senedesumusu
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8131に設置してある低脅威物品保管ロッカー内に収容します。実験等での持ち出しの際、SCP-XXX-JPを活性化させる下記の作業を行わないよう注意して運搬してください。

説明: SCP-XXX-JPは横14c×ばつ縦7c×ばつ高さ7.5cmの直方体の木製オルゴールです。右側面に金属製のゼンマイねじがついており、外観は一般的なオルゴールと何ら変わりはありません。SCP-XXX-JPは常時不活性状態にあり、下記の作業を行わない限り活性状態にはなりません。

SCP-XXX-JPはねじを巻き、蓋を開けたとき活性状態となり、その異常性を発揮します。活性状態になったSCP-XXX-JPの音色を聞いた人間(以下、対象者と呼称)は人によって様々な『幸せな思い出』を鮮明に思い出し、SCP-XXX-JPを抱きかかえ、やがて原因不明の心臓麻痺により即死します。対象者が完全に死亡するとSCP-XXX-JPは停止し、自動的に蓋が閉まり、再び不活性状態に入ります。
SCP-XXX-JPに記録されている曲はベートーヴェンのピアノソナタ第8番であり、記録時間は2分10秒ほどです。

回収記録:SCP-XXX-JPは20███/8/███、財団エージェント・███がプライベートで立ち寄ったフリーマケットでSCP-XXX-JPを購入し、自宅で活性化させたエージェント・███の妻が死亡したことで発覚・回収されました。
エージェント・███はフリーマーケットの店主について当時の記憶は曖昧であり、店主についての詳細は不明です。

対象者はSCP-XXX-JPを自ら手放すことはありません。また、他者によってSCP-XXX-JPを強奪されようとした場合、対象者は激しい抵抗をし、最終的には持てる手段を用いて自殺します。自殺が不可能な状況で対象者になった場合、対象者は食事を放棄し、餓死します。
実験場にDクラス職員が複数人存在している状態でSCP-XXX-JPが活性状態に入った場合は『最も近くにいた人間』が対象者となることが判明し、音色を聞いた対象者以外の他のDクラス職員には何も異常は確認されませんでした。

以下が対象者へのインタビューになります。

対象: 対象者

インタビュアー: ███博士


<録音開始>

███博士: まず、あなたは何を抱きしめているんですか?

対象者: ......オルゴールだ。

███博士: なぜ抱きしめているんですか?

対象者: ......わからないけど、これを抱きしめていたいんだよ。邪魔しないでくれよ。

███博士: 私が何を邪魔しているんですか?

対象者: 今俺は少年時代を思い出して懐かしんでるんだ。話しかけないでくれ。

███博士: その少年時代のことについて聞いてもいいですか?

対象者: ああ、███くん、███ちゃん、███先生......

███博士: 何を思い出したか、聞かせてもらえませんか?

対象者: 最高に幸せだ......あの頃は良かった......

<録音終了>

終了報告書: 同様のインタビューを三名のDクラス職員に行いましたが、それぞれ「結婚当初」「幼少時代」「社会人時代」と様々な記憶を呼び起こしており、想起する記憶に関しての共通点は見られませんでしたが、三名とも「最高に幸せ」という発言をしていました。これらから推察するに、対象者は「最も幸せだった頃の記憶」を想起しているものだと思われます。

実験記録-1 20██/██/██: 聴覚障害のあるD-XXXがSCP-XXX-JPを活性状態にした場合の実験を行ったところ、実験場外にいる職員に向かい、ガラス越しに手話で「聞こえる」と言った後、SCP-XXX-JPを抱え涙を流し始めました。
この実験により、「SCP-XXX-JPに聴覚は関係なく、『最も近くにいた人間』に等しく『音色が聞こえる』よう錯覚し、SCP-XXX-JPを抱きかかえる」ということが判明しました。

実験記録-2 20██/███/███: SCP-XXX-JPのねじを巻き、実験場が無人の状態で、ロボットアームによりSCP-XXX-JPの蓋を開けた場合の実験を行った。結果、SCP-XXX-JPは固く閉ざされ、ロボットアームのパワーで開くことは不可能でした。実験場にDクラス職員が存在した状態で同様にロボットアームを使いSCP-XXX-JPを開こうとしましたが、こちらも開くことはなく失敗に終わりました。その後、Dクラス職員が手でSCP-XXX-JPを開こうとした結果、SCP-XXX-JPの蓋は容易に開き音色が鳴り始めました。
これらの実験結果から推察するに、SCP-XXX-JPは人間の手によって開かれた場合のみ活性状態に入るものと考えられ、そのメカニズムは不明です。

