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ブラジル
Brazil
ブラジルは世界有数の経済規模を有する一方、所得格差が世界で最も大きい国の一つです。また、広大な国土や世界最大のアマゾン熱帯雨林をはじめとする雄大な自然、鉱物・エネルギー等多種多様かつ豊富な天然資源、穀物・肉類はじめ世界有数の農業生産を誇り、環境・気候変動、資源・エネルギー、食料安全保障といった地球規模課題に大きな影響を与えうる存在です。JICAは、急速な都市化がもたらす弊害を緩和し、天然・食料資源の安定的供給に資する分野への支援を行っていくこと、また三角協力を通じた互恵的協力関係構築を図ることを踏まえて、次の重点分野を支援しています。
(1)都市問題と環境・防災対策
都市環境の悪化に対し、日本の先進的な技術を活用した環境負荷の少ない環境配慮型都市構築の分野において、環境・衛生の改善、交通渋滞の緩和に向けた支援を行っていく。また、防災や地球規模課題の解決に資する支援も行っていく。
(2)投資環境改善
産業競争力強化のための環境整備や技術支援等、民間資金との連携も念頭に、人的資源の拡充を含め経済成長を促進する分野での支援を行っていく。
(3)三角協力支援
我が国は2000年にブラジルとの間で開発協力のパートナーシップ・プログラム(JBPP:Japan-Brazil Partnership Programme)を締結し、以来、この枠組みを通して、日・ブラジル双方の開発方針に合致する分野において、中南米やポルトガル語圏アフリカ諸国に対し、三角協力を実施している。引き続き、両国、被援助国間の緊密な連携の下に効果的な支援を実施していく。
Project プロジェクト
JICAがブラジルで実施する事業・プロジェクトの情報を提供します。
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"フィールドミュージアム"構想によるアマゾンの生物多様性保全プロジェクト
アマゾン川最大の支流に位置するブラジルのアマゾナス州の州都マナウスは、多様で貴重な自然環境があり、多くの国立公園や保護区が隣接している一方、急速な都市の拡大により自然環境が喪失しています。熱帯林の急速な破壊や劣化による生物多様性の大規模な喪失をいかにくい止め、地域社会の持続可能な発展を図るかが、地球規模の緊急課題となっています。この協力では、ネットワーク型フィールドミュージアムの構築や、持続的な地域作りを推進する自立的運営・活用組織の構築などを支援しました。これにより、フィールドミュージアムを核とする都市型ヒトと自然の共生モデルが他地域にも普及し、世界の生態系・生物多様性保全に貢献しました。 【上位目標】 アマゾンフィールドミュージアムがプロジェクト終了後もINPA及び関係機関によって拡大され、またフィールドミュージアムの概念が、大都市とその近郊の自然地域における人と自然の調和の取れた共生のモデルとしてアマゾンフィールドミュージアム以外の他の地域に広まる。 【プロジェクト目標】 アマゾンを代表する生物・生態系の科学的研究成果に基づいた環境保全活動の核となるフィールドミュージアムがマナウス周辺において構築される 【結果】 1)対象地域の代表的生物・生態系の研究・保全が新規に開発された手法によって促進される。 2)フィールドミュージアムのコンポーネントが構築され、研究・環境教育・研修・保全のためにネットワーク化される。 3)フィールドミュージアムの運営プログラム及びマネジメントシステムが構築される。
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研修の様子(写真提供:感染研) 新型コロナウィルス感染症にかかるゲノム・モニタリング・ネットワーク強化プロジェクト
ブラジルは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいて、累計感染者数、累計死者数ともに甚大な影響を受けました。その他ジカ熱、インフルエンザ、デング熱、チクングニヤ熱等の感染症が度々流行を起こしており、黄熱、狂犬病等、致死率の高い感染症の発生も常時報告されていることから、ウイルス感染症への対応が公衆衛生上の最大の課題の一つとなっています。 COVID-19に関しては、次々と進化する変異株が出現していること、その他のウイルスが将来的に世界的流行を引き起こす可能性があることを踏まえると、ウイルスの変異をいち早く同定できるゲノム解析を行うことは、より迅速で効果的な公衆衛生政策への活用や薬剤開発にとって必要不可欠です。 本事業は、対象地域において、感染症関連ゲノムのモニタリング体制の整備、日伯共同研究の実施、及びゲノム情報の活用にかかる日伯間での知見の共有により、COVID-19及び他の感染症に対する、効果的かつ迅速性の高いゲノム・モニタリング・ネットワークの確立を図ります。 【上位目標】 ブラジルにおいて、COVID-19及び世界的流行を引き起こす可能性のある感染症に対する、持続可能性かつ迅速性の高いゲノム・モニタリング・ネットワークが強化される。 【プロジェクト目標】 対象地域において、COVID-19及び世界的流行を引き起こす可能性のある他の感染症に対する、効果的かつ迅速性の高いゲノム・モニタリング・ネットワークが確立される。 【成果】 成果1 Fiocruz優先ユニットにおいて、十分な質が担保された上で、効率的に感染症関連ゲノムをモニタリングする仕組みが整備される。 成果2 ブラジルの感染症対策におけるゲノム・モニタリングの重要性を示す科学的根拠が、ブラジルと日本とで実施される共同研究により強化される。 成果3 COVID-19の世界的流行及び他の感染症流行に関するゲノム情報が活用された実例や教訓が、ブラジル・日本両国間及びブラジルの関係者間で共有される。
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ブラジルと日本の薬剤耐性を含む真菌感染症診断に関する研究とリファレンス協力体制強化プロジェクト
ブラジルでは、慢性呼吸器疾患のうち肺結核症の患者発症率が日本の2倍(公益財団法人結核予防会、2015)です。肺結核患者の1割が、真菌感染症の中でも予後(治療後の経過・状態)不良の慢性アスペルギルス症を発症し、その5年生存率は5割以下と推計されています。アスペルギルスが耐性を獲得するしくみは未だ解明されておらず、ブラジル国内での薬剤耐性を示すアスペルギルス菌種の検出頻度を示す公的データもほとんどない状況です。この協力では、同国サンパウロ州カンピーナス都市圏において、薬剤耐性真菌症の疫学情報の把握と薬剤耐性遺伝子検出法の確立を図り、研究機関・医療機関・行政機関の研究協力体制とリファレンス協力体制の強化に貢献します。
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アグリフードチェーンにおけるイノベーション・エコシステム及び持続可能性強化のための精密・デジタル農業共創プロジェクト アグリフードチェーンにおけるイノベーション・エコシステム及び持続可能性強化のための精密・デジタル農業共創プロジェクト
ブラジルでは、持続可能な農業開発に精密・デジタル農業をツールの一つとして活用しようとする取り組みがなされていますが、圃場から取得した複合的データを、より適切な営農・栽培に活用する技術は限定的なものとなっています。 こうした状況から、ブラジル農務省は精密・デジタル農業推進に向けた官民の体制構築と制度・基準の策定に取り組んでいます。本事業は、ブラジルにおいて、日・ブラジル間の官民連携を通じた各分野の実証事業や農業データプラットフォームの整備を支援します。これにより、精密・デジタル 農業の発展が促進され、精密・デジタル農業のオープンイノベーション(情報、意見交換が既存組織の枠組み越えて革新的に行われる)環境形成に寄与するものです。
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チエテ川流域環境改善事業
ブラジル南東部に位置するサンパウロ都市圏の中心を貫流しているチエテ川とその支流では、毎年洪水が発生し河川沿いの幹線道路が遮断、居住・商業地域においては人的・経済的被害が際立っていました。同時に、同都市圏では人口の集中・産業の発達に伴い、新たに水源を確保し上水供給の安定化を進める必要性も高まっていました。日本は、チエテ川、氾濫が著しい支流の一つであるカブス・デ・シマ川において、洪水防止による被害の減少を図るため、河川改修・護岸および安定した水供給を行うためチエテ川上流域においてダムの建設などを支援しました。
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トードスオスサントス基本衛生改善事業
ブラジルのバイア州都サルバドール市は、ユネスコの世界遺産に認定された歴史地区のある観光都市です。しかし1990年代前半の急激な都市化や工業化に伴い、トードス・オス・サントス湾に未処理の生活排水や産業排水が流入しており、市民の生活環境を悪化させるとともに、観光資源へも悪影響をもたらしていました。この協力では、サルバドール市において、管渠の取り付けやポンプ場の建設などの下水道システムの整備を支援しました。これにより、衛生の改善と海洋環境負荷の軽減を図り、住民の生活環境と健康改善に寄与しました。
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パラナ州環境改善事業
ブラジル南東部のパラナ州は上下水道普及率が全国平均よりも下回っており、クリチバ都市圏のほとんどで給水制限が実施されていました。さらには、下水処理能力も不足していたため、河川の水質汚濁が深刻な状況でした。この協力では、同州のクリチバ都市圏およびパラナ州海岸地域において、上下水道の整備を支援しました。これにより、上水サービスを受けた裨益者数は約38万人増加し、給水量は全体で30パーセント以上増加するなど、住民の生活環境の改善と、河川および沿岸部の水質保全に寄与しました。
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東北伯水資源開発事業
ブラジル東北部の内陸部は同国の中で最も乾燥した地域ですが、少ない水資源を長期的・総合的な観点から効率的に用いるという視点が欠如していた結果、住民に対する飲料水の供給が不足していました。この協力では、同地域において、取水施設、導水施設、浄水場、配水池などの施設の整備を支援しました。これにより、住民への安全かつ安定した上水供給を図り、地域住民の生活環境の改善に寄与しました。
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技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力、草の根技術協力それぞれのプロジェクト情報は以下からもご覧いただけます。
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