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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

カテゴリ: 漫画

2月に入りました。2月といえば、受験シーズン。今年の私は入試業務からほぼ解放されています。今年の卒論ゼミ生には、塾講師をしている学生がいて、「受験生にとって大事な時期だから自分も風邪を引かないよう気を付けている」と飲み会への参加を控えていました。生徒も先生も追い込みの時期ですね〜。

さて、前回の続き。写真は、昨年末に行った宮城県石巻市にある石ノ森萬画館の様子です。

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↑ギルモア先生がいい感じです。

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とはいえ、圧巻はこちら。初代から現代まで。すべての仮面ライダーの頭部が展示されています。

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私は初代より、V3やライダーマン、アマゾンなど、ちょっと変わり種が好きでした。

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こちらは現代に近いかな。

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バイクに乗ってライダー体験もできるようです。

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先生もいらっしゃいます。

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ドラマ「HOTEL」の原作も描かれていたんですね。ちょっと浦沢直樹っぽい感じ。

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なんかちょっと怖いゾーンです。

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でも、これは気持ちが上がります。

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これだけのキャラクターを描かれていて、いまだに色褪せていないのが凄いです(『源氏物語』の千年には及びませんが)。

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撮影してはいませんが、中には漫画図書館もあって、自由に好きな漫画を読める場所があります。そこには、錚々たる漫画さんたちのイラスト付きサイン色紙(高橋留美子先生や青山 剛昌先生など)が無数に貼ってあって、影響の大きさがうかがえました。その入り口を出ると、廊下にあるのがこのパネル。震災時、萬画館も瓦礫が押し寄せて大変だったようです。

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最後はほっこり、カフェで食事しました。絵本展示のコラボメニューです。009関連のメニューもありましたが、それはまた次回来た時のお楽しみということで(我慢)。
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昼間なら外を見ながらの食事もいいですね。

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いたるところに漫画のキャラクターがいます。

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次に来た時はどれを食べよう。


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石ノ森先生愛用の品々。他にトキワ荘の模型や先生の歩みを振り返る年表展示。ショートムービーが見られる映像室もありました。

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外に出てから気づいたコインロッカー。絵が素敵すぎて、ロッカーだとは、まったく気が付きませんでした。館内でずっとキャリーバックをゴロゴロ引いていたので、ここに入れればよかったなあと出てきてちょっと後悔。

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それにしても、宇宙や神話、地底人、サイボーグ、超人能力、世界平和、様々な要素が詰まった漫画「サイボーグ009」は、本当に好きな作品(『源氏物語』の次に!)で、私の心のバイブルです。次回は仙台に戻る途中、松島や塩竃神社の旅の記になる予定。お楽しみに。



1月も残りわずか。卒業論文の口頭試問が終わり、ようやく一息ついています。今年は18名となかなかの大所帯でしたが、全員無事合格して、あとは卒業式を待つばかり。試問後の打ち上げで聞いた話では、みなさん、進路さまざまで、将来が楽しみです(うち教員デビューは3名!)。

さて、実は先月、標題に書いた「石ノ森萬画館」に行ってきました。私の尊敬する石ノ森章太郎先生の故郷は宮城県登米市中田町石森で、そこに「石ノ森章太郎ふるさと記念館」もあるのですが、今回は、石巻にある「石ノ森萬画館」に行ってきました。

以前から、ずっと行きたいと思っていましたが、ちょうど年末の時期に、家族の好きな絵本の展示もやっていて、これを機に行ってきた次第です。

今回(も?)、ちょっと平安時代とは関係ありませんが、よろしければおつきあいください。

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仙台─石巻を結ぶ電車がすでにこんな感じ。気分が上がります。

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仮面ライダーも好きですが、個人的にはキカイダーの再放送をよく見ていました。実写版では、変身後、主人公が持っていたギターはどこに行くのか、いつも不思議に思っていました。

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石巻に到着!