補遺: オブジェクトの蓋の裏にはA7サイズの手紙が二つ折りにされ、挟まれていたのが発見されました。下記の文章は一般的な水性ボールペンで書かれており、また、手紙の文字のインクがところどころ滲んでいた痕跡があったため、成分分析を行った結果"涙液"であることが判明しました。

苦悩する君へ

やあ、誕生日おめでとう。僕も君に何か出来ないかと思って、オルゴールを作ってみたんだ。
このオルゴールには君の望んでいるものが全て入っている。
さあ、ねじを巻いて蓋を開けてごらんよ。

君の親友███より

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: ×ばつ5mの人型収容ユニットに収容されます。24時間に一度、Dクラス職員がサイト内に入り、SCP-XXX-JPの絵画に触れてください。絵画に対しての批判的な態度はSCP-XXX-JPに不必要な刺激を与え、収容状態に影響する可能性があるため、許可されません。また、事案XXX-JPを受け、実験中は国立██美術大学に関しての発言を厳禁します。SCP-XXX-JPの性質上、収容サイト内にSCP-XXX-JPが目視で確認出来る監視カメラを設置することは出来ないため、ユニット内の壁に埋め込んだ小型カメラを通して監視してください。

説明:SCP-XXX-JPは身長170cm、体重75kgの日本人と思われる人型実体です。外見はほぼ一般的な20代の人間と変わりありませんが、SCP-XXX-JPの顔面部分には目、鼻、口が存在しません。呼吸や食事を摂らずとも生存が可能であり、そのメカニズムは不明です。発声も不可能らしく、筆談による詳細な意思の疎通も不可能でしたが、他者から発せられた言葉に対応した身振りをとることから、日本語を理解し、それに応答するだけの知能を有していると考えられます。

SCP-XXX-JPは常に筆・パレット・鉛筆・消しゴム等の画材道具を持ち、壁や地面、天井に何らかの同じ絵画を複数個描きます。現在確認されている絵画はセイヨウリンゴ(学名:Malus domestica)、ダイヤモンド、10円硬貨、水滴の4パターンです。
SCP-XXX-JPの所持している画材道具は一般的に販売されているものと同等のものですが、活動のために使用している絵具などが消費されている様子が見られず、補充の必要がないようです。
Dクラス職員が実験中SCP-XXX-JPから画材道具を取り上げようとしたところ、SCP-XXX-JPはそれに対し激しい抵抗をしたため中断されました。

SCP-XXX-JPは画材道具で絵画を描き終えると、自身の体の厚みを0.1mmまで薄く変形させ、絵画を描いた面に貼り付き、外見を絵画と同様に変化させ、絵画の中にランダムに紛れます。この状態のSCP-XXX-JPは他の絵画の外見を完璧にコピーしており、外見のみで判別することは不可能です。この一連の行動を終えると、絵画を描いた場所に貼り付いた時点から24時間の間、SCP-XXX-JPはその状態で停止します。24時間を超えた時点でSCP-XXX-JPは絵画を描いた場所から人型に戻り、自身の服の袖で絵画を全て揉み消し、壁などの障害物を透過して徒歩でランダムな方向へ移動します。半径約300m範囲で移動した後、前述の一連の行動に入ります。
また、SCP-XXX-JPは絵画を描き終えた後、周囲を目視で確認し、人間や監視カメラがないことを確認します。SCP-XXX-JPが周囲に人間がいることを確認すると、SCP-XXX-JPは発見した人間に接触し、肩を掴み、後ろを向かせようとします。監視カメラを発見した場合、カメラのレンズ部分を所持している画材道具で塗りつぶします。レンズから塗りつぶされた汚れは未知の力で除去することは出来ませんでした。
SCP-XXX-JPの収容時にSCP-XXX-JPが記録された周辺のカメラ映像の処理中、SCP-XXX-JPが観葉植物の植木鉢に設置された防犯カメラを無視して活動していたところから、この確認動作はSCP-XXX-JPの視界の中で完了されるものと推測されます。
SCP-XXX-JPは自身の絵画を触れた人間に対し、友好的に接する動作を見せます。詳しくは実験記録を参照してください。

