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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

カテゴリ: 美術

11月も最終日。今月は大学祭に始まって、気づけば、あっという間に過ぎ去ってしまいました。

先月は、大学院の授業と学部の演習と、2回も慶應義塾ミュージアム・コモンズのお世話になりました。
「嵯峨本の誘惑・豪華活字本にみた夢」
×ばつ飯沼観音圓福寺嵯峨本の誘惑:豪華活字本にみた夢 | 慶應義塾ミュージアム・コモンズ

展示は終わっております(ごめんなさい)。もう少し早くお知らせしたかった......。

特に、嵯峨本(初期古活字本)といえば『伊勢物語』。見目麗しい版本であるのはもちろんのこと、くずし字の活字であるだけでもすごいのに、わざと一部字を変えて、写本に近づけるような当時のこだわりもよくわかりました。*後で写真載せます。

なんといっても、今年は在原業平生誕1200年の年(あと1ヶ月で終わりますが)!

とにかくあと1週間はあるこちらの展示を見に行きましょう。

開催中|根津美術館 「伊勢物語 美術が映す王朝の恋とうた」
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表参道の根津美術館で、12月7日(日)まで特別展を実施中です。


なんとか、ギリギリ更新、間に合いました(23:55)。

来月もどうぞよろしくお願いします。
(あれ「べらぼう」はどこいった?)




六月に入りました。五月は急に寒くなる日もあって、体の調子もイマイチでしたが、ようやく
夏めいた暑い日も出てきました。わたしは暑い日の方が得意です。

さて、前回の答えです。御簾の外に猫がいるのは、『源氏物語』若菜下巻の女三の宮の姿が見えて
しまう場面。すでに女三の宮の着物の裾は外に出てしまっています。そもそも高貴な姫君が
こんなに端近くにいなければ、猫がとびだして御簾がめくれてしまっても、明るい外から
室内は見えなかったはず。女三の宮は、若い人たちが外で蹴鞠をする様子を見ていたのでは?と
言われる所以です。

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女三の宮を猫のイメージで作るとこんな感じに。展示作品の中には、売り物もありましたが、
この作品はいち早く売れていました。


2枚目、3枚目の猫写真は、『枕草子』「上にさぶらふ御猫は」の章段に登場する猫で、一条天皇に可愛がられていました。その猫の産養が行われている場面(『小右記』に記述あり)。盃があって、お菓子があって、
たくさんの猫がいました。

そして、最後は、『更級日記』より、亡くなった大納言の姫君が猫として出てきたという夢の
話がなされます。当時、猫は犬と違って高貴なイメージがありました。

ちなみに舶来の黒猫(唐猫)を宇多天皇が可愛がっていたのは有名な話。
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本当に生きているみたい。

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黒猫ぞろぞろ。


平安文学の猫の部屋はここまで。つづいて、同展の猫パロディアートを紹介します。
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すべて有名な映画のポスター。みなさん、おわかりになりますか?


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ここまでくると、「うまい!」と膝をたたきたくなります。


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ただ個人的にはこれとか。(「スターウォーズ、帝国の逆襲」のパロディ)

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こちらが好みです。(「犬神家の一族」のパロディ。役者さんの名前まで手が込んでます)


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ゴ〇ラと違って巨大化していてもかわいいので怖くありません。化け猫シリーズ??

以上、展示のほんの一部をご紹介しました。猫は、昔から人とともにあり、さまざまな想像力を
かきたててきたことを実感しました。

展示期間は残り1週間ほど(6月15日(日)まで)。ぜひ見に行ってみてください。







寒い日と暑い日の気温差が大きい今日この頃。なかなか毛布がしまえません。
床暖房を入れてしまう日もあって、五月下旬には珍しい気候のように思います。

それでも、日中は比較的気持ちのいい日が多い五月。

今月は、複数の授業で博物館見学に行きました。

大学院生の平安ゼミでは「目黒雅叙園の百階段」、

大学3年生の演習では「東京国立博物館の常設展」、

昨日は「市ヶ谷の森 本と活字館」(史学の学生もいる大学院生の授業)

に行ってきました。

東京国立博物館の常設展は、大学がキャンパスメンバーズに入っているので、学生証を見せれば、
無料で見学できます。博物館は広いので、見るところはたくさん!
まだ行っていない人はぜひ一度行ってみてください(今回は、藤原行成の自筆の手紙が印象に
残りました)。

