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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

カテゴリ: 習俗

急に涼しくなりました。秋というより、そのまま冬になってしまいそうな気配です。

さて、先週は、授業で、丸善ギャラリー(4F)で行われている「へびをかぶったお姫さま」の展示を見に行きました。その時の様子はこんな感じ。

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(慶應義塾大学図書館の貴重書展示会です。さすが!どれもすばらしいコレクションでした)

「へびをかぶったお姫さま」って何?と思いますが、実際は「虫歌合」の屏風絵内の一人物。江戸時代は、蛇や蛙も「虫」の仲間とされていました。

最初は、虫たちが庭先に集まってきます。
集合!
(上記、虫嫌いでない方は、拡大してご覧ください)

その後、人間の姿に変身?
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(それぞれ歌を詠み合っていきます。「歌合」(うたあわせ)ですから、左右で勝負するわけです)


みんな頭に載せている(どれも自分ですが)虫たちがとてもリアルで、面白いです。
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(右から「けむし」「くつはむし」......と続きます。「みみず」もいますよ〜)

ほかにも擬人化した虫の絵巻がありましたが、それ以外にも『竹取物語絵巻』や『百人一首』カルタ、天狗や鬼の絵巻などもありました。10月10日まで(16時終了)の展示ですが、無料ですし、近くまで行かれるようでしたら、ぜひお立ち寄りください。

楽しいですよ〜。

それともう一つ、弥生美術館の「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり展」(〜12月24日)にも行ってきました。「銘仙」(めいせん)とは、大正から昭和にかけて流行ったカジュアル着物です。

銘仙のはじまりは、1800年前後の江戸後期にさかのぼり、養蚕農家の織子がくず糸を使用して自らが着用するものを織りはじめ、その着心地の良さと軽さ、安さが受けて庶民に広まったそうです(くわしくは→HP「きものと」へ)

とにかく、見ていて楽しい着物の展示で、私も「あと20年若かったら挑戦するのに〜!」と思いました。
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(入口付近はこんな感じ。1Fです)

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(柄が大きくて、華やか。洋服にも負けてません)

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(2Fの着物はもっとビビット。モダンな幾何学模様です)

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(左はワンちゃん、右は王冠やウエストミンスター寺院が描かれていてイギリス調の柄)

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(見てびっくりのバレリーナ柄。なぜ逆さまなんでしょうね?)

竹久夢二美術館も見てきましたが、最近はじまった朝ドラ(「ブギウギ」)にもマッチ?こんな展示内容でした。
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(楽譜表紙絵の世界。この先に朝ドラ主人公のモデル・笠置シヅ子の歌うレコードもありました)

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(もちろん、おなじみの美人画も見られます)

↑当日は、着物を着ていきました。今、キモノ沼にはまっている私。次はこちらに行く予定↓。

美人画
着物で行くと、入場料が100円割引されるそうです。会期はあともう少し、急がないと!

みなさんも、秋の楽しい展示の数々、内容、盛沢山なので、ぜひ行ってみてくださいね。


前回は、ホテル到着までのお話しでしたが、今回はそのホテルから、観光地へ繰り出します。ローマの後は、シエナ、サンジミニャーノ、フィレンツェ、ベローナ、ヴェネツィア、など、多くの街をめぐってから、最後にミラノに行きつきます。

でも、雑画は、ローマの最初の方で終了します(汗)。
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(新婚カップルたちもよく見ると疲れ気味......。)

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(ここでは、本当に、よく眠れました)

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(20年前のお話しですので、今は、変わっている可能性が大いにあります)

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(こちらも、たまたまこのウエイターの方だけがそうだったのかもしれませんが、なんとなく印象に残りました)
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(この二人は、同じ大学でも、文系(私)と理系(友人)です。)

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(「小森のおばちゃま」......今の若い子は知らないでしょうねえ。ガイドさんは、上品かつ、パワフルな感じの方でした)

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(ここは、もう映画の中にいるような荘厳な空間でした。現実感0。)

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(はい。これらは、実際に撮影した写真をもとに画いています。そしてここで雑画は終了です)

建造物の違いはともかく、同じ車や信号はあっても、使う人が違うとこんなに変わるのか、と実感したのがローマでした。一方で、イタリアにおいて、古い建物や景観を大事にする姿勢は、日本とは比較にならないと思いました。

