バスケットボールの<スーパーリーグ>がサハリンへ還って来た!:新チーム<ヴォストーク65>始動!!開幕4連勝!!(2018年10月19日&22)

↓切っ掛けは、こういう看板を視掛けたことでした。
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↑写真は近所のホテル<サハリンサッポロ>の脇に在る、随時内容を替えている大きな看板なのですが、これと同じ絵柄の看板を方々のバス停等で随分と視掛けました。

黄色い地に男性の写真が入っています。男性が手にしているのはバスケットボールの球で、着衣はバスケットボール選手のユニフォームです。男性はバスケットボール選手に視えます。そしてユニフォームに「3」という番号が入っています。バスケットボールに関して、アマチュアの試合やナショナルチームの試合では「4〜15」の番号をユニフォームに入れるのが基本です。「3」ということは、「プロのリーグ?」ということになります。

サハリンでは「プロスポーツのチームを起こして地域を盛り上げよう」という考え方が在って、ロシア国内の男子のプロリーグである<スーパーリーグ>に参加するチームが活動していた経過が在ります。極短い期間でしたが、かなり善戦していて「最も期待される新興チーム」という様相だったそうです。が、諸般の事情で解散してしまいました。

それが10月から始まる<スーパーリーグ>の「2018-19シーズン」に、新たに起こしたサハリンのチームが参戦することとなったというのです。10月19日と10月22日に、「今季初のホームゲーム」ということで、それを告知する看板がユジノサハリンスクの方々に登場した訳です。

ロシアのバスケットボールですが、大掛かりなプロリーグが存在します。1990年代頃から色々と変遷が在って現在に至っています。

現在の"トップリーグ"は<ユナイテッドリーグ>などと呼ばれていますが、ロシア国内の他に旧ソ連諸国のベラルーシ、カザフスタン、ラトヴィア、エストニアのチームが参加しています。現在、14チームが参加しているようです。

そして<スーパーリーグ>が在ります。現在、16チームで競っています。ロシア国内各地にチームが点在し、「ホーム&アウェイ」で試合を戦います。

<ヴォストーク65>というサハリンの新興チームはこの<スーパーリーグ>に参戦し、アウェイで開幕後の2試合を戦い、そしてホームでシーズン初の試合を開催することとなったのです。

ロシアはソ連時代からバスケットボールが盛んで、形としては"2部リーグ"ながら、<スーパーリーグ>の試合はなかなかに期待出来るものだと思いました。そして「観戦に!」と思い立ったのです。

「観戦に!」と思い立ったのですが、「多少の曲折」が生じました。

先ずは「場所」がよく判りませんでした。看板に「ミール通501」という住所が在りました。「ミール通」は幹線道路で、「サハリンを南北に縦断する道路の一部」という格付けになっているらしく、色々な場面でよく聞く通の名ですが、「501」というのは訳が判りません。初めて聞く番地の数字でした。そして看板に誤記が在って、通常は「пр.」(プロスペクト)と言う箇所に「ул.」(ウーリッツァ)と在るのです。これが「誤記」とハッキリ判るまでに多少時間を要しました。誤記の方の住所をネット検索で探そうとして、「該当が...無い!?何処のことを示している?」と考え込んで、「多分...誤記...」と思い始め、そのとおりだと判明した訳です。

この「ミール通501」というのは、ユジノサハリンスクの都心から南下し、<シティーモール>が在って、空港へ続く道が在るホムトヴォを通り越し、コルサコフへ向かう側にもっと進んだ辺りだったのです。そして脇の路へ入ると、新しいスポーツ関係施設群が「地方の新興の大学キャンパス」というような風情で建ち並んでいて、その中の建物の一つが会場なのです。

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訪ねてみて「地方の新興の大学キャンパス」というような風情と感じましたが、<ヴォストーク>というのは、スポーツや教育活動のための複合施設として極近年に整備されている場所のようです。何やら建築中の建物も見受けられるような場所でしたが、プロや大きな競技会に出場するようなスポーツ選手が練習をすることや、少年少女の各種競技等に関する活動をすることが想定されているようです。そして、<スーパーリーグ>のバスケットボールの試合も開催可能な、客席が千席程度配置出来るホールが在るのです。

