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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

菅原伝授手習鑑

9月も気づけば最終日。すこ〜し朝晩涼しくなったような気もしますが、
まだまだ日中は暑いですね。

先月の浴衣の柄の答えは、米吉丈が「安青錦」(あおにしき・ウクライナ出身、
安治川部屋)、奥様が「 尊富士」(たけるふじ・青森県出身、伊勢ヶ濱部屋)の
柄でした。歌舞伎界と相撲界、深いつながりがあるようです。
米吉丈が安青錦の浴衣への思い入れについて、色々語られていたような......
(すみません。撮影に夢中できちんと聞けていませんでした)。

さて、今月は、先月「声かぶ」で予習した「菅原伝授手習鑑」
(すがわらでんじゅてならいかがみ)を歌舞伎座で見てきました。

AプロとBプロに分かれていて、演じる役者さんが違っているので、推しが
両方に出る場合、両方見ないとなりません!

中村米吉丈は、斎世親王と刈屋姫の2役をA・Bでつとめていたので、両方
見てきましたが、幕見で見られたので助かりました。
(夜の部は、しっかり1等席で見ましたが)

それにしても、にざ様(仁左衛門)人気はすごいですね〜。
片岡仁左衛門丈が出る幕だけが、秒で完売していました。

今回、珍しい「菅原伝授手習鑑」の通し上演ということで、期待していきましたが、
ふだんあまり見ることのできない「道明寺」「賀の祝」がとても面白かったです。

「菅原〜」の名の通り、このお芝居は、平安時代に起こった、菅原道真(845-903)
の大宰府左遷事件(昌泰の変・901年)、が元になっています。

当時、文人官僚ながら、異例の出世を遂げた右大臣・菅原道真が、娘婿であり、
今上帝(醍醐天皇)の弟である斎世(ときよ)親王への譲位を企んでいると藤原時平からの
讒言を受け、大宰府に左遷される事件です。

歌舞伎では、まず、序幕となる「加茂堤」──斎世親王と刈屋姫(道真養女)の逢引場面から
始まり、次いで、「筆法伝授」(菅丞相がかつての家来に書の秘法を授ける)、「道明寺」(道真公
が一族の出身地である土師の里の邸におり、そこから大宰府へ出立する)へと進んで、
昼の部は終わります。

菅丞相(菅原道真)、斎世親王、刈屋姫(実際は実子・菅原寧子)、は、実在した人物ですが、
歌舞伎中で活躍するのは、時平、道真、斎世親王、にそれぞれ仕える三兄弟、松王丸、梅王丸、
桜丸、です。彼らの主人が敵対関係になることで、それぞれ兄弟の仲も悪くなり、運命の明暗
が分かれていきます。

夜の部に最初に上演された「車引」は、まさにこの三兄弟が主役で、最後は悪役・藤原
時平が登場して幕切れします(この「車引」はたびたび上演されます)。

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「秀山祭九月大歌舞伎」筋書(パンフレット)より。三兄弟は、
それぞれ「梅・松・桜」の柄の着物を着ています。

後半の話は、また次回行いますが、それにしても、「道明寺」における松本幸四郎丈演じる
菅丞相(道真公)の姿が印象的でした。ほとんど動きはないのですが、威厳があって
すでに「御霊」のようでした。

「道明寺」では、夫に殺されてしまう刈屋姫の姉の話も印象的で、最後に犯人を告げるダイイング
メッセージを残しているところが面白かったです。

仁左衛門丈の演技がすごいと話題になっていた「筆法伝授」は、幸四郎丈の菅丞相で見たの
ですが、ちょっとうとうとしてしまいました(前日寝不足で)。

来月は、いよいよ「義経千本桜」の通し狂言です。もう少し早めにレポートしたいと思います。



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