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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

2024年06月

暑いような涼しいようなはっきりしない天気が続いています。関東もようやく梅雨入りしたようですが、こうも寒暖差があると体調を整えるのが難しいです。

さて、昨年、歌舞伎座の幕見席が復活してから1年がたちました。
(幕見席復活!のブログはこちら→「六月大歌舞伎」)

着物を月4回着る!と志し、歌舞伎座に足を運び、「推し」をみつけて後援会にも入ってしまい、と、次々に「沼」っている今日この頃。また幕見席が復活してからは、「学生と鑑賞したい」と長いこと思っていましたが、ようやくそれが実現しました。

大学院の授業で、江戸時代の有職故実家・土肥経平著「深山桜」(岡山から兵庫・有馬温泉をめざす紀行文)を読んでいますが、ちょうど須磨寺のところで、経平が「義経のこしかけ松」や「弁慶の鐘」などを見るくだりが出てきました。さらに経平が寺の僧に尋ねたところ、一の谷の合戦時、「源義経」を先導した「鷲尾」が住んだあたり、などという言葉も出てきたのですが、先日、6月大歌舞伎の昼の部「義経千本桜─時鳥花有里」の演目を見ていたら、この義経と鷲尾三郎が登場しました。

鷲尾三郎は今をときめく「市川染五郎」さん(大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では頼朝の姫君の婚約者・源義高役で人気)が演じており、最初の義経のこれまでの戦いぶりを再現する舞踊が素敵でした。その後は、神様や神女の化身たちが登場して舞踊するのですが、傀儡子役(正体は龍田明神)の種之助さんの仮面を素早くつけかえての舞踊がまた本当に見ごたえありました(新春浅草歌舞伎の「流星」を思わせる)。もちろん白拍子たち(実は神女)の舞もしっとりと優美で、中でも「推し」(米吉丈)をオペラグラスで凝視したのは言うまでもありません。
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(初めての板タブで描きました。左・白拍子、右・神女の米吉丈です)

ああ、これはちょうど授業で読んでいたテキストに出てきた人物。学生たちと歌舞伎座にくる良い機会だと思いました。ただ、ちょっとしたコロナ流行もあって、参加できたのは2名でしたが、わたしは日を改めてもう1度、見に来ることができました。

昼の部最初の演目「上州土産百両首」(明治期に作られた新作歌舞伎。江戸を生きる、幼馴染の元スリ2人の感動物語)から見ました。中村獅童丈、尾上菊之助丈、の名コンビも相まって、最後は客席のあちこちからすすり泣きが聞こえました(私の隣の学生も感涙したそう)。

最初は随所にコメディ風なところがあるのですが、なんとも言えない2人のすれ違い、それでも互いを思いやる最後にぐっときます(後半に親分役で登場する歌六丈も舞台を引き締める)。

今回は2演目の鑑賞でしたが、歌舞伎座初体験の学生から「来てよかった〜」と言ってもらえて、私もうれしかったです。また機会があれば、今度はもっと大人数で来たいですね。

それから、国立劇場!入札がうまくいっていないようですが、かならず建設してください。私は学生時代、この国立劇場に、先生方と多くの伝統芸能を見に行きました。学生料金の設定があって、当時、とてもありがたかったです。

それでは、これで春学期の授業も残り1ヶ月、フルチャージできたので、がんばります!



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