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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

2023年01月

寒い日が続いています。明日は東京も雪の予報です。寒さ対策万全でいきたいものです。

さて、1月は授業のまとめを行いました。1年生の基礎演習では、『伊勢物語』を輪読しました。そして、昨年と同じく「和歌の早詠み大会」を開催。

『伊勢物語』第九段では、東下りの道中が描かれており、主人公の男がともに旅をする友人たちから、かきつばたの名所で、「かきつばた」の五文字を句頭に据えて歌を詠め、と言われます(この歌の技法を「折句」と言います)。

そこで即興で男は歌を詠むのですが、この歌が技巧的かつ、人々の涙を誘う抒情性たっぷりで、素晴らしい歌なのです(→詳しくは昨年のブログ記事へ「授業の締めくくり1」)。

今年も、主人公になりきって皆さんに和歌を詠んでもらいました。お題は「まつのゆき」。

昨年は「うめのはな」でしたので、今年はまたちょっと題を変えてみました。そして紙も短冊から懐紙へ、筆記用具も筆ペンもしくは小筆をこちらで用意しました(本格的?)。
思い思いに
(筆ペンや小筆では、皆さんやや書きにくそうでしたが、昔の人はこれでスラスラ書いていたのでしょうね)

では、いくつか、印象に残った歌を紹介しますね。以下「勝手に秀歌選」。


真夜中に

月を眺めて

吞む酒は

夢の世界へ

君を誘う

月見酒
いかがでしょう? ロマンティックで素敵な歌ですね。思わず絵にしてしまいました。
つづきます。


マスク越し

辛い季節を

のりこえて

行かんとするは

希望の春か



世相や季節感がよく出ています。本当に、マスクなしの春、早く来て!


待ってくれ

次の電車に

乗りすごす

夢であってよ

今日はテスト日



こちらも切実な感じがよく出ています。ちなみに早詠み一番の歌でした♪(三分くらい?)


では、つづいて「勝手にもう一歩」で賞。


また会うと

伝えようとし

飲みこんだ

夢に見るほど

君が恋しい


恋する気持ちがあふれています。初句が「また会って」もしくは「また会える?」であれば、
間違いなく「秀歌選」に入っていました。惜しい!!

つづきます。

また来たと

冷たいこの手で

のれん押し

「ゆ」の字で膨らむ

期待感


全体的に「字余り」「字足らず」ですが、これから「温泉に入るぞ!」という嬉しさが伝わってきます。初句は「また来ては」結句は「期待は頂点」とすると、字も足りて、よりわかりやすい歌になるでしょうか。


他にも良い歌はたくさんありました。でも、やはり「句頭に決まった字を詠みこむ」という縛りがありましたので、思うように表現できない部分もあったかなと感じました。

自分で作ってみて、初めて「業平ってすごい」という感想も聞かれました。また一人で二首詠んでいた人も(そのうち一首の二句目は「月見バーガー」でした・笑)。

皆さんも、ぜひ、「ま(5文字)・つ(7文字)・の(5文字)・ゆ(7文字)・き(7文字)」で和歌詠みチャレンジしてみてください。



あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年は、月1の更新が定着しつつありましたが(汗)、今年はもう少しがんばります。

さて、現在、上野の東京都美術館では、源氏物語と江戸文化、美をつむぐ源氏物語(源氏物語と現代作家のコラボレーション作品の展示)が行われています(〜1/6まで)。あと2日で展示は終わってしまいますが、美しい展示の一部をご紹介します。

江戸文化の方は、以下の頁からどうぞ。
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玉田恭子「ふみのくら八雲""Yugiri"」2021年

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(ガラスアートの写本。くずし字の文字も美しかったです)

同「紫之にき」2019年

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(『紫式部日記』をイメージしている?)


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(ガラスでできた貝合わせ。いろとりどりで美しいです)


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(アップにするとこんな感じ。文字も美しいです)

日本画家・石踊達哉氏の作品もたくさん見ることができました。
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(石踊氏は、瀬戸内寂聴訳「源氏物語」の装丁を担当された方です)

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(薄暗い中、浮かび上がる素敵な作品の数々)

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(このあたりは、洋画との不思議コラボ。)

平安時代の衣装は、四季にちなんだ色とりどりの装束に、女性の長い黒髪がとても映えますね。衣にこぼれかかる髪が、水紋のようであったり、糸のようであったりして、魅了されました。

昨年の大河ドラマは、合戦物で盛り上がりましたが、再来年の大河ドラマは、紫式部が主役ということで、静かに世間でも盛り上がりつつあるのでしょうか。楽しみですね。


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