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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

2018年10月

先日家族がハロウィンイベントに参加。私も配るためのお菓子を用意しました。本人がどうしても「作る!」言うので、購入したものとは別に作ったのがこちら。
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カボチャ、魔女のぼうし、オバケなど、いかにも〜な形ですね。

今日は大学院の授業で『袋草紙』の資料を読みました。その中にこんな話が。

赤染衛門の姉妹は、中関白・藤原道隆を通わせていたのですが、そのうち捨てられてしまいます。けれど女は道隆を恋い、物思いにふけっていると、その人らしき男が現れます。

然る間、直衣の人寄り、香甚だしくて入り来れり。かの殿なり。女悦ぶ心有りて会合す。その後夜々来れり。ただし暁夕車馬の音なし。長き緒をもって針に着け、直衣の袖に着く。朝、この緒南庭の樹上に留まりて、その後来ることなし。これ魅(ばけもの)の所為か。

女は道隆が訪れたと思って喜びますが、音もなくやって来ることを不審に感じてか、男の着物に針で糸をつけます(三輪山神話に似てます)。その糸をたどると宮中の南庭の木の上にたどり着いたとか。男は人間ではなかったわけです。

人の姿をしているのが一番怖いと言いますが、オバケより生きてる人の方がもっと怖いかも〜。
仮装の子たちは可愛かったですよ!

先日、家族で横浜までドライブしました。途中で見えた大きな富士山が新幹線の車窓から見るのとはまた違った迫力で印象的でした。
途中立ち寄ったパーキングエリアで食事。その名も「富士山カレー」
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私は食していませんが、おいしかったそうです。
そういえば、いま講義で『源氏物語』若紫巻を読んでいますが、次のようなくだりがあります。

......しりへの山に立ち出でて、京のかたを見給ふ。はるかに霞わたりて、よもの梢そこはかとなうけぶりわたれるほど、「絵にいとよくも似たるかな。かかる所に住む人、心に思ひ残すことはあらじかし」とのたまへば、「これはいとあさく侍り。人の国などに侍る海山のありさまなどを御覧ぜさせて侍らば、いかに御絵いみじうまさらせ給はむ。富士の山、なにがしの嶽」など語り聞こゆるもあり。

光源氏は瘧病の治療のため、お忍びで京を離れ、北山までやってきます。高徳の僧に加持祈祷してもらう合間、山から京の方を眺めます。初めて見下ろす都の景色をまるで「絵」のようだと賞賛する源氏ですが、供の人々は、「もっと面白い景色がある」と、富士の山やなにがしの嶽(浅間山だと言われています)の例を出します。これらは『伊勢物語』の「東下り」を彷彿とさせる景物ですが、主人公の「昔男」も、やはり富士山や浅間嶽を見て感動していました。千年以上も人々を感動させてきた富士山!やっぱりすごいですね。
車窓の富士山

先日、私の博士論文の副査をしていただいた日本史の先生の訃報を知らされました。数年前から体調がよくないのは存じ上げていましたが、まったく急なことで言葉もありません。
お元気な時に「最近「歴女」という言葉が流行っていて、戦国時代ブームですが、学生の反応などはいかがですか?」と先生におたずねしたら、私と同じような話をしたご家族の方に「ちょっとここに座りなさい」と言われて、長々お説教された(?)というエピソードを聞かせてくださいました。本当に真面目でお優しい先生でした。心からご冥福をお祈りいたします。
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先日『紫式部日記』寛弘六年正月の演習の授業で、本文からイメージできる女房像を画いてきてもらいました。
[画像:大納言の君]
上の絵は全部「大納言の君」です。本文は、下記の通り。

大納言の君は、いとささやかに、小さしといふべきかたなる人の、白ううつくしげに、つぶつぶとこえたるが、うはべはいとそびやかに、髪、たけに三寸ばかりあまりたる裾つき、髪ざしなどぞ、すべて似るものなくこまかにうつくしき。顔もいとらうらうしく、もてなしなど、らうたげになよびかなり。

大納言の君は、主人である彰子の母方(源氏)のいとこで、紫式部とも親しい小少将の君と姉妹です。「ささやか」「小さし」(小柄)、「白ううつくしげに、つぶつぶとこえたる」(色白で可愛らしくぽっちゃり)、でも「うはべはいとそびやかに」(背丈は高く)、「髪、たけに三寸(十センチ弱)ばかりあまりたる裾つき」など、しっかり容姿の特徴が記されています。みなさんの絵もなんとなくふくよかでかわいらしい感じのものが多いですね。

一方、「宣旨の君」はこちら。
[画像:宣旨の君]
宣旨の君は、宮の宣旨と呼ばれるように、兼明親王の孫で高貴な血筋の女房です。本文には「髪のすぢこまかにきよらにて」や「きはもなくあてなるさま」と、優美で気品がある様子で書かれています。どこかからすっと歩いてこられたりしたら「わづらはしう心づかひせらるる心地」(緊張して気遣いしてしまうような心持ち)になる人なのだとか。こちらは同じ小柄でもほっそりしているそうですが、「大納言の君」に比べると、確かにシュっとした感じに描かれているものが多いのも納得できますね。

(注記)今回の『紫式部日記』本文は、演習で使用している山本淳子校注角川文庫からの引用です。

先日、車を運転していて踏み切り前で停車。そこに警察官が近づいてきてコンコン。何?と思って窓を開けてみると、差し出されたのがこちら。
ノンアルビール
ピーポ君が「ストップ!」のポーズを決めていますが、飲酒運転防止のキャンペーンだったようです。最近、芸能人の飲酒運転事故があったばかりですからね。警察署も対応が早い?!

それにしても、周りから見たら、警察官が普通にビール缶を運転者に渡しているように見えませんかね?いやいや、ノンアルコールですから!!

そういえば、『紫式部日記』敦成親王誕生五十日目のお祝いの宴でも、飲酒者が周囲に迷惑をかけている記事があります。こんな感じです。

大納言の君、宰相の君、小少将の君、宮の内侍と居給へり。右の大臣寄りて、御几帳のほころび引き断ち、乱れ給ふ。「さだ過ぎたり」(いい年をして)(私たちが)つきしろふ(つつきあっている)も知らず、(女房の)扇を取り、戯れごとのはしたなきも多かり。

はじめに名前が出てくる女房たちは、紫式部の同僚です。そこで酔っ払った右大臣・藤原顕光が几帳を引きちぎったり、女房たちの扇を取り上げたりしています。一方、女房らは「年甲斐もなく」と陰口を言い合いあきれている様子です。
酔っ払い
上の絵は、鎌倉時代に描かれた国宝・紫式部日記絵巻を参考にしました。実際、男性貴族に絡まれた女房たちは、もっと嫌そうに書かれています。世田谷区にある五島美術館では、毎年秋に一週間、この絵巻を展示しています。今年は今日(10月6日)から14日(日)までのようです。酔っ払いにはご注意を!!

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