この場所とユジノサハリンスク都心を往復しようとすれば、路線バスであればユジノサハリンスクとコルサコフとの間を往来する、運行系統115番または333番のバスということになります。

何やら「判り悪い、訪ね悪い場所」ということがハッキリして、「観戦に!」との思いが萎みかけていたのでしたが、直前になって朗報が在りました。<ヴォストーク65>のウェブサイトで「送迎バス」というモノが動くことと、運行の仔細が発表されたのです。

それによると、ユジノサハリンスク鉄道駅と<ヴォストーク>との間で「ミール通経由」と「レーニン通経由」の2系統の送迎バスが出るということで、何れの系統に関しても利用が便利であると判りました。往路は決まった時間帯に停留所でバスを待ち、復路は試合終了後に会場の建物前でバスが待機しているのです。このバスを利用しました。

こういうような「多少の曲折」を経て、新興チーム<ヴォストーク65>が試合を催すアリーナに辿り着きました。

<ヴォストーク65>というチーム名ですが、「ヴォストーク」は「東方の」という意味で、「65」は「サハリン州の地域コード」ですから、「東方のサハリンのチーム」という程の含意になります。

コート内で対戦する両チームの選手が交錯するバスケットボールでは、原則的に一方が濃い色のユニフォームを着用すると、他方が明るい色のユニフォームを着用するので、チームでは濃淡2色を用意するのが普通です。<ヴォストーク65>は、黄色と黒の2色を用意しています。

10月19日と10月22日の試合で、サハリンのバスケットボールファンの前に現れた<ヴォストーク65>は黄色のユニフォームを着用していました。胸には「ロゴマーク」として"図案"のような扱いにしていると見受けられる<VOSTOK>という英語のアルファベットのチーム名が在ります。そして選手の背番号が小さく入ります。背中は大きな背番号の上にロシア語のアルファベットで選手の姓が入り、下には<САХАЛИН>(サハリン)と地元の名前が確りと入っています。

会場内はチームカラーの黒と黄色が多用されて華やかに設えられ、電光掲示で随時内容が代わる広告の掲出も多々在る感じです。こういうのは、今や各国のプロスポーツに共通なのでしょう。

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試合開始に際しては、アウェイのチームから選手が紹介され、ホームの<ヴォストーク65>に関しては場内のスクリーンに"プロモーションビデオ"風になっている選手の姿と名前と背番号が映し出されます。この種の紹介は先発5人の紹介に留まる場合も多いと思いますが、ベンチ入り12人を全て紹介していて少々驚きました。

試合そのものは「迫力の攻防戦」なのですが、これもプロスポーツとしてのバスケットボールでは各国で見受けられる演出が多用されていました。タイムアウトを取るチームが在って試合が中断するとダンスチームが登場して場内を盛り上げて観衆を楽しませます。このチームが、男女混成でなかなかにユニークなダンスを披露していて面白かったです。更にマスコットキャラクターも居て、ダンスチームに絡んでいました。

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<スーパーリーグ>に参加の各チームですが、上位進出や優勝を目指して戦うことは共通ながら、「各々の思惑」というのか、「各々の位置付け」のようなモノも感じられます。

16チームのプロフィールを少し調べると、かなり永い歴史を有するスポーツクラブの流れを汲むチームや、<ヴォストーク65>程に新しくはなくとも比較的新しいチームで、<スーパーリーグ>への参加とその中での活躍を飽くまでも目指しているチームが多いかもしれません。が、"トップリーグ"の<ユナイテッドリーグ>に参加しているチームの明確な傘下のチームで、「トップチームでのプレイや、レベルの高い各国のリーグで活躍する選手を育てる」という主旨らしいチームも見受けられます。チーム名に「фарм」(ファルム)とか「2」と付されている例さえ在ります。日本のプロ野球チームで"2軍"のことを「ファーム」と呼ぶ場合が見受けられますが、「фарм」(ファルム)とはそれのことに他なりません。

