<2019 ロシア劇場年間 『シアターマラソン』>とは?!(2019年01月23日)
ハバロフスクで演劇の活動を続けている<ハバロフスク地方ドラマ劇場>のグループがユジノサハリンスクに乗り込み、<チェーホフセンター>で公演を行うということで、その初日の演目であった『犬の心臓』を大変に興味深く観たところでした。
>>観劇:<ハバロフスク地方ドラマ劇場>のユジノサハリンスク公演から 『犬の心臓』(Собачье Сердце)(2019年01月23日)
同じ小説を原案とする劇が、偶々<チェーホフセンター>でも制作されていて、その公演を観ていたことから強い興味で劇場に入りました。券売窓口で「最後の1枚...」という話しだった、大きなホールの最後列の席の券を手に、ステージの赤系の幕が開くのを待っていました。
そして幕が開くと、ステージ全体を覆うよう真っ白なモノが在りました。スクリーンのようです。「こういう趣向なのか?!」と半ば身を乗り出すように視ていると、何やらロシアの地図の線画的なCGのようなモノが映写され始めました。
「どういうことだ?!何なんだ!?」と思っていると、<2019 ロシア劇場年間 『シアターマラソン』>というような意味の字幕です。そしてステージの脇に司会者が登場しました。
正直に申し上げて「余計なゴタゴタは全く要らない!!!劇を観に来たのだ!!速く見せろ!!」と内心で思わないでもなかったのですが、今般の「<ハバロフスク地方ドラマ劇場>のユジノサハリンスク公演」に関連する「少し興味深く、少々驚かされる」という事柄が紹介されました。
ロシアでは、文化振興策ということで、例えば「劇場年間」というように銘打って、各地で様々な催しを行うようなことが幾つかの分野で行われているようです。今年はその「年間」のテーマに「劇場」が選ばれた訳です。
「劇場」は「театр」(チャートル)と言いますが、これは「客席や舞台の在るホールを備えた"○しろまる○しろまる劇場"という建物」を指し示す語であると同時に、「劇、オペラ、バレエのような舞台で上演されるモノ全般」を示す語になっています。また"○しろまる○しろまる劇場"というように言うと、「建物のみではなく、演劇等の公演の制作上演を行うグループが活動している」というイメージになります。「演劇等の公演も可能な建物」というだけの存在であれば、それは例えば"文化センター"とか"○しろまる○しろまるホール"と呼ばれます。「劇場」、「театр」(チャートル)と言う場合は、色々な含意が感じられる訳です。
「劇場」、「театр」(チャートル)は「活動する人々の集まり」という側面も強く、そしてその活動はロシアに在っては、広大な国土の隅々に及んでいるのです。演劇だけでも、「古典」と言い得るモノから「新しい創作」という性質のモノまで、様々なモノが制作されて公演されています。現に、ユジノサハリンスクの<チェーホフセンター>も活動していれば、ハバロフスクの<ハバロフスク地方ドラマ劇場>も活動していて、彼らが制作した劇の公演を観ている訳です。
真っ白なスクリーンが在るステージに、サハリン州代表とハバロフスク地方代表が登場し、「劇場年間」ということになった2019年に催す取組である<2019 ロシア劇場年間 『シアターマラソン』>の紹介が、劇の上演に先駆けて行われました。
『シアターマラソン』?聞き慣れない表現です。
↓これがその『シアターマラソン』を紹介するリーフレットです。<チェーホフセンター>の館内で配布していました。
24JAN2019 (2).jpg
↑「ウラジオストクからカリーニングラードへ 85の街」というキャッチフレーズが入っています。
↓こういう表を開くと、上のような内容が出て来ます。
24JAN2019 (1).jpg
↑「劇場年間」のシンボルマークとして、半円形の「劇場の客席」をイメージした図案が使われています。
これはどういうことでしょうか?「ウラジオストクからカリーニングラードへ」と言うだけで「広大なロシアの東端から西端へ」というイメージになると思われます。