たとえば、修繕中の建物には、その建物の絵が描かれた幕がかけられているのを目にしました。日本なら、建築会社の名前が書かれた無機質な白や青のビニールで覆われておしまいですが、その辺り、芸術や歴史に対する細やかな気遣いが感じられました。

日本では、伊勢神宮の遷宮のように、新しく建て直すことを良しとする習慣がある気がしますが、そこは、木造建築と石造建築の違いなのかもしれません。地震が多く、湿気も強い日本の風土に合うのは、やはり木造でしょうか。

次は、写真に変わりますが、もう少し、イタリアの旅、続きます。




4月も下旬に入りました。はじめの頃は、まだ余裕がありましたが、徐々に主任業務と授業準備に追われ、気づくとあっという間にこの時期に。今月の私は、たまごに心を奪われつつ、天狗にお目にかかり、気合を入れなおしてもらいました(天狗の話はまた次回)。

最初のたまごは、イースター(キリストの復活祭)エッグ。今年は4月4日でしたが、「復活」にあやかって生命力の源である「たまご」がこのお祭りのシンボルとなっています。このたまごを隠して探す遊びも有名ですね。我が家では、家族が写真のような折り紙を作ってくれたので、これを家の中に隠して見つける、という遊びをしました。なかなか楽しかったです。

うさぎ入りたまご?
(うさぎもイースターの象徴。子だくさんなことから豊穣の意を表します)

日本では、『日本書紀』神代巻冒頭文にある、天地が分かれず混沌とした状態を「鶏の子(たまご)のごとし(ようである)」と表現しているのが思い出されます。漢籍にも同じ表現があるので、漢字文化圏共通の認識かもしれませんが、世界の混沌をドロッとした質感で表しつつ、始まりのパワーを「たまご」に見出していたのでしょう。

また平安時代では、『伊勢物語』五十段に「鳥の子を十ずつ十は重ぬとも思はぬ人を思ふものかは」という歌が詠まれています。「たまごを十個一つにしてさらに十個(計100個!)重ねるような難しいことがあり得たとしても、自分を思ってくれない人を愛しく思うことがあるでしょうか」という意味です。

この歌を受けて『蜻蛉日記』では、作者が糸で雁のたまごを十個つなげたものに、卯の花(ウツギの花)をつけて贈り物をします。この行為の意図は、「このようにたまごを十個重ねられるのですから、思ってくれない人を思うことも私はできます」となります。ちなみに当時、たまごは食さなかったので、この十個のたまごがその後どうなったのか、少し気になりますね。
たまごとうのはな
(イメージ画像。たまごは、生絹(すずし)の糸でつなげたそうです)

また、話は変わって、今月は「ゆるキャンしろさんかく」(ゆるいキャンプの略)という漫画になぜか家族そろってはまりました(自粛生活で自然が恋しいから?)。そこに出てきた山梨名物「温玉揚げ」(温泉たまごを揚げたもの)を家で作ってみました。

温玉揚げ
(外はカリッ、中はとろっの温玉揚げ。衣は少な目ですが美味しかったです)

『枕草子』では、「あてなるもの」(高貴で優美なもの)に「かりのこ」(雁のたまご)が挙げられています。たまごは、その白くてつるっとした形も含めて、昔から人々の想像力をかきたてていたようです。面白いですね。





気づくとはや2月。緊急事態宣言も延長しさてどうなる?と思っていましたが、入試は滞りなく始まりました。

去年と違うのは、監督者が「フェイスシールド」をつけていること(つけるとやや息苦しい)、学生の座る席が前方何列か空いていること、主任監督の諸注意説明が長くなったこと、以上がまず私が気づいた点です。

そして裏側(試験本部、監督者待機場所)も、当然のことながら、いろいろ変わっています(以下お伝えできる範囲で)。アルコール消毒の設置はもちろんのこと、試験合間の待機中、自由に座れた椅子が指定席に。そしてそこに必要なグッズが既に置いてありました。配布場所の密を避ける、また知り合い同士、隣に座っておしゃべりしないような配慮でしょうか。

室内にあった給茶機は、青空の下に(寒い)。しかもコーヒーがなくなっていました。同僚の先生によると「コーヒーは砂糖とか、ミルクとか、共用部分が増えるからでは?」というお話で、なるほどと思いました。

