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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

カテゴリ: 紫式部

3月も最終日となりました。今年度の卒業式はこんな感じ。
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あと+3名で全員集合。去年は雨で大変でしたが、今年は晴れて良かったです。

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こーんな感じで、みなさんと写真をたくさん撮りました。

今年は新海誠監督のアニメーション映画「君の名は」と古典作品の「とりかへばや」を「異性とりかえ」の観点から比較考察した卒業論文を書いた学生がいました。「君の名は」は他人同士で、男女の心が入れ替わり、「とりかへばや」は男女のきょうだいで外見をとりかえており、一口に「異性とりかえ」物語といっても、方向性が正反対の作品で、比較もなかなか大変そうでした。でも、今後このような比較を試みる論文は増えそうな気がします(枕草子のアニメーション映画もひかえていますしね)。 私はこの学生の卒論のために初めて新海監督の作品を視聴したのですが、最近、同監督の「すずめの戸締り」も見てみました。

物語は「天の岩戸」を髣髴とさせるような名前の主人公「岩戸すずめ」が禍(地震)をおさえていた要石(かなめいし)を抜いてしまったことに端を発し、禍がたびたび出てくるようになった扉を日本各地で閉めていくのですが、そこに見慣れた景色が登場しました。「JR御茶ノ水駅」です。そして遠景には我が勤め先が!
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わかりますか?左には、禍を起こすミミズが描かれています。








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はい。先ほどの画像、右上の部分を拡大すると......ドーム状の屋根と「〇〇大学」の文字。間違いありません。

もし「すずめの戸締り」を見ることがあれば、どうぞ上記の画像も探してみてください。

また、研究室では修了する院生を囲んで、ひとしきり話に花を咲かせました。楽しいひと時でした。

最後に、タイトル回収。「光る君へ」でより盛り上がった紫式部コラボグッズ。大津編です。
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左、しば漬け、右、ドリップコーヒーです。左は「紫」つながり?右は目が冴えて勉強がはかどりそう。みなさんもぜひ、探してみてください。





急に朝晩涼しくなってきました。ようやく秋めいてきた感じです。

さて、先月、京都からの大阪行き、帰りはしっかり台風に見舞われました。
その際、京都で何をしたのか書きませんでしたので、遅まきながら書いておきたいと
思います。

まず、行ったのが雲林院。
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『源氏物語』賢木巻では、父院の死後、后の藤壺に言い寄って拒まれた光源氏が籠る寺として出てきます。また『大鏡』では、この寺の菩提講に集まった人々の間で歴史語りが始まります。今では、一部を残すのみですが、この辺りがモデルねえ〜、と楽しむことができます。
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(表の門のあたりはこんな感じ。通りから一礼して行く地元の方も見かけました)
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(説明が書いてある木札を撮影。拡大すると読めます)
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(こちらは「源氏物語ゆかりの地」として説明。二人の墓についても言及。)

その後、歩いて、例のお墓へ。
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なんと、紫式部のお墓(左)です。小野篁のお墓(右)も横に建てられています。
後世の人が建てたものですが、中世以降、紫式部は「狂言綺語の罪」で地獄に
堕ちたと言われていましたから、説話では「冥土の官人」も務めていたという
篁に救ってもらうべく、隣同士に建てたのでしょうね。

実は、ここを訪れたのは約20年ぶり。20年前は、ムラサキシキブもいまほど
生い茂ってはいませんでした。
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(およそ20年前。手にはムラサキシキブをつかんでいます。)

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(現在の様子。ムラサキシキブが繁茂しています)

いや、20年前のわたし、若いね。今回も自分を入れて撮りましたけど、
とても載せられません(笑)。

この後、金閣寺の方が近いのに、なぜか銀閣寺に行き、庭に生えるたくさんの
きのこに大興奮する家族とともに、京都駅へ向かいました。

駅では、こんな感じのプロジェクションマッピングが投影されていました。
思わず足を止め、時間がたつのも忘れて見入ってしまいました(音量注意)。

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(竹?)
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(禅?)
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(おこしやす)

しばらくこの後も京都の風景や名物が続いていきます。楽しいでしょ?

