サンデー毎日対談で、
ベルリン・フィルの第一コンサートマスターでいらっしゃる
ヴァイオリニスト、樫本大進さんにお目にかかる。
正式には2年ちょっとだが、
試用期間を入れると、もう3年半コンサートマスターを務めてらっしゃる。
まだ残念ながら樫本さんのヴァイオリンの音色を生演奏で拝聴したことがないのだが、
昨年リリースした『ベートーベン:ヴァイオリン・ソナタ』のアルバムを聴いて、
樫本さんの音色の膨よかさ、まろやかさ、丸さ、優しさにうっとり。
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そして、一緒に演奏しているピアニスト、コンスタンチン・リフシッツさんと
まるで楽器で会話をしているように聴こえる演奏。
ジャズなどは、アドリブでセッションをして、楽器同士が掛け合いをすることは多々だが、
クラシックは基本的に楽譜通りに進むため、
特に録音されたものでは、
そういう"掛け合い感"はなかなか出ないのかと、素人の私は思っていたので、感激。
聴いていて楽しいし、親しみがもてる。
素敵だわ、素敵だわ。
音楽もそうだが、対談をさせていただいて、
お人柄もとっても素敵なことが伝わってくる。
楽器でだけでなく、人との会話もお好きだそうだ。
「人と話すの好きです、だって寂しがりやですから」
だって。ふふふ。
お好きだというのに乗じて、あれやこれや、いろんなこと伺えて、
ものすごく楽しかった。
ヴァイリンを3歳で手に取ったときのこと、
7歳で、すでに「自分の音楽」を聴き分ける感覚があったこと、
11歳でドイツに向け旅立つ空港で、別れ際のお父様の涙を見て、
プロになる決意をされたこと。
ベルリン・フィルのコンサートマスターの試験(オーディション)のときのこと。
コンサートマスターはいわば「中間管理職」で
そこには大変さとやりがい両方があるということ。
そして
"あの"ベルリン・フィルが、まるで「幼稚園生の集まりのような瞬間がある」というお話!
いやあああ、
音楽世界が大好きなわたしにとって、ワクワクしてしまう話ばかり。
しかも、会話がお好きというだけあって、お話もおもしろいのだ。
しかし、33歳の日本人の音楽家が、
"あの"、世界のベルリン・フィルのコンサートマスターを務めているなんて、
本当に誇らしい気持ちだ。
って、わたしがなにをしたわけでもないのだが、なんだかうれしい。
そして、その方を通して、ベルリン・フィルの雰囲気や空気を
直で伺い、直で感じる機会に恵まれたことに、またまたうれしさ沁み入るのである。
だって、そうでなくっちゃ全然近づけない世界。
ものすごい才能があって、そこに努力と時間を注ぎ込んだ、限られた人だけが知る世界・・・。
樫本さんとお話をさせていただいただけで、
CDを聴いたときと似た、
丸みを帯びた、優しい気持ちに満たされた。豊かな気持ちに。
あああ、それならば、すごいんだろうなぁ、生の音色は・・・
早く、樫本さんの生ヴァイオリンを聴いてみたいっ!
強くそう思ったのである。
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樫本さんがいつも演奏している、1674年製のアンドレア・グァルネリと共に。
バッハが生まれる前から居る楽器。
いろんな空気や時代を体験してきた楽器・・・なんて美しいボディの木色。
(弓を持たせていただいてしまったぁぁぁ!弓も弓ですごいそうです)