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高瀬大介の思い出のプラグインは刹那い記憶

〜高瀬企画発気まぐれ遺言状〜

2013年09月

2013年09月14日21:40
カテゴリ
昨夜のワイセッツのライブに来てくれた方々、どうもありがといございました。


自分の意気込みが空回りして、納得いかない部分もあったけど、ステージから見えるお客さんの顔を見てるだけで幸せな気持ちになりました。良かった良かった。


キーボード土屋のビーム奏法とキーボード持ち上げプレイがツボにハマって俺もよく分かんないテンションになってしまったけど、やっぱそういう意表をついたもんのやり合いがバンドだよな。いかにお互いのテンションを上げてそれをお客さんに還元するか。間違ってるかな?



終わった後、いややってるときから「ホントに楽しそう」と言われた。俺、いつもそんなにつまらなそうにやってっかな(笑)?



まあでも、そりゃ楽しいよ。やりたいことやってそれでお客さんが喜んでくれりゃ。



またやりたい。奴らが何を考えてるかは分からないが、いいタイミングで出来ればいいな。


昨夜は近くの餃子屋でメンバーだけの打ち上げをした。酔っ払っててあんまり覚えてないんだけど、唐辛子餃子が死ぬほど辛かったことだけは覚えてる。知らない人連れてってドッキリに使えるレベル。「餃子市」をよろしく。
昨夜はお馴染みのイベント「恐るべき三名様」に行ってきた。


ガジュマルさんとも岡野やすこさんとも凄く親しいし敬意を払っているアーティストだし素晴らしいステージだったけど、渡部沙智子さんは桁外れに凄かった。


ライブを観るのは二回目だったけど、多分毎回ああいうふうに柔軟性(ライブ感)があって、毎回毎回別な表情を見せるライブをしてるんだろうなぁと思わせるくらい、実に音楽的だった。



一般的な初見の印象としてはコミカルな要素が目立つノベルティ・ソング的なもんなんだろうけど、それ以上に圧倒的な歌唱力、表現力、演奏力、作曲能力が凄くて、それがあってなおかつハイブリッドなユーモアやアイロニーと、表裏一体の絶望や哀しみがあるわけで、おまけに余裕のエンターテイメント性もあって、ミスすらも音楽的に変換できる、ホンマもう...音楽人としては理想のようなライブをやってて感動した。



日本だととかくノベルティタイプの音楽というのは、それがどれだけ現場では受けようと、いわゆるシリアスな表現をしている音楽に比べて低くみられがちだけど、それは単に学生ノリの中途半端な受けを狙ったインディー・バンドが多いからであって、本当のノベルティ・ソングってのは一級の演奏力と一流の表現力があって初めて「音楽」になるという、実にハードルが高くて崇高なものだと思う。単なる悪ふざけでは決して人を笑わせられないし、感動もさせられない。



かの大瀧詠一さんも



「エルヴィスも植木さんもそうだけど、ノベルティ・ソングってのは圧倒的に上手くてカッコ良くなきゃ決まらないんだよ。俺はそれがあの時期は分からなかった。企画性だけで行こうとしたんだ」



と言っている。これは大瀧詠一さんの世紀の快作「ナイアガラ・ムーン」に関する自己分析の中で出てきた言葉だ。
このアルバムには世間一般の印象にあるようないわゆる濡れた「大瀧節」は殆んど無く、全篇ドライな諧謔性と狂気のリズム探求に徹底したアルバムで、ある程度いった大瀧詠一ファンなら必ず傑作に挙げる名盤だ。その徹底度は個人的にはホントに「カッコ良い」と思うけど、その大瀧詠一さんをして上記のようなノベルティ・ソングの極意である。


なるほど。やっぱ笑えるもんてな不様じゃだめだ。こっかよくなきゃ三枚目は出来ない。逆に中途半端なナルシストはホントにカッコ悪い。


俺個人としてもクソ真面目でシリアスぶった音楽は嫌いで、カッコつけた世界観とか美意識で固められたような音楽はホントに身体に合わない。なにせトムとジェリーの音楽で目覚め、ビートルズで決まったような人間だから、音楽と笑いは不可分である。



俺には音楽によって人を笑わせるなんていうとてつもない才能なんてとても無いけれど、自分の作る音楽には必ずある種の「笑い」の要素というか、諧謔性は入れるようにしている。というかもうそれは生理的反射みたいなもんだ。

音楽に没入してるとつい周りが見えなくなってシリアスだったりナルシスティックになりそうになる。でもそんな自分に対して、俯瞰してツッコミを入れるような「もう一人の自分」がないと正気を保っていられなくなるのだ。つうか恥ずかしいのだ。