ちなみに私にとって、この駅は、何度訪れても映画「ガメラ3」(1999年)の
聖地です。
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(ここでガメラとイリスが向かい合って戦います。当時はまだ新しくなって
間もない京都駅がガラガラと崩れていきました)

今では、自分が主人公の少女と同じ歳くらいの子(親子そろってガメラ好き)を
連れて訪れ、歌舞伎座では、その少女がすっかり中村屋のおかみさんになって
いることに(この前見かけた)、時の流れを感じます。

当時の私は、髪の毛をちょっと緑にして映画を見に行ったな〜(一人で。イタイ客だ)。
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(その京都駅構内にあった昭和ガメラシリーズのポスターガチャポン。
平成版では、ギャオスの変異体がイリスという設定でした)

そろそろ授業が始まりますねえ。みなさんは、どんな夏休みを過ごしたのでしょう。





先週の土曜日、「紫式部がみた越前」の講演会、無事に終わりました。講演自体は、作家・歴史家の加来先生と、同じく作家・福井県歴史活用コーディネーターの後藤先生がお話しくださり、その後、ディスカッション形式で、私と書家の根本先生が加わりました。

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講演会終わりに撮影。左からパネル藤原道長、後藤先生、私、加来先生、パネル紫式部、になります。(根本先生は次のご用事のために、ここにはおられず残念)

加来先生の紫式部にまつわる幅広い知見からのお話しの後、後藤先生による紫式部の越前行きで得られた物語を生み出すポイント(敦賀の海、越前の紙)についてお話しがあり、その後、休憩をはさんでのディスカッションでした。

私は少し体調不良もあったのですが、何とか講演をまとめて根本先生へつなごう、と思っていたら、いささか考えていたより時間オーバー。でも、そこはさすが根本先生。話を上手にまとめてくださり、双方にご質問される形でスムーズに進行できました。

私は「越前の紙」つながりの気持ちで、『紫式部日記』の御冊子つくりの記事(紫式部が料紙を選んでいる)と『源氏物語』梅枝巻に描かれる、入内する明石姫君のための書物準備の資料を出しました。やはりこれらの資料を見るかぎり、紫式部の紙や仮名へのこだわりは、他作品とは比べ物にならないと感じます。

根本先生からは、平安時代中期の「継紙」や「仮名の書」(多様性があった)についての見解や、大河ドラマにおける書の演技指導や監督とのやりとりなど、楽しくお話しをうかがいました。

やはり、ドラマ(娯楽物)にするためには、どうしてもフィクションを取り入れざるをえないので、そこが難しいところですね。

大河ドラマ、前回も前々回もそうですが、姫君たちの居並んでいる姿が外から丸見え、とか、紫式部が自ら進み出てきて琵琶を弾く、とか、違和感がないといえば嘘になります。ただ、やはりわかりやすさは大事ですし、「『源氏物語』の内容を知っている人にだけわかる演出」というのもあり、そこは「漢籍読みにはより深く味わえる『源氏物語』」に似ていて、面白いドラマになっています。

さらに前回は、ドラマオリジナル要素である「道兼と父・兼家との秘密」というのが効いていました。

もちろん、ドラマのオリキャラである「直秀」の正体も見どころですが、ジブリ映画の「かぐや姫の物語」の「捨丸」と言い、やはりどうしても最近の作品には、視聴者が感情移入できる等身大の人物(貴族ではない)が必要なようです。まあ、二人の男の間で揺れる(?)紫式部、というのも、意外で楽しいですが。

さて、最後に、今月、西日本新聞2月17日の朝刊に、私も取材を受けた記事が掲載されましたのでお知らせします。
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(主に実在した肥後の豪族・菊池氏が『源氏物語』大夫監のモデルの可能性について書かれています。私は当時の西国への興味が玉鬘の流離の物語につながった可能性について話しています)

私は福岡県出身なので、地元紙の取材は嬉しかったです。全国的に『源氏物語』と「紫式部」、ますます盛り上がることを期待しています!ぜひ、みなさま越前へ〜(そしてかの地から西国の地の友人に思いを馳せる紫式部ですから、その後はぜひ筑紫にも足をお運びください)。


*福井県と明治大学のアカデミーコラボ企画は、大学の創立者の一人・矢代操の出身地であることが由来です。


入試の日々が始まりました。受験生の皆さん、がんばって!

さて、今回はお知らせです。私はパネルディスカッションの司会を務めます。

【対面】紫式部がみた越前【福井県連携講座】
【特別企画(オープン講座)/日本の文化・歴史/その他/】
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講座趣旨

若き紫式部が都を離れ、越前国に暮らしたことで出逢った人々や越前和紙をはじめとした工芸品や食文化など、越前国での様々な驚きや経験が紫式部を豊かに成長させ、源氏物語という大作を生み出す原動力になったのではないかという視点で講演とパネルディスカッションにより深堀します。

【第一部】講演会
1「紫式部の生涯」(加来耕三氏)
2「紫式部がみた越前」(後藤ひろみ氏)
【第二部】パネルディスカッション「紫式部の作品世界と越前の文化」(根本知氏、湯淺、後藤氏)

期間2024年2月24日
回数1回
曜日土
時間13:00〜15:00
定員480名
参加費0円 ←無料です!

