<第18回 日本語弁論大会>(2017年05月24日)
「よりよい日本語の知識に関するコンクール」というロシア語の催事名が在るのですが、これの日本語の呼称が「日本語弁論大会」です。
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サハリンで日本語を学んでいる人達が日本語でスピーチを行うというこの「日本語弁論大会」は回を重ねており、今年が18回目です。これは北海道とサハリン州とによる「友好・経済協力提携」を契機に始められたものであるとのことです。
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ユジノサハリンスクでは、2つの大学で常時日本語を学ぶ学生が在って、毎年日本語を学んだ卒業生を送り出すようになっている他、市内の学校で日本語を学ぶことが可能な場を設けている例も在り、更に<日本センター>で日本語を学ぶ社会人も見受けられます。
この<日本語弁論大会>は「18回」と回を重ねて既に累計で100名以上が出場しているそうですが、今回は<児童・生徒の部>で7名、<大学生以上の部>で11名の参加が在りました。
7名参加の<児童・生徒の部>ですが、これは3分間以内で各々のスピーチを行い、5人の審査員が審査を行い順位や特別賞を決めます。
11名参加の<大学生以上の部>ですが、これは5分間以内で各々のスピーチを行った後、2人の質問者の問いに回答し、5人の審査員がスピーチと質疑応答を総合して審査し、順位や特別賞を決めます。
特段に「学習している外国語で話す」ということではなくても、何十人もの人達を収容する、少し大きな規模の講義や講演会を行う大学内の部屋で、大勢の人達を前に話す場合には緊張する方が多いと思われます。様子を視ていると、登壇していた時と終わった後の雰囲気が全然違う出場者の皆さんが非常に目立ちました。
このコンクールは、特段に「課題」が設定されているでもなく、「話してみたい事柄」を随意に整理して原稿とし、規定された時間内で話す訳です。それを"外国語"で行おうとする場合、学習歴が浅めな方には、なかなかに「ハードルが高い」のかもしれません。何か「制約が少ない故の難しさ」というものも在るように見受けられます。
他方、殊に<児童・生徒の部>に出場していた、日本で言えば中学生に相当するような子ども達や、<大学生以上の部>の20歳前後の学生さん達を視ていて感じるのは、「伝えてみたいことを、とりあえず口にして伝えようとする」ことに「慣れている?」ように見える面も在りました。或いは「あなたの考えは?」と問われて、「僕はこうだと思います」とか「私はこういうように考えました」と応じることを求められる場面が多いのかもしれません。
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<児童・生徒の部>は、最年少が小学2年生相当で、最年長が中学3年生か高校1年生位に相当するので年齢層が広く―小柄な日本の同年代でも視掛けるような感じの児童も在れば、「バレーボールの選手」を想起するような大柄な生徒も在って、実に広い年齢層を思わせました。―、選ばれたテーマも様々でした。初めて東京を訪ねた思い出、一族に永住帰国した日本人が居るという背景で日本語を学び始めたというようなこと、自然環境の大切さに思いを巡らせている他方で災害のニュースが多いことに気持ちを曇らせるというようなこと、憧れていたギターを演奏してみる機会が漸く得られて楽器も入手したので一生懸命練習していること、3年間勉強してみている割に日本語が話せないが何とかしてみたいこと等、話題は非常に多彩でした。
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<児童・生徒の部>と<大学生以上の部>との間に、幼稚園の子ども達が"日本語劇"を披露してくれました。場内がかなり盛り上がりました。
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"日本語劇"の演目は『チェレモク』という幼児向けの童話です。森の小さな家に動物達が集まって来て、みんなで暮らし始めたのは善かったのですが、大きな熊がやって来たので家が壊れてしまい、皆で力を合わせて家を建て直したというような話しです。「ねずみさんがやって来ました」というようなナレーションを担当する子―この子が妙に堂に行っていて、驚くような、笑ってしまうような感じでした。―が居て、動物役の子ども達が順次登場します。動物役の子ども達は「こんにちは。ここに一緒に居ていいですか?」、「いいですよ」とか「誰ですか?」、「カエルさんです」というようなセリフを確りとした口調で話していました。
