込んでサルパラダイスのリーダーの田中さんやキヨさんとも話せるようになり、いつのまにか彼女らがやっているライヴハウスに出るようになり、そこでの仲間と繋がり、近所付き合いもし、と非常に幸福なコミュニティに属させてもらえるようになった。

何度もヒドイ迷惑をかけて、見棄てられてもしょうがないようなことしたのに、こないだ東京に行った時も昔と変わらずライヴハウスで呑んだくれながら話し倒したり、高円寺駅北口のバスロータリー広場の、ネズミが這ってるような地べたに座り込んで発泡酒呑んだりと、本当に楽しい時間を過ごした。

そのきっかけとなったのがガジュマルさん、サルパラダイスの音楽であり人となりだ。向こうは俺のことなんかもう呆れているかもしれないけど、俺は相変わらず彼女を、サルパラダイスをリスペクトしている。



そんなお二人、山崎怠雅くんとガジュマルさんを招いてのライヴ、是非是非多くの人に来てもらいたいし、その音楽や人に触れてほしい。素晴らしいから。


当日は俺自作の酒のツマミ、たぶんホルモン炒めかなんかを安価で提供して、イベントにニンニクくさい華をそえようとも思ってます。

いや〜来てもらいたいなあ。

〒720-2117
広島県福山市神辺町下御領1383-4
TEL:084-965-0410
HIDEAWAY

9月25日、夕方19時から。
1500円、ワンドリンク付きです。

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高瀬大介

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