そして、昼食時、一人一人、仕切られたブースが用意されていて、個室ラーメン屋のようでした。つまり、会話しながら食べられない形です。対策、徹底しています。

受験生はただでさえ緊張するのに、さらにこのような状況下で本当にしんどい思いをしているでしょうから、私たちもこの変化に頑張って対応しないといけませんね。

さてさて、今年の節分は2月2日でした。平安時代、宮中では、大晦日に「追儺」(ついな)と称して、鬼祓い行事を行なっていました。ここで祓われる鬼にはもちろん「疫鬼」(疫病を起こす鬼)も含まれています。今年は念入りにやる必要があったわけですね。

そこで、私が好きな「鬼祓い」関連の歌を一首ご紹介。

としごとに人はやらへど目に見えぬ心の鬼は行く方もなし(賀茂保憲女集、130)

追儺の鬼は追い払うことができるけれど、目に見えない心の鬼はどこにも追いやれない、という意味の歌です。

昨今、「自粛・自粛」で「心」に「鬼」を飼ってしまいがちな私たちですが、こんな時こそ、お互い思いやりをもって過ごしたいものですね。

そして「鬼」といえば、恒例の「鬼滅イラスト」。今日は美しい「鬼」を。
珠世さま
(悲しく、そして美しい鬼といえば、やはり珠世さま!御年19歳なんだそうです)

「鬼滅の刃」ファンブック第二弾も大人気のようで、家族も熟読していました。
まだまだ人気は続きそうですね。


1月も今週で終わろうとしています。再びの緊急事態宣言。最後に予定した対面授業はことごとくオンラインへ変更。それに伴う準備と、卒業論文の受け取り(初めての電子データでの提出)、期末レポートの課題準備などなど、我が身をすり減らす仕事のオンパレードで、なかなか更新できませんでした。

24日(日)は、私も所属する明治大学古代学研究所の国際シンポジウム「交響する古代xi」が開かれました。初のオンライン開催。私は後半の司会を担当しましたが、会場でやるよりむしろ緊張しました。

発表者には韓国と中国の先生もお迎えし、参加者は百数十名、アジア色豊かなメンバーとなり(時間帯的に欧米の参加者は難しかったですが)、活発な意見も出て、なかなか充実した会となりました。

オンラインでの会議による打ち合わせは行なわれていましたが、全員が直接集まれない中、当日、大きな不具合なく、スムーズに進行できたのは、ひとえに裏方のみなさんの準備のたまものだと思いました。ありがたいことです。

次に、勤務先の広報誌「Meiji net.」の連載コラムでインタビューに答えた記事が1/14に掲載されましたので、ご報告します。

時代を映す作品から、幅広い視点を身につけよう | 連載コラム - Meiji.net(メイジネット)明治大学

「ビジネスに役立つ研究のヒントを」と求められての回答ですが、「アニメ」の話をしたのは、インタビュアの方によると、これまでで私が初めてだそうです(汗)。

国際日本学部の先生にインタビューをしたら、ご専門の先生もいらっしゃるので、「アニメ」の話、ありそうですけどねえ。

まあ、それはさておき、古典とアニメって、結構、結びついているものが多いです(ナルトとか)。

やはり千年以上愛されている作品は、くり返し何らかの形でリバイバルされていますので、もう遺伝子のレベルで好まれる「物語」になっているのかもしれません。

「鬼」の話もしかり。有名な鬼退治は「酒呑童子」(しゅてんどうじ)でしょうか。この話もまた別の機会にしたいと思いますが、最近、私のゼミの院生が「平安文学の病について」発表したことで、とある病の原因が童子の姿をした「鬼」だと考えられていたことを知りました。

このコロナ禍の中、「鬼滅〜」が大ブームになったのは、きちんと理由がありそうですね。深層心理で、「鬼」(コロナ?)を滅したい!と思った方が多かったのかもしれません。
蛇柱と恋柱
(家族が画いた「鬼滅の刃」の登場人物。「伊黒さん」は、同じ文学部のとある先生の「推し」です。ちなみに私は「善逸」。家族は「伊之助」推し)

それでは、もう校正(お願いして締め切りを延ばしていただいた)に戻らねばなりません。

今月、もう1回は更新できますように......。


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