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koudansyou-古典と現代

主に平安文学・文化についてのつれづれ書き(画き)

葵祭れぽ3─動物たちの活躍

オンライン授業がはじまって1週間が経過しました。みなさん(わたしも)だいぶ
慣れてきたようです。

ただ図書館が使えない状態での演習、というのは、正直たいへんです。

発表準備を行なう学生のために、必要な書籍(自宅にある分)を部分的に、
スキャナー→PDF化→大学のHPにアップして学生に配布、という作業がエンドレス(怖)。

図書館に行き、自分で本を探し、調べることによって、思わぬ別の本との出会いがあったり、
同じ本でも別のところに有益な情報を見つけたりできます。「本の一部」を資料として渡される
だけでは埋められない「何か」が、そこにはあるのです。

オンライン化により、たくさんの論文が情報としてネットで公開され、ピンポイントで
それらを読むことができるのは、とてもありがたいことですが、「図書館」という場で、
本(未知の世界)に囲まれながらゆったり過ごす、という「至福の時間」も、やはり大切に
していきたいものです。

さて、本日は、コロナ禍がなければ、京都で葵祭が盛大に催されているはずでした。

今日もひきつづき、二十年以上前にわたしが見た、葵祭の様子をお伝えしますね。

葵祭れぽ3

「葵祭れぽ」の3回目は、祭に参加する「動物たち」に注目しました。「牛車」はその名の通り、
牛がひく車ですが、車の大きさも驚くほどで、それを長距離ひいて歩く牛もまたすごいです。

実際は、なかなか素直に歩いてくれない牛を、馬丁役の人が引っ張っています。
初夏とはいえ、暑い日などはさぞかし大変だろうと思いました。

牛も大変

また馬に乗っている人も、行列中、多数みかけましたが、一番豪華な飾りをつけている馬が
勅使(天皇の御使)の馬です。


勅使と馬

勅使役は、旧華族の人がつとめるように聞いています。儀式で祭文を読み上げる人でも
あります。

ひき馬の儀

また「牽馬の儀」の様子はこのような感じ。左右馬寮の馬です。

そういえば、葵祭ではありませんが、「白馬の節会」を見に来た清少納言が、馬とその周囲の人
の様子を次のように記しています。

左衛門の陣のもとに、殿上人などあまた立ちて、舎人の弓ども取りて、馬どもおどろかし笑ふを、
はつかに見入れたれば、立蔀などの見ゆるに、主殿司、女官などの行きちがひたるこそをかしけれ。

いかばかりなる人、九重をならすらむなど思ひやらるるに、うちにて見るは、いとせばきほどにて、
舎人の顔のきぬにあらはれ、まことに黒きに、白きもの行きつかぬ所は、雪のむらむら消えのこり
たる心地して、いと見苦しく、馬のあがりさわぐなど、いとおそろしう見ゆれば、引き入られて
よくも見えず。(『枕草子』より)


馬にちょっかいを出している殿上人たち、宮仕え前の清少納言がまだ遠くに感じている女官
たちの姿、おしろいがはげて地黒が見えてしまっている舎人、暴れ騒ぐ馬など、節会そのものより、
その舞台裏に興味津々な清少納言の様子がうかがえます。また千年前から、動物たちは思うように
ならなかったようですね。

最後に、爽快に駆け抜ける「走馬」の姿をご紹介します。
走馬の儀2


走馬の儀

葵祭に行かれることがあれば、ぜひ動物たちの活躍にもご注目ください!












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