観劇:<チェーホフセンター>の『桜の園』(2017年11月05日)
早朝に氷点下、日中はプラス5°Cを挟むような辺りという気温帯が何となく定着しているユジノサハリンスクです。
↓劇場の<チェーホフセンター>の傍ですが、寒そうな枝の木が在って、木の根元に落葉が溜まっているというような感じばかりが眼に留まるようになっています。
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↓こういう時季になると、劇場に付属の劇団が定期的に公演を行う"シーズン"です。
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↑<チェーホフセンター>では、こういうように建物の前の広場に「今月の公演演目」というような具合の告知を出しています。随分以前には、劇場の入口辺りに掲示板のようなモノが設けられていたのですが、何時の頃からかこういう方式になっています。
<チェーホフセンター>という名を冠していますが、これは「サハリンに足跡を残している、非常に有名な劇作家」であるチェーホフに敬意を表しているまでのことで、チェーホフの戯曲で公演を行うことを専らとしているのでもありません。しかし、それでも演目を視ていると「これ?チェーホフの作品!」というモノが在ります。
現在、<チェーホフセンター>では「第87期」と呼んでいるシーズンの最中です。現在の場所での活動は1947年頃からですが、劇場の歴史としては「アレクサンドロフスク・サハリンスキーで起こった演劇の劇場」を起源と考えているので、現在は「87期」なのです。
今季の演目に『桜の園』が在ります。
『桜の園』はチェーホフの「最後の劇作品」と言われていて、1903年に完成した戯曲で、1904年に<モスクワ芸術座>で初演されています。『かもめ』、『ワーニャ伯父さん』、『三人姉妹』と共に「チェーホフ四大戯曲」と呼ばれている作品です。
「チェーホフ四大戯曲」は、ロシアの数多くある劇場で頻繁に取り上げられています。恐らく、毎年「全国の何箇所もの劇場で演じられている」ことでしょう。それに止まらず、戯曲は各国語に翻訳されていて世界中の演劇関係者が取上げています。日本国内でも、この「チェーホフ四大戯曲」を取上げている事例は幾つも在る筈です。何処の図書館にも、外国文学のコーナーが在れば大概はこれらを読めますし、手軽な文庫本も何種類か見受けられます。
↓『桜の園』の公演の情報を得て、<チェーホフセンター>の窓口でチケットを求めました。コンピュータと連動のプリンタで書式―<チェーホフセンター>の建物をイメージした美しいイラストが入っています。―に必要事項が刷り込まれたチケットが出て来ます。「05.11.2017」とロシア流に「日/月/年」で日付が在り、「18:00」と開演時間です。『桜の園』は<Вишнёвый сад>(ヴィシニョーヴィー サード)で、「パルテール」という区画の「9列目」で、席番号が「6番」です。チケットの価格は「900ルーブル」です。
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↑<チェーホフセンター>の窓口では「11月5日の『桜の園』のチケットを1枚」と申し出ると、窓口のスクリーンに既に売れてしまった席と空席が判るようになった場内配置図が示され、空いている場所から「ここ!」と指定して券を求める仕組みでした。最近は、映画も含めて、こういう仕組みが「半ば当然」になっているようです。実は、筆者は1990年代にモスクワで色々と演劇を観た想い出が在るのですが、その頃には「空いているのは...」と窓口の係員とああだ、こうだとやり取りをしながらチケットを入手したもので、「誰でも判り易い」現在の仕組みは少し驚きます。
↓当日、開演時間の20分位前です。
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↑何となく賑わっているような感じです。入場してみれば、「あの辺に空席...」という場所が見当たらないような、「多分、満席」という状態でした。
↓伝統の演目であるチェーホフの『桜の園』は「お勧め」であるらしく、劇場の脇の壁にかなり大きなバナーが掲出されていました。
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↑演じられる劇の画も入っていて、少し雰囲気が判ります。
『桜の園』は、"桜の園"と呼ばれる、時季には美しい花が咲く木々の在る場所が知られる貴族の領地に女主人が帰って来て、そこで巻き起こる出来事というお話しです。受け継がれた資産を費消するばかりの人達の他方に、新たに台頭して資産を形成しようとする人達が在るというような、作品が綴られた時代に見受けられたらしい事象が取上げられています。
『桜の園』の"<チェーホフセンター>版"ですが、開いたり閉まったりの幕が廃されたステージで「最近の演出」を感じさせます。大きく古い本棚をイメージしたモノ、椅子、小さなテーブル、切り株が倒木を思わせるモノなど、最小限の抽象的な大道具で"作中世界"の背景を「感じさせる」ような、或る意味「舞台の演劇らしい」感じの見せ方でした。そして、少し知られた作品なのか、オリジナルなのかは判然としませんでしたが、音楽が効果的に使われていました。
この『桜の園』は、「1904年に<モスクワ芸術座>で初演」という時代からどれだけの場所で、どれだけの回数演じられたか判らない、知る術も無い程に繰り返し上演されている筈ですが、それでも「新しい演出」が毎年のように何処かで登場する「本当の古典」です。そんな"力"の在る脚本に正面から取り組んだ、<チェーホフセンター>の「お勧め」をゆっくり鑑賞する機会が持てたことは大変に幸いでした。