もちろんそんな「照れ」だけで音楽をやってると何が言いたいのか分からないし、開き直って何かを言い切らないといけない局面は必ずあるんだけど、でも「テメェがそんな偉そうなこと言えるヤツかよ」っていうもう一人の自分を常に飼い慣らしていないと落ち着けない性分なのだ。



だからワイセッツでライブやったり音源を作ってるときも、必ずシリアスに行き過ぎないように、訳の分からない部分というか真面目な自分を腰砕けにさせるような諧謔性を入れるようにしてきた。時にはメンバーに「こんな無駄なの入れても意味ないじゃん」と反対されても頑なに自分の意見を通して入れた。



ただ今振り返ると、それらはちゃんと凡百の学生ノリの悪ふざけ的な笑いと明確に差別化出来てたか?と言われたら「う〜ん、どうでしょう?」と長嶋茂雄の物まねをしなくてはならなくなる。内輪受け、自己満足レベルで終わっていて、表現として成立してなかったかもと思うところもある。



やはり渡部沙智子さんのように、あるいは大瀧詠一さんの言うようにそれには圧倒的な表現力、技術が無ければ駄目だ。もっともっと練習しなければ。今夜スタジオ入ろ。



つうわけでしつこく告知。


2013年9月13日 fri.
イベント名:Rhythm and Business
@LIVEHOUSE 真昼の月夜の太陽
http://mahiru-yoru.com/
Open/Start 未定
Charge 2,000円
出演
ワイセッツ
コロバ・ミルク・バー
ヒゲとボイン
qusco


うちらは鶏で20時50分から。楽しめるようなライブにするので、是非是非きてほしいッス!
2013年09月04日02:59
カテゴリ
山下達郎さんが2002年に「レアリティーズ」という、シングルのみの新曲、既発シングルのカップリング曲、未発表セルフ・カヴァー、未発表洋楽カヴァーなどを集めたベスト・アルバムを発表したときに残したコメントを引用する。



「作り終えたものは過去のものだと、作り出した音楽を、まるで自己排泄のように語る、しかも得意気に言う人もいるじゃないですか。そういう人は、物を作るということに執着していなくて羨ましいですけど、だけど僕の場合はまったく逆で、自分の作品を買って聴いてくれる、第三者に対する表現行為だという意識を、強く持っているので、自分のカタログに対して、とても愛着と責任を感じているんです。自分の作品に執着するのは後ろ向きだ、などという人もいますが、大きなお世話でね。継続的に発売されているカタログというものは、経年変化が起こってしまい、どこかでリニューアルさせないと駄目なんですよね。それに今回の作品のように、シングル作品というのは廃盤になっていきますから、そのままにしてしまうと、世の中から消えてしまうことになる。そういったことへの問題提起と、皆さんに聴いていただくために、自分で必死に保全しているんですよ」



まったくもってその通りだと思う。達郎さんや大瀧詠一さんはリミックスやリマスターや蔵出し、それにともなう詳細な解説といった刷新作業をよくやっているけど、それは全然後ろ向きな印象ではなく、自分の音楽に対して、そしてそれを支持してくれるファンに対して誠実な姿勢だと常々思っていた。



考えてみりゃ俺の好きなアーティストは、そういった過去の自分の音源の更新や検証、あるいはブートレグなどでしか出回ってない未発表音源のアーカイヴ化に対して積極的な人が多い。



ジミー・ペイジは日本に来るたんびに西新宿に寄ってツェッペリンのブートレッグを(買わずに)ごっそりと持って帰って、それらを参考にツェッペリンの発掘音源の発表コンセプトに役立てている。


ロバート・フリップはゴマンと蔓延するクリムゾンのブートに怒りながらも、それを動機にアーカイブ・シリーズを沢山発表した。


フランク・ザッパはブートレッグで出回ってる自分のアルバムを、ジャケットまでまんまパクって正式リリースするというその名も「ビート・ザ・ブート(海賊盤をブチのめせ)」というシリーズをリリースしている。


「自分の過去の作品を分析するのは最も非生産的な行為だ」と豪語するプリンスも、折に触れて自分のアーカイブから掘り起こしてきてリリースしてるんだから、自分の音源に対する執着は相当なモノだろう。