それから、平安文学の演習で、院生と行った目黒雅叙園の展示は、以下のようなテーマでした。

「時を旅する福ねこ at 百段階段
〜平安、江戸、大正、昭和、そして現代へ〜
期間:2025年3月20日(木・祝)〜6月15日(日)
(注記)休館日:5月7日(水)(展示替のため)」

「百段階段」とは通称で、ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたり、1935(昭和10)年に建てられた当館で現存する唯一の木造建築です。食事を愉しみ、晴れやかな宴が行われた7部屋を、99段の長い階段廊下が繋いでいます。階段は厚さ約5cmのケヤキ板を使用。階段で結ばれた各部屋はそれぞれ趣向が異なり、各部屋の天井や欄間には、当時屈指の著名な画家達が創り上げた美の世界が描かれています。」

「"昭和の竜宮城"と呼ばれた当時の目黒雅叙園の建物の特徴は、装飾の破格な豪華さにあります。最近の研究によると、その豪華な装飾は桃山風、更には日光東照宮の系列、あるいは歌舞伎などに見られる江戸文化に属するものとも言え、なかでも「百段階段」はその装飾の美しさから見ても、伝統的な美意識の最高到達点を示すものとされています。2009(平成21)年3月、東京都の有形文化財に指定されました。」

以上、ホテル雅叙園東京のHPより、百段階段の説明でした。最近は、江戸文化にもどっぷりハマっているので、それも楽しみでしたし、平安時代は、「ねこ」の登場する平安文学の場面が複数再現されている、ということで、こちらも大変楽しみに行ってきました。

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まずはこんな招き猫がお出迎えしてくれます。

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百階段はこんな感じです。

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階段の途中の室内は、様々な意匠が凝らされています。

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そして、平安文学がテーマの部屋は、内装も王朝風でした。

そして、......

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さて、これはどの作品の一場面でしょう。つづいて、こちら。

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なんだか猫がたくさんいて、宴会でもしているよう。

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アップにするとこんな感じ。まるで本物みたいな猫たちです。

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これはちょっとむずかしいかもしれません。


答え合わせは次回ということで。お楽しみに!



新しい年になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、いま、東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館で、「平安文学、いとをかし」展が行われています。今月13日(月・祝)で終わってしまうので、ぜひまだご覧になられていない方は行ってみてください。

私は、年明け最初の大学院の授業時に、院生さんたちと行ってきました。でも、その前に研究室でちょっと催し。


和菓子でお茶会
中世の三条西家のように『源氏物語』初音巻を皆で輪読し、神保町の「さゝま」で買った和菓子をいただきながらお茶会。

この後は......
くずし字百人一首大会
じゃじゃ〜ん。皆でくずし字の札をとりあう百人一首大会を行いました。なかなか白熱!

その後、千代田線で移動し、新お茶の水駅から2駅、二重橋前駅でおりて徒歩3分。

入口前
着きました!静嘉堂文庫美術館です。チケットを買って入るとこのような感じ。天井が高くて広いロビーです。

入口
入口です。展示品は「曜変天目茶碗」以外はすべて撮影OKでした。

天下の孤本
一見、地味ですが、平安中期の歌物語『平中物語』の写本は、この1本しか世の中にありません。超〜貴重な写本が展示されていました。しかも鎌倉時代の写しで古いのです。

駒競行幸絵巻
修復後、初公開された駒競(こまくらべ)行幸絵巻。鎌倉時代に画かれたものが色鮮やかでびっくりしました。他にも美しい絵巻がいくつも展示されています。

奥の部屋
奥の部屋はこんな感じです。掛け軸の絵は、今回初公開だった紫式部像。

ちいかわ?
資料タイトルの上に書かれた赤字(キャッチコピー?)に、思わずクスっとしてしまいます。

みおつくし
せきや
と思えば、迫力の国宝。俵屋宗達による源氏物語関屋澪標図屏風です。

嫁入り道具
将軍家の嫁入り道具といえば......源氏物語54帖の写本。箱も豪華!

