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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

2022年06月

梅雨に入りました。気温が低い日もあるので、夜も夏掛けからふたたび普通の布団に戻しましたが、日によってはタオルケットで良い日もあり、調節が難しい今日この頃です。
でも、雨のおかげで家庭菜園の野菜たちは元気いっぱい。
種から育てたミニトマトたち
(有機栽培のミニトマト1個の種から増やした苗です)

ミニトマトです
(実がなりつつあります)
うちのナスです
(ナスは苗を買ってきて植えましたが、こちらも順調。1個目はみそ炒めにしました。美味!)

再生栽培の玉ねぎ
(再生栽培の玉ねぎ。ちっさ!でも味はきちんと玉ねぎでした)

さてさて、標題の「中古文学(平安文学)会春季大会」ですが、実際は5月下旬に行われました。その後、youtubeで学会の内容が動画配信され、その視聴期間が昨日で終わりました。

初日のシンポジウムは、学内業務で欠席、翌日の研究発表も午前中のみしか聞けませんでしたので、動画配信は大変助かりました。これまでは、オンラインのみの開催で動画配信されていましたが、対面開催での動画配信は初の試みでした。
会場校や事務局関係者の方々のご苦労は並々ならぬものがあったと思われます。本当に感謝の念に堪えません。

2年ぶりの対面開催の学会でしたが、多くの参加者で会場は賑わっていました。研究発表は、やはり質疑応答が重要で、これは対面開催ならではの醍醐味だと感じました。午前中は、まだ会場の方もエンジンがかかっていない様子でしたが、午後の方は(録画視聴です)、特に活発な質問があって、とても有意義な内容でした。

初日のシンポジウムでは、自分の著書の一節が資料に引用されている発表もあって、本当に直接うかがいたかったのですが、後の録画で十分、内容は把握できました。

このシンポジウムを中心に、来月院生たちとも意見・感想を言い合う会を持つ予定ですが、テーマは、「『源氏物語』を〈読む〉─研究の現在」でした。

いつの時代も「自分たちでおしまい」と思う気持ちは強いようで、発表要旨には「煮詰まった」とか「重箱の隅を突く」とか、閉塞感ただよう言葉が並んでいました。(もちろん、そのような状態を打開するためのシンポジウムなわけですが)

この閉塞感は、研究者人口の増加(現在は減少中)と、研究分野の性質(古代の文学研究は新しい資料発見は難しく、すでに言い尽くされてしまった感がある)により、研究の細分化が進み、同じ「源氏物語研究者」でも、「話が通じない」状況が現出していることによるものなのかもしれないと感じました。

同じ作品を読むにあたっても、「構造論」「准拠論」「語彙・表現論」と、それぞれ異なる方法を用いて研究を進めてきた三者の発表でした。それぞれは、興味深い部分もありましたが、その後のやりとり──「他の研究者の発表、方法をどう思いますか?」と司会から問われた時、あまり生産的な内容が話されたようには正直感じませんでした。

同じ「源氏研究」を共にする間柄で、自分の方法以外にあまり興味がない(もしくは他の方法論を排他的に見る)という状況を、私はあまり好ましく思っていません。むしろ、他の方法から学ぶ、建設的に捉えていかないと、ただつぶしあって自滅していく他ないように思ってしまいました。

研究者同士がなかなか互いに理解できない状況であれば、外から見た人はますますわからないのは当然で、世の中が「専門家」(プロ)を必要としなくなっている現状も、必然の流れです。

「「プロ」の読みとは?」と司会が問い、「プロもアマもないのでは」という答えがとても印象に残りました。「主題」についても「作品の主題は変わらない」という答えと、「読者(時代・年齢)によって変わる」という答え。最後は、どこに視点を置いて考えるかの違いになるでしょうか。

私は、平安時代の文学を、当時の歴史的背景や社会制度・文化を抜きにしては、決して正確には読めない(理解できない)と考えている立場ですので、その前提への知識は必須だと感じます。

言葉や表現は、同じ語でも、時代背景、また作品ごとにその意味は変化します。その位相を追っていき、積み重ねた先に、物語内容の意味も更新されていくわけですが、その営みは、「今」というより、後の世代によって、評価されていくのかなと感じます。渦中の今は、とにかく自分の問題意識(今世のイデオロギーに晒されつつ)のもと、考察を積み重ねていくだけでしょうか。その後、後世に残っていくか、否かで(現状であれば論文引用されるか否かで)、その研究価値は自ずと決まっていくでしょう。

まあ、この分野、研究者として自活できるパイ(席)は、どんどん少なくなってきていますから、その奪い合いだと考えると、他者への攻撃(口撃)もわからないではないですが、これからは複数の肩書を持ち、それらを自由に渡り歩ける時代になっていくと思いますので、「大学人」以外の研究者としてのあり方を、もっと認めていける時代になるといいなと思っています。

以上、自分の備忘録もかねて書きました。この道に入るきっかけは「面白い!」から始まっていることなので、楽しむ気持ちを忘れずに、研究を続けていきたいです。

最後に、最近行った「新江ノ島水族館」より。今は紫陽花とコラボ中です。
入口です
(和風の演出が心にくい入口)

紫陽花とパシフィックシーネットル
(紫陽花が浮かび上がる隣にはパシフィックシーネットルたち)

では、よい週末をお過ごしください。



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