なによりも!ブート業界最大の顧客であるビートルズの場合、ジョンは解散直後から自分たちのブートレッグ収集していたようだし、なんと親しい間柄のビートルズ・コレクターとビートルズの未発表テープを交換もしてたりする。ビートルズ未発表音源の蔓延の原因はお前か!
リンゴはビートルズのブートはもとよりビートルズ・グッズや本や写真なども集めていたという。
ポールはサザビーズのオークションでビートルズ関連の重要なものが出品されるたびに高額で競り落としていたし、なにより「僕は他人のコンサートは録音しちゃうんだ。でも、シー、誰にも言っちゃだめだよ」と発言していてブートレッガー気質も持っている。
ジョージはブートレッガーに対して嫌悪感を表しながらも、いくつかの秘蔵音源を持っていることをあかしたり、なによりビートルズの赤盤青盤の選曲をしたのはジョージだから、過去の音源の検証に関しては一家言ある。



で、それらを免罪符にするわけではあるんだけど、俺も自分の昔の音源を聴いたり纏めたりするのは結構好きだ。
それはノスタルジーとかでは全然なく、元々のブート好き、発掘音源好きに由来するフェチズムと言える。
納得して発表した過去の音源に関しては、その未熟さが気になって素直に聴くことが出来なかったりするけど、元より発表する気のない音源に関しては完成度は低い方が興味深いし、粗ければ粗いほどレア度は増す。俺のフェチ・メーターの針が激しく動く。
まあこれはバンドだからだろうけどね。俺個人のデモテープだとそこまでは思わないけど、他人の手が入った自分の作品だから、ある種客観的に、ある意味ではビートルズの海賊盤を聴くような感じで聴くことが出来るんだろうな。



というわけで色々音源をひっぱりだしてきて、メンバーに聴かせるためだけにワイセッツの「レアリティーズ」を編纂してみた。はは。



ワイセッツというのは割とレコーディングに積極的なバンドで、活動期間の割には発表した作品数は多い方だし、その裏にも自分達が聴くためだけのリハーサル音源や、新曲のアレンジの過程を記録した音源、プリプロ音源(正式レコーディングを目的とした仮録音)なんかは割と残っている。ましてやライヴ音源なんかはほぼ毎回録音してたんで膨大に残っている。


とにかく当時は新しい曲を作ってライブにかけて、それがいい感じに成長したらちゃんと録音するってのがバンドの生命維持活動だと思っていた。本当はそれだけではないんだけどさ。



まあ元々自分の資質としておんなじこと(曲)をずっと繰り返すのが苦手ってのもあったし、おまけに趣味は作曲と宅録っつうくらいのもんだったんで、とにかく曲をいっぱい作ってバンドに持って行ってた。


しかしワイセッツというのは作曲者にとってはなかなかプライドを挫かれるバンドで、10曲作っても2曲しか採用されないみたいな厳しい現場だったんで、報われることのないまま消えていく曲が死屍累々とあったわけで、それで落ち込んだり腹が立ったりもした。アルバム作るためにゃいったい何曲作りゃいいんだよ。


おまけに作った曲のうちのアッパーなやつやポップなやつばかりが採用されて、地味で暗い曲は排除されたり放置されることが多かった。


「そもそも人間てのは陰と陽が両方あってバランスがとれるわけで、一方だけをアピールするのは音楽に対して人間として誠実ではない」とかなんとかのたまってた俺は、そのアンバランスな状況が続くことによるストレスをためていた(今から考えれば彼らのポップ・フィルターがあったお陰で今でも再聴に耐えうる曲がたくさん残せたとも言える)。


まあそれでも周りには新曲が出来なくて動脈硬化を起こしてるようなバンドが結構いたので「それに比べりゃまだマシだろザマーミロ」と自分を奮い立たせながら曲を作っていた。あとまあホントのとこ言うと自分のヴォーカリストとしての技量の無さや、フロントマンとしての才能の欠如を、曲をいっぱい作ることによって補完していただけなんだが。



ま、そんな話は置いといて、とにかく今回の再編を期に、今となっては複雑な心境抜きにして聴ける香ばしい音源を選りすぐって編纂してみたので、メンバーの反応が知りたいもんだ。
たださ、それらは完成度の低いデモテープ状態のものだけでなく、過去のイベント用に作った無料配布用の音源だったり、一瞬で廃盤にしたシングルに入ってた音源だったり、プレゼン用に録音したものだったりと、一応人様が聴くことを前提とした音源も結構あるので、選曲し直して今度のライブの時に持って行ってみようかなぁ。単体で売るのもいいけど、アルバム買ってくれたらタダであげるとかね。まあそれは与太話として。



そんなワイセッツのライブ告知。しつこくやります。



2013年9月13日 fri.
イベント名:Rhythm and Business
@LIVEHOUSE 真昼の月夜の太陽
http://mahiru-yoru.com/
Open/Start 未定
Charge 2,000円
出演
ワイセッツ
コロバ・ミルク・バー
ヒゲとボイン
qusco
and more


うちらは鳥で、20:50からです。ブチカマースよ。
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