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ベンゾジアゼピンが依存を起こす理由。 by ネイチャー 2010年2月11日

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ベンゾジアゼピンが依存を起こす理由。 by ネイチャー 2010年2月11日Neural bases for addictive properties of benzodiazepines Nature 463, 769–774 (11 February 2010)報酬系(中脳辺縁系にあります)のドーパミンが増えると依存を起こします。メタアンフェタミン(覚醒剤)などがその典型です。ベンゾジアゼピン系(=BZD)も依存を起こしますが、そのメカニズムは良く分かっていませんでしたが、理由が分か...全文を表示
ベンゾジアゼピンが依存を起こす理由。 by ネイチャー 2010年2月11日
Neural bases for addictive properties of benzodiazepines Nature 463, 769–774 (11 February 2010)


報酬系(中脳辺縁系にあります)のドーパミンが増えると依存を起こします。メタアンフェタミン(覚醒剤)などがその典型です。

ベンゾジアゼピン系(=BZD)も依存を起こしますが、そのメカニズムは良く分かっていませんでしたが、

理由が分かりました。

BZD系が報酬系のドーパミンを増やすからです。

<BZD系のミダゾラム(=MDZ)は ドーパミン(DA)ニューロンを活性化(=脱抑制=抑制を外す)させることが実験で分かりました>

以下はその説明です。


GABAA受容体


BZD系の薬がGABA(A)受容体(=GABAAR)に結合すると、GABAニューロンの働きを一般的には増強します。

DAニューロンに介在するGABAニューロンの役目は、DAニューロンにブレーキをかけること(=抑制性ニューロン)です。

ところが、GABA(A)受容体のα1サブユニットの場合は、BZDが結合すると、GABAの働きが弱まります。

つまり、


ベンゾジアゼピン GABA ドーパミン



BZD系→GABA(A)Rのα1サブユニットに結合→GABAニューロンの働きを弱める→DAニューロンへのブレーキが弱まる→DAが増える。

というわけです。



以下は蛇足です(少し詳しく説明します)。


GABAARはα、β、γサブユニットでできています。

αサブユニットには6種類あります(α1〜α6)。

脳に多いのはα1サブユニットです。

α1は、GABAニューロンを抑制することが分かりました(→DAニューロンを脱抑制する)。

それがなぜ分かったかというと、

α1サブユニットのないマウス(=ミュータント・マウス:H101R)では、MDZ(ミダゾラム)を投与してもDAニューロンが脱抑制されなかったからです。

ところで、

α1は、VTA(=腹側被蓋野:ventral tegmental area)のGABAニューロンに多く存在しています。

(VTAは中脳にあり報酬予測に関わります。中脳辺縁系はVTAから側坐核を結ぶドーパミン経路です)


・マウスによる実験
・野生型では、MDZの入ったスクロースを好んで口にした(=MDZへの依存性が生まれた)。
・α1ミュータントではこの変化が見られなかった。

まとめ

ベンゾジアゼピン系薬剤がGABA(A)Rのα1サブユニットに結合すると、

・DAニューロンに介在するGABAの働きを抑制して、それによって、
・DAニューロンの抑制を外し、それによって、
・DAニューロンのシナプスを強化する(=依存性をつくる)。


<それに加えて、BDZ系は使えば使う程効かなくなります。それに、止めると離脱症状が起きますというわけですから、必要最低限にしか使うべきではありません>

ベンゾジアゼピンが依存を起こす理由。 by ネイチャー 2010年2月11日
Neural bases for addictive properties of benzodiazepines Nature 463, 769–774 (11 February 2010)


報酬系(中脳辺縁系にあります)のドーパミンが増えると依存を起こします。メタアンフェタミン(覚醒剤)などがその典型です。

ベンゾジアゼピン系(=BZD)も依存を起こしますが、そのメカニズムは良く分かっていませんでしたが、

理由が分かりました。

BZD系が報酬系のドーパミンを増やすからです。

<BZD系のミダゾラム(=MDZ)は ドーパミン(DA)ニューロンを活性化(=脱抑制=抑制を外す)させることが実験で分かりました>

以下はその説明です。


GABAA受容体


BZD系の薬がGABA(A)受容体(=GABAAR)に結合すると、GABAニューロンの働きを一般的には増強します。

DAニューロンに介在するGABAニューロンの役目は、DAニューロンにブレーキをかけること(=抑制性ニューロン)です。

ところが、GABA(A)受容体のα1サブユニットの場合は、BZDが結合すると、GABAの働きが弱まります。

つまり、


ベンゾジアゼピン GABA ドーパミン



BZD系→GABA(A)Rのα1サブユニットに結合→GABAニューロンの働きを弱める→DAニューロンへのブレーキが弱まる→DAが増える。

というわけです。



以下は蛇足です(少し詳しく説明します)。


GABAARはα、β、γサブユニットでできています。

αサブユニットには6種類あります(α1〜α6)。

脳に多いのはα1サブユニットです。

α1は、GABAニューロンを抑制することが分かりました(→DAニューロンを脱抑制する)。

それがなぜ分かったかというと、

α1サブユニットのないマウス(=ミュータント・マウス:H101R)では、MDZ(ミダゾラム)を投与してもDAニューロンが脱抑制されなかったからです。

ところで、

α1は、VTA(=腹側被蓋野:ventral tegmental area)のGABAニューロンに多く存在しています。

(VTAは中脳にあり報酬予測に関わります。中脳辺縁系はVTAから側坐核を結ぶドーパミン経路です)


・マウスによる実験
・野生型では、MDZの入ったスクロースを好んで口にした(=MDZへの依存性が生まれた)。
・α1ミュータントではこの変化が見られなかった。

まとめ

ベンゾジアゼピン系薬剤がGABA(A)Rのα1サブユニットに結合すると、

・DAニューロンに介在するGABAの働きを抑制して、それによって、
・DAニューロンの抑制を外し、それによって、
・DAニューロンのシナプスを強化する(=依存性をつくる)。


<それに加えて、BDZ系は使えば使う程効かなくなります。それに、止めると離脱症状が起きますというわけですから、必要最低限にしか使うべきではありません>

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