ロシアの<ヴォストーク社>の目覚まし時計(2017年04月28日)

ここまでのサハリン滞在で、特段に「朝寝坊」のような状況は発生しておらず、寧ろ「早寝早起き」な感じなのですが、それでも「使い易い目覚まし時計」を部屋に置いておきたくなりました。

↓事務所から遠くない<サハリン百貨店>のテナントの時計店でこんなモノを見付けて、気に入ったので求めてみました。
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↑ロシアの<Восток>(ヴォストーク)という会社の製品で、酷くデザインに惹かれました。「如何にも!」という感じの目覚まし時計です。

1800ルーブルで、電池で動く「普通なモノ」です。自身では気に入ったモノで、「こういう感じ」と納得した買物でしたが、「とりあえず目覚まし時計」ということなら、もっと安価なモノも色々在るので、「やや高い」という見方も在るかもしれません。或いは「サハリンで変わったモノを土産に求めて」というようなことを考える場合、存外に好い選択になるかもしれません。

方々で、腕時計に関しては驚く程に豊富な品揃えなのですが、こういう「部屋に一寸置いておく目覚まし時計」のようなモノは、意外に少ない感じがしています。

「ロシアで過ごしている時間を、ロシアの時計が刻んでいる」という具合で、部屋に置いて愛用し始めました。

「映画の入場料より高い?」感じだった映画館のポップコーンLサイズ(2017年04月29日)

土曜日の休日を利用し、商業施設<シティーモール>の館内に在る"シネコン"を訪ねました。7つのホールを備えたなかなかに立派なモノです。

<Спасти Пушкина>(スパスチー・プーシキナ)(プーシキンを救え)という、公開されたばかりのロシア映画を愉しもうとしたのでした。

窓口ではモニター画面に会場配置図が出て、「何列目の〇番」と申し出て入場券を買う方式になっています。無事に求めた入場券は280ルーブルでした。作品毎に、また曜日や時間帯で入場料金が変わる仕組みになっているようです。

少し入場まで時間が在ったので、<シティーモール>の館内を眺めたり、珈琲を頂くなどしていて、上映時間が近付いたので"シネコン"を訪ねました。

映画上映の時間帯が近付き、"シネコン"の中を見回せば、ホールに持込みが認められている飲物やポップコーンが売られている事に気付きました。「ポップコーンを頂きながら映画...」というのが酷く好い感じに思えて、求めてみることにしました。

S、M、L、XLと英語のアルファベットでサイズの表示が在ります。売場の方に「Lを」と申し出ると、「サリャンヌィー?スラットキー?」と尋ねられました。「ポップコーンに何やら種類?」と一瞬戸惑いましたが、普通の塩味のモノか、キャラメルソースのような何かを絡めたモノかという意味であろうと推測し、「スラットキー」と応えました。すると売場の方が頷いて、Lの大きなカップにザクザクとポップコーンを注ぎ込み、そのカップを半透明のレジ袋に入れてくれました。380ルーブルでした。

↓入場待ちの短い間に、辺りのテーブルの所で、ポップコーンの中身を拝見しました。(ホールは薄暗いので判り難いですから...)
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↑甘味のソースは様々な色のモノで、何やら独特な外観のポップコーンになっています。

ゆったりと映画を愉しみ―どうしたものか、私が入った上映では"貸切"な状態でした。―ながら、この不思議な外観のポップコーンをゆっくりと頂きました。キャラメル風というのか、甘味が適当に素のポップコーンに絡まり、「なかなかに好い」と思いながら頂きました。

考えてみれば「280ルーブルの映画入場料に対して380ルーブルのポップコーン」というのは、単純に計算すると「1800円の映画入場料に対して2400円のポップコーン」という"比率"になってしまいます。

しかし、<シティーモール>の館内では「カプチーノ(大)」というような、持ち出し用カップで売られている珈琲が200ルーブルだったことを想うと、映画入場料は「日本の"1800円"」のような感覚ではないことは間違いないと思います。

結局、モノの値段に関しては「その社会での価値観」が反映されているので、単純に為替レートを持ち込んで「日本円で〇円だから安い、高い」と論じてどうなるものでもないということでしょう。

それにしても、このポップコーンが美味しかったので、またこの映画館に寄る機会が在れば「アンコール!」してみたいものです。

サハリンでロシア映画を鑑賞:<Спасти Пушкина>(スパスチー・プーシキナ)(プーシキンを救え)(2017年04月29日)

近所に、ボリュームが在るサンドイッチを頂きながらビールを呑める店が在り、何となく足が向きます。

↓その店で流れていたテレビに映った、映画を紹介する映像です。
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↑<Спасти Пушкина>(スパスチー・プーシキナ)(プーシキンを救え)という、2017年のロシア作品!4月27日から公開されたばかりの作品です。テレビで紹介されるのを視た時には「近日公開」という扱いでした。

