2018年には、教育省が、JICAの帰国研修員、視学官らのグループとともに第一回の授業研究アプローチにかかる研修を実施しています。授業研究にかかる知見を共有しブルキナファソにおける授業研究の適応可能性について検討することが目的です。
いくつかの学校で授業研究を試験的に実施した結果、同グループは同アプローチにより、特に教育者や指導者がいなくとも、自分たちの努力で教育効果を高めることができると結論づけました。
これにより教育省は、教育の質を高めるために関心のある視学官や教員の間で同アプローチを普及させる努力を始めました。
最初に、JICAの支援を受けつつ、教育省は同アプローチ普及にかかる研修を5回実施し、207名の視学官(そのうち16名は国立教員養成校(INFPE)の教員)を養成しています。さらに、その後、教育省は独自の努力で同アプローチにかかる研修を実施し、計68名の視学官を養成しています。
研修参加者は、研修終了後、職場に戻ると自分の担当する基礎教育学区でパイロット学校を1,2校選出し、その学校の教員に同アプローチを普及させるというタスクを義務付けられました。
2019年から2022年にかけて、教育省は、以下の戦略にて同アプローチを普及させることを目指していました。
- 1 . 講師研修(基礎教育学区視学官、国立教員養成校教員、等)
- 2 . パイロット校の選定
- 3 . パイロット校にて上記講師研修にて養成された講師による教員の研修
- 4 . パイロット校にて養成された教員による教員所属校における実践
つまり、各地域の拠点校をパイロット校として選出し、パイロット校で同アプローチを普及します。その後、そのパイロット校を核に、同校に地域の教員を集めて研修してもらいます。その後、パイロット校で研修を受けた教員がさらに自校に戻り、同アプローチを普及させます。このフローにより、カスケード方式にて全国に同アプローチを普及させることを目指していました。
2022年、同戦略の現状と課題を明らかにするために教育省によるモニタリング・評価が実施されましたが、その結果は以下のとおりです。
<同アプローチ研修にかかる成果>
同アプローチ普及の過程で以下の点についてポジティブな結果が見られました。
- 教員能力向上
- 教員間の凝集性の強化
- 教員の教育実践の向上
- 教員と学習の質の向上
- 学校教育の成果の向上
- 教員と学生の創造性の向上
<同アプローチ普及にかかる課題>
同アプローチ普及の過程で以下の点が、課題として挙げられました。
- 視学官による研修が十分ではなく、教師が同アプローチの内容をよく理解していないことがある。
- 基礎教育区(CCEB)視学官が同アプローチに習熟していないか、もしくは研修に十分時間をかけなかったことが原因で教員に十分同手法を研修できていない。
前述のとおり、カスケード方式による普及を計画していますが、評価結果に見られるとおり、視学官による研修だけでは十分な理解が得られていない可能性があることがわかりました。今後の全国展開はパイロット学校が中核となるため、パイロット学校の教員が同アプローチに精通していることが大変重要です。
よって今回、2023年2月20日〜24日、ルンビラの教員養成校にてパイロット校(12校)の教員58名を対象として研修を実施しました。この研修を通して参加教員は以下のことを学びました。
- 授業研究の制度的・教育学的基礎の特定
- 授業研究の社会心理学的理論の検討
- 授業研究の特徴の特定
- 授業研究のサイクル、プロセスの特定
- 授業研究アプローチ実施に係るアクションプランの作成
研修は、座学、グループワーク、動画視聴、授業研究の実施シミュレーション、などを通して実施されました。
講師であったDonatien DAMBRE氏とAlexandre YAMEOGO氏は参加者に授業研究アプローチの概要について説明した後、授業研究アプローチに関する質疑応答を行いました。
参加者による評価も高く、研修後の評価では90%の参加者が研修内容について満足と回答しています。
同研修参加者は教育の質を高めるために授業研究アプローチを導入する努力を行うと約束して研修を終えました。
Kaliguetta OUIBGA
JICAブルキナファソ事務所 教育・保健担当ナショナル・スタッフ
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