11月20日は、国連が定める「世界こどもの日」です。すべての子どもたちが健やかに成長し、質の高い教育を受ける権利を守ることを目的としたこの日は、教育の重要性を改めて考える機会となります。JICAもこの理念に共感し、未来の子どもたちのために教育の質を高める取り組みを続けています。
その中で、2025年11月10日から12日まで広島で開催された国際学会 World Association of Lesson Studies(WALS)2025 に高等教育省、教育省、そしてJICA専門家の計6名が参加しました。その学会の中で、彼らはパプアニューギニア(PNG)の数学講師ネットワークを対象としたオンラインによる授業研究の実践について発表し、世界各国の専門家との交流を通じ、授業研究の国際的潮流や多様な実践事例を学ぶ貴重な機会となりました。
プレゼンテーション発表の様子(Mr. Shaun Lemek, DHERST)
PNGでは、地理的な隔たりや教員養成校の講師養成の格差という課題に対応するため、初等理数科教員養成校強化プロジェクト(STEPMAS)を通じてオンラインによる授業研究を導入しています。物理的に集まることが難しい環境でも、数学講師が協働して教材研究や授業計画を行い、授業動画を共有・観察し、省察とディスカッションを重ねることで、持続可能な専門的学習コミュニティが形成されました。この取り組みにより、数学の教科内容知識や教授学的内容知識(PCK)の改善、誤概念の予測と指導方略の工夫、異なる州の講師間での協力関係強化、そして省察文化の定着など、数多くの成果が確認されています。オンライン環境でも、対面型授業研究と同様に様々な学びが得られることが実証された点は、今後の教育の可能性を大きく広げるものです。
プレゼンテーション発表の様子(Ms. Sandra Uramani, NDOE)
プレゼンテーション発表の様子(Mr. Armstrong Rupa, NDOE)
今回の国際学会では、PNG特有の課題に対応するSTEPMASのアプローチが高く評価され、大会テーマ「つなぐ」の通り、オンラインでの連携は今後の教員養成に不可欠であることを再確認することができました。
授業研究は、講師の指導力強化だけでなく、教員養成校全体に協働文化を築く重要な役割を果たしていくものと考えています。
日本の研究者との意見交換
PNGで始まったオンライン授業研究は、学習者中心の授業への転換、講師の省察と連携の促進、エビデンスに基づく指導、そして持続可能な専門的学習コミュニティの形成に向けた第一歩です。この取り組みをさらに広げ、すべての子どもたちにより良い学びの機会を届けるため、JICAは「学びをつなぐ」努力を続け、未来の子どもたちのために教育の質を高める取り組みを続けていきます。
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