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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

和歌の早詠み大会

寒い日が続いています。明日は東京も雪の予報です。寒さ対策万全でいきたいものです。

さて、1月は授業のまとめを行いました。1年生の基礎演習では、『伊勢物語』を輪読しました。そして、昨年と同じく「和歌の早詠み大会」を開催。

『伊勢物語』第九段では、東下りの道中が描かれており、主人公の男がともに旅をする友人たちから、かきつばたの名所で、「かきつばた」の五文字を句頭に据えて歌を詠め、と言われます(この歌の技法を「折句」と言います)。

そこで即興で男は歌を詠むのですが、この歌が技巧的かつ、人々の涙を誘う抒情性たっぷりで、素晴らしい歌なのです(→詳しくは昨年のブログ記事へ「授業の締めくくり1」)。

今年も、主人公になりきって皆さんに和歌を詠んでもらいました。お題は「まつのゆき」。

昨年は「うめのはな」でしたので、今年はまたちょっと題を変えてみました。そして紙も短冊から懐紙へ、筆記用具も筆ペンもしくは小筆をこちらで用意しました(本格的?)。
思い思いに
(筆ペンや小筆では、皆さんやや書きにくそうでしたが、昔の人はこれでスラスラ書いていたのでしょうね)

では、いくつか、印象に残った歌を紹介しますね。以下「勝手に秀歌選」。


真夜中に

月を眺めて

吞む酒は

夢の世界へ

君を誘う

月見酒
いかがでしょう? ロマンティックで素敵な歌ですね。思わず絵にしてしまいました。
つづきます。


マスク越し

辛い季節を

のりこえて

行かんとするは

希望の春か



世相や季節感がよく出ています。本当に、マスクなしの春、早く来て!


待ってくれ

次の電車に

乗りすごす

夢であってよ

今日はテスト日



こちらも切実な感じがよく出ています。ちなみに早詠み一番の歌でした♪(三分くらい?)


では、つづいて「勝手にもう一歩」で賞。


また会うと

伝えようとし

飲みこんだ

夢に見るほど

君が恋しい


恋する気持ちがあふれています。初句が「また会って」もしくは「また会える?」であれば、
間違いなく「秀歌選」に入っていました。惜しい!!

つづきます。

また来たと

冷たいこの手で

のれん押し

「ゆ」の字で膨らむ

期待感


全体的に「字余り」「字足らず」ですが、これから「温泉に入るぞ!」という嬉しさが伝わってきます。初句は「また来ては」結句は「期待は頂点」とすると、字も足りて、よりわかりやすい歌になるでしょうか。


他にも良い歌はたくさんありました。でも、やはり「句頭に決まった字を詠みこむ」という縛りがありましたので、思うように表現できない部分もあったかなと感じました。

自分で作ってみて、初めて「業平ってすごい」という感想も聞かれました。また一人で二首詠んでいた人も(そのうち一首の二句目は「月見バーガー」でした・笑)。

皆さんも、ぜひ、「ま(5文字)・つ(7文字)・の(5文字)・ゆ(7文字)・き(7文字)」で和歌詠みチャレンジしてみてください。



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