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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

2018年11月

11月も終わりに近づいてきました。我が家ではもうクリスマスツリーが飾られています。このツリー、様々ないわれがありますが、ドイツの樹木信仰を発祥とする説などがあるようです。日本でも樹木が神の依り代になるとの考え方がありますね。また有名なのは、北欧神話に見える世界を支える樹(ユグドラシル)でしょうか。
クリスマスツリー
(我が家のツリーです。ちょっと飾りが多め。)

ツリーの木は、常緑樹ということになりますが、そういえば『枕草子』の「花の木ならぬは」では、多くの木々について触れている段があります。「木の花は」の部分では、「紅梅」が最初に挙げられ、次いで「桜」となりますが、花が咲かない木では「楓(落葉樹)・桂(常緑樹)・五葉(松)」がまず挙げられます。桂の葉は、賀茂祭でかずらとして使われます。また常緑樹では、「椎の木、常磐木はいづれもあるを、それしも葉がへせぬためしに言はれたるもをかし」とも。冬は命が枯れる季節、その中で葉を落とさず変わらない常緑樹の生命力にあやかろうとする人々の気持ちが窺えます(愛情の不変も常緑樹にかけてよく詠まれます)。 一方で、楓が紅葉する様子についても触れられていますが、折々の行事など、古来、人々の生活と木々がいかに密接な関係にあるかがよくわかります。

偽物の木でも、なんとなくあると癒やされるツリー。師走もすぐそこです。



最近、家族が忍者漫画にハマっています。その名も「ナルト」

naruto

今はテレビでナルトの息子・ボルトの話が放映されています。本編の人気で、続編(主人公の子や孫の世代の話)ができるのは、今に始まったことではありません。『源氏物語』がそうでした。

光源氏の生きていた時代を描く本編(41帖)に対し、続編(13帖)は、薫(光源氏の正妻・女三宮と柏木が密通して生まれた子)が主人公となります。しかも都の人気を二分する匂宮は源氏の孫で、「薫中将、匂兵部卿宮」と二人は並び称されます。
まるで光と影のような二人ですが、この二人と宇治の姫君たちとの恋を軸に、物語は紡がれます。

宇治十帖
(女君は大君を中心に中の君と浮舟。男君は薫と匂宮です)

『源氏物語』の作者は紫式部とされていますが、続編は娘である大弐の三位(だいにのさんみ)を作者とする説が古くからあります。現在の漫画やアニメでも、映画になると原作者と異なる人が脚本を書いたりしますよね。同じことが、古典でも想定されているわけです。ちなみに『栄花物語』も、本編は赤染衛門と言われていますが、続編は出羽の弁など、様々な作者説があります。

今、「ナルト」の続編「ボルト」の漫画は、「ナルト」の元アシスタントの方が絵を描き、脚本も原作者とは別の人が書いているそうです。確かに少し、絵が違っているような感じです。

それにしても、驚いたのは、「ナルト」のラスボスが「大筒木カグヤ」というかぐや姫をモチーフにしたものであったこと。確かに、かぐや姫は、物語でも地上の帝の言うことを聞かない(求婚を拒否した)人ですからね。そういえば、五人の貴公子をこっぴどく振っていた時点で「大盗人」(大悪人)と言われていました。納得。

あと「ナルト」には、技に「スサノオ」「アマテラス」「ツクヨミ」など、日本神話の神々の名前が出てきます。やはりどこか古来から親しまれてきた神の名前には、なんとなく人を納得させる力があるのかしら。ちなみに「ナルト」でも転生譚は健在。過去の因果(恨み・妬み)を断ち切って、いかに前向きに生きていけるか......。いつの時代も、それが「人」としてのテーマのようですね。

ただいま学園祭シーズン。勤務先も学祭中なので、今年も行ってきました。私はこの大学の卒業生ですが、昔はこの時期、おでん屋をやりましたね〜(20年以上前)。でも今はもっとおしゃれな屋台が増えてます。焼きそばや焼き鳥屋は昔と変わらずありますが、こんなものを売っているお店も。
パンケーキ
ハートをくりぬいたパンケーキ。左がはちみつ、右がチョコです。味もGOODでした。

古典の世界では今のようなお菓子らしいお菓子はでてきません。今でいうみかんに似た「柑子」(こうじ)などの「くだもの」が主でした。客人へのおもてなしとして供され、また具合が悪いときに「柑子すら食べられない」のように出てきます。

以下『篁物語』の一幕。
「(娘)ものも食はで、はなかうじ・橘をなむ、ねがひける。知らぬ程は、親求めて食はせ、兄、大學のあるじ(饗応)するに、「みな取らまほし」と思ひけれど、二三ばかり、たたみ紙に入れて、取らす。」

娘がものを食べられなくなったのは、実は密通の末の妊娠(初期)のためで、だからこそ「花柑子」「橘」など、酸っぱいものをほしがります。何も知らない親は求めて娘に与え、異母兄の篁(大學の学生で実は娘の相手)も、娘の求めるくだものを饗応として出されたものから、二三個、畳紙(懐紙)に包んで持ち帰っています。


さて、最後に、大学の公式キャラクターめいじろう。
めいじろう

この教室でミサンガを作ると一緒に写真がとれます。耳にきちんとミサンガしてるでしょ?


*(最後に)最近はイラストを画く時間がなかなかとれません〜。写真が多くてごめんなさい。

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