さなぎ日記:あさなぎクリニック心療内科のブログです。こころの健康、コミュニケーション、おいしいお店や、映画のことも。

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「人の気持ちがわかる脳」 村井俊哉

「人の気持ちがわかる脳 利己性と利他性の脳科学」という村井俊哉さんの講演を聞きました。<村井さんは、京都大学の精神科の教授をなさっています>人間の脳はもともと利他的なのだそうです。村井さんは二つのゲームによってこの説明をしました。とても興味深かったです。ゲーム1(独裁者ゲーム)あなたが、自分の裁量でお金を分配することができる場合に、どのように配分するかというゲームです。どのように配分しても、相手...全文を表示
「人の気持ちがわかる脳 利己性と利他性の脳科学」という村井俊哉さんの講演を聞きました。

<村井さんは、京都大学の精神科の教授をなさっています>


人間の脳はもともと利他的なのだそうです。村井さんは二つのゲームによってこの説明をしました。とても興味深かったです。


ゲーム1(独裁者ゲーム)

あなたが、自分の裁量でお金を分配することができる場合に、どのように配分するかというゲームです。どのように配分しても、相手からは文句を言われないとしてです。

たとえば、あなたが甲府エクランのセシル・マクビー(もちろん仮にです)のベテラン販売員で、そこにたまたま1日だけバイトの女性が来たとしましょう。もちろん仕事には慣れていないですが、頑張ってけっこう売り上げがあったとします。

あなたは、店長からあなたと彼女の分の日当として1万5千円預かっていて、それを自由に分配していいと言われたとします。あなたが全部受け取っても文句は言われず、彼女にはその後顔を合わせることはなく、後腐れは無いとします。

彼女の受け取り額は、7500円〜0円になるでしょう。

この額が多いと、あなたの利他性が大きいことになります。この値をβ(相手にたくさん分けるとβが大きい)とします。


ゲームその2(最後通牒ゲーム)

あなたはセシルを辞めて、上京し109のアンク・ルージュで働くことになりました。その日慣れないお店ですが頑張って、他の人と遜色なく売ったとします。

あなたの日当は、店長から二人の分として1万5千円(千円札15枚とします)預かっているベテラン販売員の裁量に任されます。あなたは1日限りの助っ人なので、今後彼女と顔を合わせることはありません。

このゲームでは、あなたはあまりに配分が不当なら受け取りを拒否することができ、その場合には彼女も日当は受け取れなくなるとします。

あなたは、いくらまでなら受け取りますか。

7500円〜1000円になるでしょう。

この額が大きいことは、利他的な懲罰の感情が強いことになるそうです。なぜ利他的かと言うと、自分の取り分を捨てても不公平を許さないからです。これは巡り巡って社会正義につながるからです。

こっちはα(あなたがたくさん要求するとαが大きい)。

<もちろん例は、引越し屋さんの先輩とバイトでもいいし、チイママとヘルプの女性でもいいです>

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この値には、かなりばらつきがあるそうです。ちなみにチンパンジーはこの最後通牒ゲームでは合理的(=千円でも受け取る)なのだそうです。


このβとαという二つの指標の組み合わせで、4タイプが分類されます。

低α、低β:マシーンのようなクールな人。(ゴルゴ13と言ってました)

低α、高β:自分がもらう立場だと、不公平でも怒らずに受け取り、与える立場だと惜しみなく与える人。(聖人君子)

高α、低β:自分がもらう立場だと、正当な利益を要求し、人にはあげない人。(クレーマーや精神病質の人)

高α、高β:自分も与えるけれど、他人にもそれを期待する人。(金八先生みたいな人)


<もっとも、多くの人はこういう要素が、適度に含まれているはずです>

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

興味深いのは、人間がサルから進化する際に、非合理から合理の方向に進んできたのではない点です。進化の方向は一方向じゃあないのでしょう。

人は、誰も見ていない時には必ず悪いことをする動物ではなく、どこかで神様(お天道様でもいいです)が見ていると思うのでいいことをしたり、自分が少々損をしても、正義のために戦ったりします。