<大学生以上の部>では、日本語等を専攻している学生達と、日本語を学ぶことに挑戦中の社会人達が混在しており、こちらもなかなかに多彩な内容でした。
合気道や音楽や、「花見」というような風習、少し話題の"おもてなし"というような日本の文物に関して、自身との出会いや考えを述べたという話題が見受けられました。漢字や同音異義語や、その他色々な難しさが在る日本語学習についてや、日本語や日本への旅行へ自身を誘うに至った俳句というようなテーマも見受けられました。
そういう他方で、自尊心を持って人前で堂々と出来るようにというようなこと、各々の趣味を大切にしてみることなど、「人生のテーマ」というような話題が見受けられました。「人生のテーマ」としては、日本のアニメ―かの『セーラームーン』が人気なようですし、『千と千尋の神隠し』も話題になっていました。―に親しんだことが切っ掛けで日本語を学んでみるようになって色々な出会いが在ったというようなこと、或いは大学での学業とアルバイト等との両立に悩んで学業優先の方針としたというような「若者らしい」話題も在りました。
優勝をした方はなかなかにユニークで、"市長"にでもなって、地域の様々な課題をどんどん解決し、誰もが快適に暮らせる故郷の街を築くのだと、「志溢れる青年の主張」を展開していました。こういう方が将来、本当にそういうような仕事をされるようになれば、北海道とサハリンとの地域間交流は大きく躍進することになるでしょう。
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<大学生以上の部>に関しては、スピーチ後の質疑応答に関して「これは意外に難しいのではないか?」というように見受けられました。或いは、上位に入賞された皆さんは、その質疑応答に関して巧くこなした感じがしました。
この大会を視る限り「20万人規模の人口を擁するユジノサハリンスク」だけでも、「存外に多い日本語学習者?」ということを伺わせました。
こういう「隣国への理解を深める」という趣旨の催しが長く続いているということは、もっと積極的に御紹介すべきであるとも思いました。
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サハリンで日本語を学んでいる人達が日本語でスピーチを行うというこの「日本語弁論大会」は回を重ねており、今年が18回目です。これは北海道とサハリン州とによる「友好・経済協力提携」を契機に始められたものであるとのことです。
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ユジノサハリンスクでは、2つの大学で常時日本語を学ぶ学生が在って、毎年日本語を学んだ卒業生を送り出すようになっている他、市内の学校で日本語を学ぶことが可能な場を設けている例も在り、更に<日本センター>で日本語を学ぶ社会人も見受けられます。
この<日本語弁論大会>は「18回」と回を重ねて既に累計で100名以上が出場しているそうですが、今回は<児童・生徒の部>で7名、<大学生以上の部>で11名の参加が在りました。
7名参加の<児童・生徒の部>ですが、これは3分間以内で各々のスピーチを行い、5人の審査員が審査を行い順位や特別賞を決めます。
11名参加の<大学生以上の部>ですが、これは5分間以内で各々のスピーチを行った後、2人の質問者の問いに回答し、5人の審査員がスピーチと質疑応答を総合して審査し、順位や特別賞を決めます。
特段に「学習している外国語で話す」ということではなくても、何十人もの人達を収容する、少し大きな規模の講義や講演会を行う大学内の部屋で、大勢の人達を前に話す場合には緊張する方が多いと思われます。様子を視ていると、登壇していた時と終わった後の雰囲気が全然違う出場者の皆さんが非常に目立ちました。
このコンクールは、特段に「課題」が設定されているでもなく、「話してみたい事柄」を随意に整理して原稿とし、規定された時間内で話す訳です。それを"外国語"で行おうとする場合、学習歴が浅めな方には、なかなかに「ハードルが高い」のかもしれません。何か「制約が少ない故の難しさ」というものも在るように見受けられます。