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<ヴォストーク65>が10月19日に迎えた<ブレヴェストニク>(「ミズナギドリ」という鳥の名ですが、ロシア語では「嵐(動乱)を告げる者」というニュアンスで使われる場合も在る語です。)は、ヤロスラヴリで活動しているスポーツクラブの流れを汲むチームで、2015年から<スーパーリーグ>に参戦しているということです。

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10月22日に登場した<ヒムキ・ポドモスコヴィエ>は「モスクワ郊外のヒムキ」とチームの本拠地の場所そのものをチーム名としています。実はこのチームは<ユナイテッドリーグ>のチームである<ヒムキ>の傘下に在る「若手育成」という主旨のチームです。選手達は何れも若く、「平均年齢が20.4歳」だといいます。<ヴォストーク65>に関しては、敢えて選手達の平均年齢に言及している情報は出回っていませんが、30歳前後の選手が目に付く感じなので、平均すれば<ヒムキ・ポドモスコヴィエ>よりもかなり上なのは間違いないでしょう。

<ヒムキ・ポドモスコヴィエ>の"兄貴"ということになる<ユナイテッドリーグ>の<ヒムキ>は、1997年に登場して然程時日を経ずにリーグ内で頭角を現し、モスクワの伝統を誇るチームの好敵手になりましたが、チームの背景にはモスクワ州が運営するスポーツ学校が在るようです。<ヒムキ・ポドモスコヴィエ>も、そのスポーツ学校の生徒達の選抜チームが起源であるようです。そういう例のように、「地域のスポーツ活動の"流れ"の中に在るプロスポーツ」というのは、ロシアを含む欧州諸国では比較的多く見受けられます。そしてそういう国々が、国際試合に好チームを送り込んで来る訳です。

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<ヴォストーク65>はそれぞれのチームと対峙し、何れの試合も見事に勝利で飾りました。開幕直後にサンクトペテルブルグで戦った2試合に勝ち、そのまま地元の2試合で勝って「4試合で4連勝」と目下「10割」の勝率です。

↓<ヴォストーク65>関係のグッズです。
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黄色のTシャツは、10月19日の初戦で来場者全員に贈られたモノです。こういうのは、各国のプロスポーツで時々見受けられるサービスです。通常は700ルーブルで販売されているモノです。黒のモノも在ります。10月22日に黒のモノも思わず入手してしまいました。

これからの時季のユジノサハリンスクで役に立ちそうなニットキャップは、会場内で1000ルーブルで販売されていました。Tシャツに在るロゴが入ったモノも在りますが、「VOSTOK」という文字のモノが落ち着いた感じで気に入りました。他に黄色のキャップも在ります。

他に10月19日の場内で配られた応援用サインボード、選手紹介の名簿や試合日程等の載ったプログラム、更に入場券を10月19日の試合を愉しく観戦した余韻に浸りながら並べて眺めていました。

ユジノサハリンスクでプロスポーツの試合と言えば<アジアリーグアイスホッケー>も在ります。<アジアリーグアイスホッケー>は、「ロシア国内」では「やや特殊な独立リーグ」という趣きも在るのかもしれません。対してバスケットボールの<スーパーリーグ>は、「ロシア国内の他地域のチームに伍して競う」ということになります。

<ヴォストーク65>は快調な滑り出しです。その活躍が楽しみですが、バスケットボールというゲームを観ること自体が愉しいことです。「試合終了の瞬間まで、たった1点でも構わないから、少しでも多く得点を重ねることを競う」というもので、攻守の入れ替わりも速く、観て愉しいバスケットボールの試合ですから、観戦機会を設けるのが酷く楽しみです。

>><ヴォストーク65>のウェブサイト(ロシア語)

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