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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

2023年09月

9月も最終日になりました。新年まで残り三か月。明日から10月だっていうのに、
この暑さは何なんでしょうね?衣替えがなかなか進みません。

授業の方は、少しずつ、秋学期の発表順が決まってきました。駿河台校舎(3・4年)の演習では、皆で秋の展覧会を満喫する予定です。

まずは東京国立博物館の「やまと絵展」https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2580
「受け継がれる王朝の美」の副題が魅力的です。こちらは12月3日まで見られます。

またその前に、大学院の授業では、丸善丸の内本店ギャラリーの「第35回慶應義塾図書館貴重書展示会 へびをかぶったお姫さま〜奈良絵本・絵巻の中の異類・異形〜」を見に行きます。この展示、ポスターにかなりのインパクトが!



会期は、2023年10月4日(水)〜10月10日(火)(9:00〜21:00(最終日は16:00閉場)
丸善・丸の内本店 4FギャラリーA<入場無料>)と、ちょっと短め。

でも、慶應義塾大学文学部教授 石川 透先生による、ギャラリートーク(入場無料)もありますので(10月6日(金)18:00〜、10月8日(日)14:00〜)、興味のある方はぜひご参加ください。

さて、なかなか本題に入れませんが、今月は、歌舞伎座に2回、国立劇場に1回、行ってきました。歌舞伎座は、雪姫の2役(児太郎さんと米吉さん)を見るために、また国立劇場は、いよいよ来月いっぱいで閉まるということで、「妹背山女庭訓」を今月と来月、通しでやると知り、急遽、見に行きました。

舞台は、春日大社で、若い男女が出会うところから始まります(以下、この段、ネタバレです)。二人は実は敵同士のお家柄。まさにロミオとジュリエットの展開になります。それも、決定的に二人の恋を阻むのは、妹山・背山の間に流れる「吉野川」と、なぜか「蘇我入鹿」ということで、江戸時代なのか、古代なのか、よくわからない設定ですが、それでも最後、互いを思いやりつつ、親の手にかかって二人は亡くなってしまいます。双方の親が、悩みに悩んで決断し、それがすれ違う(互いに「せめて子が思う相手は救おう」と思うのが裏目に出る)のが、なんとも泣けるお話でした。

またヒロイン雛鳥(中村梅枝さん)とその母・定高(中村時蔵さん)が本当に親子、また雛鳥と相思相愛の久我之助(中村萬太郎さん)が兄弟という不思議。先日の歌舞伎座も、雪姫(米吉さん)の敵が実父の中村歌六さんで、米吉さん自身、雪姫が足で踏みつけられるところは、「児太郎くん(二役)の時より父は本気でふみつけているはず!」のようにお話しされていました。

歌舞伎の面白さは、上記のような配役の楽しさもありますね。

来月は「妹背山女庭訓」後半の舞台があります(チケット入手済)。本当に、改装前の最後の国立劇場です。こちらも楽しい舞台になりますように。

最後に、国立劇場の写真をご紹介。
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(1階正面入ったところ。ちょっとピンボケですみません)

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(3階は絵が飾ってあります。後方にはこれまでの舞台ポスターの展示がありました)

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(3階から、下まで見通せます。それぞれ人の動きが見えて面白いです)


さてさて、「着物沼」からの「歌舞伎沼」、最近、本当にはまっています。

授業でもたまに着ていますので、びっくりしないでね〜。








先日「歌舞伎座新開場十周年 秀山祭九月大歌舞伎 二世中村吉右衛門三回忌追善」の昼の部を見てきました。

昼の部の演目はこんな感じ。
秀山祭九月大歌舞伎

米吉さんと児太郎さんが演じる「金閣寺」の雪姫Wキャストが「見たい!」というのと、平安時代の武将、源頼光が退治する「土蜘蛛」を楽しみに、行ってきました。

「金閣寺」の雪姫役は、歌舞伎で「三姫」と言われる一つで、かなりの難役なんだそうです。囚われの身からの敵討ち、しかも桜の木に縄で綱がれた状態で、足のつま先を使い、桜の花びらで絵を画くんです。それも「ねずみの絵」。
雪姫
(米吉さん、児太郎さん、もっと綺麗です。あくまで「雪姫」のイメージ図ということで)

このねずみが実体化して、縛っていた縄を切ってくれる、という超常現象が起こります。7月に見た「傾城反魂香」のように、絵師の力が絵に作用するお話しです。当時の人は、想像力豊か!

「土蜘蛛」の方も、松本幸四郎さんの「土蜘蛛」がとてもかっこよかったです。「もののけ」の雰囲気というか、「人ならざるもの」の感じがとてもよく出ていました。何度も放たれる「蜘蛛の糸」、また周囲の人たちの掛け合いもとても楽しく、見ていてわかりやすい内容でした。能と同じく、初心者におすすめの演目ですね。

さて、この帰り、サントリー美術館の「虫めづる日本の人々」(〜9/18)を見てきました。
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ポスターの絵は若冲です。ちょっと漫画風で楽しいでしょ?もちろん、写実的な絵や工芸品もありました。館内は秋の虫の音が流れていて、とても雰囲気があります。


また『源氏物語』の屏風絵もありました。確かに「胡蝶」「蛍」といった、虫の名前を冠する巻もありますし、「松虫」(今の鈴虫)を庭に放して野の宮を再現する話もありますので、「なるほど」と思いました。

秋学期に3年生の演習で読む『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」の写本もありました。この時代、蜂をめでる大臣(藤原宗輔)の話もありますが、今の日本の「ヲタク」や「推し」に通じる感性を感じます。「好きなものをとことん貫く人たち」、虫の方は、どう思っていたのかな?なんて。

サントリー美術館は、六本木の東京ミッドタウンにありますが、結局、翌日も家族と2回目の来館。翌日は同場所でやっている「恐竜科学博2023」(〜9/12)の方がメインでしたが、どちらも楽しい展示でした。

よかったら、行ってみてください。



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