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もう駅からこんな感じです。

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先生、描いてます。

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これもうれしいかぎり。仮面ライダーとサイボーグ009(全巻持っている)。

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ステンドグラスに全員が描かれていて、002は飛んでいます。

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萬画館までの道のりも楽しいです。(写真はピュンマ・008)

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主役の島村ジョー(009)。

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まあ、私の推しはこの人ですね(死神と呼ばれるアルベルト・ハインリヒ004)。

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007(グレート・ブリテン)は、きちんと七十七銀行の前に。合わせたのかな?

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仮面ライダーもいます。ブラックは懐かしい。

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蓋もかわいらしいです。ロボコンと萬画館。

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おおー!見えてきました。駅から歩いて10分くらいでしょうか。

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近くまでくると、東日本大震災時の様子を伝えるパネルがありました。

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圧巻のサンドアート。

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ようやく入口へ。

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先生と握手できます。

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思わず手相を見ちゃったりして。真ん中の頭脳線が折れている人は「趣味を仕事にできる人」です。

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胸が高鳴ります。

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フフフ。ツーショット。

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とはいえ、家族の目的はこちらの絵本の展示です。

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↑「ウマソウ」の生まれるところ。

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どどーん。主役の登場。触れます。

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遠景はこんな感じ。

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絵本の方は、読むとなぜか涙が出ます。主人公の肉食獣が、生まれたばかりの恐竜を食べようとしたら「お父さん」と間違えられて、結局守ってしまうお話です。

次回は、石ノ森章太郎先生の漫画展示に入ります。お楽しみに!




1月も残すところあと3日。12月とはまた違った早さがありますね。毎年のルーティーン、卒論審査、修論審査に加え、今年は博論審査もありますので、ちょっと目が回るような忙しさです。

そのような中、およそ10日前に、こちらの書籍が発売されました。
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講談社学習まんが『紫式部』 監修:わたくし 漫画:池沢理美先生、です。
https://amzn.asia/d/91yiMZJ ←(お値段などはこちらでご確認ください)

「紫式部」を主人公とする大河ドラマは、本日第4回目を迎えましたが、なかなか面白い展開になっています。ドラマを見た友人は「どこまでがフィクションで、どこからがホントなのかわからない」と言っていましたが、上記を読むと、およそそれがわかります!

ドラマでは、最初、父・母・紫式部・弟、の4人家族で出てきますが、実際は紫式部の
家集(和歌集)から、加えて「早くに亡くなった姉」のいることがわかっています。

紫式部の母親も、早世していると言われますが、それにしてもドラマの母親の亡くなり方は衝撃的でした。またそのことが、紫式部と道長の間柄を複雑にするようですが、この母の死の原因も含め、紫式部と道長が幼いころから知り合いだったという設定も、史実では確認できません。

しかしながら、『紫式部日記』の記述より、紫式部は「道長の愛人」という説がありますので、
ドラマはそのあたりを視野に話を作っているようです。
(そう思われる日記中のエピソードについても学習まんがに書いてあります)

ちなみに脚本家の大石静さんは「『源氏物語』は出てこない」と話されていましたが、
紫式部の経験が物語に反映される、という体なのか、似た場面が出てきます。

たとえば、子供時代の紫式部が鳥を飼っている(若紫巻で幼い紫の上が飼っていた雀に逃げられて
しまう)、紫式部がこっそり歌の代作屋をしている(その中に夕顔巻で光源氏が詠んだ歌がある)、男性貴族たちが文を見せつつ女性について論じあう(帚木巻の雨夜の品定)、紫式部自身が舞姫をつとめる(少女巻で光源氏の息・夕霧が舞姫を見初める)といったように、毎回、物語を髣髴とさせるシーンがあります。

このような物語の一場面を意識したドラマのシーンは、およそフィクションです。
ただ紫式部は、日記の中で「五節の舞姫は気の毒」といったようなことを書いており、ドラマ
では作者自身「五節」の経験があるために、そのような感情を持っていると説明しているのでしょう。面白いですね。

また平安時代の遊びや文化が出てくるのも印象的で、前回は「偏つぎ」、今回は「双六」と呼ばれる遊びが出てきました。
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上記、風俗博物館で以前撮影したものです。詳しくは下記のURLから博物館サイトにとんでご確認ください。
平安時代の遊び・貴族の生活・風俗博物館〜よみがえる源氏物語の世界〜 (iz2.or.jp)

今後も、ドラマの展開には目が離せませんが、そのお供として「学習まんが『紫式部』」いかがでしょうか?

