遅ればせながら月の終わりに...
10月は歌舞伎座に、幕見も入れてなんと4回も足を運んでしまった。
しかも3回はひとりで。
こんなことは初めてだ。
玉三郎さん見たさもあったが、
何よりも魅了されてしまったのが、
新作「マハーバーラタ戦記」だった。
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菊之助さんが構想3年でこの度ようやく実現させた「マハーバーラタ戦記」。
この「マハーバーラタ」は、世界三大叙事詩のひとつにあげられる、古代インドの物語。全18巻、10万詩節からなる膨大な物語に、インド文化の全要素が入っていると言われているそうだ。
今回はこの物語の後半、同族間の王位後継争いの部分が、4時間近くに及ぶ歌舞伎演目に仕上がっていた。
いやあ、本当に素晴らしかった。大感動。
まず、大道具、衣装、そして音楽、どれもいつもの歌舞伎とはひと味違えど、奇をてらいすぎていないという素敵で大胆なセンス。実はインド文化と日本文化は感覚的にとっても合うことがわかる。その融合感がとても新しく、面白かった。
特に音楽が最高。木琴やパーカッションが、三味線、長唄、浄瑠璃と思いのほか相性がいいのだ。その音色を聴いているだけで、ちょっと瞑想モードに入りそうなほど、とてつもなく気持ちがいい。サントラ盤が欲しいくらいにずっと聴いていたかった。
舞台美術は日本なのかインドなのかを超越したガンジス川の景色や、帷幄の家紋がインド風の紋様など細部まで楽しめるし、迫力ある豪華なシーンも多々。姫が象に乗って出てきたり、戦いの場面で菊之助さんと松也さんが、馬の引くチャリオットに乗って舞台を駆け巡ったり。長い演目だが、飽きることがない。
ヨガを勉強してきた視点からも大変興味深かった。ヨガ哲学で必ず勉強する「バガヴァッド・ギータ」の場面もある。ヨガの講義で何度勉強しても、いまいちその教えがピンと来なかったのだが、今回の舞台で、私の中でようやく腑に落ちた気がする。
「執着しない」
「やるべきことをやりきる」
国も時代も超えて届くメッセージを胸に歌舞伎座を後にした。
哀しさもありながら、とても清々しい観後感の残る舞台。菊之助さんはじめ、作り上げたみなさんの努力が昇華されているからだろう。
初演を見られて、とても幸せ!再演が今から楽しみです。
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