さなぎ日記:あさなぎクリニック心療内科のブログです。こころの健康、コミュニケーション、おいしいお店や、映画のことも。

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過敏性腸症候群 と ストレス

過敏性腸症候群 と ストレス サムネイル画像
緊張するとお腹がゴロゴロして恥ずかしいという患者さんがいます(過敏性腸症候群IBS=irritable bowel syndrome)この訴えは、中学や高校の女子に多い(テストなどでシーンとした時にお腹が鳴って恥ずかしい)ですが、大人の女性や、男性にももちろんいます(J.F.ケネディも過敏性腸症候群だったと言われています)。「交感神経が亢進しているのに腸の蠕動が亢進するのはおかしいな、腸が動くのは副交感神経なのに」と思っていま...全文を表示
緊張するとお腹がゴロゴロして恥ずかしいという患者さんがいます(過敏性腸症候群IBS=irritable bowel syndrome)


過敏性腸症候群



この訴えは、中学や高校の女子に多い(テストなどでシーンとした時にお腹が鳴って恥ずかしい)ですが、大人の女性や、男性にももちろんいます(J.F.ケネディも過敏性腸症候群だったと言われています)。「交感神経が亢進しているのに腸の蠕動が亢進するのはおかしいな、腸が動くのは副交感神経なのに」と思っていました。

<ゴロゴロしたっていいのにな、と個人的には思いますが、年頃の女性にとってはつらい症状でしょう。>

ストレスによって下痢になる機序は、これまでは、ストレスによって腸内のセロトニン(セロトニンは脳に10%、腸に90%分布しています)が代償性に増え、それによって腸管の蠕動が増えるという説が一般的でした(これに基づくIBSの治療薬がラモセロトン塩酸塩錠:商品名 イリボー錠です。適用は男性だけですが)。

<ストレス→腸管のセロトニン増加→腸蠕動亢進→下痢>

ところが最近新しい説が出て来ました。CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子、CRHともいう)の関与です。

ストレスによって、HPA系が活性化するとCRFが放出されますが、

<視床下部ー下垂体ー副腎皮質系(=hypothalamo-pituitary-adrenal axis, HPA系)参照>

このCRFは

・CRF type2受容体を介して、上部消化管(胃・十二指腸)の運動を抑制し、
・CRF type1受容体を介して、下部消化管(結腸)の運動を亢進させる(これにはセロトニンが関与しているとされます)。

これを「脳腸相関」と言います。

<ストレス→CRF type1→結腸の蠕動を亢進→下痢>

また、内臓知覚の過敏もIBSの原因と考えられています。内臓知覚にはIPAN(内在性感覚ニューロン intrinsic primary afferent neuron:IPAN)が関与しており、その情報伝達にもセロトニン受容体が関与しているとされます。

IBSは成人の5-20%以上にあると言われており、心療内科に来る多くの患者さんに合併しています(不安障害やうつ病の患者さんに)。

<これで腑に落ち(胃の中にしっかりおさまり)ました。もっとも合目的的に考えると、ストレスで下部消化管の運動が亢進するなぜなのでしょう。なおIBSにはポリフルも効果があります。こちらは女性も服用できます>


緊張するとお腹がゴロゴロして恥ずかしいという患者さんがいます(過敏性腸症候群IBS=irritable bowel syndrome)


過敏性腸症候群



この訴えは、中学や高校の女子に多い(テストなどでシーンとした時にお腹が鳴って恥ずかしい)ですが、大人の女性や、男性にももちろんいます(J.F.ケネディも過敏性腸症候群だったと言われています)。「交感神経が亢進しているのに腸の蠕動が亢進するのはおかしいな、腸が動くのは副交感神経なのに」と思っていました。

<ゴロゴロしたっていいのにな、と個人的には思いますが、年頃の女性にとってはつらい症状でしょう。>

ストレスによって下痢になる機序は、これまでは、ストレスによって腸内のセロトニン(セロトニンは脳に10%、腸に90%分布しています)が代償性に増え、それによって腸管の蠕動が増えるという説が一般的でした(これに基づくIBSの治療薬がラモセロトン塩酸塩錠:商品名 イリボー錠です。適用は男性だけですが)。

<ストレス→腸管のセロトニン増加→腸蠕動亢進→下痢>

ところが最近新しい説が出て来ました。CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子、CRHともいう)の関与です。

ストレスによって、HPA系が活性化するとCRFが放出されますが、

<視床下部ー下垂体ー副腎皮質系(=hypothalamo-pituitary-adrenal axis, HPA系)参照>

このCRFは

・CRF type2受容体を介して、上部消化管(胃・十二指腸)の運動を抑制し、
・CRF type1受容体を介して、下部消化管(結腸)の運動を亢進させる(これにはセロトニンが関与しているとされます)。

これを「脳腸相関」と言います。

<ストレス→CRF type1→結腸の蠕動を亢進→下痢>

また、内臓知覚の過敏もIBSの原因と考えられています。内臓知覚にはIPAN(内在性感覚ニューロン intrinsic primary afferent neuron:IPAN)が関与しており、その情報伝達にもセロトニン受容体が関与しているとされます。

IBSは成人の5-20%以上にあると言われており、心療内科に来る多くの患者さんに合併しています(不安障害やうつ病の患者さんに)。

<これで腑に落ち(胃の中にしっかりおさまり)ました。もっとも合目的的に考えると、ストレスで下部消化管の運動が亢進するなぜなのでしょう。なおIBSにはポリフルも効果があります。こちらは女性も服用できます>


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