[フレーム]

koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

2018年12月

ついに今年最後の日を迎えました!ブログをはじめて半年。目標の更新数には全く届きませんでしたが、ここまで続けられたことをうれしく思います。古典芸能カテゴリー内のブログランキングも、励みになりました。読んでくださった方々にもお礼申し上げます。

今年の論文では「心の鬼」の語と格闘していました。

年ごとに人はやらへど目に見えぬ心の鬼はゆくかたもなし(賀茂保憲女集より)

平安時代、宮中では鬼の面をつけた人を皆で追い払う鬼儺(ついな)の行事が大晦日に行われていました(これが後の節分になります)。上記の歌はそれにちなんだもので、追儺の鬼と違って目に見えない「心の鬼」は払えず心にとどまりつづけると歌われています。

気持ちの上では新年を迎えるにあたって両方追い払いたいものですね。

さて、大晦日だというのにまだ年賀状を書いている私。
KIMG0484
一年を振り返る至福の時間になっていますので、失礼を承知で遅れても書きます。ご了承下さい。

今年の振り返りの一つ。こちら。
line_1544348133888
家族のクリスマス会のために用意した罰ゲーム用のセリフ。なかには今年に限らない言葉もありますが、皆さんいくつご存じでしょうか?

来年も皆さんにとって良い年になりますように。(4年生は卒論ガンバレー!)

先日、ゼミの学生と東京国立博物館に行ってきました。『源氏物語』を読んでいるゼミなので、明日まで展示されている「京都御所 飛香舎(藤壺)の調度」を見るため。鏡台、火取、二階厨子、脇息、など、江戸時代の復古調のもので、平安時代の寝殿造の室礼がうかがえます。

博物館全体は、工事中で、常設展も1階の途中までしか見られないのですが、学生は一つ一つじっくりと丁寧に見ていました。その中で、特に「面白かった!」と評判だったのが、刀剣の展示。ここには刀剣だけではなく鐔、小道具類も展示されていて、その中のこちら(記憶で画いたので実物とはちょっと違うかも)が不思議と学生をひきつけたようです。
刀のツバ
(刀の鐔【つば】の部分に模様が描かれています。それぞれどれだかわかりますか?)

12月4日(火)からは、十二支や富士、鶴など、新年を迎える展示期間に合わせた意匠の作品を展示している、とありましたが、こちらもおめでたい柄なんでしょうか。斧(よき)琴( こと)菊( きく)であれば「犬神家の一族」ですが......。

特に「箏の琴」サークルの学生が、興味深く見入っていました。最後に、みんなでこの景色をバックに写真を撮りました(その前の週に大学院生と行った時も撮れば良かった!)。
KIMG0412-EFFECTS
(水面に紅葉の木々が映って幻想的な風景でした)

刀剣類の展示は、2月中旬までやっているようです。興味のある方はぜひどうぞ。

*更新後に、奇しくも今晩「犬神家の一族」のスペシャルドラマがあることを知りました。クリスマス・イブに斬新な企画ですね〜。



今年も残りわずか1週間ほどになりました。いろいろな事がありましたね〜(遠い目)。とにかく今月、印象的だったのはクジ引きです。
クジ
(これはわたしがとあるクリスマス会のために作ったクジ。後日、演習発表の順番決めでも
使いました!)

くじ引きってドキドキしますよね。子供も大人も関係なしだと思います。本当に今月はクジに笑い、クジに考えさせられた1ヶ月でした(運命とは真に平等なのか否か......)。

さてさて、そろそろ標題の話題に。

大学院の授業で『春湊浪話』を読んでいますが、その中で取り上げられたのが「手纏(たまき)」の謎。この随筆の作者である土肥経平は、往古と中昔で「手纏(たまき)」の意味が異なる、と述べていました。

日本紀の手纏と、西宮記の手纏と、同名にして異物なり。西宮記の手纏は上に注す(=小手)。日本紀の手纏は、往古の手の飾りなり。其世には手に勾金を入て、是に鈴を付て手纏といふ。足の飾も同じくて、是をば脚帯(あゆひ)といふ。古事記に宮人のあゆひの小鈴とよみ、万葉集に君が足結をぬらす露原とよめる、みな此ことなり。女も又玉をもて手足を飾る。是を手玉足玉といふ。日本紀に所々見へたり(ママ)。往古と中昔と今と其名を同くして異物あり。又名を異にして一物あり。夫もよく弁ぜざれば、古き書を見て惑ふ事多かるべし。


「西宮記」は平安中期の儀式書ですが、そこに出てくる「手纏」は、武具とともに出てくるため、「小手」と同義。ところが上代に作られた『日本書紀』『古事記』『万葉集』などに出てくる「手纏」は、「手の飾り」だと経平は言うのです。発表者がたくさん資料を挙げてくれました。すると、これらの例には、「手の飾り」だけではないような例もたくさん出ていて、小手や数珠と見られるものも。

『日本書紀』仁徳天皇五十五年条では、蝦夷に敗れた田道という人物の「手纏」が遺品として妻に与えられていました。この「手纏」は「小手」のようです。

さらに『古事記』において、黄泉の国から帰ってきたイザナギがみそぎをする際、最後に投げ捨てるのが左右の「手纏」。これは「飾り」(腕輪)というより、道中動きやすくするためのものにも思えます。こんな感じ(風俗博物館HP参照)。
イザナギ?
(初めて神様画きました。記述によれば、杖を持っています。)


もちろん飾りと思われる「手纏」の例もありますが、上代は、手に巻くものを広く指しているようでした。私の最近のイメージは、これですね。
光る腕輪
(クリスマス会でみんなに配られて大いに盛り上がりました!)

私も腕輪好きですが、気分によって石を変えるとまた楽しいものです。数珠であれば、魔除けなど、宗教的な意味もあるのかな。以上、はるか古代からつづく「手纏」(たまき)の話でした。



今年も残りひと月を切りました。今日は卒業論文ゼミの最終発表日でしたが、「あと一か月で書けるかな」と焦りだす学生が出てくるのがこの時期。また「卒業前に旅行を!」という学生もいます(今年は奇しくも前者と後者が一致している。大丈夫か!?)。
そんな中、ゼミの学生が上海のディズニーランドに行ってきたということで、皆にお土産をくれました。
1543833912404
チョコレート

(不思議なチョコレート。食べると口の中がシュワシュワしました。炭酸入りなの?)

上海のディズニーランドは、価格的には日本と変わらないそうですが、日本では長蛇の列になるアトラクションをほとんど並ばずに遊べるのだとか。広さも日本より少し広いそうです。行く価値あるかも。
ところで、ディズニーと言えば、ミッキーマウス、ねずみです!(すみません。なかばこじつけ)。
わたしが思いつく「子」(ね)といえば、正月子の日の行事です。平安時代、その年の最初の子の日に、小松を引き、若菜を摘んで、健康・長寿を祈念しました。風習自体は、奈良時代からあったようです。ただ平安時代では「子日宴」として宮中行事化しています(七日の「供若菜」(今の七草)とはまた別)
『源氏物語』には次のように出てきます。

今日は子の日なりけり。げに千年の春をかけて祝はむにことわりなる日なり。姫君の御方に渡り給へれば、童、下仕へなどお前の山の小松引き遊ぶ。(初音巻)

どのような様子だったのでしょうか。
子の日の小松引
こんな感じで女童(めのわらわ)が引いたのかな。風俗博物館の展示を参考にしてみました。

〈参考文献〉
山中裕『平安朝の年中行事』(塙書房)

このページのトップヘ

traq

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /