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セルビア
Serbia
2008 年の世界金融危機及び2009 年秋以降のギリシャの財政危機は、貿易額の減少等を通じてセルビア経済に大きな影響を与え、2009 年の経済成長はマイナス3.5%となりました。セルビアが安定した民主的国家として発展することは、南東欧地域全体の安定のために重要であり、国際社会はこのような観点からセルビアを支援しています。2010年以降は経済は緩やかな回復を見せる中、同国の経済成長に伴い、2010年度に一般無償資金協力は卒業しましたが、JICAは引き続き技術協力及び2011年度より開始した円借款により、(1)市場経済化、(2) 医療・教育、(3)環境保全を重点分野として支援しています。
Project プロジェクト
JICAがセルビアで実施する事業・プロジェクトの情報を提供します。
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国家乳がん早期発見プログラム改善プロジェクト
セルビアでは、がんによる死亡が多く、乳がん患者の約7割は、診断時点でがん組織が拡大し半数以上が既に他の部位に転移しているといわれています。この早期発見の遅れに加え、がん治療に必要な機器の不足や医師・技術者などの人材不足なども高い死亡率の原因になっています。2009年に「乳がん対策プログラム(NBCPP)」が策定され、2013年に改訂版として「国家乳がん対策早期発見プログラム(NPEDBC)」が策定されました(それに伴いNBCPPは廃止)。この協力では、NPEDBC責任機関の計画立案能力、モニタリング評価能力、下位機関に対する実施支援能力の強化を支援します。これにより、同機関のNPEDBC運営管理能力の強化を図り、効果的な実施に貢献します。
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エネルギー消費セクターにおけるエネルギー管理制度拡大支援プロジェクト
セルビアでは一次エネルギーの約4割を輸入に依存しており、エネルギー安全保障の観点から、エネルギー源の多様化と省エネルギーの推進が求められています。過去に日本は、エネルギー消費セクターにおけるエネルギー管理制度の導入調査の協力を実施しましたが、この協力では、同調査の結果に基づき、同管理制度を推進していくため、エネルギー管理士およびエネルギー診断士の研修プログラムの確立や、エネルギー管理士および診断士の資格の制度化などにかかる人材育成を支援しました。これにより、同国にエネルギー管理制度が導入され、ひいては省エネルギーの推進に寄与しました。
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ニコラ・テスラ火力発電所排煙脱硫装置建設事業
セルビアのニコラ・テスラA火力発電所は、国内電力量の4分の1を占める発電所です。しかし環境設備が未設置であるため、二酸化硫黄(SO2)や煤塵といった有害物質による環境や周辺住民への悪影響が懸念されています。南東欧エネルギー共同体条約加盟国であり、将来のEU加盟を目指すセルビアにとって、大気汚染物質の削減は喫緊の課題です。そこでこの協力では、同国初となる排煙脱硫装置の建設を支援します。これにより、大気汚染の大幅な改善のほか、EU加盟に向けたEU環境基準の達成に貢献することが期待されます。
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セルビア共和国中核病院医療機材整備計画
セルビアは、長期にわたる旧ユーゴ紛争の影響で、医療機関では老朽化した医療機材の更新が行われてこず、また難民の流入によって失業者や貧困層の割合が増加しており、医療保健分野の再建は緊急課題となっていました。この協力では、地方の中核病院4施設を対象に、X線撮影装置や超音波診断装置などの医療機材の更新を支援しました。これにより、整備された医療機材を使って精度の高い診断や治療が可能となり、対象病院では検査受診件数が著しく増加し、同国における医療サービスの向上に貢献しました。
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デジタル国土基本図作成能力開発プロジェクト
セルビアでは、旧ユーゴ内戦などで疲弊した経済を立て直すために、社会インフラの整備が重要な課題となっており、特に、国土の現状を把握できる全土の国土基本図の整備が不可欠でした。しかし、国土基本図(紙地図方式)の整備は1980年代に止まったまま進んでいない状況でした。また、デジタル形式の地図作成は、アナログ方式と全く異なる手法であり、独自で習得するのは困難です。この協力では、デジタル国土基本図作成に必要な規程類の整備、デジタル地形図作成・更新体制の確立、技術研修プログラムの確立を支援しました。これにより、同国で広くデジタル地形図が活用されることに寄与しました。
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ベオグラード市上水道整備計画(第1期)
セルビアの首都ベオグラード市では、上水道施設が老朽化により頻繁に故障し、取水できる地下水の減少もあり水不足を起こしていました。数多い上水道施設が包括的に運用されないため適切な水配分がされず、多くの地域が水不足に陥っていました。また、水質分析機器の故障により、水質管理業務にも支障を来していました。この協力では、監視・制御・データ集積システムの構築、排水ポンプ・水質試験機器を更新することにより、市内の既存上水施設の適切な運営・維持管理を図ることで、市内の給水事情を改善し、安全で安定的な飲料水供給に寄与しました。
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乳がん早期発見機材整備計画
セルビアの疾病構造をみると、心臓血管病に次いでがんによる死亡が多くなっています。その原因としては検診制度が整備されておらず、早期発見・治療が遅れていることがあげられます。特に発生率の高い乳がんは、早期発見により90パーセント以上が治癒できるにもかかわらず、セルビアでは早期発見率は25パーセントに留まっており、発病から3年未満の患者のうち25パーセントが、不治状態または死亡しています。日本は、セルビアにおける乳がん検診体制の構築を図るため、全国39の医療施設において、マンモグラフィ装置及び周辺機材の整備を支援しました。
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廃棄物管理能力向上プロジェクト
セルビアでは経済成長と都市化が進む中、廃棄物の管理体制改善が課題となっており、特に最終廃棄物埋立地の不適切な管理による地域環境や周辺住民の健康への影響が懸念されています。そのため、同国政府は、国全体を27の地域に区分した広域廃棄物管理システムを導入し、地方自治体に対し同システムへの加入及び廃棄物の分別収集の推進等を行いました。しかし、中小規模の自治体は、運搬・処理費用等の負担増加が見込まれるため、同システムへの加入に積極的ではありません。本事業は、同国シド市において、発生源分別、廃棄物の減量化を含む3R(Reduce=廃棄物の発生抑制、Reuse=再利用、Recycle=再資源化)の推進を通じて中小自治体における効率的で持続可能な一般廃棄物管理のモデルを確立し、当該モデルを同国内の他の中小自治体へ普及することにより、広域廃棄物管理システム推進に寄与します。
- 事業別プロジェクト一覧
- プロジェクト所在地図
技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力、草の根技術協力それぞれのプロジェクト情報は以下からもご覧いただけます。
セルビアで実施中のプロジェクトがどの地域で行われているかご覧いただけます。
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