<Салют-7>:ロシア映画 『サリュート7』(2017年10月21日)

ユジノサハリンスクの映画館では、色々な映画を上映していますが、概して上映作品の入替が速いような気がします。

「これ?!面白そう!!」という作品が上映されていると知った時は、余り時を置かずに「行くぞ!」と映画館に足を運ぶのが賢明であるように思います。

「ロシア」と言えば思い出す幾つかのモノの中に、或いは「宇宙開発」というモノも挙がるかもしれません。人類初の有人宇宙飛行を実現したのはソ連で、その後も幾多の宇宙ステーションを運営して来た経過が在ります。

そういう「宇宙開発」の経過の中には様々な挿話が在る訳ですが、そういう実話をモデルにして制作した映画が公開されています。

↓2つのパターンの「予告」をこちらに御紹介します。
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↑なかなかに凄い画だと思います。実話を基に創った脚本で、こんな画の出来事の背後の人間ドラマもなかなか丁寧で、非常に面白い作品でした。

1985年の出来事をモデルにしています。"ソ連時代"です。ロケットや宇宙ステーションには「СССР」と"ソ連"を示すマーキングが在り、宇宙へ出る搭乗員達のユニフォームにも"ソ連"のエンブレムが入っています。そして、止めてしまって存外に長い感じの、米国のスペースシャトルも元気な時代で、作中に<チャレンジャー号>も一寸出て来ました。

映画の冒頭、ソ連の宇宙ステーションで2人の搭乗員が船外作業を行っている場面です。

宇宙服に身を固めて、宇宙空間で宇宙ステーションのメンテナンス作業を行っています。その船外作業で、経験が浅いと見受けられる女性搭乗員が不注意で宇宙服に釘を引っ掛けて俄かに調子を崩しました。ベテランの男性搭乗員が彼女を助けて無事に帰還出来ました。が、ベテランの男性搭乗員は、船内に戻ろうとした際に妙な光を視て、妙な気分になってしまいました。

帰還後、ベテランの男性搭乗員は「精神的な負担が重い任務を続けて疲弊しており、宇宙へ出る任務は外れるべきである」という診断を受けてしまいました。マダマダ幼い娘も居る中、妻は危険な宇宙での任務を外れて地上勤務となることを歓迎するのですが、本人は多少気分が荒んでしまいます。

そうした中で、永く共に仕事をした経過が在って、公私に亘って懇意な同じく宇宙へ出る搭乗員でエンジニアの友人と池にボートを出して釣りに興じて気晴らしをしていると、友人に「緊急招集」が掛かって関係者が迎えに現れました。

大変な事態が起こっていました。宇宙ステーション<サリュート7>は、無人運用を続けていたのですが、突然に交信を絶ってコントロールが失われてしまったのです。

コントロールが無いまま、全長20メートルにも及ぶステーションが何処かの「街の真中」にでも落下すると甚大な被害も発生しかねません。世界各国に情報も伝わって「ソ連の宇宙ステーションがコントロールを失ったらしい」という騒ぎも起こっています。

この事態に対応するため、<サリュート7>の点検修理を主に手掛けるエンジニアと操縦を担当する搭乗員を<ミール>宇宙船で宇宙へ送り込むことが決定しました。<ミール>は、ロケットで軌道に上がった後、<サリュート7>とドッキングを行うのです。

宇宙ステーションの管制センターでは、エンジニアの人選は直ぐに決めました。しかし操縦を担当する搭乗員の人選が難航していました。誰しもがドッキングを経験しているでもなく、更に「条件が好くない」のです。シミュレーターで今般のドッキングを試すものの「出来ない!」という結論に至ってしまいます。管制センターの責任者は、最後の手段として「自身で何とか?」とさえ思い詰めたが、俄かに出来る筈もなく、シミュレーターを試すがうまく出来ません。

結局、「宇宙へ出る任務は外れるべきである」という診断を受けていたベテラン搭乗員しか、その困難なドッキングの任に堪えないという判断に至り、<サリュート7>の点検修理の任務に就くこととなりました。

エンジニアは妻に出発を告げましたが、妻は妊娠中で間も無く産れるような中、「暫くは地上に居ると言っていた筈」と大泣きしてしまいました。ベテラン搭乗員の妻は、街のカフェで待ち合わせて、スパークリングワインを注いで宇宙へ出ることになったと告げる夫に「何を言っているの!?」と怒ってしまい、夫をその場に残して出て行ってしまいました。

そうして2人は宇宙に出ます。打上の場面、宇宙へ飛び出すロケットの場面の画が凄く秀逸でした。

やや苦労しながら、ドッキングを果たして入ってみた<サリュート7>では、何と内部が凍り付いてしまっていました。「最早ステーションではない...冷凍庫だ...」という状態です。

この氷を何とか解かすところから点検修理の作業は始まりました。氷が何とか除かれて行き、作業は順調にも視えたのですが、危機が訪れます。

これ以上は、「迷惑なネタばれ」と思われるので遠慮しておきましょう。

<サリュート7>の対応で宇宙に出る2人、各々の妻達、管制センターの現場責任者、この辺りが軸になる人物達で、彼らを取り巻くドラマが、「流石に最近の技術!!」と驚く程にリアルに再現された「ソ連時代の1985年頃の宇宙ステーション」という画の中で繰り広げられます。なかなかに見応えが在りました。

この見応えの作品が、朝の上映だったので260ルーブルで観られました。何組かの御夫婦、親子連れが見受けられた中、何となく1人で観ていたのでした。

日本国内での上映予定に関しては承知していませんが、佳い作品だと思いました。

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