実験記録XXX-JP-1 日付20██/██/██
被験者: D-8945

実施方法: SCP-XXX-JPが絵画に紛れている状態で、D-8945がSCP-XXX-JPの絵画に手で触れる。

結果: SCP-XXX-JPはD-8945が触れた絵画の左隣の絵画から人型に戻り、D-8945に肩を組む、ハイタッチをするなどして接触。この行動は実験終了を告知され、D-8945がSCP-XXX-JPに別れの挨拶をかけるまで続行された。SCP-XXX-JPは収容ユニット出入口までD-8945について歩き、D-8945が退場する際、扉が完全に閉まるまで右腕を頭上まで上げ、大きく左右に振り続けた。

分析:SCP-XXX-JPは絵画に触れた人間に対して好意的な印象を抱くように見られます。また、D-8945がSCP-XXX-JPに対し発した「もう行かなければ」という言葉を理解し、すぐに離れました。別れに対しては特に抵抗を見せず、コミュニケーションに固執しているわけではないようです。 -██博士

実験記録XXX-JP-2 日付20██/██/██
被験者: D-3562

実施方法: SCP-XXX-JPが絵画に紛れている状態で、D-3562がSCP-XXX-JPの絵画を蹴る。

結果: SCP-XXX-JPはD-3562が触れた絵画の二つ右隣の絵画から人型に戻り、D-3562の背中を押し、収容ユニット出入口前まで誘導しました。SCP-XXX-JPはD-3562を出入口前まで誘導すると、両腕を組みながらD-3562から数歩距離をとり、胡座の姿勢で座り、停止しました。D-3562が再び動くと、SCP-XXX-JPは立ち上がり、同じく背中を押して出入口前までの誘導を図りました。この行動はD-3562が収容ユニットから退場するまで続行され、D-3562の退場後、SCP-XXX-JPはうつ伏せの体勢をとり、6時間ほど停止した後、立ち上がり、壁に絵画を描き始めた。

分析:SCP-XXX-JPは絵画への触れ方で対象への態度を決めているようです。子供のようだ...... -██博士

事案記録XXX-JP:20██/██/██に行った実験の結果、SCP-XXX-JPの軽度の収容違反が発生し、サイト-8041の西外壁付近で発見、再収容されました。以下が事案実験記録XXX-JPの詳細です。

実験記録XXX-JP-3 日付20██/██/██
被験者: D-8821

実施方法: SCP-XXX-JPが絵画を描いている状態で話しかけ、コミュニケーションを図る。

結果: 基本的にSCP-XXX-JPは無視していたが、D-8821が「国際██美術大学」の名前を出すと、SCP-XXX-JPは活動を中断し、D-8821に向き合い、筆を使ってD-8821の全身に絵具を塗り始めた。D-8821は抵抗したが、SCP-XXX-JPはD-8821を絵画を描いていた床に押し付けた。結果、D-8821の絵画が床に残り、D-8821はその場から消失した。SCP-XXX-JPは自身の服の袖でD-8821の絵画を6割程度消した後、壁などを透過して移動し、サイト-8041の西側外壁に[罵倒]や[罵倒]、絵で[編集済]を描き、うつ伏せで活動を停止しているところを確保し、再収容された。SCP-XXX-JPは三時間ほど活動を停止していたが、その後は以前の状態と同じように活動を始めた。

分析: 「国際██美術大学」についてのアクションとD-8821に対しての行動の紐付きは明らかであり、移動が短距離だったとはいえSCP-XXX-JPの収容違反を引き起こしました。今後「国際██美術大学」というワードをSCP-XXX-JPの前で発言するべきではないでしょう。 -██博士

補遺: SCP-XXX-JP回収後の検査で、SCP-XXX-JPのズボンの右ポケットから以下のA6サイズの手紙が回収されました。以下が手紙の内容です。

有頂天の君へ

███でやっていた、君の個展に遊びに行ったよ。全く素晴らしかった。
この間の喧嘩で僕が言った言葉を訂正させてほしい。君はまさに天才だ。
人の芸術の模倣をすることにおいて、君の右に出る者はいないだろう。
君の個展の素晴らしさに敬意を表し、是非僕の作品を受け取ってほしい。

作品名は「君自身」だ。

人の作品のケツを追って、猿まねの作品で評価を受けて、それが自身への賞賛だと勘違いする。
まるでピエロだ。学校を辞めてまでやりたかった芸術がこんなものなのか?
もし、これで君の気が変わって学校に戻ってきてくれるなら、その時は連絡してくれ。
君とまた一緒に何か作りたいんだ。その日が来るのを、楽しみにしているよ。

君の親友███より

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