これはウラジオストクで『シアターマラソン』を開幕し、ウラジオストクの劇場のグループがハバロフスクへ赴いて公演を催します。次はハバロフスクの劇場がユジノサハリンスクへ赴いて公演します。その次はユジノサハリンスクの劇場がペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ赴いて公演します。こういう要領で、「出向いての公演」をリレーするというのが『シアターマラソン』です。
1月18日にウラジオストクで開幕した『シアターマラソン』ですが、ハバロフスク、ユジノサハリンスクと少しだけ進みました。以降、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ向かって「極東連邦管区」の各連邦構成体の街を巡り、「シベリア連邦管区」、「ウラル連邦管区」、「沿ヴォルガ連邦管区」、「中央連邦管区」、「南連邦管区」、「北コーカサス連邦管区」、「北西連邦管区」とロシア全土をくまなく巡り、11月15日のカリーニングラードが"ゴール"なのです。
「ウラジオストクからカリーニングラードへ」の長い道程で「公演のリレー」が行われるのが、連邦構成体の数である85(※(注記))なのです。
約11ヶ月間もの長丁場で85都市で「公演のリレー」というのは壮大な話しです。他方、これを聞いて驚いたのは、この取組が実施される以上「国の隅々まで、各連邦構成体の主要な街で、須らく"劇場活動"が見受けられる」ということで、寧ろそのことに関して少し驚かされました。
1月23日の劇の上演に先駆けて、ステージ上ではハバロフスク地方代表から「リレーのバトン」に相当する<2019 ロシア劇場年間>の記念品がサハリン州代表に手渡されました。恐らく、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーでは、サハリン州代表が記念品をカムチャッカ地方代表に渡すことになるのでしょう。
こういうような取組で、国全体の文化活動の活性化を目指しているようで、<2019 ロシア劇場年間 『シアターマラソン』>についてはロシア連邦文化省と各連邦構成体の行政府が支援しているようです。
ロシアに関しては「舞台芸術の国」というイメージも或る程度強いとは思われますが、こういうような振興策が進められているのです。
※(注記) ロシアの連邦構成体の数に関して、ロシアでは「85」としています。が、諸外国ではクリミアの2つの構成体に関して「認められない」という立場で「83」としています。
>>観劇:<ハバロフスク地方ドラマ劇場>のユジノサハリンスク公演から 『犬の心臓』(Собачье Сердце)(2019年01月23日)
同じ小説を原案とする劇が、偶々<チェーホフセンター>でも制作されていて、その公演を観ていたことから強い興味で劇場に入りました。券売窓口で「最後の1枚...」という話しだった、大きなホールの最後列の席の券を手に、ステージの赤系の幕が開くのを待っていました。
そして幕が開くと、ステージ全体を覆うよう真っ白なモノが在りました。スクリーンのようです。「こういう趣向なのか?!」と半ば身を乗り出すように視ていると、何やらロシアの地図の線画的なCGのようなモノが映写され始めました。
「どういうことだ?!何なんだ!?」と思っていると、<2019 ロシア劇場年間 『シアターマラソン』>というような意味の字幕です。そしてステージの脇に司会者が登場しました。
正直に申し上げて「余計なゴタゴタは全く要らない!!!劇を観に来たのだ!!速く見せろ!!」と内心で思わないでもなかったのですが、今般の「<ハバロフスク地方ドラマ劇場>のユジノサハリンスク公演」に関連する「少し興味深く、少々驚かされる」という事柄が紹介されました。
ロシアでは、文化振興策ということで、例えば「劇場年間」というように銘打って、各地で様々な催しを行うようなことが幾つかの分野で行われているようです。今年はその「年間」のテーマに「劇場」が選ばれた訳です。
「劇場」は「театр」(チャートル)と言いますが、これは「客席や舞台の在るホールを備えた"○しろまる○しろまる劇場"という建物」を指し示す語であると同時に、「劇、オペラ、バレエのような舞台で上演されるモノ全般」を示す語になっています。また"○しろまる○しろまる劇場"というように言うと、「建物のみではなく、演劇等の公演の制作上演を行うグループが活動している」というイメージになります。「演劇等の公演も可能な建物」というだけの存在であれば、それは例えば"文化センター"とか"○しろまる○しろまるホール"と呼ばれます。「劇場」、「театр」(チャートル)と言う場合は、色々な含意が感じられる訳です。