美しい料紙1
平安時代の国宝・和漢朗詠抄 太田切。料紙の美しさが際立ちます。

美しい料紙2
展示の最後の方にあり、とても印象に残りました。

集合写真(影絵)
最後は、皆で集合して記念写真を撮って終了。たいへん充実した展示で、院生の方々も大いに楽しめたようです。

また近くで展示があれば、皆さんで訪れたいですね。


10月も最終日となりました。今月はとにかく、美術展と観劇に行きまくった1ヶ月(最後に水族館。学会もありましたが、入試で行けず。録画で見ます)

さて、ご紹介〜。


今月は、すでに弥生美術館と丸善ギャラリーに行ったことを書きましたが、さらに院生たちと出光美術館にも行きました。
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(入口の様子。残念ながらかなりピンボケ)
2023年9月16日(土)〜10月22日(日)「江戸時代の美術—「軽み」の誕生」

こちらの展示では以下のようなコンセプトのもと、『源氏物語』の屏風絵も展示されていました。

「狩野探幽(1602 - 74)は、後水尾天皇に対して「絵はつまりたるがわろき」と語ったといいます。つまり、画面にすべてを描きつくすのはよくなく、ゆとりや隙を感じさせるようにするべきだ、と。このような価値観は、絵画の領域だけに当てはまるものではなく、軽みを追求した蕉風俳諧の理論などとも通いあいながら、江戸時代を広く覆ったものでした。」

平日の人少なな時間帯でしたので、ゆったりとした空間で、ぜいたくに大きな絵を楽しむことができました。途中から芭蕉ら俳人の絵になったのは「軽み」とのかかわりだったのか、とあとから理解しました(汗)。


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(美術館から見える皇居のお濠)

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(帰りにみなさんでいただいた「一保堂茶舗」喫茶室 嘉木 のお抹茶と和菓子。自分が溶けそうになりました)

さてさてお次はこちら!
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(特別展「やまと絵 https://yamatoe2023.jp
2023年10月11日(水)〜12月3日(日)/東京国立博物館 平成館(上野公園))

上野で行われている「やまと絵展」は学部の3年生と4年生の演習で行きました。すべて国宝の四大絵巻(源氏物語絵巻・鳥獣戯画・伴大納言絵詞・信貴山縁起絵巻)ほか、石山切に平家納経、三十六歌仙絵に病草紙、百鬼夜行図に年中行事絵巻、道長の自筆の『御堂関白記』、もういろいろありすぎて書けませんが、とにかく、教科書に載っているような有名どころがごっそり集まっています。

特に期待はしていなかったのですが「似絵」の三枚(あの有名な源頼朝像も)が大きくて圧巻でした。絵巻はアニメーションの走りですし、漫画のキャラクターのような絵と、写実的な絵、どちらも魅力満載でした。展示替えがあるので、会期中にもう1回くらい行くかもしれません。

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(浮世絵で有名な太田記念美術館。着物で行くと100円引きに)
「美人画 麗しきキモノ」2023年9月1日(金)〜10月22日(日)

それほど広くない美術館ですが、原宿にあってなんとなく感度の高い展示にいつも出会えます。今回も、着物の豊かさ、奥深さ、堪能できました。江戸の風物や季節感を表す絵から、近代の和洋ミックスのおしゃれが楽しまれる絵など、美人画ならではの楽しみがありました。

次は観劇!
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(おなじみの歌舞伎座。今回は昼の部のみ鑑賞。とにかくガマ好きなわたし)

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(歌舞伎座タワーの地下、木挽町にあるカフェでいただけます。隈取パウダーが粋です)

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(上野の東京文化会館にて。「かぐや姫」のバレエを見ました)

このバレエ、3年前に一部だけ見ていましたが、その後、すっかり忘れていて、演習の学生がたまたまこのバレエのことを話しているのを聞き(それが前日)、あわててチケットをとって行きました。なかなか良い席で、今回は三部通しの完成版が見られました。一部も3年前よりかなり洗練された舞台になっており、イメージは「スターウォーズ」(いや本当に)。近未来のかぐや姫、という印象でした。

あとは、本当に「さよなら国立劇場」(妹背山女庭訓・後半)と「えのしま水族館」(ウルトラセブン&水辺の怪獣コラボ)があるのですが、今日の日にちなんでこれだけ先にお見せします。

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(ハロウィンとそれっぽい魚たちのコーナー)

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(墓場のようですが、そこに光る魚が!)

ほかにも「お化け」っぽい、ハロウィン仕様の水槽がたくさんあって、楽しめました。この続きはまた来月になりますが、もう少し、おつきあいくださいませ。





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