苫小牧のチームがユジノサハリンスクへ...:アジアリーグアイスホッケー(2017年10月16日)

日本の4チーム、韓国の3チーム、そしてロシアのサハリンから1チームの計8チームで競う<アジアリーグアイスホッケー>はレギュラーシーズンのリーグ戦を展開中です。

各チームが「ホーム&アウェイ」で2戦ずつ、同じカードを4試合ずつ、総当たりなので28試合を戦います。(今季は冬季五輪の関係で短縮日程になっています。)

ユジノサハリンスクの<SAKHALIN>は、開幕の9月から10月の最初までに韓国の各チームを順次ホームリンクに迎えていましたが、10月半ばからは日本の各チームを迎えています。

日本勢として最初にユジノサハリンスクへ乗り込んだ<日本製紙クレインズ>は、2試合共に<SAKHALIN>に敗れてしまいました。続いて登場した<王子イーグルス>は、1試合目に敗れてしまい、2試合目に臨みます。

<SAKHALIN>は連勝中で、首位の座を奪い、10月に入って混戦傾向を帯びて来ていたリーグ戦で「少し抜け出した」感です。今季の<イーグルス>は少し苦戦していますが、<SAKHALIN>がこれ以上抜け出すことを阻止しようと気合が入ります。

例によって華やかにショーアップされた形で両チームの選手が入場し、日本とロシアの国歌演奏が在ります。国外に居て、こういうスポーツの試合会場で日本国歌の演奏を聴くのは、少し独特な感慨も在ります。
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チアリーダーも居て華やかな中での試合でしたが、今回の試合は視ていて「力が入る展開」となりました。
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アジアリーグアイスホッケーの各チームにとって、ユジノサハリンスクの<SAKHALIN>のホームリンクである<クリスタル>は「戦い悪い会場」という評価のようです。非常に熱いファンが集まっていて、<SAKHALIN>の各選手も気合十分で、動きも好く元気一杯なので苦戦を強いられるということのようです。

そういう中でしたが、今季は苦戦中の<イーグルス>としては1戦目も落としているので何とかしようと積極果敢な攻撃を見せます。

<クリスタル>の客席は、入って右側から「セクターA」となっていて左側の「セクターE」まで設けられていますが、「A」の側、隣の「B」の辺りに陣取ると第1ピリオドと第3ピリオドに「ユジノサハリンスクにやって来ているチーム」のゴールが据えられる側になります。これまで観戦した試合ですが、<SAKHALIN>が元気好く攻め続ける展開が多く、この「AやBの側」で選手達が攻防を繰り広げている場合が多い感じでした。が、この試合は<イーグルス>が積極的で、<SAKHALIN>のゴールを脅かし続けていた場面が多く見受けられました。

第1ピリオドは、果敢な攻撃の中から<イーグルス>が先制点を上げました。しかし、第1ピリオドの後半に至って<SAKHALIN>は確り1点を奪い返し、1対1の同点となりました。

そして第1ピリオドの終盤、<イーグルス>が見せた戦術に少々驚きました。いきなり「6人攻撃」を仕掛けました。

通常、アイスホッケーはゴールキーパー(ロシア語はヴラターリ)が居て、フォワード(ロシア語はナパダーユッシー)やディフェンダー(ロシア語はザシートニク)の各選手が5人と6人がリンクに入ります。ゴールキーパーはゴール前に陣取って、ゴール辺りを護ることを専らとしていて、他の5人が動き回ります。これに対して、ゴールキーパーをベンチに下げてもう1人をベンチに入れて、6人で攻撃するというやり方も、ルール上認められています。

アイスホッケーでは、攻撃参加の人数が多ければ優位に立てると考えられています。反則へのペナルティーは、「2分間のペナルティーボックス行き」というモノが多く、「1人少ない」という状況で反則を犯したチームへのペナルティーとしています。反則を犯した側は4人、相手側は5人です。5人の側の状態は"パワープレイ"、4人の側の状態は"キルプレイ"と呼ばれます。5人の時にゴールキーパーを下げてもう1人加えるというのは、「強引に"パワープレイ"状態を創出」という戦術です。

アイスホッケーは攻守の切り替えが速く、ゴールキーパーを下げてしまっている中で相手に反撃を受けてしまうと「無人のゴールにパックが...」ということになるので、どうしても"賭け"ということにもなってしまうのがこの戦術です。積極的に仕掛けようとするチームが見受けられる他方、殆どやらないチームも多いと思われます。
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時々この「6人攻撃」が見受けられるのは「試合終盤で、どうしても同点に追い付きたい」というような場面です。第1ピリオドで仕掛けるというのは、「何としても1点先行しておきたい」ということだったのでしょう。<イーグルス>の必死さに驚きましたが、この「6人攻撃」は奏功しませんでした。

第2ピリオドでは、逆に<SAKHALIN>が「6人攻撃」を試みました。そしてこれは奏功しました。が<イーグルス>も巧い攻撃を見せ、試合は2対2となりました。何か、互いに手を尽くした攻撃を仕掛け合う感じで、「精神的に圧力を掛け合う」かのようにも視えました。
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勝敗が掛かった第3ピリオドは盛り上がりました。一進一退の中、<SAKHALIN>が3得点目を上げました。そうなると<イーグルス>は「6人攻撃」をドンドン仕掛けます。最終盤は「<イーグルス>が"6人攻撃"の練習でもしているのか?」という具合にさえ視える程でしたが、<SAKHALIN>は粘り強く各選手が力を合わせてゴールを護り、結局3対2で<SAKHALIN>が連勝です。更に<SAKHALIN>は通算6連勝で、勝ち点を確り積上げ、"首位"を固めています。

試合後には両チームの選手が握手を交わし、互いの健闘を讃え合う様子が見受けられました。
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<SAKHALIN>の次の試合は、10月30・31日に苫小牧へ乗り込んで<イーグルス>と対戦です。

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