しかく会場: 駿河台キャンパス アカデミーコモン3階 アカデミーホール

しかく入場開始: 12:15〜(予定)

しかく申込締切日:2月21日(水)
https://academy.meiji.jp/course/detail/6603/←申し込みはこちら

上記メンバーは、こちらの書籍
平安人物伝 紫式部|コミック版 日本の歴史|伝記|本を探す|ポプラ社 (poplar.co.jp)の原作を担当されています。特に紫式部が越前に行く部分、詳しく書かれていて面白いです。

またパネラーの一人、根本知氏は、大河ドラマ「光る君へ」の題字を書かれている書家の方です。俳優さんたちへ、演技指導もされているとか。どのようなお話しが聞けるのか、楽しみですね。

今回、参加費は無料!ということですので、ご都合よければ、ぜひいらしてください。



1月も残すところあと3日。12月とはまた違った早さがありますね。毎年のルーティーン、卒論審査、修論審査に加え、今年は博論審査もありますので、ちょっと目が回るような忙しさです。

そのような中、およそ10日前に、こちらの書籍が発売されました。
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講談社学習まんが『紫式部』 監修:わたくし 漫画:池沢理美先生、です。
https://amzn.asia/d/91yiMZJ ←(お値段などはこちらでご確認ください)

「紫式部」を主人公とする大河ドラマは、本日第4回目を迎えましたが、なかなか面白い展開になっています。ドラマを見た友人は「どこまでがフィクションで、どこからがホントなのかわからない」と言っていましたが、上記を読むと、およそそれがわかります!

ドラマでは、最初、父・母・紫式部・弟、の4人家族で出てきますが、実際は紫式部の
家集(和歌集)から、加えて「早くに亡くなった姉」のいることがわかっています。

紫式部の母親も、早世していると言われますが、それにしてもドラマの母親の亡くなり方は衝撃的でした。またそのことが、紫式部と道長の間柄を複雑にするようですが、この母の死の原因も含め、紫式部と道長が幼いころから知り合いだったという設定も、史実では確認できません。

しかしながら、『紫式部日記』の記述より、紫式部は「道長の愛人」という説がありますので、
ドラマはそのあたりを視野に話を作っているようです。
(そう思われる日記中のエピソードについても学習まんがに書いてあります)

ちなみに脚本家の大石静さんは「『源氏物語』は出てこない」と話されていましたが、
紫式部の経験が物語に反映される、という体なのか、似た場面が出てきます。

たとえば、子供時代の紫式部が鳥を飼っている(若紫巻で幼い紫の上が飼っていた雀に逃げられて
しまう)、紫式部がこっそり歌の代作屋をしている(その中に夕顔巻で光源氏が詠んだ歌がある)、男性貴族たちが文を見せつつ女性について論じあう(帚木巻の雨夜の品定)、紫式部自身が舞姫をつとめる(少女巻で光源氏の息・夕霧が舞姫を見初める)といったように、毎回、物語を髣髴とさせるシーンがあります。

このような物語の一場面を意識したドラマのシーンは、およそフィクションです。
ただ紫式部は、日記の中で「五節の舞姫は気の毒」といったようなことを書いており、ドラマ
では作者自身「五節」の経験があるために、そのような感情を持っていると説明しているのでしょう。面白いですね。

また平安時代の遊びや文化が出てくるのも印象的で、前回は「偏つぎ」、今回は「双六」と呼ばれる遊びが出てきました。
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上記、風俗博物館で以前撮影したものです。詳しくは下記のURLから博物館サイトにとんでご確認ください。
平安時代の遊び・貴族の生活・風俗博物館〜よみがえる源氏物語の世界〜 (iz2.or.jp)

今後も、ドラマの展開には目が離せませんが、そのお供として「学習まんが『紫式部』」いかがでしょうか?

上記の本には、最後、おまけの頁(エピローグ)として、「紫式部が現代の大学の授業に潜り込む」といった場面が描かれています。そこで教壇に立っている先生、すこーし私に似ています。ぜひ探してみてください。
(大学で学生に紹介したら、大笑いしてくれました)


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