上記の本には、最後、おまけの頁(エピローグ)として、「紫式部が現代の大学の授業に潜り込む」といった場面が描かれています。そこで教壇に立っている先生、すこーし私に似ています。ぜひ探してみてください。
(大学で学生に紹介したら、大笑いしてくれました)


世の中「4連休」と騒いでいますが、大学は木・金と授業で、まったく連休ではありません。でも家族の学校は休みで家に居るので、ごろごろお休み満喫。うらやましいです。

さて、世の中には多くの「歴史漫画」が出回っていますが、先月講談社から新しい歴史漫画が出ました。こちらです。
講談社歴史まんが
(表紙はそれぞれ誰だかわかりますか?答えは一番下です)

目玉は、テレビでもよく拝見する呉座氏(中公新書『応仁の乱』が有名)監修の中世の部分みたいですが、私の家族が監修を担当したのは、2〜5巻。1巻の考古学がメインの巻は、私と同学部の若狭先生がご担当です。ということで、とりあえず我が家にあるのは1〜5巻の「古代(文学でいうと上代・中古)」の部分です。

5巻目の紀貫之・清少納言・紫式部が出てくるところは、私も少し協力しました。表紙の「紫式部」の絵も、候補が4パタンくらいあり、少しずつ動作の違う絵が出てきて、その中でどれがいいかと思案もしました。

当時、立ち姿はあまりよろしくないとされていたので(『源氏物語』の女三の宮は立ち姿を垣間見されてしまっています)、座っているポーズを推しました。でも中の登場コマでは、しっとりした立ち姿で描かれていて、女房の印でもある裳(「も」と読みます。後ろエプロンのような布。漫画では白で描かれています)が誇らしげに大きく見えるのもいいと思った次第です。女房達は、宮中のキャリアウーマンですから、膝行してばかりはいられなかったでしょうし、能力としては男性と対等にわたりあっていた、いやそれ以上の、彼女の真の姿を示しているように思えたからです。

それまでの「日本の歴史」では、女性への言及は、卑弥呼と女性天皇、藤原薬子、くらいでしょうか。それぞれ国のトップとなる人やそのトップの寵愛した女性です。

でも清少納言や紫式部は、一介の女房。その能力によって、上の人の目にとまり、千年以上の月日を超えて読み継がれる作品を残したのですから、本当にすごい女性たちだと思います。

女性の地位が決して高くなかったこの時代に、すでにこのような作品が残されている事に感激し、イスラム圏から日本に勉強に来た学生がいました。現代でもなお世界中の人に勇気と希望を与えています。

私と家族(監修者ではない)が1〜5巻を読んだ感想では、1と5が面白い!ということに(次いで3)。ちなみに私は3巻の「鑑真」が日本に来るくだりで、思わず泣いてしまいました。

弟子ではなく、高僧の鑑真自身が命の危険を冒して日本に来てくれたこと、最後の渡航では失明してしまいますが、このような命がけの国際交流が人の信心や思いを育てていったことを思うと、現状の一見、古代より豊かなようで殺伐とした世の中に愕然とします。

今の世の中は過去の積み重ねではありますが、決して人はまっすぐに今へと「進化」し続けてきたわけではないと思います。たくさんの英断と過ちがくり返され、その事をきちんと知り、学んでおくことが必要です。講談社漫画「日本の歴史」おすすめします。

(答え)1:卑弥呼と縄文時代の少年 2:聖徳太子 3:父・聖武天皇と娘・孝謙天皇 4:菅原道真 5:紫式部

本当に授業の終わりが見えてきて、だいぶ気持ちが楽になってきました。ただ終わったら終わったで、今度は「採点地獄」が始まるのですが......。

家族が友人のところへ遊びに行っている間、休日に久々の一人本屋、美容院と、はしごをしました。美容院は、いろいろ落ち着いてからと思っていたら、感染者数は日々最高人数を更新していくような有様でしたので、自分の心のゆとりを優先しました。