「劇場」、「театр」(チャートル)は「活動する人々の集まり」という側面も強く、そしてその活動はロシアに在っては、広大な国土の隅々に及んでいるのです。演劇だけでも、「古典」と言い得るモノから「新しい創作」という性質のモノまで、様々なモノが制作されて公演されています。現に、ユジノサハリンスクの<チェーホフセンター>も活動していれば、ハバロフスクの<ハバロフスク地方ドラマ劇場>も活動していて、彼らが制作した劇の公演を観ている訳です。
真っ白なスクリーンが在るステージに、サハリン州代表とハバロフスク地方代表が登場し、「劇場年間」ということになった2019年に催す取組である<2019 ロシア劇場年間 『シアターマラソン』>の紹介が、劇の上演に先駆けて行われました。
『シアターマラソン』?聞き慣れない表現です。
↓これがその『シアターマラソン』を紹介するリーフレットです。<チェーホフセンター>の館内で配布していました。
24JAN2019 (2).jpg
↑「ウラジオストクからカリーニングラードへ 85の街」というキャッチフレーズが入っています。
↓こういう表を開くと、上のような内容が出て来ます。
24JAN2019 (1).jpg
↑「劇場年間」のシンボルマークとして、半円形の「劇場の客席」をイメージした図案が使われています。
これはどういうことでしょうか?「ウラジオストクからカリーニングラードへ」と言うだけで「広大なロシアの東端から西端へ」というイメージになると思われます。
これはウラジオストクで『シアターマラソン』を開幕し、ウラジオストクの劇場のグループがハバロフスクへ赴いて公演を催します。次はハバロフスクの劇場がユジノサハリンスクへ赴いて公演します。その次はユジノサハリンスクの劇場がペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ赴いて公演します。こういう要領で、「出向いての公演」をリレーするというのが『シアターマラソン』です。
1月18日にウラジオストクで開幕した『シアターマラソン』ですが、ハバロフスク、ユジノサハリンスクと少しだけ進みました。以降、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ向かって「極東連邦管区」の各連邦構成体の街を巡り、「シベリア連邦管区」、「ウラル連邦管区」、「沿ヴォルガ連邦管区」、「中央連邦管区」、「南連邦管区」、「北コーカサス連邦管区」、「北西連邦管区」とロシア全土をくまなく巡り、11月15日のカリーニングラードが"ゴール"なのです。
「ウラジオストクからカリーニングラードへ」の長い道程で「公演のリレー」が行われるのが、連邦構成体の数である85(※(注記))なのです。
約11ヶ月間もの長丁場で85都市で「公演のリレー」というのは壮大な話しです。他方、これを聞いて驚いたのは、この取組が実施される以上「国の隅々まで、各連邦構成体の主要な街で、須らく"劇場活動"が見受けられる」ということで、寧ろそのことに関して少し驚かされました。
1月23日の劇の上演に先駆けて、ステージ上ではハバロフスク地方代表から「リレーのバトン」に相当する<2019 ロシア劇場年間>の記念品がサハリン州代表に手渡されました。恐らく、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーでは、サハリン州代表が記念品をカムチャッカ地方代表に渡すことになるのでしょう。
こういうような取組で、国全体の文化活動の活性化を目指しているようで、<2019 ロシア劇場年間 『シアターマラソン』>についてはロシア連邦文化省と各連邦構成体の行政府が支援しているようです。
ロシアに関しては「舞台芸術の国」というイメージも或る程度強いとは思われますが、こういうような振興策が進められているのです。
※(注記) ロシアの連邦構成体の数に関して、ロシアでは「85」としています。が、諸外国ではクリミアの2つの構成体に関して「認められない」という立場で「83」としています。
この記事へのコメント