<この辺りには、道徳の起源という問題を含んでいるでしょうね>

お金なんかもらわなくても、人に感謝されれば嬉しいし、逆に少々不公平でもまあいいか、と受け入れることもできます。

<農耕民族は和をもって尊しとなすので、αは低いのではないでしょうか。日本的な「あげまん」女性はαが低く、βはとっても高そうです>

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

αは遺伝するそうです。また、SSRIでセロトニンが増えるとαは減るそうです。尊敬する高田純次さんは、きっとαは低そうです。案外βは高いんじゃないでしょうか。

講演を聞き、お土産にちくま新書の同名の本もいただきました。

<神戸のポートピアホテルで開かれた、大日本住友製薬主催のDSフォーラム2011の特別講演で聴きました。興味深かったです>



「人の気持ちがわかる脳 利己性と利他性の脳科学」という村井俊哉さんの講演を聞きました。

<村井さんは、京都大学の精神科の教授をなさっています>


人間の脳はもともと利他的なのだそうです。村井さんは二つのゲームによってこの説明をしました。とても興味深かったです。


ゲーム1(独裁者ゲーム)

あなたが、自分の裁量でお金を分配することができる場合に、どのように配分するかというゲームです。どのように配分しても、相手からは文句を言われないとしてです。

たとえば、あなたが甲府エクランのセシル・マクビー(もちろん仮にです)のベテラン販売員で、そこにたまたま1日だけバイトの女性が来たとしましょう。もちろん仕事には慣れていないですが、頑張ってけっこう売り上げがあったとします。

あなたは、店長からあなたと彼女の分の日当として1万5千円預かっていて、それを自由に分配していいと言われたとします。あなたが全部受け取っても文句は言われず、彼女にはその後顔を合わせることはなく、後腐れは無いとします。

彼女の受け取り額は、7500円〜0円になるでしょう。

この額が多いと、あなたの利他性が大きいことになります。この値をβ(相手にたくさん分けるとβが大きい)とします。


ゲームその2(最後通牒ゲーム)

あなたはセシルを辞めて、上京し109のアンク・ルージュで働くことになりました。その日慣れないお店ですが頑張って、他の人と遜色なく売ったとします。

あなたの日当は、店長から二人の分として1万5千円(千円札15枚とします)預かっているベテラン販売員の裁量に任されます。あなたは1日限りの助っ人なので、今後彼女と顔を合わせることはありません。

このゲームでは、あなたはあまりに配分が不当なら受け取りを拒否することができ、その場合には彼女も日当は受け取れなくなるとします。

あなたは、いくらまでなら受け取りますか。

7500円〜1000円になるでしょう。

この額が大きいことは、利他的な懲罰の感情が強いことになるそうです。なぜ利他的かと言うと、自分の取り分を捨てても不公平を許さないからです。これは巡り巡って社会正義につながるからです。

こっちはα(あなたがたくさん要求するとαが大きい)。

<もちろん例は、引越し屋さんの先輩とバイトでもいいし、チイママとヘルプの女性でもいいです>

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この値には、かなりばらつきがあるそうです。ちなみにチンパンジーはこの最後通牒ゲームでは合理的(=千円でも受け取る)なのだそうです。


このβとαという二つの指標の組み合わせで、4タイプが分類されます。

低α、低β:マシーンのようなクールな人。(ゴルゴ13と言ってました)

低α、高β:自分がもらう立場だと、不公平でも怒らずに受け取り、与える立場だと惜しみなく与える人。(聖人君子)

高α、低β:自分がもらう立場だと、正当な利益を要求し、人にはあげない人。(クレーマーや精神病質の人)

高α、高β:自分も与えるけれど、他人にもそれを期待する人。(金八先生みたいな人)


<もっとも、多くの人はこういう要素が、適度に含まれているはずです>

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興味深いのは、人間がサルから進化する際に、非合理から合理の方向に進んできたのではない点です。進化の方向は一方向じゃあないのでしょう。

人は、誰も見ていない時には必ず悪いことをする動物ではなく、どこかで神様(お天道様でもいいです)が見ていると思うのでいいことをしたり、自分が少々損をしても、正義のために戦ったりします。

<この辺りには、道徳の起源という問題を含んでいるでしょうね>

お金なんかもらわなくても、人に感謝されれば嬉しいし、逆に少々不公平でもまあいいか、と受け入れることもできます。

<農耕民族は和をもって尊しとなすので、αは低いのではないでしょうか。日本的な「あげまん」女性はαが低く、βはとっても高そうです>

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αは遺伝するそうです。また、SSRIでセロトニンが増えるとαは減るそうです。尊敬する高田純次さんは、きっとαは低そうです。案外βは高いんじゃないでしょうか。

講演を聞き、お土産にちくま新書の同名の本もいただきました。

<神戸のポートピアホテルで開かれた、大日本住友製薬主催のDSフォーラム2011の特別講演で聴きました。興味深かったです>



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ブラックアウト あるいは、「ワインレッドの心」
うつ病があまり早く治ったら注意しましょう。ラピッドサイクラーかもしれません

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