↓劇場の<チェーホフセンター>の傍ですが、寒そうな枝の木が在って、木の根元に落葉が溜まっているというような感じばかりが眼に留まるようになっています。
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↓こういう時季になると、劇場に付属の劇団が定期的に公演を行う"シーズン"です。
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↑<チェーホフセンター>では、こういうように建物の前の広場に「今月の公演演目」というような具合の告知を出しています。随分以前には、劇場の入口辺りに掲示板のようなモノが設けられていたのですが、何時の頃からかこういう方式になっています。
<チェーホフセンター>という名を冠していますが、これは「サハリンに足跡を残している、非常に有名な劇作家」であるチェーホフに敬意を表しているまでのことで、チェーホフの戯曲で公演を行うことを専らとしているのでもありません。しかし、それでも演目を視ていると「これ?チェーホフの作品!」というモノが在ります。
現在、<チェーホフセンター>では「第87期」と呼んでいるシーズンの最中です。現在の場所での活動は1947年頃からですが、劇場の歴史としては「アレクサンドロフスク・サハリンスキーで起こった演劇の劇場」を起源と考えているので、現在は「87期」なのです。
今季の演目に『桜の園』が在ります。
『桜の園』はチェーホフの「最後の劇作品」と言われていて、1903年に完成した戯曲で、1904年に<モスクワ芸術座>で初演されています。『かもめ』、『ワーニャ伯父さん』、『三人姉妹』と共に「チェーホフ四大戯曲」と呼ばれている作品です。
「チェーホフ四大戯曲」は、ロシアの数多くある劇場で頻繁に取り上げられています。恐らく、毎年「全国の何箇所もの劇場で演じられている」ことでしょう。それに止まらず、戯曲は各国語に翻訳されていて世界中の演劇関係者が取上げています。日本国内でも、この「チェーホフ四大戯曲」を取上げている事例は幾つも在る筈です。何処の図書館にも、外国文学のコーナーが在れば大概はこれらを読めますし、手軽な文庫本も何種類か見受けられます。
↓『桜の園』の公演の情報を得て、<チェーホフセンター>の窓口でチケットを求めました。コンピュータと連動のプリンタで書式―<チェーホフセンター>の建物をイメージした美しいイラストが入っています。―に必要事項が刷り込まれたチケットが出て来ます。「05.11.2017」とロシア流に「日/月/年」で日付が在り、「18:00」と開演時間です。『桜の園』は<Вишнёвый сад>(ヴィシニョーヴィー サード)で、「パルテール」という区画の「9列目」で、席番号が「6番」です。チケットの価格は「900ルーブル」です。
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↑<チェーホフセンター>の窓口では「11月5日の『桜の園』のチケットを1枚」と申し出ると、窓口のスクリーンに既に売れてしまった席と空席が判るようになった場内配置図が示され、空いている場所から「ここ!」と指定して券を求める仕組みでした。最近は、映画も含めて、こういう仕組みが「半ば当然」になっているようです。実は、筆者は1990年代にモスクワで色々と演劇を観た想い出が在るのですが、その頃には「空いているのは...」と窓口の係員とああだ、こうだとやり取りをしながらチケットを入手したもので、「誰でも判り易い」現在の仕組みは少し驚きます。
↓当日、開演時間の20分位前です。
05-11-2017 観劇 (4).jpg
↑何となく賑わっているような感じです。入場してみれば、「あの辺に空席...」という場所が見当たらないような、「多分、満席」という状態でした。
↓伝統の演目であるチェーホフの『桜の園』は「お勧め」であるらしく、劇場の脇の壁にかなり大きなバナーが掲出されていました。
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↑演じられる劇の画も入っていて、少し雰囲気が判ります。
『桜の園』は、"桜の園"と呼ばれる、時季には美しい花が咲く木々の在る場所が知られる貴族の領地に女主人が帰って来て、そこで巻き起こる出来事というお話しです。受け継がれた資産を費消するばかりの人達の他方に、新たに台頭して資産を形成しようとする人達が在るというような、作品が綴られた時代に見受けられたらしい事象が取上げられています。
『桜の園』の"<チェーホフセンター>版"ですが、開いたり閉まったりの幕が廃されたステージで「最近の演出」を感じさせます。大きく古い本棚をイメージしたモノ、椅子、小さなテーブル、切り株が倒木を思わせるモノなど、最小限の抽象的な大道具で"作中世界"の背景を「感じさせる」ような、或る意味「舞台の演劇らしい」感じの見せ方でした。そして、少し知られた作品なのか、オリジナルなのかは判然としませんでしたが、音楽が効果的に使われていました。
この『桜の園』は、「1904年に<モスクワ芸術座>で初演」という時代からどれだけの場所で、どれだけの回数演じられたか判らない、知る術も無い程に繰り返し上演されている筈ですが、それでも「新しい演出」が毎年のように何処かで登場する「本当の古典」です。そんな"力"の在る脚本に正面から取り組んだ、<チェーホフセンター>の「お勧め」をゆっくり鑑賞する機会が持てたことは大変に幸いでした。
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ガーゴイル