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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

すみだ水族館の納涼─金魚・花魁・幽霊

前回の続きです。幽霊画展を見た後は、スカイツリーの下にある「すみだ水族館」に行ってきました。今年は首都圏のいくつかの水族館が、クラゲブースを新しくしていて、「すみだ水族館」もシャーレのようなクラゲ水槽(クラゲを上から見られる)を新設したことで話題になっていました。クラゲ好きの家族も大喜び。

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(クラゲの天の川みたいです。色はさまざまに変わります)

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(六つ葉ちゃんもいました。水クラゲはおよそ四つ葉ちゃんです)

「すみだ水族館」は、「東京金魚プロジェクト」をやっていて、金魚もいます。その展示方法は、江戸情緒あふれる感じで、ステキでした。

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(上からつりさがっている金魚の紙風船がなんともいえないイイ味に)

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(タンチョウです。下の模様が波紋みたいに見えます。)

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(写真は撮り忘れましたが、「すみだ号」ありました。金魚の屋台です。)

金魚はうちにもいますが、もうすぐ我が家に来てから1年になります(→そのときのブログはこちら。http://blog.livedoor.jp/yuas2018/archives/20049167.html)
去年、「アートアクアリウム2019」を見に行ったときは、「金魚」と「花魁(おいらん)」がテーマになっていて、圧巻でした。今年も8/28から開催されますhttps://artaquarium.jp/。というか、常時見られる「アートアクアリウム美術館」として、今年8月から開館するようです。去年はものすごい混雑でしたが、いつでもゆっくり見られるようになるといいですね。こちらは、観賞魚としてのはかなさと艶やかさ、それが花魁と重ね合わされていますが、すみだ水族館の「江戸の庶民文化」「平和の象徴」というコンセプトも、親しみやすくてとても良かったです。

そういえば、花魁、いわゆる遊女(名前は勝浦)が幽霊になる話が、「壺菫」(「つぼすみれ」初期江戸読本怪談集の一篇)に出てきます。そしてその場面は、『源氏物語』夕顔巻で、夕顔がもののけにとり殺される場面とよく似ています。

やうやく内へいりて、おくへゆかんとするに、影のごとくなる女、火かげに見えてふと消えぬ。「まさしく勝浦が魂(たま)の来たりしならん」と思ふに、いとあさましく、まづお舟殿のきづかはしさに、走りよりて、「いかにいかに」と呼べど、息も絶えたり。かき抱きて呼べど、ただなよなよとしてかひなし。

女性の霊が女性にとりついて殺す、というパターンは、『源氏物語』夕顔巻が最初なのかもしれません。以下は夕顔巻。

......ただこの枕上に、夢に見えつる容貌したる女、面影に見えて、ふと消え失せぬ。
「昔の物語などにこそ、かかることは聞け」と、いとめづらかにむくつけけれど、まづ「この人いかになりぬるぞ」と思ほす心騒ぎに、身の上も知られ給はず、添ひ臥して「やや」とおどろかしたまへど、ただ冷えに冷え入りて、息は疾く絶え果てにけり。

この場面の前後も、表現の似ているところがあって、影響関係は明白。秋学期は、夕顔巻の演習で、いよいよもののけ登場場面を読んでいくことになりますが、楽しみですね。

最後に、冷えた空気を少しあたためるべく、家族が画いた金魚図です。

金魚の日常

上記のような金魚鉢、「すみだ水族館」の「金魚鉢ソーダ」を頼むともらえます。


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左が金魚鉢ソーダ。中に赤い金魚を模したゼリーが入っています。右は水クラゲゼリーです。美味でした。

ちなみに「すみだ水族館」は、入場制限をしており、整理券が必要です。行かれる際は、ご注意ください。

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