「空中の目」 神田橋條治
「空中の目」 神田橋條治 サムネイル画像
空中の目「面接している自分は,今ここに居て,患者の話に聴き入り,うなずいたりしている。ところが,その意識の一部,主として観察する自己が,一種の離魂現象を起こして空中にまいあがり,面接室の天井近く,自分の斜め上方から見下ろしているとイメージするのである。馴れるにしたがって,長時間そのイメージを保つことができるようになり,ついで,空中の眼という意識が,次第に薄くなりながら広がってくる。そしてついには,...全文を表示
空中の目
空中の目
「面接している自分は,今ここに居て,患者の話に聴き入り,うなずいたりしている。
ところが,その意識の一部,主として観察する自己が,一種の離魂現象を起こして空中にまいあがり,面接室の天井近く,自分の斜め上方から見下ろしているとイメージするのである。
馴れるにしたがって,長時間そのイメージを保つことができるようになり,ついで,空中の眼という意識が,次第に薄くなりながら広がってくる。
そしてついには,面接している自分にまで届いて,両者が融合してしまうことがある。そのときおそらく,『関与しながらの面接』が成就したのであろう」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
大学を卒業した年の4月に出た「精神科診断面接のコツ」という神田橋條治さんの本の一節です。精神科医になって最初に読んだ何冊かの本の1冊でした。その中でこの本が一番印象的でした。とくにこの「空中の目」が。
「空中の目」は良く練習しました。
その成果だったんだのではないかと思うのですが、
自分の臨終の夢を見たことがあります。豪華客船の広い船室の中央に「僕」は横になっていました。それを幽体離脱した僕が天井の辺りから眺めています。
その部屋に次々と人が訪れます。懐かしい顔も見えます。最後のひとりが部屋を出ると、船室はすっかり静かになりました。
「僕」は静かに目を閉じました。
その時に、空中の目と横たわる自分が融合したように感じました。
思いの外安らかな最後でした。それ以来、死をそれほど怖れなくなりました。
<こう書くと誤解されるかもしれません。死ぬということをそれほど意識せずに行きていける、という感じでしょうか>
ーーーーーーーーーーーーーーーー
あれからおよそ30年経ちました。神田橋さんは僕よりちょうど20才年上です。ということは、あの本を書いた神田橋さん今の僕より10歳も若かったことになります。
バイブルみたいな本でした。精神医学についてほとんど何も知らない頃に読めたのは幸運だったと思います。
空中の目
「面接している自分は,今ここに居て,患者の話に聴き入り,うなずいたりしている。
ところが,その意識の一部,主として観察する自己が,一種の離魂現象を起こして空中にまいあがり,面接室の天井近く,自分の斜め上方から見下ろしているとイメージするのである。
馴れるにしたがって,長時間そのイメージを保つことができるようになり,ついで,空中の眼という意識が,次第に薄くなりながら広がってくる。
そしてついには,面接している自分にまで届いて,両者が融合してしまうことがある。そのときおそらく,『関与しながらの面接』が成就したのであろう」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
大学を卒業した年の4月に出た「精神科診断面接のコツ」という神田橋條治さんの本の一節です。精神科医になって最初に読んだ何冊かの本の1冊でした。その中でこの本が一番印象的でした。とくにこの「空中の目」が。
「空中の目」は良く練習しました。
その成果だったんだのではないかと思うのですが、
自分の臨終の夢を見たことがあります。豪華客船の広い船室の中央に「僕」は横になっていました。それを幽体離脱した僕が天井の辺りから眺めています。
その部屋に次々と人が訪れます。懐かしい顔も見えます。最後のひとりが部屋を出ると、船室はすっかり静かになりました。
「僕」は静かに目を閉じました。
その時に、空中の目と横たわる自分が融合したように感じました。
思いの外安らかな最後でした。それ以来、死をそれほど怖れなくなりました。
<こう書くと誤解されるかもしれません。死ぬということをそれほど意識せずに行きていける、という感じでしょうか>
ーーーーーーーーーーーーーーーー
