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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

忍たま乱太郎と源氏物語

先日、NHK教育テレビをつけていたら、そのまま「忍たま乱太郎」が始まりました。このアニメは戦国時代を舞台としていますが、なんと学芸会で「源氏物語」をやる、という展開に(以下、この話ネタバレになります)。
忍たま乱太郎
(中央が乱太郎、左がきり丸、右がしんべヱです)

クラスの学芸会の出し物については、乱太郎らが「かえるの合唱」を提案し、それに対して学級委員の正左ヱ門(しょうざえもん)が「源氏物語」をやろうと言い出します。真面目な学級委員(でも本当は光源氏役をやってモテまくりたいと思っている)は、実際の貴族に取材をしに行きます。


ここで出てくるのが、貧乏貴族「南野園是式」(なんのその・これしき)。確かに戦国時代、貴族の中には流浪を経験したり、生活のために大名とのつながり持ったりする者がいました。でも自ら鍬をもって畑を耕すのはちょっとやりすぎかなとも思いましたが、一応、貴族の雅な生活として「蹴鞠 舟遊 鳥合 和歌を詠む」といった例を挙げ、昔を懐かしむ様子も描かれていました。

また気になったのは、この貴族、顎が長い!──以前、スタジオジブリで作られた映画「かぐや姫の物語」に登場する帝の影響を受けているのか、じつに立派な顎でびっくりしました。→「かぐや姫の物語

結局、演目はどちらにするのか、決めかねていたところ、突然、雨が降ってきます。そこでなぜか「両方やろう!」となり、貴族の装束に身を包んだを面々が「かえるの歌」を歌い出す、という結末に。

この場面どこかで見たことあるな......と。そうだ花札の「雨」(柳と小野道風)だと。

花札でいうところの通称「雨」札には、笠を持った貴族と柳、蛙が描かれています。この札の構図は、江戸時代の浄瑠璃「小野道風青柳硯」が基になっているとの説がありますが、なんだか「忍たま」のお話の最後は、この絵に似ていて、面白かったです。

ちなみに「小野道風」と言えば、三蹟の一人、平安時代の書の達人です。『源氏物語』絵合巻には「絵は、常則、手は、道風なれば、 今めかしうをかしげに、目もかかやくまで見ゆ。」と、物語に出てくる『うつほ物語』絵巻の詞が、小野道風によって書かれていたとあります。


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