まず、本屋の新刊コーナーでたまたま見つけたのが『松苗あけみの少女漫画道』(2020年6月)。もう絵がなつかしくて、思わず衝動買いしてしまいました。早速美容室で読んでいたら、美容師の方に「うわーなつかしい。いやだ年がばれちゃうわ」と言われました(きっと同世代)。
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(こちらです。書店でお見かけしたらぜひ。バブル時代の様子もわかります)

一人暮らしをしていた大学生の頃、近くに貸本屋があり、そこにかなりお世話になりました。雑誌や漫画は概ねそこで借りて読んでいました。「松苗あけみ」先生の本も、おおかたそこで出会いました。カラー絵は本当に花や人物が美しくてうっとりするのですが、中身がどれも普通の恋愛ではないのです。とにかく毒があります。触発されて久しぶりに先生の『ロマンスの王国』を電子書籍で見返してみたら、まあのっけから少女愛・不倫・近親相関、のオンパレードでした。

小学生の頃は、あしべゆうほ『悪魔の花嫁』(ファンタジーホラー)や『サスペリア』『ハロウィン』といったホラー系の雑誌漫画が大好きで、篠原千絵『闇のパープルアイ』『海の闇月の影』といったダークファンタジーにはまっていました。その流れか、王道の恋愛物(日常生活における恋を描く)は普通に苦手でした。

そんな私が『源氏物語』に惹かれたのは、やはり王朝世界の表向きの美しさとは裏腹の、人間関係の複雑さにあったようにも思います(まず最初に主人公の母はいびり殺されますし)。

また耽美的な少女画も好きで、原点は「高橋真琴」氏の画になります。アトリエにも遊びに行き先生ご本人にもお会いしました。そのとき、なぜか地元の情報誌の取材が来ていて、大学院の先輩と一緒に雑誌に載ってしまいました。以下その時の記事です。
[画像:1999年です]
(思った以上にしっかり載っていました。よい思い出です。)

とにかく、昔は、バラいっぱい、フリルいっぱい、それこそ非現実的な少女画の世界に憧れがありました(小さい頃はよくまねをして画いていた。今の私の絵にその面影はありませんが)。

松苗あけみ先生のイラストはまさにその流れを汲んでいるように思います。金髪巻き髪やバラの花、その細かさと花を持つ少女の愛らしさ、一級品です(ぜひお顔は本書を手に取ってみてください)。
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(左は高橋先生からの展示会のお知らせをかねた年賀状。右は上記、松苗先生本の扉絵です)

『ロマンスの王国』を見ていたら、『源氏物語』の光源氏と藤壺との密通(継母と子)は、「近親恋愛」の観点から言えば、そう大したことではないように思えてきてしまいました。むしろ帝のキサキとの密通、それも藤壺が「后」となり、源氏との間の不義の子が「即位」してしまうほうが、より重大事でしょう。

平安時代、陽成天皇は、二条后と業平が密通して生まれた子、また高階氏(一条天皇の后・定子の母方)は、業平が斎宮と密通して生まれた子の子孫、という伝承が『伊勢物語』の記述を元に広まっていたようです。この手の話は、かなり昔からあったことになります。なぜ、当時、『源氏物語』のような不義密通話が書けたのか、ということの一つの答えとして、先蹤としての『伊勢物語』があるわけです。(参考:CiNii 論文 - 『源氏物語』はなぜ帝妃の密通を書くことができたか https://ci.nii.ac.jp/naid/120005473436 #CiNii )

今は、さまざまな人間関係に、「世間」のまなざしが厳しく注がれ、実際に「刃」となって傷つける事件があとをたちません。昔の貴族も本当に「世のうわさ」を怖れ、それを恥として死に至る、山に行方をくらますなどの例が見られます。

ただ『源氏物語』で言えば、実際、その罪の重さに耐えきれず死んだのは、柏木だけで(自死に近い病死)、光源氏、藤壺、女三の宮、は、それらを背負いつつ生き続けます。彼らの強さ、悩みながらも生き抜くしたたかさに、いまも私は惹かれ続けているのかもしれません。




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