あれからおよそ30年経ちました。神田橋さんは僕よりちょうど20才年上です。ということは、あの本を書いた神田橋さん今の僕より10歳も若かったことになります。
バイブルみたいな本でした。精神医学についてほとんど何も知らない頃に読めたのは幸運だったと思います。
空中の目
空中の目
「面接している自分は,今ここに居て,患者の話に聴き入り,うなずいたりしている。
ところが,その意識の一部,主として観察する自己が,一種の離魂現象を起こして空中にまいあがり,面接室の天井近く,自分の斜め上方から見下ろしているとイメージするのである。
馴れるにしたがって,長時間そのイメージを保つことができるようになり,ついで,空中の眼という意識が,次第に薄くなりながら広がってくる。
そしてついには,面接している自分にまで届いて,両者が融合してしまうことがある。そのときおそらく,『関与しながらの面接』が成就したのであろう」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
大学を卒業した年の4月に出た「精神科診断面接のコツ」という神田橋條治さんの本の一節です。精神科医になって最初に読んだ何冊かの本の1冊でした。その中でこの本が一番印象的でした。とくにこの「空中の目」が。
「空中の目」は良く練習しました。
その成果だったんだのではないかと思うのですが、
自分の臨終の夢を見たことがあります。豪華客船の広い船室の中央に「僕」は横になっていました。それを幽体離脱した僕が天井の辺りから眺めています。
その部屋に次々と人が訪れます。懐かしい顔も見えます。最後のひとりが部屋を出ると、船室はすっかり静かになりました。
「僕」は静かに目を閉じました。
その時に、空中の目と横たわる自分が融合したように感じました。
思いの外安らかな最後でした。それ以来、死をそれほど怖れなくなりました。
<こう書くと誤解されるかもしれません。死ぬということをそれほど意識せずに行きていける、という感じでしょうか>
ーーーーーーーーーーーーーーーー
あれからおよそ30年経ちました。神田橋さんは僕よりちょうど20才年上です。ということは、あの本を書いた神田橋さん今の僕より10歳も若かったことになります。
バイブルみたいな本でした。精神医学についてほとんど何も知らない頃に読めたのは幸運だったと思います。
空中の目
「面接している自分は,今ここに居て,患者の話に聴き入り,うなずいたりしている。
ところが,その意識の一部,主として観察する自己が,一種の離魂現象を起こして空中にまいあがり,面接室の天井近く,自分の斜め上方から見下ろしているとイメージするのである。
馴れるにしたがって,長時間そのイメージを保つことができるようになり,ついで,空中の眼という意識が,次第に薄くなりながら広がってくる。
そしてついには,面接している自分にまで届いて,両者が融合してしまうことがある。そのときおそらく,『関与しながらの面接』が成就したのであろう」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
大学を卒業した年の4月に出た「精神科診断面接のコツ」という神田橋條治さんの本の一節です。精神科医になって最初に読んだ何冊かの本の1冊でした。その中でこの本が一番印象的でした。とくにこの「空中の目」が。
「空中の目」は良く練習しました。
その成果だったんだのではないかと思うのですが、
自分の臨終の夢を見たことがあります。豪華客船の広い船室の中央に「僕」は横になっていました。それを幽体離脱した僕が天井の辺りから眺めています。
その部屋に次々と人が訪れます。懐かしい顔も見えます。最後のひとりが部屋を出ると、船室はすっかり静かになりました。
「僕」は静かに目を閉じました。
その時に、空中の目と横たわる自分が融合したように感じました。
思いの外安らかな最後でした。それ以来、死をそれほど怖れなくなりました。
<こう書くと誤解されるかもしれません。死ぬということをそれほど意識せずに行きていける、という感じでしょうか>
ーーーーーーーーーーーーーーーー
あれからおよそ30年経ちました。神田橋さんは僕よりちょうど20才年上です。ということは、あの本を書いた神田橋さん今の僕より10歳も若かったことになります。
バイブルみたいな本でした。精神医学についてほとんど何も知らない頃に読めたのは幸運だったと思います。