他方、殊に<児童・生徒の部>に出場していた、日本で言えば中学生に相当するような子ども達や、<大学生以上の部>の20歳前後の学生さん達を視ていて感じるのは、「伝えてみたいことを、とりあえず口にして伝えようとする」ことに「慣れている?」ように見える面も在りました。或いは「あなたの考えは?」と問われて、「僕はこうだと思います」とか「私はこういうように考えました」と応じることを求められる場面が多いのかもしれません。
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<児童・生徒の部>は、最年少が小学2年生相当で、最年長が中学3年生か高校1年生位に相当するので年齢層が広く―小柄な日本の同年代でも視掛けるような感じの児童も在れば、「バレーボールの選手」を想起するような大柄な生徒も在って、実に広い年齢層を思わせました。―、選ばれたテーマも様々でした。初めて東京を訪ねた思い出、一族に永住帰国した日本人が居るという背景で日本語を学び始めたというようなこと、自然環境の大切さに思いを巡らせている他方で災害のニュースが多いことに気持ちを曇らせるというようなこと、憧れていたギターを演奏してみる機会が漸く得られて楽器も入手したので一生懸命練習していること、3年間勉強してみている割に日本語が話せないが何とかしてみたいこと等、話題は非常に多彩でした。
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<児童・生徒の部>と<大学生以上の部>との間に、幼稚園の子ども達が"日本語劇"を披露してくれました。場内がかなり盛り上がりました。
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"日本語劇"の演目は『チェレモク』という幼児向けの童話です。森の小さな家に動物達が集まって来て、みんなで暮らし始めたのは善かったのですが、大きな熊がやって来たので家が壊れてしまい、皆で力を合わせて家を建て直したというような話しです。「ねずみさんがやって来ました」というようなナレーションを担当する子―この子が妙に堂に行っていて、驚くような、笑ってしまうような感じでした。―が居て、動物役の子ども達が順次登場します。動物役の子ども達は「こんにちは。ここに一緒に居ていいですか?」、「いいですよ」とか「誰ですか?」、「カエルさんです」というようなセリフを確りとした口調で話していました。
<大学生以上の部>では、日本語等を専攻している学生達と、日本語を学ぶことに挑戦中の社会人達が混在しており、こちらもなかなかに多彩な内容でした。
合気道や音楽や、「花見」というような風習、少し話題の"おもてなし"というような日本の文物に関して、自身との出会いや考えを述べたという話題が見受けられました。漢字や同音異義語や、その他色々な難しさが在る日本語学習についてや、日本語や日本への旅行へ自身を誘うに至った俳句というようなテーマも見受けられました。
そういう他方で、自尊心を持って人前で堂々と出来るようにというようなこと、各々の趣味を大切にしてみることなど、「人生のテーマ」というような話題が見受けられました。「人生のテーマ」としては、日本のアニメ―かの『セーラームーン』が人気なようですし、『千と千尋の神隠し』も話題になっていました。―に親しんだことが切っ掛けで日本語を学んでみるようになって色々な出会いが在ったというようなこと、或いは大学での学業とアルバイト等との両立に悩んで学業優先の方針としたというような「若者らしい」話題も在りました。
優勝をした方はなかなかにユニークで、"市長"にでもなって、地域の様々な課題をどんどん解決し、誰もが快適に暮らせる故郷の街を築くのだと、「志溢れる青年の主張」を展開していました。こういう方が将来、本当にそういうような仕事をされるようになれば、北海道とサハリンとの地域間交流は大きく躍進することになるでしょう。
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<大学生以上の部>に関しては、スピーチ後の質疑応答に関して「これは意外に難しいのではないか?」というように見受けられました。或いは、上位に入賞された皆さんは、その質疑応答に関して巧くこなした感じがしました。
この大会を視る限り「20万人規模の人口を擁するユジノサハリンスク」だけでも、「存外に多い日本語学習者?」ということを伺わせました。
こういう「隣国への理解を深める」という趣旨の催しが長く続いているということは、もっと積極的に御紹介すべきであるとも思いました。
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