アレクサンドル・セルゲイヴィチ・プーシキン(1799年06月06日-1837年02月10日)は、ロシアでは最も有名で、最も評価が高い詩人で、所謂"近代文学"の礎となるような作品を多く遺したとされます。

サハリンで、或いはロシアの何処ででも「プーシキンの誕生日?」とでも話題を持ち出せば、10人中8人か9人は「6月6日ですよね...」と躊躇無く応えられるような、そういう程度―日本でも文学史を飾る多くの作家が在りますが、「誕生日?」とでも話題にすれば「知らない...」という作家ばかりだと思います。―に有名な詩人です。この"超"が付く程度に有名な19世紀の文学者が、21世紀の街に現れるという、SF調な設定と、学園ドラマ的な要素が絡まり合ったようなコメディー作品が<Спасти Пушкина>(スパスチー・プーシキナ)(プーシキンを救え)という作品です。

1837年...小雪が舞う中で、プーシキンは命を落とすことになった"決闘"へ向かっていました。プーシキンは相手と対峙しています。

2017年...モスクワの、その名も<プーシキン高校>では、担任の先生の指導の下、生徒達が学校行事の準備を賑々しく行っています。スピーチ大会、詩の朗誦の会のような催しで、校内のホールに学校名に因んだプーシキンの大きな肖像画を飾ろうとしていました。

その場で、「おじいちゃんの宝物をこっそり持って来た」というエゴールが、親友のフョードルに<プーシキンの時計>なるモノをこっそりと見せています。年代モノの懐中時計です。他の生徒がそれを視て、「おい、見せろよ!」というようなことになり、何やら争奪戦のようになり、終いに時計が宙に舞いました。落ちて壊れては大変と、エゴールとフョードルが時計が飛んでしまった方に飛び込んで、モノを無事に掴んだのでしたが、そこで妙なことが起こりました。

エゴールとフョードルは、時間と空間が捻じれた中に飛び込んでしまって、プーシキンが決闘して銃弾が発せられる瞬間にタイムスリップし、そして次の瞬間にプーシキン本人と諸共に元の2017年に戻ったのでした。

気候の好い5月頃の設定という感じの学校に、冬の外套姿で粉雪を少々被ったプーシキンが不意に現れ、居合わせた生徒達や先生は驚いて騒ぎます。プーシキン本人も「何処に居るんだ?私は?」と困惑しています。

こういう騒ぎになれば、早速にプーシキン高校の生徒達の中の"ブロガー"がビデオをネットで流します。それを視て、多少名前の売れたトークショーの司会者が、番組一本を制作する、カメラに照明や音声に、メイク係から番組内の"ジングル"を生演奏するバンドと歌手に至るまでの大チームを引き連れてプーシキン高校に乗り込んで来て、生放送まで始まりました。

「あなたは本物のプーシキンなのですか?」と問う司会者。対するプーシキンは「私には皆さんの御質問の意味が...判らない...」という反応。そんな小さな騒ぎが続きます。

こういう騒ぎの他方、エゴールとフョードルは「何とかプーシキンを元の世界に戻さなければ...」と色々と考えます。そこに彼らと仲が好い女子生徒のミラーナが現れ、「戻っても命を落とすだけなのだから、助けてあげましょう」と言い出します。しかし、エゴールとフョードルは「そんなことをして歴史を変えると、大変なことになってしまう!」と必死です。

そうして何やら混乱する中、「恐らく"タイムマシーン"」と見受けられる時計の争奪戦が始まったり、プーシキンを金儲けのネタにしようとする人達が蠢きます。他方でエゴールとフョードル、加えてミラーナと担任の先生の4人で、先生の愛車で走り回って、プーシキンに「21世紀のモスクワ」を見せて回ります。

余りにも有名な文学者の"ホンモノ"と、妙な切っ掛けで交流することになった現代の高校生達。自身の時代から200年近くも後の時代の少年少女達と不思議な交流を経験する19世紀の詩人。凄く愉しい物語でした!

プーシキンが21世紀の街を行く場面では、カフェで視掛けたウェイトレスが素敵だと、紙に詩を書き残して去ってみて、ウェイトレスが後から感激していたとか、プーシキンの銅像の真似をする大道芸人に「商売の邪魔をしてくれるな!」と絡まれて大喧嘩になる寸前の騒ぎが起こったり、大きな銅像を視て「私に似ている!」と驚き、子どもが「プーシキンだ!」と寄って来て写真をお願いされ、親が何やら現代の紙幣を彼に渡してみたり等々、笑いが止まりませんでした。

映画は、商業施設<シティーモール>の館内に在るシネマコンプレックスで観ました。最も小さい部類のホールで上映されていたのでしたが、筆者が立ち寄った回の上映は"貸切"状態でした。

"人気作品"と呼び得るのか否か、よく判りません。凄く愉しみましたが。日本での紹介が在るのか否かは判らないのですが、出来れば紹介されて欲しい作品です。