かぐや姫のバレエ
明日は大晦日。今年も世間的には落ち着かない一年でしたが、そのような中でも展示や舞台を見に行けたのは、良かったです。
実は、先月はじめに、竹取物語をテーマにしたバレエを見てきました。全三幕のうち、第一幕の上演でした。竹取物語の世界をバレエで描くとこのようになるのか、と納得。
DSC_0330
(上野の東京文化会館にて。東京バレエ団の公演でした)
以下、かいつまんで感想を書きます。
全体的には、ジブリ映画「かぐや姫の物語」に近い解釈の竹取物語でした。映画に出てきた「捨丸兄ちゃん」同様、かぐや姫の初恋の人(?)・「道児」(山村の孤児で童たちの兄貴分)が登場します。
原作では、翁・嫗・姫+5人の求婚者+帝が主な登場人物です。バレエでは、嫗はすでにこの世を去っていて、一人さみしく山で竹を取る翁が、かぐや姫を見つける流れになっています。
そして、かぐや姫は、三か月どころか、三分(?)くらいで急成長します(ここはシルエットで表現)。
また、翁は、踊らないのですが、その代わり「緑の精」と呼ばれる竹の妖精が、群舞します。この竹の妖精たちの踊りが一つの見ものでした。
かぐや姫は、緑の着物を来た愛らしい少女として、道児とパドドゥを踊ります。月光の中、ドビュッシーの曲が流れ、幻想的な感じでした。
もう一つ、印象に残ったのは、竹取の翁がかぐや姫を見つけた後、竹から黄金を見つけるところ、黄金だけではなく、美しい衣が竹からとび出してきます。
切った竹から
(あくまでイメージ画像ですが、このように衣が竹の中から飛び出してきました)
この衣の表現も、やはり、ジブリ映画における印象的な衣の表現(かぐや姫が宴会を抜け出し、十二単の衣を次々と朱雀大路に脱ぎ捨てて山に帰ろうとする)を思わせるところがありました。
バレエの「衣」は、かぐや姫本来の姿を翁に悟らせる意味があるように感じました。その衣を身につけて、実際、山から都へ出立するかぐや姫一行が描かれます。その時、一緒に家庭教師の女性がついていきますが、この家庭教師という存在も、映画オリジナルのものです。
ただ、翁が親しくパドドゥを踊る二人をこっそり覗き、都行きを決意したと思われる部分は、万葉集では、九人の乙女と贈答する男性としての「竹取の翁」のイメージを髣髴とさせました。
第二幕以降の上演は、来年以降になるようですが、続きが楽しみです。全三幕通してみると、また印象が変わってくるかもしれません。
最後に、九月に見られなかった、幻の映画の一部をご紹介。
[フレーム]
(円谷監督が残していた映画「かぐや姫」。9月に国立映画アーカイブで限定上映していたのですが、チケットが取れず、見に行けませんでした。詳しくはこちら→竹取物語関連の催し )
バレエの方は、見られてよかったです。
それでは、みなさま、良いお年をお迎えください。
実は、先月はじめに、竹取物語をテーマにしたバレエを見てきました。全三幕のうち、第一幕の上演でした。竹取物語の世界をバレエで描くとこのようになるのか、と納得。
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(上野の東京文化会館にて。東京バレエ団の公演でした)
以下、かいつまんで感想を書きます。
全体的には、ジブリ映画「かぐや姫の物語」に近い解釈の竹取物語でした。映画に出てきた「捨丸兄ちゃん」同様、かぐや姫の初恋の人(?)・「道児」(山村の孤児で童たちの兄貴分)が登場します。
原作では、翁・嫗・姫+5人の求婚者+帝が主な登場人物です。バレエでは、嫗はすでにこの世を去っていて、一人さみしく山で竹を取る翁が、かぐや姫を見つける流れになっています。
そして、かぐや姫は、三か月どころか、三分(?)くらいで急成長します(ここはシルエットで表現)。
また、翁は、踊らないのですが、その代わり「緑の精」と呼ばれる竹の妖精が、群舞します。この竹の妖精たちの踊りが一つの見ものでした。
かぐや姫は、緑の着物を来た愛らしい少女として、道児とパドドゥを踊ります。月光の中、ドビュッシーの曲が流れ、幻想的な感じでした。
もう一つ、印象に残ったのは、竹取の翁がかぐや姫を見つけた後、竹から黄金を見つけるところ、黄金だけではなく、美しい衣が竹からとび出してきます。
切った竹から
(あくまでイメージ画像ですが、このように衣が竹の中から飛び出してきました)
この衣の表現も、やはり、ジブリ映画における印象的な衣の表現(かぐや姫が宴会を抜け出し、十二単の衣を次々と朱雀大路に脱ぎ捨てて山に帰ろうとする)を思わせるところがありました。
バレエの「衣」は、かぐや姫本来の姿を翁に悟らせる意味があるように感じました。その衣を身につけて、実際、山から都へ出立するかぐや姫一行が描かれます。その時、一緒に家庭教師の女性がついていきますが、この家庭教師という存在も、映画オリジナルのものです。
ただ、翁が親しくパドドゥを踊る二人をこっそり覗き、都行きを決意したと思われる部分は、万葉集では、九人の乙女と贈答する男性としての「竹取の翁」のイメージを髣髴とさせました。
第二幕以降の上演は、来年以降になるようですが、続きが楽しみです。全三幕通してみると、また印象が変わってくるかもしれません。
最後に、九月に見られなかった、幻の映画の一部をご紹介。
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(円谷監督が残していた映画「かぐや姫」。9月に国立映画アーカイブで限定上映していたのですが、チケットが取れず、見に行けませんでした。詳しくはこちら→竹取物語関連の催し )
バレエの方は、見られてよかったです。
それでは、みなさま、良いお年をお迎えください。